在庫管理能力評価のための棚卸資産回転率の業種別基準値の設定及び収益性との

関係に関する研究

東京海洋大学海運ロジスティクス専攻

朱 威

1

目次

1 研究背景及び目的

2 研究対象

3 業種別棚卸資産回転率基準値の設定

4 在庫管理能力と企業経営収益性の関係

5 研究結果

2

研究背景及び目的

3

商品ライフサイクルの短命化

研究背景

中小企業研究所「製造業販売活動実態調査」（2004年11月）

（注）ここではかつて自社にとって売れ筋商品していたが、現在は売れなくなった商品を集計している。

4

大量在庫 在庫少ない

在庫リスク 販売チャンス

適切在庫

経営に苦しめないように経営者は自社の在庫状況が適切かどうか、常に把握する必要となっている。

研究背景

5

業種別棚卸資産回転率基準値設定

業種別棚卸資産回転率と収益性の関係

1

2

研究目的

6

研究対象

7

業種ごと売上ランキングの上位10社

日本経済新聞

四つの業種

電気機器 自動車・自動車部品

商社 小売業

ＥＤＩＮＥＴで有価証券報告書

平成18年度から平成23年度まで

連結財務諸表のデータ細分類する必要がある！

研究対象

8

細分類結果

電気機器自動車・自動車部品

商社 小売業

電気機器

自動車専門商社

総合商社

百貨店総合

スーパー家電量販店

日立 トヨタ メディバル 三菱商セブン＆アイ

イオンヤマダ電機

パナソニック

日産自 アルフレッサ 伊藤忠三越伊勢丹

ユニー エディオン

ソニー ホンダ スズケン 丸紅 Jフロント ダイエー ケーズHD

東芝 スズキ 三井物

富士通 マツダ 住友商

三菱電 三菱自 豊田通商

キャノン ダイハツ 双日

NEC 富士重

シャープ いすゞ

研究対象

9

業種別棚卸資産回転率基準値の設定

10

棚卸資産回転率適正在庫を測るための重要な指標です

棚卸資産:１０００万円

年間売上:５０００万円 ５回転

棚卸資産回転率＝売上高/棚卸資産 ↑

棚卸資産回転率基準値設定

一般に回転率が高いほど、棚卸資産の入庫から販売までの期間が短く、在庫管理が効率的に行われていることを示す

11

業種別棚卸資産回転率

5

10

15

20

25

30棚

卸資

産回

転率

（回/年

）

電気機器

自動車

総合商社

専門商社

総合スーパー

家電量販店

百貨店

棚卸資産回転率基準値設定

12

業種別棚卸資産回転率基準値

業種 棚卸資産回転率基準値（回/年）

百貨店 25.473

専門商社 17.986

総合スーパー 17.372

自動車 10.978

総合商社 9.307

電気機器 9.101

家電量販店 8.895

棚卸資産回転率基準値設定

13

需要の変動が大きい場合

非常時期（例えばリーマンショック時期）

棚卸資産回転率変動係数

変動対応を重視した在庫管理能力を必要

棚卸資産回転率基準値設定

14

5

10

15

20

25

30

平成18年度平成19年度平成20年度平成21年度平成22年度平成23年度

生産台数（万台）

需要 Ａ社 Ｂ社

需要

A社

B社

大量在庫

欠 品

変動係数格差（データのばらつき）を表す係数です

棚卸資産回転率基準値設定

変動係数（ＣＶ）＝標準偏差/平均値

格差が拡大すると変動係数が上昇し、格差が縮まると変動係数は下降します。2つ変動係数の比較により、格差が大きい・小さいを判断します。

15

業種別棚卸資産回転率変動係数基準値

業種平均値(回/年) 標準偏差 変動係数

百貨店 25.473 1.886 0.072

専門商社 17.986 1.349 0.075

総合スーパー 17.372 0.876 0.049

自動車 10.978 1.276 0.120

総合商社 9.307 0.807 0.088

電気機器 9.101 0.754 0.086

家電量販店 8.895 1.089 0.117

棚卸資産回転率基準値設定

16

百貨店専門商社

総合スーパー

自動車

電気機器

家電量販店

総合商社

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

0.14

0 5 10 15 20 25 30

棚卸資産回転率変動係数

棚卸資産回転率（回/年）

棚卸資産回転率基準値設定

17

在庫管理能力と企業経営収益性の関係

18

売上高

営業利益

売上総利益（粗利益）

売上原価

販売費および一般管理費

売上高

売上原価

売上総利益（粗利益）

販売費および一般管理費

営業利益

売上高総利益率＝売上総利益売上高

100％ ↑

売上高営業利益率＝営業利益売上高

100％ ↑

販管費率＝販売費及び一般管理費

売上高100％↓

在庫管理能力と企業経営収益性の関係 収益性分析指標

棚卸資産回転率と販管費率

経営収益性良い

棚卸資産回転率↑

販管費率↓

在庫管理能力と企業経営収益性の関係

販管費率＝販売費及び一般管理費

売上高100％ ↓

？

在庫管理能力指標 経営収益性指標

20

業種別棚卸資産回転率と販管費率の関係分析

0%5%10%15%20%25%30%35%40%45%50%

5 10 15 20 25 30

販管

費率(%)

棚卸資産回転率（回/年）

電気機器

自動車

総合商社

専門商社

総合スーパー

家電量販店

百貨店

在庫管理能力と企業経営収益性の関係

21

21%

22%

22%

23%

23%

24%

8.4 8.6 8.8 9 9.2 9.4 9.6

販管費

率(%

)

棚卸資産回転率（回）

電気機器相関なし

14%

15%

15%

16%

16%

17%

17%

10 10.5 11 11.5 12 12.5

販管費

率(%

)

棚卸資産回転率（回）

自動車相関なし

11%

12%

12%

13%

13%

14%

14%

8.7 9.2 9.7 10.2

販管

費率(%

)

棚卸資産回転率（回）

総合商社 負の相関‐0.396

在庫管理能力と企業経営収益性の関係

相関係数

相関性判断

変数Ａ棚卸資産回転率

変数Ｂ販管費率

22

37%

38%

39%

40%

41%

42%

43%

44%

16 16.5 17 17.5 18 18.5 19

販管

費率(%)

棚卸資産回転率（回）

総合スーパー負の相関‐0.710

19%

19%

20%

20%

21%

21%

22%

22%

7.000 8.000 9.000 10.000 11.000

販管

費率(%)

棚卸資産回転率（回）

家電量販店

相関なし

26%

27%

27%

28%

28%

29%

29%

30%

24 25 26 27 28

販管

費率(%)

棚卸資産回転率（回）

百貨店相関なし

在庫管理能力と企業経営収益性の関係

7%

7%

7%

7%

8%

8%

8%

15 16 17 18 19 20

販管

費率(%

)

棚卸資産回転率（回）

専門商社相関なし

23

棚卸資産回転率と販管費率との関係分析

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0 5 10 15 20

販管

費率(%)

棚卸資産回転率（回/年）

三菱商

伊藤忠

丸紅

三井物産

住友商事

豊田通商

双日

在庫管理能力と企業経営収益性の関係

例①総合商社 負の相関あり

24

15%

20%

25%

30%

35%

40%

15 20 25 30 35

販管

費率(%)

棚卸資産回転率（回）

セブン＆アイ

三越伊勢丹

Ｊ．フロント

高島屋

在庫管理能力と企業経営収益性の関係

棚卸資産回転率と販管費率との関係分析例②百貨店 相関なし

25

業種 販管費率（％） 相関性 在庫管理の重要性

総合スーパー 39.189 負の相関強い

大

百貨店 28.000 相関なし 小

電気機器 22.465 相関なし 小

家電量販店 20.112 相関なし 小

自動車 15.679 相関なし 小

総合商社 12.318 負の相関弱い

中

専門商社 7.430 相関なし 小

在庫管理能力と企業経営収益性の関係

26

研究結果

27

研究結果

業種別棚卸資産回転率基準値設定

棚卸資産回転率と収益性の関係

1 2

棚卸資産回転率基準値百貨店→高い25.473 [回/年]

家電量販店→低い8.895 [回/年]

棚卸資産回転率変動係数基準値自動車→高い 0.120

総合スーパー→低い 0.049

総合スーパーと総合商社↓

棚卸資産回転率と販管費率

相関あり↓

適切の在庫管理必要

研究結果

28

ご清聴ありがとうございました。

29