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「IT 融合人材に関する育成フレームの整備」 2014 年 3 月 独立行政法人情報処理推進機構 人材育成本部 HRD イニシアティブセンター

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「IT融合人材に関する育成フレームの整備」

2014年 3 月

独立行政法人情報処理推進機構

人材育成本部

HRDイニシアティブセンター

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用語の説明と定義

(1) 当事業にて新たに定義した用語

① スキル指標

IT 融合人材が担うべきタスクやそのために保有すべきスキルや知識、役割モデ

ルを CCSF 構造に準じて体系化したもの

② IT 融合組織の成熟度モデル

企業が自社の IT 融合人材を育成する組織の環境整備レベルを客観的に評価し、

レベルアップしていくための参考とするためのモデル

③ 育成フレーム

スキル指標と成熟度モデルを総称して育成フレームという

(2) IT 融合育成連絡会にて新たに定義された用語

① IT 融合

IT を活用することで、IT 産業はもとより広く産業全体の領域において、技術や

市場、プロセスの組み合わせをデザインすることによりイノベーションを創出し、

新たに価値を生み出すこと

② IT 融合人材

IT 融合することができる人材。

③ 実践的学習の場

IT 融合人材を育成するための知識習得のような研修ではなく、ケーススタディ、

アクションラーニングのような疑似体験を行う研修

④ IT 融合実現組織

専門性を持つ IT 融合人材が協働して価値創造を起こす組織

⑤ IT 融合組織能力

イノベーション創出主体や IT 融合実現組織の活動を支え、円滑に進めるための

組織能力

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目次

1. 事業の背景 ............................................................................................ 1

2. 事業の目的と概要 .................................................................................. 2

3. 事業の進め方 ......................................................................................... 4

4. 「IT 融合人材」の位置付け .................................................................... 5

4.1. IT 融合人材の検討結果 ............................................................................. 5

4.1.1. IT 融合 人材の定義 .................................................................................. 5

4.1.2. IT 融合人材の育成対象 ............................................................................. 5

4.2. IT 融合人材の検討経緯 ............................................................................. 6

4.2.1. 対象イノベーションの検討 ....................................................................... 6

4.2.2. 育成対象人材の検討 ................................................................................. 6

4.2.3. IT 融合のための組織のあり方 .................................................................. 6

5. 「IT 融合人材」育成のためのスキル指標の整備 ...................................... 8

5.1. スキル指標の構成 .................................................................................... 8

5.2. スキル指標検討経緯 ................................................................................. 9

5.3. スキル指標の特徴 ................................................................................... 10

5.4. タスクの整備 .......................................................................................... 12

5.5. スキルの整備 .......................................................................................... 19

5.5.1. ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集 ....................... 19

5.5.2. ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決定 ......... 21

5.5.3. ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成 .............................. 23

5.5.4. ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定.................................. 25

5.5.5. 実証されたビジネスモデルの展開 .......................................................... 27

5.6. 共通スキル項目の整備 ............................................................................. 30

5.7. 知識項目の整備 ....................................................................................... 31

5.8. 役割モデルの定義 ................................................................................... 32

6. IT 融合組織の成熟度モデル策定 ........................................................... 33

6.1. 成熟度モデルの構成 ................................................................................ 33

6.2. 成熟度モデルの検討経緯 .......................................................................... 33

6.3. 成熟度モデルの定義 ................................................................................ 38

6.3.1. 各評価軸の設問と検証結果 ..................................................................... 38

6.3.2. 成熟度モデル策定のまとめ ..................................................................... 43

7. 参考資料 .............................................................................................. 45

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1. 事業の背景

近年、ITは IT関連産業の枠を超え、他産業・分野との融合によってイノベーション

を起こし、新たなサービスを創造する役割を担いつつある。「産業構造審議会情報経済

分科会人材育成 WG報告書」(以下「産構審人材 WG報告書」という。)では、このよう

な異分野と ITの融合領域においてイノベーションを創出し、新たな製品やサービスを

自ら生み出すことができる人材、すなわち次世代高度 IT人材を育成することが喫緊の

課題と位置づけられた。また、新製品・新サービスの創出プロセス・タスクやこのよう

な人材に必要な能力および役割モデルなども示された。さらに、共通キャリア・スキル

フレームワーク(第一版・追補版)(以下「CCSF」という。)との比較を通じて更に具

体化・詳細化する必要性についても言及されている。

独立行政法人情報処理推進機構(以下「IPA」という。)では「産構審人材 WG報告書」

での提言を受け、上記の「次世代高度 IT人材」を「IT融合人材」と位置付け、2013年

度上期に特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会(以下「ITCA」という。)と共同

で「IT融合人材育成連絡会」(以下「連絡会」という。*)を設置し、その育成のあ

り方を検討してきた。

当事業は「産構審人材 WG報告書」における提言および連絡会における検討結果を具

体化・詳細化することで IT融合人材の育成フレームを整備し、IT企業における育成を

促進することを目的とする。

当事業と並行して連絡会でも 2013年 10月以降も継続検討が行われていた。このため、

当事業としては、連絡会の検討結果との整合性の維持や当事業の検討内容の連絡会への

フィードバック、連絡会メンバによるレビュ実施など、必要な連携を適宜行ってきた。

*参照:http://www.ipa.go.jp/jinzai/hrd/yuugou_it/index.html#section2

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2. 事業の目的と概要

(1)当事業の目的

IPA は、「産構審人材 WG 報告書」における提言および「IT 融合人材育成連絡会」

における検討結果の具体化・詳細化することで、IT 融合人材の育成フレームを整備

する。これにより IT 企業(ユーザ企業等も含む)における IT 融合人材育成を促進す

ることを目指す。

(2)当事業の概要

産構審による各種提言、CCSF 第一版・追補版、既存イノベーション方法論・手法、

そして IT企業・ユーザ企業における IT融合組織の実態調査を主なインプットとして、

次の成果物を作成する。

1) IT 融合人材の概要

2) 企業における IT 融合人材の育成組織の整備度合(組織能力)を示すため

の指標である「成熟度モデル」

3) 上記 IT融合人材が実施するタスクや必要なスキルなどを明らかにする枠

組みである「スキル指標」

これらの検討に際しては、並行して行われる連絡会活動と下記のように適宜連携し

ながら進めていく。(図表 2-1 参照)

4) 連絡会の検討結果を受け、当事業の検討への反映や必要な整合

5) 当事業での検討結果の考え方を連絡会にフィードバック

6) 連絡会配下の活動として、連絡会メンバによる調査活動協力

7) 当事業での検討結果の連絡会メンバによるレビュ

当事業での検討結果は、連絡会の報告とともに「産構審人材 WG 報告書」の具体

化の方向性を明らかにするために用いられる。

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産構審人材育成WG報告書

(次世代高度IT人材の育成課題の提言)

IT企業、ユーザー企業の情報システム部門

IPA/ITCAIT融合人材育成連絡会

(具体化の方向性を明確化)提言

当業務

・タスク・人材像・知識項目・能力・育成指針

育成組織の実態調査

CCSF第一版・追補版

•成熟度モデルやスキル指標の考え方

連絡会報告・基本的な考え方・プロセス・能力・育成のあり方・組織の整備など

・タスクモデル・人材モデル・スキルモデル・知識体系

イノベーション手法・方法論

イノベーションプロセスやタスクのあり方

•連絡会メンバによるインタビュー協力や検討内容レビュー

図表 2-1 当業務の位置付け

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3. 事業の進め方

当事業において、下記 5 つの業務を中心に調査・検討を進めていった。

(1)IT 融合人材の定義

「産構審人材 WG 報告書」および「IT 融合人材連絡会中間報告」の検討結果をも

とに、IT 融合人材の位置付けと範囲を定義する。

(2)スキル指標の整備

「産構審人材 WG 報告書」で示された「新商品・新サービスの創出プロセスとタ

スク」や連絡会で検討された「価値創造のメタフレーム」を起点に IT 融合のスキル

指標を整備していく。

• IT 融合のタスク大・中・小分類を定義する

• タスク小分類ごとにスキルを整備する。

• 複数のタスクに対応する共通スキルを整備する。

• タスク中分類ごとに知識項目を整備する。

• 役割モデルと、タスク小分類との関連付けを行う。

(3)IT 融合人材育成における組織能力指標となる成熟度モデルの策定

企業における IT 融合人材の育成の整備度合いを評価できるように段階表現を用い

て成熟度モデルを策定する。企業における IT 融合人材育成環境の整備状況などをイ

ンタビューにより実態調査し、成熟度モデルの仮説を検証する。

(4)有識者による検討結果のレビュ

成熟度モデルやスキル指標の検討結果について、連絡会メンバのレビュを受ける。

また、スキル指標については CCSF 有識者のレビュを受け、そのレビュ結果を成果

物に反映する。

(5)報告書作成

当事業の検討結果を報告書として作成する。報告書としては、当事業の活動内容、

成熟度モデル及びスキル指標の検討結果や検討経緯などを記述した資料を作成する。

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4. 「IT 融合人材」の位置付け

4.1. IT 融合人材の検討結果

4.1.1. IT 融合 人材の定義

IT 融合人材とは、IT をドライバ(推進力)として IT 産業はもとより広く産業全体

の領域において、技術や市場、プロセスの組み合わせをデザインすることでイノベーシ

ョンを創出し、新たな価値を生み出すことができる人材をいう。

ここでイノベーションとは企業や組織が新商品や新サービス、新規事業で新たな価値

を生み出すことを意味し、イノベーションを起こすドライバは IT を軸として設定する。

IT 融合が対象とするイノベーションには社会に変革をもたらすようなインパクトの大

きなものから、日々の改善の積み重ねによるものまで含むものとする。

また、IT 融合人材は組織の中で協働してイノベーションを創出し、適切な組織環境

が IT 融合人材の活躍を支えることになる。

4.1.2. IT 融合人材の育成対象

イノベーションを創出するためには、IT 人材に閉じることなく、各産業・組織の幅

広い分野を対象とすることが重要であり、連絡会では、人材領域はビジネス人材と IT

人材の両方を議論の対象としている。一方、当事業の目的は IT 企業及びユーザ企業の

情報システム部門)における IT 融合人材育成を促進することである。従って事業の主

旨から、当事業においては IT 企業に従事する者およびユーザ企業の情報システム部門

に従事する IT 人材に焦点を当てることとする。(図表 4.1-1)

ビジネス人材(ユーザー企業の

現場事業部門の人材)

現在のIT人材( ITに関する専門性

有する人材)

UISS人材

ETSS人材

ITSS人材

イノベーションを起こせる人材

(ビジネス以外の分野も含めた社会改革者・経営者など)

ITを活用してイノベーションを起こせる人材

当事業の育成対象

連絡会の育成対象

図表 4.1-1 当事業における育成対象(出典:連絡会最終報告より改変)

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4.2. IT 融合人材の検討経緯

4.2.1. 対象イノベーションの検討

連絡会において、IT 融合人材の対象とするイノベーションはビジネスと IT の融合領

域において創出するものとし、イノベーションインパクトの大きさやイノベーションの

影響範囲に拘わらず、できるだけ間口を広げている。本事業においてもこの考え方を踏

襲する。

4.2.2. IT 融合人材育成のあり方

育成対象とする IT 人材の前提能力については、連絡会において、能力の高いものだ

けにフォーカスするのではなく、将来「IT 融合人材」へと成長を促す人材に対して育

成の施策が必要になってくると検討されている。また、継続的な業務改善・改革の中に

もイノベーションの“芽”があるとの認識から出発している。このため、当事業におい

てもこの考え方を踏襲する。これらの方針を考慮しつつ、IT 融合人材を育成するため

の【スキル指標】を策定した。

4.2.3. IT 融合のための組織のあり方

連絡会においては当初 IT 融合人材の育成は可能であるとの認識のもと、育成のあり

方について情報交換、意見交換が行われた。その後、連絡会の検討過程において IT 融

合によるイノベーション創出には個人の育成に加え、組織としての取組の重要性にも焦

点があてられ、組織の役割と組織能力に関しても焦点があてられた。結果として、個人

の能力を十分に引出し、新たな価値を創出する「IT 融合実現組織」とこれを支える基

盤としての「IT 融合組織能力」の 2 つの観点で、組織のあり方が方向づけられた。当

事業としては、この方向付けを受けて、IT 融合人材育成における組織能力指標となる

【成熟度モデル】を策定した。

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IT融合実現組織

IT融合組織能力

経営者のリーダーシップ

組織文化・風土

「実践的学習の場」の設置 「実践の場」の創出

育成フレームの整備

■様々なバックグランドや価値観をもつ人材が集う多様性のもとでの活動■問題の意味を掘り下げていくためのダイアログを重視した相互の共感■失敗を許容し、そこから学習することを繰り返すトライアル&エラーを実施■企業内に留まらず広く外部とコラボレーションするオープンイノベーション指向

イノベーション創出

専門性を持つ「IT融合人材」が協働して価値創造を起こす組織。イノベーション創出に向けた個人と組織間の継続した相互学習が組織自身の「学び」、ステージアップに繋がっていく。

上記イノベーション創出主体・「IT融合実現組織」の活動を円滑に進めるための組織要件の整備が重要。

学習する組織

図表 4.2-1 IT 融合のための組織のあり方(出典:連絡会最終報告より)

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5. 「IT 融合人材」育成のためのスキル指標の整備

5.1. スキル指標の構成

当事業におけるスキル指標とは、図 5.1-1 に示す 5種類のモデル・項目が対象である。

これらについて、「産構審人材 WG 報告書」で提示された内容、および「IT 融合人

材育成連絡会」における議論に基づいて整備を図ることとする。

なお、各社における活用を視野に入れ、CCSF における「タスクモデル」「スキルモ

デル」「人材モデル」「知識項目」の構造に合わせた枠組みとする。

①タスクモデル

②スキルモデル ④知識項目

③共通スキル項目

⑤役割モデル(人材モデル)

教育コンテンツ情報処理試験

自社人材像定義

自社タスク定義

育成施策

参照

参照

活用

参照

各社における活用本事業におけるスキル指標の範囲

図表 5.1-1 スキル指標全体図

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5.2. スキル指標検討経緯

スキル指標は次の7ステップで検討を行った。

(1)IT 融合育成連絡会における検討結果より、スキル指標全体の考え方および各

モデルに関するキーワードの確認

(2)IT 融合育成連絡会において議論された「イノベーションプロセスのメタフレ

ーム」を参考に①タスクモデルの大分類および中分類を設定

理解・共感 価値発見 ビジネスデザイン ビジネス実証 ビジネス展開

■イノベーションプロセスのメタフレーム

(3)次の分野の資料を参照し、①タスクモデルのタスク小分類および②スキルモ

デルを新たに定義

• 「産構審人材 WG 報告書」

• 「デザイン思考」

• 「アントレプレナーシップ」

• 「リーンスタートアップ」

• 「ビジネスモデル・ジェネレーション」

• 「The analysis-synthesis bridge model」

(4)複数のタスクに紐づくスキルや、全タスク遂行時に保有すべきパーソナルス

キルを抽出し、③共通スキル項目として定義

(5)各タスク中分類遂行に当たって必要な知識について、該当する項目を次の資

料より抽出し、④知識項目として定義

• 次世代高度 IT 人材モデルキャリア開発計画事業報告書

• CCSF 知識体系

(6)各タスク小分類遂行の役割について、当事業のメンバによる議論の結果より

役割と担当タスクを整理し、⑤役割モデル×タスクモデルとして定義

(7)全成果物について CCSF の構造に合わせる作業と、初見の方でも理解できる

よう文言のブラッシュアップを実施

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5.3. スキル指標の特徴

当事業で定義された「IT 融合人材」育成のためのスキル指標は、異分野との融合領

域においてイノベーションを創出し、新たな製品やサービスを自ら生み出すことを目的

としている。

現 CCSF では考慮されていない領域であるため、各モデルおよび項目を新規作成し

た。その特徴は次に示す通りである。

(1)ウォーターフォールモデルではなく、想いを中心に据えた「スパイラルモデ

ル」である点

図表 5.3-1 で示す通り、各プロセスの中心には社会に対して価値提供という強い「想

い」からスタートしており、その想いが各プロセスに影響していることが分かる。

また、通常のウォーターフォール型のプロセスでは、最終プロセスが完了した段階

で終了となるが、当タスクモデルにおいては最終プロセスである「実証されたビジネ

スモデルの展開」が完了した後も、新たな価値創造を目指して「ターゲットに対する

共感を通した価値ある気付きの収集」プロセスへと進む。これらのサイクルを何度も

回すことにより、イノベーションは生まれるものである。

想い社会に対して価値提供したいという強い想い

ターゲットに対する共感を通した価値ある気付き

の収集

ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスア

イデアの決定

ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

実証されたビジネスモデルの展開

フィードバック フィードバック

新たな価値創造

図表 5.3-1 スパイラルモデル

(2)「スモールスタート」をベースとしたプロセスである点

IT 融合で取り扱うビジネスは、市場が成熟していない可能性が高いため、市場参

入にはリスクが伴う。そこで図表 5.3-2 で示す通り、プロセスの前半はミクロ市場を

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ターゲットとし、その結果を踏まえてターゲットを拡大することを前提としたタスク

定義を行った。

実証されたビジネスモデルの展開ターゲットにとっての

新しい価値発見とビジネスアイデアの決定

ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデル

の作成

ビジネス提供価値の実証とビジネスモデ

ルの確定

ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

ターゲット

限定されたターゲットが対象(ミクロ市場)

ターゲットを次第に拡大(ミクロ市場⇒マクロ市場へ)

図表 5.3-2 スモールスタート

(3)IT ビジネスの「特性」を表している点

図表 5.3-3 は、IT 融合で取り扱う新規市場に対応した「ビジネス提供価値の実証と

ビジネスモデルの確定」における、ビジネス達成条件設定例を示したものである。

一般的なソフトウェア販売であれば、投資に対する収益額をビジネス実証の達成条件

とするであろう。例えば、フリーミアムの場合、ビジネスの最初のステップは登録会

員数を数多く獲得することであり、この時点では収益は上がらない。期間に対する登

録会員数が主な達成条件となる。このように IT のビジネスは多様化しており、その

ビジネス種別や市場の成熟度を表す市場種別によって、達成条件が設定される点をタ

スクモデル内に盛り込んだ。

種別 項目 達成条件設定例

ビジネス種別 フリーミアム 登録会員数

ロングテール 製品数

オープンビジネスモデル パートナー数

マルチサイトプラットフォーム ターゲットカテゴリ数

カスタマーリレーションシップ 1顧客あたりの単価

製品イノベーション 市場投入スピード

インフラ管理 業界シェア

ソフトウェア販売 収益額

市場種別 新規市場 新規ターゲット数、マネタイズ実現度

既存市場への参入 競合優位性の確立度

既存市場の再セグメント化 既存市場からのターゲット移行率

図表 5.3-3 ビジネス実証達成条件例

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5.4. タスクの整備

図表 5.4-1 に示す通り、IT 融合人材のタスクを定義した。

CCSFタスクコード 大分類 中分類 小分類

(仮)T-23-1-1IT融合イノベーション

実現を目指すアイデアの明確化

(仮)T-23-1-2 多様性に富んだ価値発見チームビルディング

(仮)T-23-1-3 アイデアを実現する先端事例の情報収集

(仮)T-23-1-4 提供価値が高いターゲットに対する情報収集

(仮)T-23-1-5 疑似体験の実施

(仮)T-23-1-6 価値ある気付きの共有

(仮)T-23-2-1 ビジネスアイデアの発想

(仮)T-23-2-2 ビジネスアイデアの統合

(仮)T-23-2-3 ビジネスアイデアのプロトタイピング

(仮)T-23-2-4 探求するビジネスアイデアの決定

(仮)T-23-3-1 ビジネスアイデア実現に向けたチームビルディング

(仮)T-23-3-2 ビジネスモデルの仮説立案

(仮)T-23-3-3 ビジネスモデルの仮説検証

(仮)T-23-3-4 ビジネスモデルの仮説決定

(仮)T-23-4-1 ビジネス実証の実行

(仮)T-23-4-2 ビジネス提供価値の見直し

(仮)T-23-4-3 ビジネスモデルの確定

(仮)T-23-4-4 事業化計画の立案

(仮)T-23-5-1 ビジネス展開体制の構築

(仮)T-23-5-2 製品ロードマップの作成

(仮)T-23-5-3 販売チャネルプランの作成

(仮)T-23-5-4 マーケティングプランの作成

(仮)T-23-5-5 サポート体制の構築

(仮)T-23-5-6 製品・サービスの市場投入

(仮)T-23-5-7 新たな価値創造の準備

(4)ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

(5)実証されたビジネスモデルの展開

タスク

(1)ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

(2)ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決定

(3)ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

図表 5.4-1 IT 融合タスクモデル

次ページ以降で、各タスクについて説明する。

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(1)ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

図表 5.4-2 で示す通り、イノベーションのスタートは、個人のアイデアから始まる。

そして、そのアイデアは情報収集等を通して価値ある気付きへと熟成されていく。

本タスク遂行には、「多様性」に富んだチームを編成し、各種情報収集に取り組む

ことになるが、アイデアを実現した場合に提供価値が高いターゲットから情報収集す

ることが重要である。

情報収集完了後は、疑似体験を通してターゲットとの共感を深める。ここでは、タ

ーゲットの心理の推移が理解できるまで、疑似体験を繰り返すことが重要である。

これらの活動を通して、ターゲットと共感し価値ある気付きを得ることができる。

その気付きは価値発見チーム全員に共有し、以降のタスクに備える。

タスク中分類

多様性に富んだ価値発見チームビルディング

実現を目指すアイデアの明確化

アイデアを実現する先端事例の情報収集

提供価値が高いターゲットに対する情報収集

タスク小分類

タスク小分類アウトプット例

ビジネス展開

実証されたビジネスモデルの展開

価値発見

ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決

ビジネスデザイン

ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

ビジネス実証

ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

共感・気付き

ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

疑似体験の実施

価値ある気付きの共有

図表 5.4-2 タスク(1)小分類

なお、当タスクの完了条件は図表 5.4-3 に示す通りである。

1.最も提供価値が高いターゲットが定義できたか?

2.ターゲットと共感できたか?(See, Hear, Say and DoよりThink and Feelに辿り付くことができたか?)

3.価値ある新しい気付きを発見したか?(今まで知り得なかったGain orPainを見付け出したか?)

図表 5.4-3 タスク(1)完了条件例(*)

*出典:「ビジネスモデル・ジェネレーション」著:アレックス・オスターワルダー他

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(2)ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決定

図表 5.4-4 にて示す通り、アイデアの発想・統合といった「議論」と、プロタイピ

ングに代表される「試行」を繰り返すことにより、価値あるビジネスアイデアを発見

することができる。

「ビジネスアイデアの発想」では、様々な視点からアイデアの生み出す価値を発想

する。ここでは環境や常識に捉われず、自由に意見を発散させることが重要である。

「ビジネスアイデアの統合」では、発想された価値を統合・分析・評価などを通して

絞り込む。このプロセスを何度も繰り返し、洗練されたビジネスアイデアを作り出す。

次に、「ビジネスアイデアのプロトタイピング」では、そのビジネスアイデアの有

効性を検証する。ここでの目的は当初想定された価値の正否を確認することであり、

それが実現されるのであればプロトタイピングの手法は問わない。

これらのプロセスを通し、最終的に「探求するビジネスアイデア」を決定する。

タスク中分類

ビジネスアイデアの発想

ビジネスアイデアのプロトタイピング

探求するビジネスアイデアの決定

タスク小分類

ビジネスアイデアの統合

ビジネス展開

実証されたビジネスモデルの展開

価値発見

ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決

ビジネスデザイン

ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

ビジネス実証

ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

共感・気付き

ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

タスク小分類アウトプット例

図表 5.4-4 タスク(2)小分類

なお、当タスクの完了条件は図 5.4-5 で示す通りである。

「ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集」において作成したアウ

トプットに対して、ターゲットの満足度向上あるいは不満解消に向けた洗練された

解決策立案が、本タスクにおける完了条件である。

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2.価値提供する対象を特定したか?

3.ターゲットの満足度向上あるいは不満解消といった新たな価値を発見することができたか?

1.ターゲットが有望な製品・サービス策を聞いてワクワクしたか?またイノベーションオーナの了承を得たか?

ターゲットの不満解消案 ターゲットの満足度向上案

製品・サービス案

図表 5.4-5 タスク(2)完了条件例

(3)ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

図表 5.4-6 で示す通り、ビジネスアイデアを試行錯誤の繰り返しにより具現化し、

ビジネスモデルを作成することが本タスクの目的である。

本タスクでは、これまでとは異なり価値を実現する役割が求められる。そこで、必

要に応じてチーム構成を見直す事から始める。

チームが決定した後、ビジネスモデルの仮説を立案し、1つ1つ検証を実施する。

ここでは仮説検証の PDCA を何度も回すことが重要であり、その結果精度の高いビ

ジネスモデルの仮説が出来上がる。

案 仮決定

タスク中分類

ビジネスモデルの仮説立案

ビジネスモデルの仮説決定

タスク小分類

ビジネスモデルの仮説検証

ビジネス展開

実証されたビジネスモデルの展開

価値発見

ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決

ビジネスデザイン

ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

ビジネス実証

ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

共感・気付き

ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

タスク小分類アウトプット例

P D

CA

ビジネスアイデア実現に向けたチームビ

ルディング

図表 5.4-6 タスク(3)小分類

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なお、当タスクの完了条件は2種類存在する。

図表 5.4-7 は、仮説検証を繰り返して洗練されたビジネスモデルを仮決定したもの

を指す。

図表 5.4-8 は、次のタスク中分類である「ビジネス提供価値の実証とビジネスモデ

ルの確定」で活用する達成条件例である。5.3 スキル指標の特徴で示した通り、新し

い価値を生み出すことを考慮し、ビジネスモデルの特徴に沿った設定を行うことが重

要である。

1.価値を最大化する方法は発見できたか?

2.顧客へ価値を届ける最適なルートを発見できたか?

3.適正なコスト構造を発見できたか?

4.有効な収益モデルを発見できたか?

図表 5.4-7 タスク(3)完了条件例 ~ビジネスモデル~(*)

種別 項目 達成条件設定例

ビジネス種別 フリーミアム 登録会員数

ロングテール 製品数

オープンビジネスモデル パートナー数

マルチサイトプラットフォーム ターゲットカテゴリ数

カスタマーリレーションシップ 1顧客あたりの単価

製品イノベーション 市場投入スピード

インフラ管理 業界シェア

ソフトウェア販売 収益額

市場種別 新規市場 新規ターゲット数、マネタイズ実現度

既存市場への参入 競合優位性の確立度

既存市場の再セグメント化 既存市場からのターゲット移行率

図表 5.4-8 タスク(3)完了条件例 ~達成条件設定例~

*出典:「ビジネスモデル・ジェネレーション」著:アレックス・オスターワルダー他

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(4)ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

図表 5.4-9 で示す通り、立案・決定したビジネスモデルの仮説を実証する。設定し

た達成条件に基づき、実証に必要な製品・サービス、サポート体制等を整備した上で

ビジネス実証活動を行い、最終的には事業化計画を立案する。

ビジネス実証の実行においては、実証に必要な最低限の品質が担保されれば良い。

限られた資源の中で効率良くビジネスモデルの実証を行い、タスク小分類「ビジネス

モデルの仮説決定」で取り決めた達成条件に対する達成度を確認する。

また、実証活動が進捗した後、これまで本ビジネスに携わったすべてのメンバによ

り、提供価値の見直しを実行する。

これら実証や見直しを経て、ビジネスモデルを確定する。結果、事業化の価値があ

ると判断した場合は、事業化計画を立案する。

タスク小分類アウトプット例

確定

タスク中分類

ビジネス実証の実行

事業化計画の立案

タスク小分類

ビジネスモデルの確定

ビジネス展開

実証されたビジネスモデルの展開

価値発見

ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決

ビジネス実証

ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

共感・気付き

ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

ビジネスデザイン

ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

ビジネス提供価値の見直し

図表 5.4-9 タスク(4)小分類

ビジネス提供価値の実証に関する評価イメージは、図表5.4-10で示す通りである。

これまで立案した仮説は全部で4種類である。そのうち「価値ある気付き」「ビジ

ネスアイデア」「ビジネスモデル」は、立案した仮説とビジネス実証後の比較を行い、

そのギャップの受容可否を確認する。

「達成条件」については、設定した目標に対する達成率を確認する。

これら確認を通してビジネス実証結果を評価し、事業化計画立案の要否を決定する。

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仮説 実証結果

対比・

達成率確認

1.実証結果を仮説同様の資料にまとめることができたか?

2.対比結果のギャップは受容できるものか?

3.ビジネス実証の達成条件はクリアできたか?

価値ある気付き

ビジネスアイデア

ビジネスモデル

達成条件

** ** *** ** ** ***

図表 5.4-10 ビジネス実証の評価イメージ

(5)実証されたビジネスモデルの展開

確定したビジネスモデルに基づき、ビジネスを展開する。

各種準備を実行した上で、製品・サービスの市場投入を行う。これまでと比較して

広いターゲット層に対して価値を提供することから、様々な気付きを得ることがある。

これらを活かして新たな価値創造の準備を行うことにより、IT 融合を実現するため

のプロセスがサイクリックされる。

販売チャネルプランの作成

製品ロードマップの作成

マーケティングプランの作成

サポート体制の構築

製品・サービスの市場投入

ビジネス展開体制の確立

タスク小分類アウトプット例

タスク中分類

ビジネス展開

実証されたビジネスモデルの展開

価値発見

ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決

ビジネスデザイン

ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

ビジネス実証

ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

共感・気付き

ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

新たな価値創造の準備

タスク小分類

図表 5.4-11 タスク(5)小分類

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5.5. スキルの整備

5.5.1. ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

① 実現を目指すアイデアの明確化

アイデアの棚卸しとともに、それを実現したいと考える想いを明確化する。この段

階では、発想されたアイデアに対する想いの強さで優先順位を決めて良い。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

実現を目指すアイデアの明確化 (仮)S-23-1-1-01

普段の業務やデータアナリティクスなどを通して得た疑問から成る着眼点を整理して、アイデアの棚卸しを行うことができる

(仮)S-23-1-1-02アイデアを実現したいと考える理由や想いを明確化することができる

(仮)S-23-1-1-03

整理した着眼点から出るアイデアを自らの想いを基に優先順位を決め、探求するアイデアを決定することができる

スキル

図表 5.5-1 実現を目指すアイデアの明確化 スキル項目

② 多様性に富んだ価値発見チームビルディング

本タスクで価値ある気付きを得るには、チーム構成次第と言っても過言ではない。

多様な専門性や価値観を持つチームを作り、アイデアの想いに対する共感を通して、

チームメンバが自主的に役割を決定することが望ましい。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

多様性に富んだ価値発見チームビルディング

(仮)S-23-1-2-01

アイデアに価値を加えることができる多様性に富んだ価値発見チームビルディングができる

(仮)S-23-1-2-02価値発見チーム内での共感を目的としたアイデアの共有を行うことができる

(仮)S-23-1-2-03検討チームメンバの役割を自主的に決定することができる

スキル

図表 5.5-2 多様性に富んだ価値発見チームビルディング スキル項目

③ アイデアを実現する先端事例の情報収集

アイデアを実現する手段に関し情報収集を行う。その結果は、次のタスクに控える

ターゲットに対する情報収集時に活用される。

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タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

アイデアを実現する先端事例の情報収集

(仮)S-23-1-3-01アイデアを実現する先端IT技術に関する情報を収集することができる

(仮)S-23-1-3-02アイデアを実現する先進的な事例に関する情報を収集することができる

(仮)S-23-1-3-03

収集した情報を基にアイデアに関する予備知識をまとめ、価値発見チーム外に共有する準備ができる

スキル

図表 5.5-3 アイデアを実現する先端事例の情報収集 スキル項目

④ 提供価値が高いターゲットに対する情報収集

ターゲットに対して価値ある情報発信を行うことにより、価値ある情報収集が可能

となる。よって、前段階で準備した先端事例等を共有し、相互に情報を提供し合うこ

とが重要である。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

提供価値が高いターゲットに対する情報収集

(仮)S-23-1-4-01

探求するアイデアを実現した場合に、提供価値が高いターゲットを定義することができる

(仮)S-23-1-4-02ターゲットを実際に見付け出し、効果的な情報収集ができる

(仮)S-23-1-4-03

ターゲットに対して、先進的な技術および事例を共有し、アイデアの実現イメージを伝えることができる

スキル

図表 5.5-4 提供価値が高いターゲットに対する情報収集 スキル項目

⑤ 疑似体験の実施

疑似体験を行う理由は、情報収集だけではターゲットの心理状況の推移までを把握

することはできないためである。ターゲットと同じ体験をすることにより、共感が芽

生え、その結果発想されたアイデアの提供価値を正しく測ることができる。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

疑似体験の実施 (仮)S-23-1-5-01

収集した情報を基に、探求するアイデアの提供価値が最大化される場面を疑似体験することができる

(仮)S-23-1-5-02

アイデアの代替手段に関するシミュレーション等を通した疑似体験を行うことができる

(仮)S-23-1-5-03

疑似体験結果を基に、提供価値を最大化する手段が発想されたアイデアであることが確認できる

スキル

図表 5.5-5 疑似体験の実施 スキル項目

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⑥ 価値ある気付きの共有

これまでの活動を総合して、ターゲットとの共感度合いや、アイデアの価値を測り、

チーム内で共有を行う。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

価値ある気付きの共有 (仮)S-23-1-6-01

探求するアイデアに関し、最も提供価値が高い相手の行動(例:何を見、何を聞き、何を言い、どんな行動を起こしているのか)を検討チーム内で共有することができる

(仮)S-23-1-6-02

探求するアイデアに関し、最も提供価値が高い相手の行動を通し、心理(例:何を感じ、何を考えているのか)を類推しチーム内で共有することができる

(仮)S-23-1-6-03

ターゲットの行動や心理を基にしたシミュレーション結果より、新しい価値ある気付きをチーム内で共有することができる

スキル

図表 5.5-6 価値ある気付きの共有 スキル項目

5.5.2. ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決定

① ビジネスアイデアの発想

ビジネスアイデアの発想は、前プロセスで価値発見チーム内にて共有した「価値あ

る気付き」をインプットとし、ビジネスにおける活用方法を検討することから始まる。

ビジネスアイデアを発想するためには、IT の特性から考える手法、ビジネスモデル

のフレームワークから発想する手法、そして先進事例等から応用して発想する手等が

考えられる。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

ビジネスアイデアの発想 (仮)S-23-2-1-01

価値発見チームによるブレインストーミングを通して、価値ある気付きのビジネスにおける活用方法を検討し、ビジネスアイデアを作り出すことができる

(仮)S-23-2-1-02

短時間における大量処理、プロセスの自動化、場所を問わない等ITの特性から検討を深め、ビジネスアイデアを膨らますことができる

(仮)S-23-2-1-03

ビジネスアイデアをビジネスモデルフレームワークに挿入し、顧客・供給者・パートナ等様々な視点からビジネスアイデアのもたらす価値の可能性を広げることができる

(仮)S-23-2-1-04

先進事例等から応用して、ビジネスアイデアが生み出す価値の可能性を予測することができる

スキル

図表 5.5-7 ビジネスアイデアの発想 スキル項目

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② ビジネスアイデアの統合

発想されたビジネスアイデアは様々な手法を用いて、洗練され絞り込まれる。その

結果を専門家の意見等を参考に確認を取る。最終的には価値発見チーム全員からの共

感を得るまで、前段階のビジネスアイデアの発想・統合は繰り返される。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

ビジネスアイデアの統合 (仮)S-23-2-2-01

類似物の統合および関連性の整理等を通して、発想したビジネスアイデアを絞り込むことができる

(仮)S-23-2-2-02

ビジネスアイデアの専門家等より意見を収集し、発想したビジネスアイデアが近い未来においても有望であることが価値発見チーム内で共有できる

(仮)S-23-2-2-03

絞り込んだビジネスイアデアについて、価値発見チーム全員から共感を得ることができる

スキル

図表 5.5-8 ビジネスアイデアの統合 スキル項目

③ ビジネスアイデアのプロトタイピング

統合されたビジネスアイデアを基に、プロトタイプの作成・試行・改善の流れを迅

速に取り組むことが重要である。ここでのプロトタイプとは、必ずしも製品・サービ

スとは限らない。ビジネスアイデアが証明できるのであれば、手法は問わない。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

ビジネスアイデアのプロトタイピング (仮)S-23-2-3-01ビジネスアイデアの有効性を確認するためのプロトタイプを作成することができる

(仮)S-23-2-3-02 迅速にプロトタイプを試行することができる

(仮)S-23-2-3-03

ターゲットに対するプロトタイプの結果を通し、必要に応じてプロトタイプの改善ができる

スキル

図表 5.5-9 ビジネスアイデアのプロトタイピング スキル項目

④ 探求するビジネスアイデアの決定

ビジネスアイデアの有効性がチーム内で共感され、ターゲットにも認められること

ができた段階で、イノベーションオーナからの協力を取り付ける。

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タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

探求するビジネスアイデアの決定 (仮)S-23-2-4-01

プロトタイプ試行を通し、ビジネスアイデアが有効であることを価値発見チーム内にて共感することができる

(仮)S-23-2-4-02

自らが選定したターゲットが、ビジネスアイデアのファンとなり得ることを確認することができる

(仮)S-23-2-4-03

イノベーションオーナより、ビジネスアイデアを実現するための協力を得ることができる

スキル

図表 5.5-10 探求するビジネスアイデアの決定 スキル項目

5.5.3. ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

① ビジネスアイデア実現に向けたチームビルディング

これまでの価値発見チームとは異なり、ビジネスアイデアを具体化するスキルが求

められるため、必要に応じてチームを作り直す。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

ビジネスアイデア実現に向けたチームビルディング

(仮)S-23-3-1-01

ビジネスアイデア実現に向けて具体化力に富んだ価値実現チームビルディングができる

(仮)S-23-3-1-02

価値実現チーム内での共感を目的としたアイデアに対する想いおよびビジネスアイデアの共有を行うことができる

(仮)S-23-3-1-03価値実現チームメンバの役割を自主的に決定することができる

スキル

図表 5.5-11 ビジネスアイデア実現に向けたチームビルディング スキル項目

② ビジネスモデルの仮説立案

ビジネスモデル作成時においては、スキル項目で挙げた6項目すべてについて仮説

立案を行う必要がある。

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タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

ビジネスモデルの仮説立案 (仮)S-23-3-2-01ビジネスアイデアを実現する提供製品・サービスの仮説を立てることができる

(仮)S-23-3-2-02

最も提供価値が高い相手に対して、有効な販売経路に関する仮説を立てることができる

(仮)S-23-3-2-03

製品・サービスによる価値を提供するために、必要な内部資源に関する仮説を立てることができる

(仮)S-23-3-2-04

製品・サービスによる価値を提供するために、必要な外部パートナに関する仮説を立てることができる

(仮)S-23-3-2-05

製品・サービスを提供するに当たって、有効な収益構造の仮説を立てることができる

(仮)S-23-3-2-06製品・サービスを提供するに当たって、コスト構造の仮説を立てることができる

スキル

図表 5.5-12 ビジネスモデルの仮説立案 スキル項目

③ ビジネスモデルの仮説検証

立案した仮説に対し、プロトタイプの活用等により検証を行う。

図表 5.5-13 ビジネスモデルの仮説検証 スキル項目

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④ ビジネスモデルの仮説決定

次のタスク中分類である「ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定」の準

備を行う。実証の達成条件を設定するとともに、実証に必要な資源を立案し、イノベ

ーションオーナの了承を得る。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

ビジネスモデルの仮説決定 (仮)S-23-3-4-01

フリーミアム/ロングテールなどの収益構造が異なるビジネス種別や、新規/既存などの市場種別などからビジネスの成熟度を測り、段階的目的に沿ったビジネス実証の達成条件を設定することができる

(仮)S-23-3-4-02

ビジネス実証に必要なコスト・期間・資源を正しく見積もり、最適な体制を立案することができる

(仮)S-23-3-4-03

アイデアを実現したいと考える理由を振り返り、それら想いの達成の確実性についてイノベーションオーナの了承を得ることができる

スキル

図表 5.5-14 ビジネスモデルの仮説決定 スキル項目

5.5.4. ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

① ビジネス実証の実行

これまでは特定のターゲットに対する活動であったが、本タスクからはターゲット

を拡大してビジネスの実証を行う。実証結果を集計・分析し、当初設定した計画に対

する達成度を算出する。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

ビジネス実証の実行 (仮)S-23-4-1-01

設定したビジネス実証達成条件に基づき、必要な製品・サービスを開発し、提供体制等の環境を整備することができる

(仮)S-23-4-1-02ビジネス実証に必要な各種計画を立案することができる

(仮)S-23-4-1-03ビジネス実証に必要な各種活動をターゲットを拡大して実行することができる

(仮)S-23-4-1-04ビジネス実証結果を集計・分析することができる

スキル

図表 5.5-15 ビジネス実証の実行 スキル項目

② ビジネス提供価値の見直し

ビジネス実証の実行後、当初の想いや仮説立案した提供価値と現実とのギャップを

確認する必要がある。そのギャップを受容して先に進むか否かの決断をしなければな

らない。

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タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

ビジネス提供価値の見直し (仮)S-23-4-2-01

製品・サービスを活用するターゲットに対して、提供価値に関する情報を収集することができる

(仮)S-23-4-2-02

当初設定した提供価値と、実際にターゲットが製品・サービスを活用して感じた価値を比較することができる

(仮)S-23-4-2-03ビジネス実証活動を通し、必要に応じてビジネス提供価値を見直すことができる

スキル

図表 5.5-16 ビジネス提供価値の見直し スキル項目

③ ビジネスモデルの確定

提供価値見直し結果等を踏まえ、ビジネスモデルを確定する。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

ビジネスモデルの確定 (仮)S-23-4-3-01

製品・サービスの実証を通して、提供価値が高い特定の相手をターゲットとしたビジネスモデルから、拡大したターゲットに対して最も適したビジネスモデルに修正することができる

(仮)S-23-4-3-02

修正したビジネスモデルを実現するために、最も適した販売経路を確立することができる

(仮)S-23-4-3-03

修正したビジネスモデルを実現するために、最も適した内部資源を確立することができる

(仮)S-23-4-3-04

修正したビジネスモデルを実現するために、最も適したパートナーリングを確立することができる

(仮)S-23-4-3-05製品・サービスの実証を通して、実市場が最も満足する収益構造を明確化できる

(仮)S-23-4-3-06製品・サービスの実証を通して、妥当なコスト構造を明確化できる

スキル

図表 5.5-17 ビジネスモデルの確定 スキル項目

④ 事業化計画の立案

事業化に向けた各種計画立案と、ステークホルダに対する説得を行う必要がある。

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タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

事業化計画の立案 (仮)S-23-4-4-01

ビジネス実証活動を通し、ビジネスモデルを事業化した際に想定されるシナリオをシミュレーションすることができる

(仮)S-23-4-4-02事業化に向けた計画を立案することができる

(仮)S-23-4-4-03立案した事業化計画について、各ステークホルダより承認を得ることができる

スキル

図表 5.5-18 事業化計画の立案 スキル項目

5.5.5. 実証されたビジネスモデルの展開

① ビジネス展開体制の構築

実証されたビジネスモデルを展開するために、チームメンバを再検討する。新たなメ

ンバに対しては、発案者の想いや実証結果を共有する。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

ビジネス展開体制の構築 (仮)S-23-5-1-01

ビジネス実証結果を基に、事業化に向けた必要な組織の要件を設定することができる

(仮)S-23-5-1-02事業化に向けた必要な組織の要件を基に、価値展開チームビルディングができる

(仮)S-23-5-1-03

価値展開メンバに対して、ビジネス実証結果を共有し、ビジネス展開に必要な視点を共有することができる

スキル

図表 5.5-19 ビジネス展開体制の構築

② 製品ロードマップの作成

提供価値を考慮した製品・サービスのロードマップを作成する。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

製品ロードマップの作成 (仮)S-23-5-2-01

自社製品・サービスの市場価値を高めるための要件を洗い出し、優先順位を付けることができる

(仮)S-23-5-2-02

自社製品・サービスの市場価値を高めるためのテーマ実現の諸条件を整理することができる

(仮)S-23-5-2-03

自社の経営方針・事業戦略や外部環境動向を理解した上で、製品・サービスの中長期のロードマップを作成することができる

スキル

図表 5.5-20 製品ロードマップの作成 スキル項目

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③ 販売チャネルプランの作成

ターゲットへの有効なアプローチを考慮した販売チャネルプランを作成する。

図表 5.5-21 販売チャネルプランの作成 スキル項目

④ マーケティングプランの作成

競合分析等を通して、各種マーケティングプランを作成する。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

マーケティングプランの作成 (仮)S-23-5-4-01

市場での自社製品やサービスのポジショニングから製品・サービスのポートフォリオを描くことができる

(仮)S-23-5-4-02

市場価格・顧客価値や投資状況、販売計画から製品・サービスの適正な価格を設定できる

(仮)S-23-5-4-03販売チャネルプランを基に適切なプロモーション実行計画を立案することができる

スキル

図表 5.5-22 マーケティングプランの作成

⑤ サポート体制の構築

製品の特性を考慮して、サポート体制を確立する。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

サポート体制の構築 (仮)S-23-5-5-01

製品・サービスの特性等から、顧客に対して必要なサポート要件をまとめることができる。

(仮)S-23-5-5-02サポート要件に応じて、必要なリソースを算出することができる

(仮)S-23-5-5-03サポートに必要な体制を構築することができる

スキル

図表 5.5-23 サポート体制の構築 スキル項目

⑥ 製品・サービスの市場投入

これまでの実証結果等を踏まえ、製品・サービスを市場投入する。

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タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

製品・サービスの市場投入 (仮)S-23-5-6-01

製品・サービスの特性から、適した品質・サポート等のサービスレベルを設定することができる

(仮)S-23-5-6-02サービスレベルに基づく製品・サービスを設計・開発することができる

(仮)S-23-5-6-03製品・サービスを市場に投入することができる

スキル

図表 5.5-24 製品・サービスの市場投入 スキル項目

⑦ 新たな価値創造の準備

市場へと製品・サービスを投入すると、当初意図していない価値を市場が生み出す場

合がある。それらをすくい取り、新しい価値創造に向けて準備を行う。

タスク小分類 CCSFスキルコード スキル項目

新たな価値創造の準備 (仮)S-23-5-7-01事業化計画を振り返り、当初計画と実績のギャップを取りまとめることができる

(仮)S-23-5-7-02

製品・サービスの市場投入により実現した想いを振り返り、未達成部分や想定外の気付きをターゲットからすくい取ることができる

(仮)S-23-5-7-03新しい価値創造に向けて準備することができる

スキル

図表 5.5-25 新たな価値創造の準備 スキル項目

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5.6. 共通スキル項目の整備

図表 5.6-1 で示す通り、複数のタスクに紐づくスキルや、タスク横断的に保有すべき

パーソナルスキル等を抽出したものが共通スキル項目である。

IT 融合においては最初の2つのタスク中分類が特徴的であるが、その双方に対応す

る共通スキル中項目は、IT 融合実現に向けて特に重要な共通スキルと言える。

• マーケティング :観察力、洞察力 等

• ファシリテーション :ダイアログ力、多様性の受容 等

• デザイン :共感力、組み合わせ力 等

共通スキル(大項目)共通スキル(中項目)

マーケティング ファシリテーション デザイン リーダーシップ コミュニケーション 技術開発戦略立案経営戦略立案・管理会計

主な共通スキル項目(小項

目)

・観察力・洞察力・マーケティングプロセスの理解と実践・統計的ツールの活用・最適化ルーチン

・ダイアログ力・多様性の受容力・質問力・共感力

・共感力・組み合わせ力・洞察力・試行力・構想力・形式知化力・抽象化力

・ダイアログ力・巻き込む力・共感力・交渉力・チームメンバの動機付け

・ネットワーク力・ツール活用力・プレゼン力

・IT業界動向の把握・関連技術動向の把握・具体化力

・分析力・公平評価力・企業会計・企業経営

○ ○ ○

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○ ○

○ ○

ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決定

ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

実証されたビジネスモデルの展開

IT融合イノベーション共通スキル

タスク中分類

ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集 IT融合の象徴的な共通スキル

図表 5.6-1 共通スキル項目

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5.7. 知識項目の整備

各タスク中分類遂行に当たって必要な知識を一覧化したものが、図表 5.7-1 である。

本知識項目の範囲は、CCSF にて定義済の知識と、大学において体系化されたカリキュ

ラムが確認されたものとした。

前半の3つのタスクにおいては、CCSF で定義されている知識項目だけでは充足しな

い点が当図表に表れている。 タスク中分類 小分類 知識項目例 参照情報(*)

ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

ファシリテーションチーミング力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力、英語能力

(11)慶應大学大学院システムデザイン・マネジメント研究

システム・シンキング 商品開発・デザイン 海外(9)MITデザイン思考 工学、デザイン学、デザイン思考プロセス 海外(12)スタンフォード大学マーケティング マーケティング理論,マーケティング手法,マーケティ

ング分析,などCCSF

ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決定

ファシリテーションチーミング力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力、英語能力 等

(11)慶應大学大学院システムデザイン・マネジメント研究

リーダーシップ論 ケーススタディ、フィールド体験 海外(5)ハーバード大学システム・シンキング 商品開発・デザイン 海外(9)MITデザイン思考 工学、デザイン学、デザイン思考プロセス 海外(12)スタンフォード大学マーケティング マーケティング理論,マーケティング手法,マーケティ

ング分析,などCCSF

ビジネス戦略と目標・評価 ビジネス戦略立案,ニーズ・ウォンツ分析,競合分析など

CCSF

経営戦略手法 競争戦略,差別化戦略,ブルーオーシャン戦略,コアコンピタンス など

CCSF

プロジェクトコミュニケーションマネジメント

コミュニケーションの計画,情報の配布,コミュニケーションの管理 など

CCSF

技術開発戦略の立案製品動向,技術動向,成功事例,発想法,コア技術,技術研究 など

CCSF

ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

ファシリテーションチーミング力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力、英語能力 等

(11)慶應大学大学院システムデザイン・マネジメント研究

リーダーシップ論 ケーススタディ、フィールド体験 海外(5)ハーバード大学

グローバルマーケティンググローバルマーケティング基本概念、ブランディング、最新の実務知識

(18)東京工科大学大学院

ITビジネスマネジメント 企業戦略論、経営情報システム論 (18)東京工科大学大学院

環境ビジネス科学技術、環境技術マネジメント、技術のビジネス応用

(18)東京工科大学大学院

マーケティング マーケティング理論,マーケティング手法,マーケティング分析,など

CCSF

ビジネス戦略と目標・評価 ビジネス戦略立案,ニーズ・ウォンツ分析,競合分析など

CCSF

経営戦略手法 競争戦略,差別化戦略,ブルーオーシャン戦略,コアコンピタンス など

CCSF

会計・財務 財務会計,管理会計,会計基準,財務諸表 など CCSFプロジェクトコミュニケーションマネジメント

コミュニケーションの計画,情報の配布,コミュニケーションの管理 など

CCSF

技術開発戦略の立案製品動向,技術動向,成功事例,発想法,コア技術,技術研究 など

CCSF

ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

リーダーシップ論 ケーススタディ、フィールド体験 海外(5)ハーバード大学

マーケティング マーケティング理論,マーケティング手法,マーケティング分析,など

CCSF

ビジネス戦略と目標・評価 ビジネス戦略立案,ニーズ・ウォンツ分析,競合分析など

CCSF

経営戦略手法 競争戦略,差別化戦略,ブルーオーシャン戦略,コアコンピタンス など

CCSF

会計・財務 財務会計,管理会計,会計基準,財務諸表 など CCSF

実証されたビジネスモデルの展開マーケティング マーケティング理論,マーケティング手法,マーケティ

ング分析,などCCSF

ビジネス戦略と目標・評価 ビジネス戦略立案,ニーズ・ウォンツ分析,競合分析など

CCSF

経営戦略手法 競争戦略,差別化戦略,ブルーオーシャン戦略,コアコンピタンス など

CCSF

会計・財務 財務会計,管理会計,会計基準,財務諸表 など CCSF

知識項目

図表 5.7-1 知識項目

*参照資料:「次世代高度 IT 人材モデルキャリア開発計画事業報告書 別添資料 3」

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5.8. 役割モデルの定義

これまでタスクおよびスキルの定義で、3 種類のメンバを定義してきた。

• 価値発見メンバ

• 価値実現メンバ

• 価値展開メンバ

これらにリーダを加え、それぞれのタスクとの紐づけを行ったのが図表 5.8-1 である。

IT 融合イノベーションの役割に関して特徴的な点が本図表から読み取れる。それは

「価値発見メンバ」は最後まで役割が存在する点である。価値を発見した段階で役割が

終わるわけではなく、随所で価値の見直しを行う。よって、価値発見メンバは後半のタ

スクにおいてもいくつかコアタスクとして定義されている。

出典

専門分野/企業タイプ

IT融合イノベーションリーダ

IT融合価値発見メンバ

IT融合価値実現メンバ

IT融合価値展開メンバ

中分類 小分類

実現を目指すアイデアの明確化 1 1

多様性に富んだ価値発見チームビルディング 1 1

アイデアを実現する先端事例の情報収集 1 1

提供価値が高いターゲットに対する情報収集 1 1

疑似体験の実施 1 1

価値ある気付きの共有 1 1

ビジネスアイデアの発想 1 1

ビジネスアイデアの統合 1 2

ビジネスアイデアのプロトタイピング 1 2

探求するビジネスアイデアの決定 1 2

ビジネスアイデア実現に向けたチームビルディング 1 2 1

ビジネスモデルの仮説立案 2 2 1

ビジネスモデルの仮説検証 1 2 2

ビジネスモデルの仮説決定 1 2 2

ビジネス実証の実行 2 1

ビジネス提供価値の見直し 1 1 1

ビジネスモデルの確定 1 2

事業化計画の立案 1 2

ビジネス展開体制の構築 1 1 1 2

製品ロードマップの作成 2 1

販売チャネルプランの作成 2 1

マーケティングプランの作成 2 1

サポート体制の構築 2 1

製品・サービスの市場投入 2 1

新たな価値創造の準備 1 1 1 1

・1はコアタスク (人材像が責任を持つ主たる担当領域のタスク)

・2は非コアタスク (人材像が関わる必要のある従たる担当領域のタスク)

ビジネスアイデアを基にしたビジネスモデルの作成

ビジネス提供価値の実証とビジネスモデルの確定

実証されたビジネスモデルの展開

連絡会

タスク

ターゲットに対する共感を通した価値ある気付きの収集

ターゲットにとっての新しい価値発見とビジネスアイデアの決定

図表 5.8-1 役割モデル×タスクモデル

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6. IT 融合組織の成熟度モデル策定

6.1. 成熟度モデルの構成

IT 融合人材育成における組織能力指標となる成熟度モデルは下記から構成される。

• 評価軸:仕組の評価軸と組織環境の評価軸からなる

• レベル:4レベルでレベル化される

• 設問:各評価軸が細分される

評価軸 設問 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4

評価軸A 「目指すイノベーションとそれを担う役割」

設問

設問

評価軸B 「育成の場」

設問

設問

設問

設問

設問

設問

評価軸C 「IT融合実現組織」設問

設問

評価軸D 「IT融合組織要件」設問

設問

仕組の評価軸

組織環境の評価軸

図表 6.1-1 成熟度モデルの構成

6.2. 成熟度モデルの検討経緯

(1)成熟度モデル策定の全体像

成熟度モデルの全体像として、図表 6.2-1 の通り取りまとめた。

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連絡会のIT融合人材育成のあり方

各社インタビュー結果

各社インタビュー結果

企業インタビュー結果

「中小ITベンダー人材育成優秀賞」セルフチェックリスト

PEMM(ハマー)

COBITCMMI

評価軸

レベル

当事業の成熟度モデル作成仕様

参考

参考・検証

準拠 成熟度モデル

【成熟度モデル例】

【成熟度モデル策定時の参考・検証】

【与件・前提】

図表 6.2-1 成熟度モデル策定の全体像

(2)成熟度モデルの評価軸の設定経緯

1) IT 融合人材育成連絡会の「IT 融合による価値創造を起こす組織のあり方

および「IT 融合人材育成のあり方」をインプットとして評価軸の仮説を

設定していった 。その結果、下記を評価軸の初期仮説とした。

• IT 融合組織能力

• IT 融合実現組織

• 育成の場(実践的学習の場)

2) 企業へのインタビューを通して、評価軸の初期仮説の検証するとともに、

下記追加を行った。

• 各企業の IT 融合人材育成の方針の定義状況を評価軸に追加

• IT 融合組織能力の評価軸に含まれる組織文化・風土の一つとして、「社員

が主体的・能動的であること」を設問に追加

3) 成熟度モデルの構造は IPA の「中小 IT ベンダー人材育成優秀賞」セルフ

チェックリストの構造を参考にした 。

• 各評価軸で「~について」の設問を置いた

• 企業の評価し易さを考慮し、評価軸・設問の数を多くしなかった

評価軸や設問が新たな概念や用語を含む場合には、その記述に説明を付記した。

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(3)成熟度モデルの評価軸

上記の基本的考え方を基に、下記4つを評価軸として設定した。これらは仕組の評

価軸と組織環境の評価軸に大別できる。

1) 仕組の評価軸:組織や方針、育成フレームなど企業が短期間で設定改変

できるもの

• 評価軸 A「目指すイノベーションとそれを担う役割」

• 評価軸 B「育成の場(実践的学習の場)」

• 評価軸 C「IT 融合実現組織」

2) 組織環境の評価軸:人に内在しているもので、変えていくには期間を要

するもの(評価や教育などで変えることはできるが、短期に変えるには人

そのものを変えるしかない)

• 評価軸 D「IT 融合組織能力」

IT融合実現組織

■様々なバックグランドや価値観をもつ人材が集う多様性のもとでの活動■問題の意味を掘り下げていくためのダイアログを重視した相互の共感■失敗を許容し、そこから学習することを繰り返すトライアル&エラーを実施■企業内に留まらず広く外部とコラボレーションするオープンイノベーション指向

イノベーション創出

学習する組織

専門性を持つ「IT融合人材」が協働して価値創造を起こす組織。イノベーション創出に向けた個人と組織間の継続した相互学習が組織自身の「学び」、ステージアップに繋がっていく(学習する組織)。

目指すイノベーションとそれを担う役割企業が狙うIT利活用したイノベーションそれを担う融合IT人材像とその育成対象

A

X 成熟度モデル評価軸

「前提知識の習得」

前提となる基礎的知識の習得

「実践的学習の場」試行錯誤の経験から学習する

能力向上の仕組み

育成の場

「実践的学習の成果」

「体得」によって身に付けるべき

能力・スキル

ファシリテーター

IT融合組織要件

経営者のリーダーシップ

組織文化・風土

「実践的学習の場」の設置 「実践の場」の創出

育成フレームの整備

B

C

D

図表 6.2-2 成熟度モデルの評価軸(出典:連絡会最終報告より改変)

(4)評価軸のレベル化に関する基本的考え方

• 仕組の評価軸 A/B/C および組織環境の評価軸 D で、それぞれ共通のレベル

化を行う

• IT 融合人材育成そのものが一般的ではないため、「全く仕組みがない」状

況、「初期」の状況を低レベルに含める

• イノベーションという特性、および環境整備途上にある企業が多い想定から、

他の成熟度モデル例でよく使われる「管理」や「標準」といった表現を多用

しない

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(5)評価レベル数

成熟度モデルの評価レベル数については、下記 4 案の中から案 2 の4レベルを採択

する 。

案 1:3 レベル (例: IPA 人材育成表彰 )

案 2:4 レベル (例:PEMM)

案 3:5 レベル (例:CMMI)

案 4:6 レベル (例:COBIT)

【4レベルを採択する理由】

• IT 融合人材育成そのものが新たな取り組みのため、細か過ぎないレベル数

• 各社が育成環境をレベルアップするための参考となり、白書での調査にも使

える粗すぎないレベル数

• アンケート回答時に安易に真中に評価しないように偶数のレベル数

• IT 人材白書内の既存質問と同じレベル数

(6)レベル化

レベル化に関しては、下記のような成熟度モデル例を調査し、参考にした。

成熟度モデル事例 評価軸の分類 レベル例

CMMI プロセス アドホック・個人的→反復可能→定義された→管理された→最適化

COBIT 仕組・プロセス 不在→アドホック・個人的→反復可能→定義済み→管理可能→最適化

IPA人材育成表彰 教育 実践、内容不足→教育は実勢、実践不十分→有効な研修で、実践効果

メニュー限定→豊富なメニュー&活用→体系的なメニュー・懸賞改善

スキル定義・測定 スキル評価限定→スキル設定あり→人材像・スキル定義連携

社員チャレンジ仕組 公式仕組なし・必要性認識なし→仕組あり・実践なし→仕組みあり。実績認知

実践・運用の範囲 実践する前→部門バラツキがある→大半が実践一方的な説明で終わっている→教育研修で実施→日常的に実践

企業内での認知度 場がない→場作り→奨励

定義付けの度合い ほとんど言及されてない→施策の記述はある→トップの意思で練りこんでいる

実践レベル 議論なし→議論されている→成果がでている

PEMM プロセス 予測通り・安定的→優れたパフォーマンス→企業業績に最大貢献→卓越した

図表 6.2-3 成熟度モデルのレベル化例

成熟度モデルのレベル化例を参考にし、まず仕組の評価軸 A/B/C のレベル化は下

記 5 案を候補とした。

• 案 1 定着活用:仕組不在→試行的・部分的な仕組存在→公式な仕組の利

用→公式な仕組の定着・浸透・成果

• 案 2 内容充実:仕組未検討→仕組検討中・試行中→仕組存在→仕組の充

実・最適化

• 案 3 COBIT 準拠:不在→初期・反復可能→定義済み→管理可能・最適化

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• 案 4 PDCA 段階:仕組未計画→仕組の計画化→仕組の計画・実行→仕組

の計画・実行・評価・改善

• 案 5 上記ミックス:上記をミックス

これら 5 つのレベル化候補から、IT 融合組織の成熟度モデルとしての適合性評価

を行った結果、「案 1 定着活用」のレベル化を採択した。

レベル切り口 レベル差異の客観的判断のし易さ

目指す姿(レベル4)の分かり易さ

仕組構築だけでなく活用面も評価

能動的/定常的な利活用をカバー

イノベーションの特性

案1 定着活用 ○ ○ ○ ○ ○

案2 内容充実 △ △ × × ○

案3 COBIT準拠 △ △ × × ×

案4 PDCA段階 × △ × × ×

案5 上記ミックス × ○ ○ ○ ○

図表 6.2-4 仕組の評価軸のレベル化候補の適合性評価

同様に、組織環境の評価軸 D のレベル化は下記 3 案を候補とした。

• 案 1 浸透度:好ましくない環境の浸透・尊重→好ましくない環境の優越

→好ましい環境の優越→好ましい環境の浸透・尊重

• 案 2 整備度:環境整備は未検討→環境整備の検討/試行中→環境整備を実

施→環境のビジョン・整備・評価・改善

• 案 3 上記ミックス:上記のミックス

これら3つのレベル化候補から、IT 融合組織の成熟度モデルとしての適合性評価

を行った結果、「案 1 浸透度」のレベル化を採択した。

レベル切り口 レベル差異の客観的判断のし易さ

目指す姿(レベル4)の分かり易さ

組織文化・評価への適用性

阻害要因となる環境要件の明示

案1 浸透度 ○ ○ ○ ○

案2 整備度 △ ○ △ ×

案3 上記ミックス × ○ ○ ○

図表 6.2-5 組織環境の評価軸のレベル化候補の適合性評価

(7)インタビューの実施と成熟度モデルの検証

① インタビュー先の選定

インタビュー先は 7 社とし、下記3つの調査項目について 1 項目あたり 2 社

以上が実績を有していること、また選定企業は3つの調査項目の内いずれかの実

績を有していることをインタビュー先の基本選定条件とした。

• IT 融合人材を育成するための「育成の場」設置及び運用

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• イノベーションを推進するための阻害要因の排除

• IT 融合人材育成における組織としての計画と実績

具体的には基本選定条件に沿って、連絡会参加企業、新たな調査によるインタ

ビュー候補先から7社を選定した。7社には IT企業とユーザ企業の双方を含み、

さらに中堅企業や製造・金融・流通業の企業が含まれるように考慮した。

② インタビュー内容の準備と実施

インタビュー先には、インタビューの背景や目的そして進め方等についてパッ

ケージを用意し、事前に説明を行った。各企業のインタビューでは概ね下記のよ

うなテーマを基本として、各社2-3時間のインタビューを実施した。

テーマ1:貴社または組織におけるこれまでの IT を活用したイノベーション例

• IT を活用したイノベーション例(新製品、新サービス、新事業)

• イノベーションに関わっている/いた部門・IT 人材

• 今後の IT 活用したイノベーション領域

テーマ2:経営・事業から見た IT 融合人材の必要性・充足性

テーマ3:IT 融合人材育成の仕組つくり

• イノベーションのための社員の知識習得、研修プログラム

• 実践的習得の場、体得の場、OJT (アイデア創出、事業化)

• 方法論や手法

• 実践の場

• 育成したい対象社員

テーマ4:IT 融合人材育成の組織環境つくり

• 経営層のマインド・リーダーシップ

• 組織風土・カルチャー(オープンイノベーション、多様性受容、トライ

アル・エラーなど)

テーマ5:その他

③ 成熟度モデル適用による検証

各企業のインタビュー結果に成熟度モデルの適用し、検証を行った。

6.3. 成熟度モデルの定義

6.3.1. 各評価軸の設問と検証結果

(1)評価軸 A「目指すイノベーションとそれを担う役割の定義 」

企業が IT 融合人材育成に取り組むにはまずその方針がしっかりしている必要があ

る。そこで評価軸 A では、設問 A-1 で自社が目指すイノベーションの定義と社内で

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の周知度合いを評価し、設問 A-2 で定義したイノベーションを担う役割や育成対象の

定義と社内での周知度合いを評価する。

評価軸 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4

A 企業が目指すイノベーションとそれを担う役割、そのための育成対象者が定義されているか?

A-1

自社が対象とするIT活用のイノベーション定義について

(イノベーションの定義とは影響範囲、インパクト、タイプ、対象など)

自社はどのようなイノベーションを対象とするのかまだ設定されていない

自社はどのようなイノベーションを対象とするのか、試行的・部分的には設定されているが、目指すイノベーションはまだ社内に周知されていない。

自社はどのようなイノベーションを対象とするかが公式に設定され、目指すイノベーションについて部分的に社内に周知・理解されている。

自社はどのようなイノベーションを対象とするかが公式に設定され、目指すイノベーションについて全社的に周知・理解され浸透している。

A-2自社が対象とするイノベーションを担う役割とそのための育成対象者について

イノベーションを担う役割とそのための育成対象者はまだ設定されていない、または外部から獲得する

イノベーションを担う役割とその育成対象者が試行的・部分的には設定されているが、育成対象者はまだ自らの役割として自覚していない。

イノベーションを担う役割とその育成対象者が公式に設定され、育成対象者は自身の役割として自覚ている。

イノベーションを担う役割とその育成対象者が公式に設定され、育成対象者を含めた社内全体が自身の役割として自覚し自律的に活動している。

図表 6.3-1 評価軸 A の設問

インタビュー結果による評価軸 A の検証結果は次のようになる。

<企業1の評価軸 A 検証結果>

A-1:レベル 4 企業が提供する全てのサービスがイノベーションと公式に定義され、

社内で周知できている 。

A-2:レベル 4 イノベーションを担うのは起業マインドをもってビジネスをやる人

で、社内の約半数がその対象であると定義・認知されている 。

<企業2の評価軸 A 検証結果>

A-1:レベル 3 企業の屋台骨を支える新しい製品・サービスをイノベーションと公

式に定義されているが、社内の周知には至っていない 。

A-2:レベル 2 企画やマーケットができる人にイノベーションを担わせたいが、そ

の育成対象の選定も試行錯誤の状態である 。

(2)評価軸 B「育成の場」

評価軸 B では、設問 B-2 で企業の IT 融合の育成対象者に対する育成の場がどの程

度定着し、活用されているかを評価する。育成の場は知識習得だけでなく、実践的な

学習の場を含んでいることが必要である。設問 B-2 の前提となる育成フレームの提

供・定着については、設問 B-1 で評価する。

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評価軸 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4

B 自社のイノベーションを担う人材のために、育成の場が提供され、活用できているか?

B-1

自社のイノベーションを担う人材のための育成フレームについて

(この育成フレームとは、自社のイノベーションを担う人材の能力やスキル、知識の定義とその管理など)

育成フレームの定義と管理の仕組はまだ提供されていない

育成フレームの定義と管理の仕組が試行的、または部分的に提供されている

育成フレームの定義と管理の仕組が提供され、利用されている

育成フレームの定義と管理の仕組が定着し、定常的に運用されている

B-2

知識習得のみでなく、実践的学習の場も含む研修メニューについて

(実践的学習の場とはケーススタディ、アクションラーニングのような疑似体験をいう)

実践的学習の場を含む研修メニュー提供は未だ提供されていない

実践的学習の場を含む研修メニューは試行的、または部分的には提供されている

実践的学習の場を含む研修メニューが公式に提供され、社員に利用されている

実践的学習の場を含む研修メニューが社員に定期的・定常的に提供され、育成成果が出ている

図表 6.33-2 評価軸 B の設問

インタビュー結果による評価軸 B の検証結果は次のようになる。

<企業1の評価軸 B 検証結果>

B-1:レベル 1 イノベーションを担う人材のための育成フレームはまだ提供されて

いない。

B-2:レベル 2 一部の希望する社員に、実践的学習の場を含むイノベーション研

修を実施している。

<企業2の評価軸 B 検証結果>

B-1:レベル 4 イノベーションを担っている社員のスキルや知識が管理され、社員

の育成にも活用されている。

B-2:レベル 4 仕事の必要性に応じて社員が必要とする実践的学習の場を含む社外

研修を受け、会社は紹介やガイドする仕組が確立している。

(3)評価軸 C「IT 融合実現組織」

評価軸 C では、企業において IT 融合実現プロセスがどの程度定着・活用されてい

るかを設問 C-1 と設問 C-2 で評価する。設問が C-1 と C-2 に分かれているのは、価

値発見の場と価値実現のプロセスは別物であり、企業にとってそれらの成熟度が異な

る可能性が高いからである。さらに、設問 C-3,設問 C-4,設問 C-5 は、それぞれが連

絡会にて IT 融合を実現するために必要性が高いと結論づけられた仕組について評価

をする。

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評価軸 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4

C IT活用によるイノベーションを実践する場が提供されているか?

C-1IT活用によるイノベーションにつながるアイデア出しを行う価値発見の場について

価値発見を行うための場はまだ提供されていない

価値発見を行うための場が、試行的または一部の社員に提供されている

価値発見を行うための場が仕組として公式に提供され、利用されている

価値発見を行うための場が公式の仕組として定着し、場の利活用による成果がでている

C-2有望なビジネス・アイデアを事業に仕立てていく価値実現プロセスについて

価値実現プロセスは未だ提供されてない

価値実現プロセスが、試行的または一部の社員に提供されている

価値実現プロセスが公式に提供され、利用されている

価値実現プロセスが社内に定着し、イノベーションの成果がでている

C-3

多様性のあるイノベーション実施体制について

(多様性とは専門や経歴、背景にある文化や性別・立場など)

多様性のある体制によるイノベーションはまだ実践されていない

多様性のある体制によるイノベーションが試行的または部分的に実践されている

多様性のある体制によるイノベーションが公式に実践されている

多様性のある体制によるイノベーションの仕組が定着し、成果がでている

C-4外部のアイデアや力を活用するオープン・イノベーションについて

オープンイノベーションの場はまだ提供されていない

オープンイノベーションの場が試行的または部分的に提供されている

オープンイノベーションの場みが公式に提供され、利用されている

オープンイノベーションの場が定着し、成果もでている

C-5 トライアル&エラーについて

トライアル&エラーを前提とするイノベーション実践の場はまだ提供されていない

トライアル&エラーを前提とするイノベーション実践の場が試行的または部分的に提供されている

トライアル&エラーを前提とするイノベーション実践の場が公式に提供され、利用されている

トライアル&エラーを前提とするイノベーション実践の公式な場が定着し、成果もでている

図表 6.3-3 評価軸 C の設問

インタビュー結果による評価軸 C の検証結果は次のようになる。

<企業1の評価軸 C 検証結果>

C-1:レベル 2 現場がやりたいことを企画したり、アイデアコンテストなどの仕

組があるが、社員による企画の場は少ない。

C-2:レベル 2 製品・サービスを作り出すことはできるが、全体のビジネスに組

み上げていくところが足りない。

C-4:レベル 2 外部人材採用は可能であるが、社外の技術採用に関しては消極的

である。

<企業2の評価軸 C 検証結果>

C-1:レベル 4 バーチャルで、自由に新しい発想をする場がある。ソーシャル的な

環境が仕組として確立され、活発に使われ、成果もでている。

C-2:レベル 3 オーナー、管理者がプロジェクト化に貢献し、成果をだしていく仕

組はある。事業性や実現可能性が求められる。

C-3:レベル 4 全社的に専門家同士が議論したり、社外の有識者を集めたコラボ

レーションも定常的に実施している。

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(4)評価軸 D「IT 融合組織能力」

評価軸 D では、連絡会で IT 融合組織能力として設定された「経営者のリーダーシ

ップ」と「組織文化・風土」に関して、それぞれ設問 D-1 と設問 D-2 で企業内の状

態を評価する。

評価軸 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4

D 組織環境は社員にとってイノベーションを起こし易いものか、阻害するものか?

D-1経営者のリーダーシップについて

経営者はイノベーション活性化のための環境や仕組を整備することに理解・関心がない

経営者はイノベーション活性化のための環境や仕組を整備することについて理解・関心はあるが、発信や推進に消極的である

経営者はイノベーション活性化のために必要な環境や仕組のあり方を考え、その発信・推進に積極的である

経営者はイノベーション活性化のために必要な環境や仕組のあり方を考え、その発信・推進を率先垂範して行っている

D-2

組織文化・風土について(イノベーションを起し易い環境とは社員が主体的・能動的、変化を受容、トライアル&エラーを許容、多様性を受容など)(イノベーションを阻害する環境とは社員が従属的、受動的、変化・リスクを嫌う、失敗を許されない、同質であることを求める、など)

イノベーションを阻害する組織文化・風土を当たり前と考え、それを助長する組織になっている

イノベーションを阻害する組織文化・風土が支配的な組織になっている

イノベーションを起こし易い組織文化・風土が優越する組織になっている

イノベーションを起こし易い組織文化・風土を当たり前と考え、それを育む組織になっている

図表 6.3-4 評価軸 D の設問

インタビュー結果による評価軸 D の検証結果は次のようになる。

<企業1の評価軸 D 検証結果>

D-1:レベル 3 経営者は新しいビジネスモデルとなるイノベーションと人材育成を

同時並行で進めるように明確に指示している。

D-2:レベル 1 イノベーションをリスクと考え、イノベーションを起こしにくい

風土がある。社員の意識を変えるのは難しい。

<企業2の評価軸 D 検証結果>

D-1:レベル 4 イノベーションに関する社長の談話を社員は常に見ており、社長自

らが頻繁に成功例を発信している 。

D-2:レベル 4 社員一人ひとりが経営者意識をもつ風土で、自発性を重視している。

組織も絶えず動き、会社以外の場をもつことも推奨している。

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6.3.2. 成熟度モデル策定のまとめ

成熟度モデルの検証においては「図表 6.2 2 成熟度モデルの評価軸」における A~

D の項目に沿って進めてきた。検討結果を成果物として取りまとめる際、設問の属性や

利用者の回答し易さなどを考慮し図表 6.3-5 のように評価軸を設定することとした。

図表 6.3-5 成果物への再編集イメージ

IT 融合組織の成熟度モデル全体イメージは図 6.3-6 のようになる。この成熟度モデル

は、今後 IT 人材白書やより多くの企業による適用を通して洗練していくための初版の

位置づけとなる。

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図表 6.3-6 成熟度モデルの全体イメージ

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7. 参考資料

• 「共通キャリア・スキルフレームワーク(第一版・追補版)」

独立行政法人 情報処理推進機構

(https://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/ccsf/download.html)

• 「融合 IT 人材連絡会 中間報告」 独立行政法人 情報処理推進機構

(http://www.ipa.go.jp/jinzai/hrd/yuugou_it/index.html)

• 「IT 人材白書 2014 調査票」 独立行政法人 情報処理推進機構

(http://www.ipa.go.jp/jinzai/jigyou/hakusyo2014.html)

• 「中小 IT ベンダー人材育成優秀賞セルフチェックリスト」

独立行政法人 情報処理推進機構

(https://www.ipa.go.jp/jinzai/award/vendor2012/application.html)

• 「情報システムユーザースキル標準(UISS)活用促進のための調査報告書」

独立行政法人 情報処理推進機構

(https://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/activity/activity2.html)

• 「IT コーディネータプロセスガイドライン」

特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会

(http://www.itc.or.jp/about/guideline/dlfile/itc_pgl_v2_0.pdf)

• 「産構審人材 WG 報告書」経済産業省 商務情報政策局

(http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/jouhoukeizai/jinzai/report_001.html)

• 「次世代高度 IT 人材の人材像と能力」 経済産業省 商務情報政策局

(http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/jouhoukeizai/jinzai/002_01_03.pdf)

• 「デザイン思考」一般社団法人デザイン思考研究所

(http://designthinking.or.jp/)

• 「The analysis-synthesis bridge model」 Vijay Kumar 他

(http://www.dubberly.com/articles/interactions-the-analysis-synthesis-bridge-model.html)

• 「リーンスタートアップ」 エリック・リース(著)

• 「アントレプレナーの教科書」スティーブン・G・ブランク(著)

• 「ビジネスモデル・ジェネレーション」 アレックス・オスターワルダー(著)

• 「アントレプレナーの戦略思考技術」 リタマグレイス(著)

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「融合 IT 人材に関する育成フレームの整備」最終報告書 2014 年 3 月 31 日発行

発行者 独立行政法人情報処理推進機構 IT 人材育成本部 HRD イニシアティブセンター

〒113-6591 東京都文京区本駒込 2-28-8 文京グリーンコートセンターオフィス 15 階

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