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文字・図形模写調査の結果

� 子安�増生・郷式　徹

1．目　的

　小学生の重要な発達課題の一つに漢字の学習がある。

漢字は、学校教育では学年別に配当され、筆順ともに教

えられる。しかしながら、低学年までの子どもたちは、

複雑な漢字を一種の「図形」として認識している可能性

が高い。テレビ・ビデオ視聴は「図形としての漢字」の

認知・表現にどのような影響を与えているのかを調査す

る。図形に関しては、幼児や低学年の児童では苦手とさ

れる「ひし形」の模写と、児童の視覚認知能力の評価に

用いられる Rey-Osterrieth の図形（図1）も併用した。

2．方　法

　“子どもに良い放送”プロジェクトの第9回調査において、文字・図形模写への回答があった

8歳児 836 人を対象とした。調査時点（2011 年1月）において、695 人が２年生で男女児とも平

均年齢は8歳７か月、年齢範囲は8歳５か月～8歳9か月、141 人が3年生で男女児とも平均年

齢は8歳 10 か月、年齢範囲は8歳 10 か月～8歳 11 か月であった。

3．分析と結論

　漢字模写　テレビ・アニメなどのタイトルにしばしば含まれる漢字の「撃」「魔」「麗」「隊」

の模写を求めた。模写された漢字の美しさの評定値には有意な性差が見られ、男児よりも女児の

ほうが、２年生よりも3年生のほうがきれいに漢字を模写できていた。後者は1年分の学校教育

の経験の長さによる影響と考えることができよう。

　ひし形模写　男児よりも女児の得点が高かった。言語能力は女児が、図形処理能力は男児が平

均的に優れると言われていることは、本研究では逆の結果となった。

　レイ（Rey-Osterrieth）の図形　「モデル図形にある各要素が描けているか」および「全体の

バランスが良いか」について、男児よりも女児の得点が高かった。

　模写とメディア指標の関連　メディア接触の各指標と模写課題の各指標との相関では、女児に

おいてテレビ接触時間量と漢字の評定値、および、テレビ接触時間量とレイの図形の「全体のバ

ランスが良いか」の評定値のそれぞれの間に、有意ではあるが低い負の相関が見られた。男児に

おいては、有意な相関はまったく見られなかった。

　結論として、図形認識に及ぼすメディアの影響は比較的少ないと言えよう。

図1．Rey-Osterrieth�の図形

1

Rey-Osterrieth

9

8 836 2011 695

8 7 8 5 8 141

8 10 8 10 8 11

2 3

1

Rey-Osterrieth

Rey-Osterrieth