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植物防疫基礎講座

ヤ ガ類の見分 け 方 ( 4 )

ヨ ト ウ 類 の識))IJ 法 ヨ 卜 ウ ガ ・ シ ロ シ タ ヨ ト ウ ー

ト ウ -シ ロ シ タ ヨト ウ ガ ・ト ウ 類の識別法ー ヨヨい ち

ロ シ タ ヨ 卜 ウ に そ の よ う な現象 は な し 〉 。 服部 ( 1 962) が

両種の形態差 を 述 べ て い る の で， 検索表で は そ の う ち は

っ き り と 差 が認 め や す い形質 を い く つ か取 り 上 げた 。 両

種の腹脚 は 4 対で と も に よ く 発達 し ， 鈎爪 は単列半環状

に 配列， 同長状。

( ヨ ト ウ ガ ) 耳目 幅 約 29 111111， 体 長 約 40 111111。 大 胞 の

内 側 中 央 に 角 張 っ た 大 き な 内 歯 を 備 え る 。 ( 図 1 左) 。

刺毛基板 は な い か， ほ と ん ど 目 立 た な い 。

頭部 は 黄褐色 で不明 瞭 な 暗褐色 の 網状斑が あ る 。 胴部

の体色 は 灰黒色， 暗褐色， 暗緑色 と 変異 が大 き く ， 微細

な黒点 を 密 に 備 え ， 細 か い模様 と な る 。 背線 は 断続 し た

細 い 灰黄色で， そ の 両縁 は 黒褐色 に ぽか さ れ て 暗色影 を

な す 。 側線 も 不明 l僚 な 灰黄色。 気門下域 は 灰黄褐色 か ら

燈色 と な る o 気門 は 灰黄色 で黒環 を も ち ， そ の 周 辺 は黒

褐色 の影 を な す。 胸胸l は 褐色 ( 山本， 1965) 。

( シ ロ シ タ ヨ ト ウ ) 頭 I幅 約 32 111111， 体 長 約 45 111111。

大 胞 の 内 側 に は や や 小 さ い 三 角 形 の 突起 を も っ ( 図 一 l右) 。 第 1�8 腹節 で は ， 背面の D 1 ， D 2， MD 1 刺 毛 の

ソ ケ ッ ト 周 辺 ( 図 2 参照) が 黒色 の 円 状 と な り よ く 目

慎松μ士ロ独立行政法人農業環境技術研究所

ヨ ト ウ ガ と シ ロ シ タ ヨ ト ウ は ， 第 2 回連載で扱 っ た ア

ワ ヨ 卜 ウ ， ク サ シ ロ キ ヨ ト ウ と 同 じ ヨ 卜 ウ ガ斑科 に 属 す

る 。 本亜科は成虫 の 複眼 に 短毛 を 備 え る こ と ， お よ び後

麹の M， 脈 は 発達 し な い 特徴か ら ヤ ガ科の 他の 斑科 と は

区別 で き る 。 シ ロ シ タ ヨ ト ウ も 以前 は ヨ ト ウ ガ と 同属 の

Mamestl況 に 含 め ら れ て い た が， 現 在 で は 別 属 Sar・

αlþolia が適用 さ れ て い る 。 前麹 の 色 彩 は ヨ ト ウ ガ で は

一定 し て お り ， シ ロ シ タ ヨ ト ウ で は 2 型があ る が， 両種

の識別 は容易で あ る 。 今 同 は 2 種の卵， 幼虫， 踊の形態

を 解説す る 。

I 終齢幼 虫の識別法

めじは

X込5D2 、 O SP 今子、::走。、

Sヲノ図 - 2 ヨ 卜 ウ ガ と シ ロ シ タ ヨ ト ウ の 第 2 腹節刺毛配列岡

左 : ヨ ト ウ ガ， お : シ ロ シ タ ヨ 卜 ウ sp : 気門.

一一一 27

いへ

快

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ド主人

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5V3 -司

川s

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図 - 1 ヨ 卜 ウ ガ と シ ロ シ タ ヨ ト ウ の大胞内閣図

五一 ヨ ト ウ ガ. ;{ i : シ ロ シ タ ヨ ト ウ . 日 強 () . 5 1ll1ll.

V l ldent i品cation Method o f !t1all1cslm bmssime and Sarcoþolia

illoha ( Lepidoptera. Noctll idae. Hadeninae) on the basis of

illllllatllre stages. By Shin - ichi Yo日 1 1 1 \ 1.'\1 日 !( キ ー ワ ー ド : ヨ ト ウ ガ， シ ロ シ タ ヨ ト ウ ， 幼虫. j�n. 分類)

1 終齢幼 虫の検索表

1 . 頭部 に 不明瞭なI情褐色 の 網状斑が あ る 。 大l問、の内側

中 央 に 角 張 っ た 大 き な 内 歯 を 備 え る ( 図 一 l 左) 。 第

2 腹節 の SV 1 は V l と L 3 を 結ぶ線 よ り わ ず か に

前 方 に 位置 す る ( 図 2 左) 。 … … … … … … ヨ ト ウ ガ

頭部 に 斑紋 は な � }。 大胞の 内側 に や や 小 さ い三角形

の 突 起 を も っ ( 医 卜 l 右) 。 第 2 腹 節 の SV 1 は V l

と L 3 を 結 ぶ 線 よ り あ き ら か に 前 方 に 位 置 す る

( 図 2 右) 0 ・ H ・ H ・ . . … . . . ・ H ・ . . … . . . ・ H ・ . . シ ロ シ タ ヨ ト ウ

2 終齢幼 虫の記載

ヨ ト ウ ガ幼虫 に は相変奥 が認 め ら れ， 飼育密度 が高 か

っ た り ， 大発生 を し た 場合 は体色 が黒褐色 に な る が， シ

278 植 物 防 波 第 55 巻 第 6号 (200 1 年)

立 つ 。

頭部 は樟褐色で斑紋 は な い。 !阿部 は 口絵の よ う な 明 る

い褐色か ら 暗黄褐色 と な る 。 気門線は細 く 黒色で， 気門

近 く で は や や 太 い 。 気門線の腹縁 に 白 条が沿 い， そ の腹

縁 に 燈黄色条が走 り ， 鮮明 な 気門下域 と な る 。 気門線 よ

り 背 方 に は 多 数 の 小 さ な 白 色 円 紋 を 散在 さ せ， 各々 は暗

褐色の 輪郭 を 持 つ 。 中 で も ， 背線上 の 1 列 と 側線 に 少 し

曲 が っ て縦列す る 円紋 は大 き く 目 立 つ。 背線 と 側線部 に

不明瞭 な暗色影があ る 。 気門 は 白 色 で黒環 を 備 え る 。 胸

脚樫褐色 ( 山本， 1965) 。

E 卵 と 終齢以外の齢期 の幼虫の記載

卵 :

( ヨ ト ウ ガ) 直径約 0 . 6 mm。 葉裏 に 数十個以上の一

層 の 卵塊 と し て 産卵 さ れ る 。 ま ん じ ゅ う 型で， 多数の縦

隆起線 と こ れ ら を結ぶ多数の横隆起線 を 有 す る 。 産卵直

後 は 淡黄色であ る が， 後 に 紫黒色の環状の紋が卵 の 肩 に

現れ， ふ化前 に は 全体が紫黒色 に な る (於保， 1990) 。

( シ ロ シ タ ヨ ト ウ ) 直 径 約 0 . 71 mm。 葉 裏 に 二， 三

層 に 重 ね て 産卵 さ れ， 50�200 卵 に 達 す る 。 ま ん じ ゅ う

型で， 多数の縦隆起線 と こ れ ら を結ぶ多数の横隆起線 を

有 す る 。 黄 白 色 か ら 赤褐色， さ ら に 紫色 を 帯 び た 青色 と

な る (岩田 ら ， 1979) 。

1 齢幼 虫 :

( ヨ ト ウ ガ ) 頭幅約 0 . 31 mm。 体長約 1 . 6 mm。 頭部

は一様な茶褐色で， 胴部 の体色 は 淡緑色。 背楯， 刺毛基

板 は 茶褐色 で よ く 目 立 つ 。 旺上板 は 淡茶褐色。 第 3， 4

腹節の腹脚 は発達が悪 い。 大胞の鋸歯 は 6 本が認め ら れ

る が， 内歯 は な し ミ 。 刺 毛 は 毛状。

( シ ロ シ タ ヨ ト ウ ) 頭 幅 約 0 . 34 mm。 体 長 約 2 . 3

mm。 頭部 は黄褐色で茶褐色 の斑紋 を 備 え る 。 背楯 は 背

線付近で硬化が弱 い が， 茶褐色 で 目 立 つ 。 虹上板， 刺毛

基板 は 茶褐色 で よ く 目 立 つ 。 第 3， 4 腹節 の 腹脚 は 発達

が 悪 い 。 大 腿 の 鋸 歯 は 6 本 が 認 め ら れ る が， 内 歯 は な

い。 刺毛 は 毛状。

2 齢~終齢前 ま での幼 虫 :

( ヨ ト ウ ガ ) 2 齢， 3 齢 に な る に し た が っ て 体色 は 濃

く な る 。 4 齢 に な る と 頭部 は 黄褐色， 胴部 は 淡褐色 や 灰

黄色や灰黒色 と 変異が多 い が， 全面 に 灰黄色の細 か い 点

が密 に 散 ら ば り ， ま た体の側面 に 黄色 か ら 燈黄色の線が

あ る 。 気門 と 腹面 は 灰黄色で あ る (於保， 1990) 。

( シ ロ シ タ ヨ ト ウ ) 若齢， 中齢では頭部 に 茶褐色 の斑

紋 が あ る 。 若齢 の う ち は 胴 部 は 緑色。 2 齢 で は 第 3， 4 腹節の腹脚 は ま だ発達が悪 い が， 3 齢 か ら 4 齢 に か け て

ほ ぽ十分 に 発達 し て く る 。 2 齢， 3 齢 で は 刺 毛 基板 は I

齢ほ ど 目 立 た な い が茶褐色 で， 4 齢 で は さ ら に 目 立 た な

く な る 。 若齢か ら 中齢 に か け て は， 背楯， 旺上板 と も 淡

色 と な り あ ま り 目 立 た な い。

皿 婦 の 識 別 法

1 煽 の検索表

1 . 第 10 腹節後半音11 は 小 さ な 尾突起 と な り ， 末 端 の l

対の 尾刺 は 長 く ， 平行 す る 。 - … … ・ … . . ， ・ H ・ ヨ ト ウ ガ

第 1 0 腹節後半官11 は 長 大 な 尾突起 と な り ， 末 端 の l

対 の 尾刺 は 短 く ， 先端で聞 く 。 ・ … ・ ・ シ ロ シ タ ヨ ト ウ

2 婦 の記載

第 1 0 腹 節 の 尾突起 と 尾刺 の 形状 で両種 は識別可能 で

あ る 。 ヨ ト ウ カ申 の 尾突起 は 小 さ く ， 多 く の彫刻 を 備 え る

が， 一方， シ ロ シ タ ヨ ト ウ の 尾突起 は 長大 で， そ の側 方

部 は 縦 に 走 る 彫刻 を持 つ 。 1 対 の 尾刺 は ヨ ト ウ ガ で は 長

く 平行 に 走 る が， シ ロ シ タ ヨ ト ウ で は 短 く 先端 は 開 く 。

ま た ， ヨ ト ウ ガ の 尾突起側 方 に は I 対 の 細 い 刺 毛 が あ

る 。 図-3 で は ヨ ト ウ ガ は 雄踊， シ ロ シ タ ヨ ト ウ は 雌 蝋

を 示 し て い る の で注意 し て ほ し い。 体長 は 両種 と も ほ ぼ

同 じ で約 22 mm で あ る 。

W ヤ ガ類の形態 ・ 用 語の説明

日 本 の ヤ ガ の 成 虫 を 同 定 す る に は ， 現 在 で は 井 k ら

( 1 982) が最 も 参考 と な る 。 こ の 図 鑑 に は 1 ， 200 余種の

ヤ ガが収録 さ れ て い る が， そ の後約 100 種が新た に 記録

さ れ た の で， 現在 は 1 ， 300 余種 の 分 布 が 確認 さ れ て い

る 。 し か し ， そ の う ち の一部の種の幼生期 や生態が解明

図-3 ヨ ト ウ ガ と シ ロ シ タ ヨ ト ウ の焔 の 第 H�lO 腹自rrl

A : ヨ ト ウ ガ 脱 出m � i 側 面 図 ， B : ヨ ト ウ ガ 雄 白石 腹 I削

|立し c : シ ロ シ タ ヨ ト ウ 雌踊右側IJl師[>:<[， 0 : シ ロ シ タ

ヨ ト ウ 雌踊腹ïflíl立1. [ [ 盛 1 111m.

一一 28 一一一

ヨ 卜 ウ 類の識別法 ヨ ト ウ ガ ・ シ ロ シ タ ヨ ト ウ 279

さ れて い る に す ぎ な し 3。 既知種の約 l 割 に 当 た る 126 種が筈虫 と し て 「農林有害動物 ・ 昆 虫名鑑J ( 1 987) に 採録 さ れて い る が， こ れ ら で さ え も 幼生期 の記載 は 十分 でな い こ と が 多 し ミ。 今後近縁種 と の 比較検討 が詳細| に され， 簡易で実用的な検索表の作成が望 ま れ る 。

こ れ ま で 4 団連載 し た 植物防疫基礎講座 「 ヤ ガ類の見分 け 方」 は 今 回 で終わ り と な る が， 前 固 ま では紙聞の制限 の た め言及す る こ と がで き な か っ た ヤ ガ類の基本的な形態で， よ く 質問 を 受 け る い く つ か の点 に つ い て 以下簡単 に 解説す る 。

1 幼 虫の形態

ヤ ガ科の幼虫 は一部の亜科の ケ ム シ 型 を 除 け ば ， 大部分 は イ モ ム シ 型 で あ る 。 図 4 に 示 し た よ う に ， 前 方 より 頭部， 胸部 (前胸 ・ 中 IJ旬 ・ 後 IJ旬) ， 腹部 (第 1 � 1 0 Jl友節) と に 分 か れ る 。 前胸お よ び第 1 0 腹節背面 は硬皮板と な る こ と が あ り ， こ れ ら は 背 楯 (前胸上の も の) ， IJI 上板 (第 1 0 腹節背関上の も の) と 呼 ば れ る o 胸部各自í'iは よ く 発達 し た 1 対 の 胸脚 を も っ。 前 胸 お よ び第 1 �8腹自i[î側方 に は気門があ る 。 第 3�6 腹節 と 第 1 0 11変節 に はl 対 の腹倒l が あ る が， こ の う ち 特 に 第 1 0 腹自(r'i の腹!肉l は尾胸! と も H乎 ば れ る 。 グ ル ー プや 種 に よ っ て は ， 第 3， 4 J復節の!復脚が消失 し た り ， 未発達で， 擬 シ ャ ク ト リ ム シ状の動 き を す る た め ， セ ミ ル ー パー と い う 。 第 3 @]連載(吉松， 2001 cl で扱 っ た カ ブ ラ ヤ ガ と タ マ ナ ヤ ガ や 今回 の 2 種 の よ う に， 終 齢 の Jl夏!肉l は す べ て よ く 発達 す るが， 若齢で は 第 3， 4 /段節の腹脚が未発達 と な る よ う な場合 も あ る 。 幼虫 の形態や色彩は齢期が変わ る に つ れ て変化す る 場合 も 多 い の で注意が必要 であ る 。 キ ヨ 卜 ウ 類の大胞の形態 (吉松， 2001 b) や タ パ 才 カ攻良の皮I\\'j上 の

A

A P L

図 4 鱗麹類幼虫 の 一 般 的 形 態 と 体域 名 ( 1 )1':' 川叫)N，

1 962 を 改変 )

一 lニ : if!iJ l百図， 下 . 背而図 ( ア ノレ プ ア ベ ッ ト は 形態，

数 字 は 休域 名 を 表 す ) . 1-1 顧問�， T 胸部， A : 11支部， TL : J陶開1， PL : 版刷1， A P L : 尾 j肉1， 1 : 背 域，

2 : !lE背域， 3 : 気門上域， '1 ・ 気門下城， 5 : J阪域.

刺の形状 (吉松， 2001 a ) も そ の よ い例 で あ ろ う 。 た だし ， こ れ ま での研究 の ほ と ん ど は終齢幼虫 に つ い て の みで若齢 ・ 中齢Ý)J!Í( に ま で は 及 ん で い な い こ と が多 い。 今後 は 全 ス テ ー ジ に わ た る 形態の解一明が望 ま れ る 。

幼虫胴古1\ (胸部 と 腹部) に は斑紋 に 加 え て 縦 線の あ るこ と が あ り ， こ れ ら は 一般 に 1�1 -5 の よ う に 名 付 け ら れて い る ( 白 水， 1 960) 。 ま た ， 1阿 部 の 体域 は お よ そ 図 4の よ う に 分割 で き る (PETI川口氏， 1 962 : 1三l 本蛾類学会，1 977) 。 た だ し， 研 究 者 に よ っ て は こ れ ら 以外 の 用 語 を使用 す る 場合 も あ る 。 幼虫の体色や�I 紋の記載の基本用語 と し て し ば し ば用 い ら れ る の で参 考 に し て ほ し い。 幼虫の頭部， 1阿部 の 刺 毛 は 一 定 の 方式 に 従 っ て 配列 さ れ てお り ， 現在 は H inton 方 式 が普通 に 用 い ら れ る O 腹部の基本的な刺毛配列 を 図-2 に 示 し た 。 腹脚 の 鈎爪 は 同長，長短二様交互の 2 通 り が見 ら れ る 。2 婦 の 形態

踊 は幼虫 に 比較 し て さ ら に 研究 が不十分で、あ る 。 ヤ ガ科内 に お け る 近縁種問 で は ， 尾端の形態等 に 差が現れ るこ と が 多 い。

----ゅ ー- - - - - ーー ーーーー ・ I

A 句、‘ーーー『・ーー- 8

図 - 5 �麹j類幼虫胴古1の縦線 ( 白 水， 1960 を改変)

1 : 背紋， 2 : !t1î背紋， 3 気門上線， 4 気門線， 5 : 気 門 下 線， 6 : 基 線， 7 : J二 !阪 線， 8 : J阪 k�R， 5 : 気

いJ.

B B

9 1 0 ハUI

図 - 6 ヤ ガ鎖�tilí第 8�10 )仮ffr'iの 般的形態

右ニ タ バ コ ガhJlj印， 右 : タ バ コ ガ 雌姉. A : m:門，sx 生内il Jコ.

29 一一一

280 植 物 |釣 疫 第 55 巻 第 6 号 (200 1 "'1')

踊 の 第 8� 1 0 腹節腹面の形態 は雌雄間 で奥 な る の で注

意 し て ほ し し 〉 。 第 8� 1 0 腹節 は 固着 し て 動か な い の で，

第 7 腹節 よ り 前方 の腹節 に比べ る と 境界が そ れ ほ ど明瞭

で は な し 冶。 第 8， 9 腹節 聞 の境界線 と 第 9， 10 腹節聞 の

境界線が， 雄 で は 生殖 口 に 向 かわ な い が， 雌で は こ れ ら

の境界線が腹 方 で生殖円 に 向 か つ て 強 く 周 曲 す る こ と で

区別 で き る ( 岡 6) 0 !江門 よ り 後 方 に 位置 す る 尾刺， 刺

毛， 尾鈎の形状 は 同種 で あ れ ば雌雄同 じ で あ る 。

お わ り に

体色や斑紋 は幼虫 が生 き て い る 聞 は 明瞭 で識別 す る 際

の重要な形質 と な る こ と が あ る が， 長期間 ア ル コ ー ル に

漬 け て お く と 消 失 す る 。 ま た ， 幼虫固定時の処理が悪 い

と 体全体が真 っ 黒 に な り ， 斑紋 ど こ ろ か刺毛や彫刻の位

置や形態の観察 ま で も 困難 に な る 。 筆者 は 生 き た 幼虫 を

ビ ー カ ー に 入れ 上 か ら 十分 な 量 の 熱湯 を 注 ぎ， さ め る ま

で し ば ら く 開 い た 後 に ， 幼虫の み を ピ ン セ ッ ト でつ ま み

出 し ， 80%程度 の ア ル コ ー ル が入 っ た 管 ピ ン に 入 れ標本

と し て い る 。 ま た ， 長期間 に わ た る と 保存則 の ア ル コ ー

ル は蒸発 し て な く な っ て し ま う の で時折補充 す る 必要が

あ る 。 幼虫 の |寸 定 は ア ル コ ー ル標本 の み で も 可能 な場合

も あ る が， 幼虫 ( 特 に 終齢) の生態写真， 寄主植物の情

報があ れ ば さ ら に よ い。

最後 に な っ た が， 材料の 一部提供 と 本稿 を 校聞 い た だ

い た 服部伊楚子氏 お よ び ヨ ト ウ ガ の卵塊 を 提供 い た だ い

た 独立行政法人農業技術研究機構中央農業総合研究 セ ンタ ー の後藤千枝博士 に お 礼 申 し 上 げた い 。 ま た ， コ ン ピ

ュ ー タ ー で の 作 図 の 労 を 取 ら れ た 末 永 雅彦氏 に 感 謝 す

る 。

引 用 文 献1 ) 服部伊鐙 子 ( 1 962) : 純物|坊疫 16 : 1 7 1 � 1 74 2) 升 ト ti ( 1 982) : 1 1 本産蛾類大図鑑， 講談社。 東京. Vo l .

1 : 1 �968 : Vol . 2 : 1 �556. pls 1 �392 . 3 ) 岩田 勉 ら ( 1 979) : 北海道病害虫防除提要 (昭和 54 年

版) ， 北海道柄物防波協会. 札幌 429 pp 4 ) 日 本蛾類'学会 ( 1 977) : グ リ ー ン プ ッ ク ス 32 蛾 の 研究

手引き 蛾類研究 ガ イ ド ( 2 ) . ニ ュ ー ・ サ イ エ ン ス 社，東京. 57 pp.

5) 於保信彦 ( 1 990) : ll�g提総覧 原色病害 虫 診 断 防 除 編 3.追録第 20 -l手， t主村部Ï;l村文化協会， 東京， pp. 1 5�25

6) PETI':J日りN . A. ( ] 962) : Larvae of lnsects， Parl 1 ， Le. pidoptera and l' lanl Infesting I-I ymenoptera ， ColUl1lbus， Ohio， 3 1 5 pp.

7) 白 水 |経 ( 1 960) ・ 版色 I 1 本蝶類幼虫大図鑑， 保育社， 大阪， 1 42 pp

8) 山 本 義 丸 ( 1 965) : 原色 1 1 本蛾類幼虫医| 鑑 (上) ， 保育 制 ，大阪 pp. 76�77

9) 吉松慎一 (2001 a ) : 梢物防疫 55 ( 2 ) : 83�86. 1 0) --- (20<)] b) : 同 1 '. 55 ( 3 ) : 1 30�1 33. 1 1 ) -- - (200 1 c) ・ |司 1 : 55 ( 4 ) : 1 76� 1 79 .

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