プレーナ光波回路技術の歩みと見果てぬ光集積回路の夢 · 招待論文...

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エレクトロニクスソサイエティ和文論文誌 500 号記念論文特集 プレーナ てぬ a) Progress of Planar Lightwave Circuit Technology and Unfinished Dream of Optical Integrated Circuits Masao KAWACHI a) あらまし シリコン するプレーナ PLC Planar Lightwave Circuit割多 して し, えている.しかし,PLC う一つ らい あった ハイブリッド まま ある. NTT する 1980 じめから PLC みを に, てぬ について概 する. キーワード PLCAWG1. まえがき した いえる ファイバを いて, ネットワーク する するために ファ イバ えて, WDMWavelength Division Multiplexing), つ多 ある.こうした して レンズ プリズムを わせたバルク ファイ したファイバ にフォ トリソグラフィーを して一括 する 3 げるこ きる [1]ベル S.E. Miller から 40 1969 した Integrated Opticsしている [2][4].これ した して する がバルク からトランジ スタを てプレーナ ていったこ が, にあった NTT エレクトロニクス株 NTT Electronics Corporation, New Stage YOKOHAMA, 1– 1–32 Shin-urashima-cho, Kanagawa-ku, Yokohama-shi, 221– 0031 Japan a) E-mail: [email protected] われる. ファイバ されるに い,パッ シブ ,アクティブ ,ハイブリッド 態,モノリシッ から われ, 体レーザ LiNbO3 映されているが, して にま った ある. あったバルク ファイバ いている. そん にあって,1980 じめに ファイバ LSI せをベース して NTT 格スタートした にシリコ かしたアレー AWGArrayed-Waveguide Gratingめて 1990 にプレーナ PLCPlanar Lightwave Circuitして体 され, パッシブ して, 一角を めるま っている [5], [6],まず 1980 じめから NTT PLC る. ベンチャー PIRIPhotonic Integration Research, Inc.PLC ジネス 緯について する. いて, える PLC ,す わち (1) FTTH 360 電子情報通信学会論文誌 C Vol. J92–C No. 8 pp. 360–370 c (社)電子情報通信学会 2009

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Page 1: プレーナ光波回路技術の歩みと見果てぬ光集積回路の夢 · 招待論文 エレクトロニクスソサイエティ和文論文誌500 号記念論文特集 プレーナ光波回路技術の歩みと見果てぬ光集積回路の夢

招待論文 エレクトロニクスソサイエティ和文論文誌 500号記念論文特集

プレーナ光波回路技術の歩みと見果てぬ光集積回路の夢

河内 正夫†a)

Progress of Planar Lightwave Circuit Technology and Unfinished Dream of Optical

Integrated Circuits

Masao KAWACHI†a)

あらまし シリコン基板上の石英系光導波路を基本とするプレーナ光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)技術は,光信号の分岐,波長分割多重,光路の切換などを行う実用的な導波路型光回路の提供手段として定着し,今日の商用光通信網を支えている.しかし,PLC 技術開発のもう一つのねらいであった受発光素子との自在なハイブリッド光集積は今も未完のままである.本論文では,NTT を中心とする 1980 年代はじめからの石英系PLC 技術開発の歩みを振り返るとともに,見果てぬ光集積回路の夢と現実について概観する.

キーワード 光導波路,PLC,AWG,光集積回路,光通信

1. ま え が き

人類が発明した究極の伝送媒体ともいえる石英系光

ファイバを用いて,柔軟で効率的なネットワーク構造を

有する光通信網を構成するためには,基本となる光ファ

イバと受発光素子に加えて,光信号の分岐,波長分割

多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing),

光路の切換等の機能をもつ多彩な光回路部品が必要で

ある.こうした通信用光回路部品の構成形態としては,

レンズやプリズムを組み合わせたバルク型,光ファイ

バ自身に加工を施したファイバ型,平面基板上にフォ

トリソグラフィーを基本として一括形成する導波路型

の 3種類を挙げることができる [1].

導波路型の光回路形態は,米国ベル研究所の S.E.

Millerが今から 40年前の 1969年に提唱した集積光学

(Integrated Optics)の基礎概念に由来している [2]~

[4].これは平面基板上に形成した光機能素子の間を光

の通路(光導波路)で連結して光集積回路とするもの

で,当時,電子回路がバルク型の真空管からトランジ

スタを経てプレーナ構造の集積回路へと急速に進化し

ていったことが,光集積回路構想の背景にあったと思

† NTT エレクトロニクス株式会社,横浜市NTT Electronics Corporation, New Stage YOKOHAMA, 1–

1–32 Shin-urashima-cho, Kanagawa-ku, Yokohama-shi, 221–

0031 Japan

a) E-mail: [email protected]

われる.

その後,光ファイバ通信が実用化されるに伴い,パッ

シブ系,アクティブ系,ハイブリッド形態,モノリシッ

ク形態など様々な視点から光集積回路の研究が行われ,

集積光学の概念は通信用半導体レーザや LiNbO3 光変

調器の導波路構造に部分的に反映されているが,導波

路型光回路や光集積回路として本格的な商用化にまで

至った成功例が少ないのが現実である.旧世代になる

はずであったバルク型やファイバ型の光回路部品の活

躍と進化は今も続いている.

そんな中にあって,1980 年代はじめに光ファイバ

作製技術と LSI微細加工技術の組合せをベースとして

NTTを中心に本格スタートした平面基板(主にシリコ

ン基板)上の厚膜状の石英系光導波路の研究は,集積

光学の特長を生かしたアレー導波路回折格子(AWG:

Arrayed-Waveguide Grating)の開発を含めて 1990

年代にプレーナ光波回路(PLC:Planar Lightwave

Circuit)技術として体系化され,導波路型光回路や

パッシブ光集積回路として,通信用光部品産業の重要

な一角を占めるまでに至っている [5], [6].

本論文では,まず 1980 年代はじめから現在に至

る NTT 先導の PLC 技術開発の歴史を振り返る.米

国へのベンチャー会社 PIRI(Photonic Integration

Research, Inc.)設立と売却を含む PLCビジネス展開

の経緯についても言及する.続いて,今日の商用光通信

網を支える代表的なPLC製品群,すなわち (1) FTTH

360 電子情報通信学会論文誌 C Vol. J92–C No. 8 pp. 360–370 c©(社)電子情報通信学会 2009

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招待論文/プレーナ光波回路技術の歩みと見果てぬ光集積回路の夢

用 1×N 光スプリッタ,(2)高密度波長多重用AWG型

合分波器,(3)波長光路の切換機能を有する ROADM

(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)ス

イッチについて概説する.本論文では,今も本格的な

商用化は未完であるが,FTTH(Fiber-to-the-Home)

用光送受信モジュールの経済化を目指した PLCハイ

ブリッド集積の試みについても紹介する.更に,最近

は欧米勢のリードが目立つ InPモノリシック集積や Si

フォトニクスの技術開発動向を含めてアクティブ光集

積回路の夢と現実についても概観し,むすびとする.

2. PLC技術開発の経緯

平面基板上に透明な石英系ガラスで光導波路を形成

する試みは,1969 年に集積光学の概念が提案されて

以来,数多く行われてきたが,1970 年代は,光が伝

表 1 NTT における PLC 技術開発の歩みTable 1 Progress of PLC technology development in NTT.

搬するコア層の膜厚が 0.5 μm程度以下の薄膜状の石

英系光導波路が主な研究対象であった.これに対して,

1980 年代はじめからの NTT での石英系光導波路研

究は,光ファイバとの接続性を第 1とした厚膜状の石

英系光導波路をターゲットとしていた.以下,1980年

代,1990年代,2000年代の順に,NTTでの PLC技

術開発の経緯を紹介する(表 1).

2. 1 1980年代の石英系光導波路技術開発

NTT における厚膜状石英系ガラス光導波路形成

の最初の試みは,1980 年代はじめの武蔵野研究所に

おける伊澤達夫らによる研究であった [7].伊澤らの

先駆的研究は茨城研究所の筆者らのチームに引き継

がれ,光ファイバ作製法である気相軸付法(VAD:

Vapor-phase Axial Deposition)を応用した火炎堆積

法(FHD:Flame Hydrolysis Deposition)と LSI微

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電子情報通信学会論文誌 2009/8 Vol. J92–C No. 8

図 1 シリコン基板上の石英系光導波路断面Fig. 1 Cross-sectional view of silica-based optical waveguides on silicon substrate.

細加工技術である反応性イオンエッチング法(RIE:

Reactive Ion Etching)法を組み合わせて厚膜状の石

英系光導波路を作製する今日の PLCプロセス技術の

原型が開発された [8], [9].

当初の石英系光導波路は石英ガラス基板上に形成し

ていたが,やがてシリコン基板(Siウェーハ)上にも

クラッド層を含めて厚さ 50 μmにも及ぶ石英系ガラス

膜をひび割れなく形成できることを確認し,筆者らは

「シリコン基板上の石英系光導波路を基本とし,これ

に各種光素子を複合集積化した小形・高機能かつ経済

的な光導波回路を開発し,光情報通信システムへの適

用を図る」研究構想を固めた.

石英系光導波路を探索研究段階から本格研究へと格

上げさせたのが,1983年に光部品研究室長に就任した

宮下忠であった.シリコン基板上の石英系光導波路技

術の将来性を確信した宮下は,研究所上層部と交渉し

て大型の研究費を引き出し,1987年には NTT,三菱

商事,米国バテル研究所の合弁会社 PIRI(Photonic

Integration Research, Inc.)を米国オハイオ州コロン

バス市に設立し,自ら社長として家族とともに渡米し

た [10], [11].

PIRI 社設立ごろまでの石英系光導波路研究の重点

は,コア寸法が 40~50 μm 程度の多モード光導波路

(図 1 (a))を用いた波長合分波器 [12]の開発に置かれ

ていたが,その後の単一モード光ファイバ通信システ

ムの進歩に合わせて,コア寸法が 5~8 μm 程度の単

一モード光導波路(図 1 (b))に重点が移っていった.

光信号の位相や干渉を高精度に制御可能な単一モード

光導波路への移行は,その後の石英系光導波路技術の

発展に大いにプラスとなった.

石英系単一モード光導波路のコアとクラッドの比屈折

率差 Δ は,SiO2ガラスに添加するドーパント GeO2

量によって,Δ = 0.25%,0.45%,0.75%,1.5%な

どに調節され,Δ が大きく,コア寸法が小さいほ

ど,光導波路の許容曲げ半径 R は小さくなる.例え

ば,Δ = 0.25%では R = 25 mm,Δ = 1.5%では

R = 2 mm程度である.

SiO2-GeO2 系単一モード光導波路を用いた最初の

有用な光回路は,NTT横須賀研究所の光波通信研究グ

ループの要請に基づいて作製したマッハツェンダ光干

渉計(MZI:Mach-Zehnder Interferometer)型光周

波数フィルタであった(図 2)[13].この光周波数フィ

ルタは,Si基板上の 2個の方向性結合器を光路長の異

なる 2本の光導波路で連結した非対称MZI構成(熱

光学位相シフタとしての薄膜ヒータを具備)であり,

光路長差 ΔL を 10 mm程度に設定すると光周波数間

隔 Δf が 10 GHzだけ離れた 2チャネルの信号光を分

離可能で,横須賀研究所での先進的な光周波数多重伝

送実験(10 GHz間隔で 100チャネル多重)の出発点

となった [14].

平面基板上で光信号を分岐し遅延させ干渉させる

2 光束干渉計としての MZI 型光周波数フィルタの開

発は,ΔL 値の設定次第で,WDMフィルタ(例えば

1.3 μm/1.55 μm を分離)や,逆に波長無依存カプラ

(WINC:Wavelength Insensitive Coupler)[15],更

には熱光学スイッチ(TOSW:Thermo-Optic Switch)

など,一連の有用な機能を有する MZI 型光回路群を

生み出す基礎となった(図 3).

2. 2 PLC技術として体系化が進む 1990年代

1990 年代の最も重要な研究成果の一つが高密度

WDM通信用のアレー導波路回折格子(AWG)型合

分波器の実現である [16].AWGの構造については次

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招待論文/プレーナ光波回路技術の歩みと見果てぬ光集積回路の夢

図 2 マッハツェンダ光干渉計型光周波数フィルタ構成Fig. 2 Configuration of Mach-Zehnder interferometer optical frequency filter.

図 3 マッハツェンダ干渉計回路の光波回路機能Fig. 3 Lightwave functions of Mach-Zehnder interferometer circuits.

章で述べるが,ほぼ同時期にオランダ Delft大学 [17]

や米国ベル研 [18]からも同等の構造が提案され,それ

ぞれ「PHASAR」及び「Waveguide Grating Router

(WGR)」と名づけられたが,今日では NTT提案の

AWGの呼称が世界的に定着している.

AWGを含む光回路品種の拡大と国内需要に迅速に

対応するために,1993年には国内の NTTエレクトロ

ニクス(NEL)社の茨城分室として PLC部門が開設

され,米国 PIRI社とは,互いをセカンドソースとす

る姉妹関係が築かれていった.

同じころ,それまでの光波通信研究グループ(野

須潔リーダ)や光交換研究グループ(行松健一リー

ダ)との協力関係に加えて,光クロスコネクト研究

グループ(佐藤健一リーダ)との連携も開始され,今

日の ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop

Multiplexer)スイッチに通じるフォトニックネット

ワーク研究の草分けとなった [19].

1994 年には電子回路のディジタル信号処理フィル

タとの類推で,所望の光周波数フィルタ特性をプロ

グラム可能なラティス型フィルタ構造が提案され,す

ぐに光ファイバの波長分散を補償するチューナブル

光分散補償器(TODC:Tunable Optical Dispersion

Compensator)としての基本動作が確認され,光回路

合成論に通じる光波回路機能の奥深さを実感すること

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電子情報通信学会論文誌 2009/8 Vol. J92–C No. 8

ができた [20], [21].

こうして 1990 年代は,設計・プロセス・実装・評

価をカバーする多彩な研究者(もとの専門は光ファイ

バ,光レジスト,実装技術など)のチームワークと先

端光方式研究グループとの交流により,「平面基板上

の低損失石英系光導波路を伝搬する光信号の位相や干

渉を制御して有用な光回路機能を引き出すプレーナ光

波回路(PLC)技術」として体系化が大いに進んだこ

とが特徴的である [22].

1990年代後半になると,インターネットトラヒック

の急激な増大に即応するために光ファイバの伝送容量

を何倍にも増やす高密度WDM 通信システムの導入

が北米で本格化し,8波,16波,32波,更には 64波

もの波長がわずかに異なる信号光を 1本の光ファイバ

に導くための AWG型合分波器の需要が高まり,特に

北米を拠点とする PIRI社の企業価値が急上昇した.

2. 3 激動の 2000年代

2000年に入り,資本金 10億円前後の PIRIの企業

価値がどの程度あるのか探ったところ,予想金額を

はるかに上回る買い手候補が存在することが判明し,

PIRI 社のすべての株を売却する方向で全株主の意見

が一致することとなった.PIRI社売却により,NTT

が獲得した特別利益は,NTT出資比率(49%)に応じ

たキャピタルゲイン(約 1,000億円)と,技術開発元

の NTTのみが受け取った技術ライセンス料(約 400

億円)とを合わせて約 1,400億円にも達した.

ところが,PIRI 社を成功裡に売却して間もない

2001 年には,過剰投資に陥った北米ネットバブルが

崩壊し,茨城に新工場を竣工したばかりの NEL社を

含めて光通信機器製造業界は深刻な打撃を被ることに

なった.

一方,日本の光幹線網への高密度WDM方式の導入

は,2000年ごろから本格化し,その後の FTTHを含

むブロードバンドアクセス環境の整備に合わせてアッ

プグレードと増設が着実に進められた.FTTH 本格

化に伴う PLC 型 1 × N 光スプリッタ需要の立上り

(2002年~)は,北米ネットバブル崩壊の痛手を受け

ていた NEL社にとっても良き回復剤となった.

北米ネットバブル崩壊の余波を受けて世界的に停

滞気味であった都市域(メトロ)網や地域幹線網への

ROADM システムの導入も 2004 年ごろから復活し,

次世代通信網(NGN:Next Generation Network)構

築向けを含めて,AWG などの PLC 需要が回復して

いる.

上述の PIRI社売却に伴い PLC技術の拡散が進み,

日本の NEL社と北米の JDSU社(PIRI社を最終的

に獲得)や NeoPhotonics社などとの間で低価格化と

高性能化の競争が今も進行中であるが,石英系プレー

ナ光波回路技術は,PLC や AWG の呼称の普及とと

もに,商用光通信網を支える光部品産業として定着し

ている.

3. 商用光通信網を支える代表的なPLC

本章では,次世代通信網(NGN)を含めて今日の商

用光通信網を支える代表的な PLCとして,(1) 1×N

光スプリッタ,(2) AWG 型合分波器,(3) 熱光学ス

イッチの ROADM応用の 3例について改めて紹介す

る(図 4).

3. 1 1 × N 光スプリッタ

現行の FTTH 網では,経済化のために局側装置

OLT(Optical Line Terminal)を複数(最大 32個)

の加入者側装置 ONU(Optical Network Unit)で共

用する PON(Passive Optical Network)方式が一般

的であり,光信号を分岐するための 1×N 光スプリッ

タを多量に必要とする.特に NTT東西会社では,局

内で 4 分岐し,更に加入者宅近くで 8 分岐すること

で最大 32分岐の PONシステムを構成しているので,

1 × 4(局内用)と 1 × 8(局外用)の光スプリッタが

不可欠である.

PLC技術による 1 × N 光スプリッタ(N = 4,8,

16,32)は,Y 分岐を多段に集積したものである

(図 5).1×N 光スプリッタの場合は偏波依存損(PDL:

Polarization Dependent Loss)を極力小さくするた

図 4 商用光通信網を支える代表的な PLC

Fig. 4 Major PLCs for commercial optical

communication networks.

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招待論文/プレーナ光波回路技術の歩みと見果てぬ光集積回路の夢

図 5 1 × N 光スプリッタモジュールFig. 5 1 × N optical splitter modules.

めに,シリコン基板ではなく石英ガラス基板を用いる

ことが多い.

電信柱上などの局外に設置される光スプリッタには

厳しい環境に耐えるために特に高い信頼性が要求され

るが,PLCは極めて安定した性質をもつ石英系ガラス

で構成されるため高信頼性が確保できる.光入出力用

の光ファイバアレー(1~32 芯)と PLC チップの接

続は紫外線硬化樹脂で行うが,その接続部に関しても

十分な信頼性が確保できている [23].実際,FTTH加

入者宅近くの電信柱上の銀色の収容函(クロージャー)

の中には多数の PLC型 1 × 8 光スプリッタが収めら

れている.

3. 2 AWG型合分波器

アレー導波路回折格子(AWG)型合分波器は,1990

年代後半の北米のWDM幹線網投資ブームと重なり,

最初の PLC本格ヒット商品となった.

AWGは,入出力導波路,二つのスラブ導波路,ΔL

ずつ長さが異なる数百本のアレー導波路から構成され

ている(図 6).実際の AWG モジュールでは,光入

出力用の光ファイバアレーが紫外線硬化接着剤で固定

されている点は,1×N 光スプリッタの場合と同様で

ある.

入力導波路から入射された光は,まず入力スラブ

導波路で複数のアレー導波路に分岐される.各々のア

レー導波路を伝搬した光は出力スラブ導波路で多光束

干渉を起こし出力スラブ導波路の出力端に焦点を結ぶ

が,アレー導波路の長さが ΔL ずつ異なるため出力

スラブ導波路の入射端における波面は入射光の波長に

依存する.すなわち,出力スラブ導波路の出力端にお

ける焦点位置も入射光の波長に依存することになる.

その結果,異なる波長の光は異なる出力導波路に結

合して別々の出力ポートから出力されることになり,

AWGが光波長合分波器として機能する.AWGで合

分波可能な光周波数間隔は,ITUグリッド間隔に合わ

せて 200 GHz,100 GHz,50 GHz 等々であり,平面

基板上での多光束干渉により 40 波長チャネル以上の

信号光を一括で合分波可能な AWGは集積光学の最高

傑作であるといっても過言ではない.

2001 年の北米ネットバブル崩壊前の AWG 価格は

1波長チャネル当り 400ドル程度であったが,技術改

良と市場競争激化に伴い,今は,その 10分の 1程度

の価格になっている.

最近の AWGの技術開発トレンドは,更なる低コス

ト化,小型化,低損失化に加えて,アサーマル(温度無

依存)化や通過域の低損失フラットトップ化 [24]などで

あり,光減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)

やチャネルモニタ用 PDアレーとの一体集積化製品も

商用化されている [25].

3. 3 熱光学スイッチの ROADM応用

安定・高信頼だが機能性に乏しい石英系光導波路で

あるが,石英系ガラスの屈折率のわずかな温度依存性,

すなわち熱光学効果(Thermo-optic effect:dn/dT~

10−5/◦C)を利用して光スイッチングやチューニング

機能を実現可能である [13].

PLC技術による熱光学スイッチは,導波路アーム上

に熱光学位相シフタとしての薄膜ヒータを備えた対称

型MZI構成(ΔL = 0 μm)を基本としている(図 3

参照).薄膜ヒータへの供給電力が零の場合,光信号は

MZIをクロス状態で通過するが,いずれか一方の薄膜

ヒータに π(半波長分)の位相シフトに相当する電力

を供給すると,光路はバー状態に切り換わる.クロス

バーの中間状態で保持すると,可変光減衰器(VOA:

Variable Optical Attenuator)としても有用である.

石英系光導波路とヒートシンク作用のある Si 基板と

の組合せは,熱光学位相シフタの安定動作に好適であ

る.熱光学スイッチの応答時間は数 msで,スイッチ

ングに必要な電力は 0.5 W程度であるが,薄膜ヒータ

近傍に断熱溝を形成し水平方向への熱の流出を防止す

ることで,消費電力を 0.1~0.2 W レベルに低減して

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電子情報通信学会論文誌 2009/8 Vol. J92–C No. 8

図 6 アレー導波路格子型合分波器の構成Fig. 6 Configuration of arrayed-waveguide grating multi/demultiplexer.

図 7 PLC 型 ROADM スイッチ構成例Fig. 7 Configurations of PLC-ROADM switch.

いる.必要に応じて MZI を 2 段構成とすると 50 dB

以上の高い消光比を実現可能である.

上述の熱光学原理の 1 × 2 光スイッチ(1 × 2 SW)

と可変光減衰器(VOA)を AWG 型合分波器と複

合化したものが PLC 型の ROADM スイッチである

(図 7)[26].どの波長を,どのノードで分岐(Drop)・

挿入(Add)するか,トラヒック需要に応じて光スイッ

チの切換で遠隔制御できるので,大容量かつフレキ

シブルなメトロリング網の構築に有効である(図 4

参照).NTT が構築中の次世代通信網(NGN)にも

PLC型 ROADMスイッチが導入されている [27].

ROADM スイッチを製造するに際して,光スイッ

チ,VOA,AWGを,同一基板上に集積するのか,分

けるのか,モニタ用 PD装着形態をどうするのか,プ

ロセス技術や実装技術の現状と進歩を見通した設計者

の腕の見せ所である.

PLC 型 ROADM スイッチのライバルとしては,

MEMS ミラーや液晶素子を用いる空間光学型波長選

択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)が

あり,それぞれの特徴を生かしての切磋琢磨と適材適

所が ROADM市場で進行中である.

4. PLCハイブリッド光集積の試み

1980 年代はじめの研究開始当初からシリコン基板

上の石英系光導波路に期待されていたもう一つの重要

な役割は,レーザダイオード(LD:Laser Diode)や

フォトダイオード(PD:Photo Diode)等の能動素

子チップをシリコン基板上の石英系光導波路端部に搭

載するハイブリッド光集積用の基盤(PLC プラット

ホーム)の提供であった.実際,1986年ごろには,多

モード光導波路に受発光素子を搭載する光加入者系用

のWDM 送受信モジュールの初歩的な研究が行われ

たが,その後,単一モード光導波路を用いた光波回路

機能自体の開拓に研究の重点を移した事情がある.

PLC 機能開拓の進んだ 1994 年ごろになると,単

一モード光ファイバ伝送路による光加入者系システ

ム構築の機運が高まり,光加入者系用の ONU光送受

信モジュールの経済化を PLCハイブリッド技術で実

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招待論文/プレーナ光波回路技術の歩みと見果てぬ光集積回路の夢

図 8 PLC ハイブリッド集積型 ONU 用WDM 光送受信モジュール構成Fig. 8 Configuration of PLC-hybrid integrated WDM optical transceiver module.

図 9 ハイブリッド集積型 ONU 用WDM 光送受信モジュール(試作品)

Fig. 9 PLC-hybrid integrated WDM optical

transceiver module (prototype).

現するプロジェクトが,茨城研究所の PLC研究者と

厚木研究所の LD/PD 研究者を中心として開始され

た.遠くない将来の量産化(~300 万台/年)を目標

に,システムメーカや電線メーカとの共同開発体制も

整えられ,PLC プラットホーム上への LD/PD や薄

膜フィルタの表面実装技術の開発が進められた(図 8,

図 9)[28], [29].

しかし,当時の NTT の FTTH 導入計画は時期尚

早の感が否めず,1998 年には,各家庭に ONU を設

置する代わりに電信柱上に ONUを設置して,そこか

ら近所の 10軒ほどの家庭まではメタルケーブルでつ

なぐ暫定システム(π システム)へと後退してしまっ

た.この政策変更により,ONU需要予測数が激減し,

PLCハイブリッド集積によるONU経済化プロジェク

トは中途半端になってしまった.その後,2002年以降

に,ようやく本格化した FTTH 導入現場では,技術

完成度が不十分な PLCハイブリッド集積型ではなく,

CD-ROM用の光ピックアップ量産技術を活用して経

済化が進んだバルク型(レンズやプリズムを用いる空

間光学型)光送受信モジュールが主流となってしまっ

た経緯がある.

上記のNTT研究所等での試み以外に,NEC [30]や

沖電気でもPLCハイブリッド集積によるONU光送受

信モジュールの開発が行われ,その後,NeoPhotonics

社や Xponent 社(2007 年に破綻),そして最近では

Enablence社も PLCプラットホーム構造の光送受信

モジュールを発表している.しかし,経済化が先行し

たバルク型に伍して ONU市場に本格参入するために

は,20ドル以下の低コストで光送受信モジュールを量

産する仕掛けと覚悟が必要である.

ONU 光送受信モジュール以外の PLC ハイブリッ

ド集積の報告例としては,半導体光増幅素子(SOA:

Semiconductor Optical Amplifier)をブラッグ回折格

子やリング共振器を形成した石英系光導波路に搭載し,

それぞれ外部共振器型レーザモジュールや波長可変レー

ザモジュールを構成する試みなどがある [29], [31].最

近では,LiNbO3 位相変調器チップとPLCチップをハ

イブリッド化してDQPSK(Differential Quadrature

Phase-Shift-Keying)変調器を構成する試みも NTT

から報告されている [32].また,英国 CIP社が,石英

系 PLCをベースして,これに InP系の光素子アレー

や,必要に応じて光アイソレータや薄膜フィルタ等を

取り込むハイブリッド光ボード実装構想(HyBoard)

を提案するなど,PLCハイブリッド集積・実装への挑

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電子情報通信学会論文誌 2009/8 Vol. J92–C No. 8

戦は今も続いている.

5. 見果てぬ光集積回路の夢

1969 年の集積光学の提案以来,受発光素子を含む

様々なハイブリッド光集積やモノリシック光集積の試

みが行われてきた.やや偏った私見かも知れないが,

今日では,光ファイバ通信を支える三つの基盤材料に

対応して三つのアプローチ(図 10)が主流になってい

るといえよう.すなわち,光ファイバ材料としての石

英系ガラス(SiO2)に対応して「PLC ハイブリッド

集積」,受発光素子材料としての光半導体(III-V族)

に対応して「InPモノリシック集積」,そして,制御用

の ICや LSI材料であるシリコン(Si)に対応して「Si

フォトニクス」のアプローチである.PLCハイブリッ

ド光集積については前章で紹介したので,本章では

InPモノリシック集積(Photonic Integrated Circuit

の略称で PICと呼ばれることも多い)と Siフォトニ

クスの技術開発動向について概観する.

5. 1 InPモノリシック集積

1990 年代中ごろに PLC ハイブリッド集積による

ONU用光送受信モジュールの開発を目指した際には,

将来の本命は InPモノリシック集積による「One-chip

ONU」との意見もあった.しかし,光ファイバ通信で

は,送信 LDと受信 PDの信号レベル差が大きく,小

さな InP基板上で LDから PDへの光電気クロストー

ク(近端クロストーク)を抑制するのは至難の業であ

り,今日まで「One-chip ONU」商品化を標榜するベ

ンチャー企業は現れていない.

InPモノリシック集積の対象としては,送受信一体の

ものではなく,送信側と受信側を作り分ける方が,近端

クロストークを避けるには得策であり,PLCとしてヒッ

トしたAWG構造を InP系光導波路で形成して LDア

レーあるいはPDアレーと集積化する研究が 1990年代

後半から活発になった [33].2004年には,北米ベンチ

ャー系の Infinera社が,AWGを内蔵する 10 Gbit/s×10 波長の InP系の光送信チップ(AWG+LDアレー)

と光受信チップ(AWG+PDアレー)の開発に成功し,

これをキー部品とする伝送装置の販売でビジネス実績

を挙げ,InPモノリシック光集積回路(InP-PIC)の

最初の成功例として注目されている [34], [35].

InPモノリシック派の Infinera社は,最近,PLCベ

ンチャー Little Optics社を買収しており,InP系ファ

ウンドリー CyOptic 社による Inplane Photonics 社

の獲得と同じく,InP-PICと PLCの技術融合の動き

図 10 光集積回路実現への三つのアプローチFig. 10 Three major approaches for realizing optical

integrated circuits.

として注目される.

5. 2 Siフォトニクス

最近,特に注目されているのが Siフォトニクス技術

の進展である [36]~[38].Si フォトニクス陣営は,微

細化の進む LSI製造用の CMOS技術(SOI構造)の

活用により,光導波路,発光素子,受光素子,光変調

器などの集積を目指している.Si系材料では実現が難

しい発光素子については InP系 LDチップ(あるいは

ウェーハ)をボンディングする方が現実的と考えられ

ている.

Siフォトニクスの適用分野として,Intelや IBMなど

のLSI大手企業は,LSI内部への光配線導入や,更には

Siチップ上での電子回路と光回路の統合「Electronic-

Photonic Convergence」を目指しているが,Luxtera

や Lightwireなどのベンチャー企業は,伝送距離の短

いデータコム用の光送受信モジュールの早期市場投入

を第 1ターゲットとしている.

Siフォトニクスのベンチャー企業は,自ら大規模な

CMOS プロセスラインを保有することは困難である

ので,開発当初から外部ファウンドリーを活用してい

る.アナログ的な色彩の強い光集積回路分野において,

ディジタル LSI 分野のファブレスビジネスモデルが,

どこまで有効であるのか,光部品産業の将来構造を占

う上でも注目される.

6. む す び

以上,今日の商用光通信網の構築に不可欠となって

いるプレーナ光回路(PLC)技術の歩みと光集積回路

の夢と現実について概説した.

華やかな機能性には乏しい石英系光導波路ではある

が,光波通信や光交換などの先端方式研究グループと

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招待論文/プレーナ光波回路技術の歩みと見果てぬ光集積回路の夢

図 11 NEL 茨城工場(PLC 製造拠点)Fig. 11 NEL Ibaraki factory for PLC production.

も早期から交流し,強いシステム志向(どんな目的で,

何をどこまで集積するか,集積しないか)を醸成し,

PIRI 社のベンチャー活動を含めて多彩な研究者や技

術者のチームワークで実用に耐える PLC技術として

体系化を進めたことが特徴的である.PIRI社の世界市

場開拓精神を引き継ぎ,NEL社は,茨城工場(図 11)

を製造拠点として,今も PLCトップベンダの地位を

維持している.

光ファイバとの接続性に優れたパッシブ光集積回路

の実現手段として定着した PLC技術であるが,受発

光素子を自在に搭載する PLCハイブリッド光集積回

路の本格商用化は今も未完のままである.石英系ガラ

スやシリコン結晶に比べて極めて脆弱な InP系結晶か

らなる受発光素子の PLCプラットホーム上での信頼

性保証も,そう簡単ではない.ディジタル電子回路と

異なり,アナログ色の強い光回路の小型集積化は性能

劣化を伴うことが多いことも悩みである.

LSI分野でのシリコン結晶に相当するような絶対優

位な単一材料に恵まれていない光回路分野では,PLC

ハイブリッド集積,InPモノリシック集積,Siフォト

ニクス技術の適材適所とともに,バルク型やファイバ

型の光回路技術の進歩も取り入れて有効な組合せを図

る広義のハイブリッド集積や混載実装技術の開発が重

要であろう.

1969年以来の見果てぬ光集積回路の夢への挑戦が,

2008年米国発の金融危機にも挫けることなく,基礎研

究からビジネス化フェーズまで,今後も世界中で続く

ことを強く期待して,本論文のむすびとする.

文 献

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(平成 21 年 1 月 5 日受付)

河内 正夫 (正員:フェロー)

昭 48 東工大修士課程了,同年 NTT 入社.以来,液晶表示,石英系光ファイバ,プレーナ光波回路の研究開発に従事.昭57 カナダ通信研究所(CRC)交換研究員.平 8 より研究マネージメントに携わり,光エレクトロニクス研究所長,未来ねっと研

究所長,先端技術総合研究所長を経て,平 17より現職の NTT

エレクトロニクス(株)(NEL)取締役.平 12 本会光エレクトロニクス研究専門委員会委員長,企画理事(平 14~15),エレクトロニクスソサイエティ会長(平 20),平 15 IEEE LEOS

Japan Chapter 委員長.昭 59 本会論文賞,平 4,平 10 年度業績賞,平 7 光産業技術振興協会・桜井記念賞,平 11 科学技術庁長官賞(科学技術功労賞),平 12 大河内記念技術賞,平20 紫綬褒章等各受賞.応用物理学会,IEEE 各フェロー.工博(昭 53 東工大).

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