各ヘモダイアフィルタでの測定方法の違いによるTMPの変化

大田姫野クリニック

富永明博，坂本純平，小林幸造福村宏，角昌晃，滋野和志

はじめに

TMPは測定方法で数値が異なり，適切な

モニタリングが出来ているとは言い難い．今回日機装社から4点法でTMPを測定できるDCS-100NXを使用できる機会があったので，2点法との違いを各ヘモダイアフィルタで比較検討した．

対象と方法

対象者 治療中の状態が安定している維持透析患者3名

年齢 68±3歳 透析歴 147.3±123.6ヵ月

QB 250ml/min QD 700ml/min

QS 250ml/min 治療時間 5時間

測定項目・算出方法

開始時から5時間までの1時間ごとの動脈圧，静脈圧，透析液入口圧，透析液出口圧を記録した

4点法TMP （動脈圧+静脈圧）/2-（透析液入口圧+透析液出口圧）/2+補正値

2点法TMP 静脈圧-透析液出口圧

変化率 （経過時間毎のTMP/開始時TMP）*100％

各種ヘモダイアフィルタ仕様旭化成メディカル ニプロ 日機装

フィルタ ABH-F ABH-P MFX-M MFX-E MFX-S MFX-U FIX-E FIX-S GDF-M GDF

膜面積：（㎡） 2.1 2.1 2.1 2.1 2.1 2.1 2.1 2.1 2.1 2.1

膜素材 PS PS PES PES PES PES TA TA PEPA PEPA

構造 ストレート ストレート リップル リップル リップル リップル リップル リップル ストレート ストレート

膜厚（μm） 45 45 40 40 40 40 25 25 30 30

内径（μm） 220 200 200 200 200 200 200 200 210 210

ポアサイズ（Å） 82 83 73 76 78 79 78

有効長（mm） 266 266 290 290 290 290 254 254

充填率（％） 73 71 60 60 60 60 50 50

中空糸本数 11400 12400 11500 11500 11500 11500 14000 14000 12300 12300

ALB SC 0.02以下 0.01以下 0.01以下 0.01以下 0.01 0.01 0.01 0.01 0.03

TMP 2点法 4点法 有意差

開始時 66.6±2.1 87.0±1.7 P

TMP 2点法 4点法 有意差

開始時 62.6±4.9 107.6±2.1 P

TMP 2点法 4点法 有意差

開始時 32.3±9.2 70.3±5.8 P

TMP 2点法 4点法 有意差

開始時 37.0±3.6 65.6±1.5 P

TMP 2点法 4点法 有意差

開始時 33.6±6.5 65.6±5.5 P

変化率 2点法 4点法 有意差

1時間 105.3±8.1 103.0±8.7 n.s

2時間 120.6±10.2 117.0±4.6 n.s

3時間 130.6±14.1 126.0±7.5 n.s

4時間 143.3±10.4 133.0±7.5 P

変化率 2点法 4点法 有意差

1時間 121.3±11.9 107.0±1.0 n.s

2時間 126.6±6.0 113.6±4.0 n.s

3時間 139.3±7.1 120.0±7.0 n.s

4時間 142.6±2.3 123.0±7.5 n.s

5時間 144.6±9.7 124.6±9.1 n.s100%

110%

120%

130%

140%

150%

160%

170%

180%

190%

200%

開始時 1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後

MFX21M4点法 2点法

100%

110%

120%

130%

140%

150%

160%

170%

180%

190%

200%

開始時 1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後

MFX21E 4点法 2点法 変化率 2点法 4点法 有意差

1時間 113.3±1.5 104.3±2.8 n.s

2時間 121.6±2.3 113.0±5.2 n.s

3時間 135.3±5.0 119.6±8.7 P

変化率 2点法 4点法 有意差

1時間 117.0±19.1 105.0±2.0 n.s

2時間 132.3±23.6 112.0±2.0 n.s

3時間 153.0±14.4 121.6±6.3 n.s

4時間 168.0±20.8 128.0±3.6 n.s

5時間 176.3±12.0 132.6±10.0 P

変化率 2点法 4点法 有意差

1時間 101.0±19.4 103.0±0.0 n.s

2時間 112.0±7.9 108.0±2.6 n.s

3時間 119.3±20.2 114.0±7.0 n.s

4時間 126.6±20.2 114.0±5.0 n.s

5時間 133.3±12.3 118.6±7.2 n.s100%

110%

120%

130%

140%

150%

160%

170%

180%

190%

200%

開始時 1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後

FIX210E4点法 2点法

100%

110%

120%

130%

140%

150%

160%

170%

180%

190%

200%

開始時 1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後

FIX210S 4点法 2点法 変化率 2点法 4点法 有意差

1時間 96.0±3.4 101.3±1.1 n.s

2時間 99.6±11.7 102.3±2.5 n.s

3時間 112.6±8.3 109.3±8.1 n.s

4時間 108.6±8.1 112.0±9.1 n.s

5時間 124±29.0 120.0±15.1 n.s

変化率の経時的変化

変化率 2点法 4点法 有意差

1時間 114.6±36.2 102.6±8.5 n.s

2時間 122.6±42.1 108.0±10.8 n.s

3時間 130.3±34.7 115.3±12.5 n.s

4時間 143.3±38.1 120.0±10.4 n.s

5時間 142.3±21.5 125.0±12.1 n.s100%

110%

120%

130%

140%

150%

160%

170%

180%

190%

200%

開始時 1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後

GDF21M4点法 2点法

100%

110%

120%

130%

140%

150%

160%

170%

180%

190%

200%

開始時 1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後

GDF21 4点法 2点法 変化率 2点法 4点法 有意差

1時間 116.0±6.1 106.0±3.6 P

まとめ

・TMP

4点・2点法は計算法の違いによる差はあるが，治療中の推移はほとんど同じであった．

・変化率

治療開始時では変化率にほとんど差がみられないものが多かったが，治療後半にかけて差が開く傾向のフィルターもあった．

考察

2点法と4点法の変化はあまり見られなかったが，透析中のTMPが安定してない患者や，新規導入患者など，より精度の高いTMPが求められる場合，4点法の使用が好ましいと考えられた．

結語

前希釈オンラインHDF250ml/minの条件下では

2点法と4点法のTMPは計算法の違いによる差

はあるが，治療中の推移はほぼ同じで，特別な

変化は認められなかった．

第22回日本HDF研究会学術集会・総会

ＣＯ Ｉ 開示筆頭発表者名： 富永 明博

演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある企業などはありません。