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ISO10605 Ed2.0:2008 静電気放電イミュニティ試験規格関連技術資料 ISO10605 Ed2.0:2008 静電気放電イミュニティ試験 規格関連技術資料

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Page 1: ISO10605 Ed2.0:2008 - KIKUSUI Home PageŒ軸ケーブル(N-SMA) 測定チェーンの低周波システム伝達インピーダンス:Zsys の算出 測定チェーン全体(電流ターゲット

ISO10605 Ed2.0:2008静電気放電イミュニティ試験規格関連技術資料

ISO10605 Ed2.0:2008

静電気放電イミュニティ試験規格関連技術資料

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静電気放電イミュニティ試験

ISO10605 Ed2.0 2008 規格概要

●試験レベル

電子機器試験-直接接触放電と直接気中放電- ( 供試品の動作状態と停止状態が対象 )

試験レベル直接接触放電 直接気中放電

カテゴリ 1 カテゴリ 2 カテゴリ 3 カテゴリ 1 カテゴリ 2 カテゴリ 3

Level4 ±8kV ±8kV ±15kV ±15kV ±15kV ±25kV

Level3 ±6kV ±8kV ±8kV ±8kV ±8kV ±15kV

Level2 ±4kV ±4kV ±6kV ±4kV ±6kV ±8kV

Level1 ±2kV ±2kV ±4kV ±2kV ±4kV ±6kV

電子機器試験-間接接触放電- ( 供試品の動作状態が対象 )

試験レベル間接接触放電

カテゴリ 1 カテゴリ 2 カテゴリ 3

Level4 ±8kV ±15kV ±20kV

Level3 ±6kV ±8kV ±15kV

Level2 ±4kV ±4kV ±8kV

Level1 ±2kV ±2kV ±4kV

実車試験-車両内における接触放電と気中放電-

試験レベル接触放電 気中放電

カテゴリ 1 カテゴリ 2 カテゴリ 3 カテゴリ 1 カテゴリ 2 カテゴリ 3

Level4 ±6kV ±8kV ±8kV ±8kV ±15kV ±15kV

Level3 ±4kV ±4kV ±6kV ±6kV ±8kV ±8kV

Level2 ±2kV ±2kV ±2kV ±4kV ±4kV ±6kV

Level1 規定なし 規定なし 規定なし ±2kV ±2kV ±4kV

実車試験-車両外における接触放電と気中放電-

試験レベル接触放電 気中放電

カテゴリ 1 カテゴリ 2 カテゴリ 3 カテゴリ 1 カテゴリ 2 カテゴリ 3

Level4 ±6kV ±8kV ±8kV ±15kV ±15kV ±25kV

Level3 ±4kV ±6kV ±6kV ±8kV ±8kV ±15kV

Level2 ±2kV ±2kV ±4kV ±4kV ±6kV ±8kV

Level1 規定なし 規定なし ±2kV ±2kV ±4kV ±6kV

車両内や車両の乗降時に発生する静電気放電は、自動車に搭載される電子モジュールの誤動作を引き起こす要因であり、電子モジュールの数が増加するにつれて、より重要視されるようになりました。本規格は、帯電した人体から電子モジュールに放電する静電気現象をシミュレートし、自動車環境に合わせた環境で試験することを想定しています。また、電子モジュールが走行時に使用されることを

●適応範囲

■すべての路走行車に使用することを意図した電子モジュールの ESD に対する評価をします。

■ESD は直接 DUT に影響、または近くの部品への ESD が電源ライン、信号ライン、直接部品に結合します。■ESD は「組立時での ESD」、「サービス人員による ESD」、「乗員による ESD」を想定します。■エアバック等の点火装置には適応しません。

想定した耐性の評価手順に加え、包装や取扱い時等の組立時における各モジュールの静電気耐性を評価する為の試験手順、及び静電気放電を発生させるために用いるシミュレータを校正する手順についても規定しています。

※ 本稿は ISO10605:2008 /「静電放電による電気的妨害の試験方法」の一部を抜粋し、

まとめたものです。正確な情報は原本を参照下さい。

※ 試験レベルは参考情報であり、規定ではありません。

● ESD 発生器の仕様と出力電流波形の検証

ESD 発生器の仕様 ESD 発生器は以下の仕様を満たすシミュレータを使用します。項 目 仕 様

出力電圧―接触放電モード― ±2kV ~± 15kV

出力電圧―気中放電モード― ±2kV ~± 25kV

出力電圧精度 5% 以下

極性 正または負

電流波形の立ち上がり時間 0.7ns ~ 1.0ns

電圧保持時間 5 秒以上

充電コンデンサ定数 150pF, 330pF

放電抵抗定数 330 Ω ,2000 Ω

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1

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0 20 40 60 80 100 120 140

5

10

15

20

X

Y

3

4

5

10

15

20

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 X

Y

● ESD 発生器の特性

ESD 発生器の放電電流特性は以下の特性を確認する必要があります。

充電コンデンサ / 放電抵抗値 ピーク電流 / 充電電圧 t1 電流 / 充電電圧 t2 電流 / 充電電圧

① 150pF/330 Ω 3.75A/kV ± 10% 2A/kV ± 30%(at t1=30ns) 1A/kV ± 30%(at t2=60ns)

② 330pF/330 Ω 3.75A/kV ± 10% 2A/kV ± 30%(at t1=65ns) 1A/kV ± 30%(at t2=130ns)

③ 150pF/2000 Ω 3.75A/kV+30% -0% 0.275A/kV ± 30%(at t1=180ns) 0.15A/kV ± 50%(at t2=360ns)

④ 330pF/2000 Ω 3.75A/kV+30% -0% 0.275A/kV ± 30%(at t1=400ns) 0.15A/kV ± 50%(at t2=800ns)

[放電抵抗と充電コンデンサの意味]充電コンデンサ

150pF・・・ 人体と床 ( 地面 ) との静電容量:車両外から触れる場合330pF・・・ 人体とシートの静電容量:車両内から触れる場合

放電抵抗

330 Ω ・・・ 人体が金属物を持って接触する場合2000 Ω ・・・ 人体の指 ( 皮膚 ) で接触する場合

●試験手順[ 試験レベル ]

試験に当たって、部品及び自動車試験の厳しさレベルを規定します。

[ 試験室の条件 ]標準試験環境は、環境温度:25℃± 10℃相対湿度:20% ~ 60%※20℃で 30% の相対湿度が望ましい。

●ESD 発生器の波形測定環境ESD 発生器の波形確認には図で示すように、ファラデーケージ※および電流ターゲットを使用し、1000MHz 以上の帯域幅をもつ測定器 ( オシロスコープ ) で確認を行ないます。放電電極を直接電流ターゲットに接触させ、静電気放電シミュレータは接触放電試験モードで動作させます。※ISO 規格では規定がありませんが、測定器保護の為に 20dB 程度の高周波用アッテネータを挿入する事をお勧めします。

ESD 発生器の波形測定環境ファラデーケージ※

電流ターゲット

ESD発生器

0.5m

1.2m以上

1.2m以上

グランド端子は、電流ターゲットの中心より直下0.5mの位置に接続し、グランドケーブルは真後ろに引っ張る(床面に付けない)。

電流ターゲットの中心より各周辺0.6m以上であること。

オシロスコープ

※測定システムの間接結合路が 校正結果に影響を与えない事が 証明できれば不要です。

電流ターゲットとオシロスコープの接続

変換コネクタ(SMA-BNC)

同軸ケーブル

電流ターゲット

20dB SMA型アッテネータ

ファラデーケージ

オシロスコープ

50Ω入力

※ 電流ターゲット、アッテネータ、同軸ケーブルは組合わせ校正した物を使用します。

●試験結果と試験報告書試験結果は、機能遂行状態に基づき、DUT の機能に対して要求される性能目標を定義します。試験中に要求される機能の状態は 4 つに分類されます。

a) 状態 I : 試験中及び試験後、その機能が設計仕様を満たすこと。b) 状態 II : 試験中、その機能は設計仕様を満たさなくても良いが、 試験後に自動的に復帰すること。c) 状態 III : 試験中、その機能は設計仕様を満たさなくても良く、 試験後も DUT の電源 ON/OFF またはイグニッションスイッチの 入れ直しなどで復帰すること。d) 状態 IV : 試験中、その機能は設計仕様を満たさなくても良く、 試験後はバッテリーまたは電源供給の入れ直しにより復帰すること。 またその後、その機能に永久的な破損が生じないこと。

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測定チェーンの校正

 ・トータルインサーションロス: ~ 1GHz:S21 ± 0.5dB

ターゲット・アダプタラインの校正

 ・トータルインサーションロス:~ 1GHz:<± 0.3dB

  2 個のターゲット・アダプタラインの面を合わせて測定

 ・リターンロス: ~ 1GHz:< 30dB

●測定システムの校正

同軸ケーブル (SMA-SMA)

変換コネクタ(SMA-SMA)

同軸ケーブル (N-SMA)

同軸ケーブル (N-SMA)

変換コネクタ (N-SMA)

ターゲット・アダプタライン

@

@:ネットワークアナライザ校正のポイント

電流ターゲット

20dB SMA型アッテネータ6dB N型アッテネータ

ネットワークアナライザ

OUTPUT INPUT

測定チェーン

ターゲット・アダプタライン

ネットワークアナライザ

OUTPUT INPUT

@

@

@:ネットワークアナライザ校正のポイント

同軸ケーブル(N-SMA)

同軸ケーブル (N-SMA)

●測定チェーンの低周波システム伝達インピーダンス:Zsys の算出測定チェーン全体(電流ターゲット - アッテネータ - 同軸ケーブル)の低周波システム伝達インピーダンスは、次のように求めます。約 1A の電流 I sys を電流ターゲットに注入します。接続する 50 Ω抵抗は公差が最大で± 1%でなければなりません。50 Ω抵抗を通る電圧 V50 を測定します。

Zsys =V50

Isys

ターゲット

DC電流源 電流ターゲット

の内部回路アッテネータの内部回路

50Ω負荷

電流計

デジタル電圧計

I sysここに1Aを入力します アッテネータ

V50ここの電圧を測定します

ケーブル

ISO 規格には記載されていませんが、挿入損失の公称値 S21 に関しては次のように求めます。S21=20 log[2Zsys/(Rin+50 Ω)]dB ※Rin は 50 Ωを接続時の測定システムの直流入力インピーダンスです。

低周波システム伝達インピーダンスを決定する回路図

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●試験のセットアップと試験手順

 電子機器試験 ( 電源供給あり ) ― 直接放電 接触放電および気中放電 ―

放電抵抗ケーブル

HCPグランド接続位置

グランド接続

基準接地板(任意)

周辺機器

商用電源へ

絶縁支持台(必要時)

絶縁ブロック

絶縁支持台(必要時)

DUT(供試品)DUTから離れた部品

バッテリー

放電ガン

放電ガン

試験テーブルESD発生器

HCP(水平結合板)

グランド接続位置

・ 車体シャーシに接続する DUT は HCP に直接接続します。・ バッテリーの負極は HCP に接続します。・ グランドリターンケーブルは、HCP に接続します。・ 車両搭載位置により 150pF または 330pF を決定し、放電抵抗は 330 Ωを使用します。・ 1s 間隔以上で正および負極性で各 3 回以上試験します。

・ 気中放電は 0.1m/s から 0.5m/s の範囲内で DUT に垂直 ( 少なくとも 45°) に印加します。 また 15kV よりも高い試験電圧時にはプリ放電を避けるために、 より大きい電極チップ(直径 20mm ~ 30mm)を使用することが出来ます。・ 接触放電は、人が触れる箇所すべてに印加します。・ 印加電圧は ANNEX C 記載のレベルを 2 つ以上選択します。・ 印加後は、1M Ω以上の除電抵抗で DUT を除電します。

電子機器試験 ( 電源供給あり ) ― 間接放電 -

・ 車体シャーシに接続する DUT は HCP に直接接続し、DUT は HCP エッジより 10cm の位置に配置します。・ バッテリーの負極は HCP に接続します。・ グランドリターンケーブルは、HCP または基準接地板に接続します。(試験計画による)・ 車両搭載位置により 150pF または 330pF を決定します。放電抵抗は、330 Ωを使用します。・ HCP のエッジに接触させて印加します。・ 両極性で 50ms 以上の間隔で、50 回以上印加します。・ 印加電圧は ANNEX C 記載のレベルを 2 つ以上選択します。

グランド接続

商用電源へ

絶縁ブロック絶縁ブロック

周辺機器絶縁支持台(必要時)

DUT(供試品)

バッテリー

放電ガン HCPグランド接続位置

放電抵抗ケーブル

基準接地板(任意)

試験テーブルESD発生器

HCP(水平結合板)

絶縁支持台(必要時)

DUTから離れた部品

グランド接続位置

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●試験のセットアップと試験手順

 電子機器試験 ( 電源供給なし ) ― パッケージングとハンドリング ESD 感受性試験 -

 ・ 組立時による放電、サービス人員による放電を意図した試験です。 ・ 150pF を使用します。放電抵抗の規定はありません。 ・ 1s 間隔以上で正および負極性で各 3 回以上試験します。 ・ 組立時またはサービス人員による作業中に手の触れるところすべてに直接放電で印加します。 ・ 印加後、1M Ω以上の除電抵抗で DUT( 供試品 ) を除電します。 ・ 印加後に、通電して DUT( 供試品 ) の機能を確認します。

商用電源へ

HCPグランド接続位置

導電マット(必要時)

DUT(供試品)

放電ガン

放電ガン

グランド接続位置

試験テーブル

HCP(水平結合板)

ESD発生器

実車試験 ― 車両内外の試験 -

・車両内で人が簡単に触れることの出来る箇所は、330pF/330 Ωまたは 330pF/2k Ωの CR 定数で試験します。この場合の最大印加電圧は± 15kV です。・車両外から人が触れることの出来る箇所は、150pF/330 Ωまたは 150pF/2k Ωの CR 定数で試験します。この場合の最大印加電圧は± 25kV です。・車両内外ともに触れることの出来る箇所は、それぞれの最大印加電圧で試験します。・グランド接続は、車内からの印加は、ドアヒンジ、シートレールなどに接続し、車外からの印加は、車体の金属部かタイヤ下の金属板に接続します。・両極性で最低 3 回、最小 1 秒間隔で印加します。・車両内外ともに気中放電、接触放電試験を行います。

車両内試験 車両外試験

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参考試験 ( 付属書 F) ― 電子機器試験 ( 電源供給あり )  直接放電および間接放電 ―

・直接放電試験は、330pF/330 Ωまたは 150pF/330 Ωの CR 定数で、2 秒間隔以上で、両極性 10 回以上印加します。

・間接放電試験は、330pF/330 Ωまたは 150pF/330 Ωの CR 定数で、2 秒間隔以上で、両極性 10 回、各アイランドに印加します。

試験テーブル絶縁ブロック

ESD発生器

DUTの接地線(必要時)

放電抵抗ケーブル

グランド接続

バッテリー周辺機器

電源疑似回路網EUT(供試品)

商用電源へ

フィールドカップリングストリップ

基準接地板

放電ガン

放電ガンHCP(水平結合板)

直接放電の位置

間接放電の位置

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菊水電子工業株式会社

● 2010 年 2 月発行

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