低周波増幅回路 直流増幅回路ではcr結合増幅回路...

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低周波増幅回路, 直流増幅回路ではCR結合増幅回路 結合増幅回路 結合増幅回路 結合増幅回路を使用 することができない⇒ 直結増幅回路 直結増幅回路 直結増幅回路 直結増幅回路が利用される [直結増幅回路の問題点] ○互いのバイアス電圧が相互に影響を与えるため, 独立した 回路として設計することができないため, 設計が煩雑になる。 ○入力電圧が零でも微小な直流出力電圧が現れることがある。 これをオフセット オフセット オフセット オフセット電圧 電圧 電圧 電圧と呼んでいる。オフセット電圧は, 周囲の 温度変化, 電源電圧変化, 経年変化などによっても変動し, 力信号を加えていないのに, 回路内で生じた変動が増幅され て現れることがある。これをドリフト ドリフト ドリフト ドリフトという。 差動増幅回路 差動増幅回路 差動増幅回路 差動増幅回路を低周波増幅回路や直流増幅回路などの初段 に用いることにより, オフセット電圧ドリフトの問題を解決する ことができる。

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低周波増幅回路, 直流増幅回路ではCR結合増幅回路結合増幅回路結合増幅回路結合増幅回路を使用することができない⇒直結増幅回路直結増幅回路直結増幅回路直結増幅回路が利用される

[直結増幅回路の問題点]

○互いのバイアス電圧が相互に影響を与えるため, 独立した回路として設計することができないため, 設計が煩雑になる。

○入力電圧が零でも微小な直流出力電圧が現れることがある。これをオフセットオフセットオフセットオフセット電圧電圧電圧電圧と呼んでいる。オフセット電圧は, 周囲の温度変化, 電源電圧変化, 経年変化などによっても変動し, 入力信号を加えていないのに, 回路内で生じた変動が増幅されて現れることがある。これをドリフトドリフトドリフトドリフトという。

差動増幅回路差動増幅回路差動増幅回路差動増幅回路を低周波増幅回路や直流増幅回路などの初段に用いることにより, オフセット電圧とドリフトの問題を解決することができる。

6.1 直流電流源回路 (定電流源)

直流電圧源⇒電池など

直流電流源⇒ トランジスタを使用して回路的に実現する (トランジスタのコレクタ抵抗が高いことを利用している)

RE2RE1

Q1 Q2

VCCVCC

IC

R1Iref

VBE

ZL

IC

Q2のIB≒0とすれば

Iref=VCC-VBE

R1+RE1

RE1

R1Iref

VBE

VCC

IB≒0

VE1=RE1Iref=VE2

IC=IE2= =VE2

RE2

RE1Iref

RE2VBE

=RE1

RE2

VCC-VBE

R1+RE1

≒RE1VCC

RE2(R1+RE1)(VBE≪VCC)

RE2RE1

Q1 Q2

VCCVCC

R1Iref

VBEVBE

出力インピーダンス (電流源の内部抵抗Zo)

IC

ZL

ZoRE1Iref

RE2

rb2+re2+RE2+R0 Zo=rc2+

(rb2+R0)(re2+RE2-αrc2)

トランジスタQ2の出力インピーダンスZo

はエミッタ接地回路であるのでテキストP.72表3.2の精密式のreをre2+RE2として

ただし、RoはQ2のベース側から左に接

続されている回路の出力抵抗である。

RE2

Q2

IC

Ro RE1

Q1R1

Ro

RE1

Q1R1

Ro簡易等価回路ib

iere1

rb1

βib

R1

RE1

Ro

[Roの計算]

Q2のベース側から左に接続されている回路の出力抵抗Ro

は、エミッタ接地基本増幅回路の簡易等価回路を用いれば図のようになるので、これより求めると

Ro≒R1//(re1+RE1)

Q1

Q2

VCC

ICR1Iref

Iref=VCC-VBE

R1

IB

IB

IC=β0IB

Iref=2IB+β0IB=(2+β0)IB

IC=β0

Iref

2+β0

= Iref2β0

1+

1

≒ Iref (β0≫1)

Q1 Q2

ICIref

カレントミラー回路(IC≒Irefとなる回路)

(ICEO=0)

[RE1, RE2を取り除いた回路]

通常の表記

Q1 Q2

IC

Iref

高性能カレントミラー回路(IC≒Irefとなる回路)

VCC

Q3IB

(1+β0)IB

β0IB

IC=β0(1+β0)IB

2

= IB2+β0+β0

2

2

≒ Iref

Iref=IB+β0(1+β0)IB

2

IC=

= Iref1+

1

β0+β02

2 2+β0+β02

2Iref

β0+β02

2

[高性能カレントミラー回路]

[多出力のカレントミラー回路(電流の複製回路)]

Q1

Q2

VCC

ICR1Iref

IB

Q3

IC

Q4

IC

Q1 Q2

ICIref

通常の表記

Q3

IC

Q4

IC

6.2 差動増幅回路

6.2.1 基本回路

RC

RE

VCC

RC

VEE

v3 v4+

~ v1+

~v2

図6.4 差動増幅回路

RE

v3

RC RC

+

~v1

rb rbre re v4

+

~v2I II

βib1βib2

ib1 ib2(1+β)ib1 (1+β)ib2

図6.5 差動増幅回路の等価回路(内部抵抗ρを除く) (内部抵抗ρを除く)

① ②

③ ④Q1 Q2

ループIよりv1=rbib1+re(1+β)ib1+RE(1+β)(ib1+ib2)=[rb+(1+β)(re+RE)]ib1+(1+β)REib2

=[Rie+(1+β)RE]ib1+(1+β)REib2

ループIIより

式(6.9)と式(6.10)より、ib1, ib2を求めると

v2=rbib2+re(1+β)ib2+RE(1+β)(ib2+ib1)=[rb+(1+β)(re+RE)]ib2+(1+β)REib1

=[Rie+(1+β)RE]ib2+(1+β)REib1

(6.9)

(6.10)

Rie=rb+(1+β)re

ib1=[Rie+(1+β)RE]v1-(1+β)REv2

Rie[Rie+2(1+β)RE]

ib2=[Rie+(1+β)RE]v2-(1+β)REv1

Rie[Rie+2(1+β)RE]

ただし、

(6.11)

(6.12)

(6.13)

出力電圧v3, v4は

v3=-βRCib1

=-βRC

[Rie+(1+β)RE]v1-(1+β)REv2

Rie[Rie+2(1+β)RE]

v4=-βRCib2

=-βRC

[Rie+(1+β)RE]v2-(1+β)REv1

Rie[Rie+2(1+β)RE]

(6.14)

(6.15)

ここで、出力をvo=v3-v4とすると

vo=-βRC(ib1-ib2)=- (v1-v2)βRC

Rie(6.16)

が得られる。これを差動出力という。式(6.16)より差動利得Adを

次式のように定義する。

Ad= =-βRC

Rie

v3-v4

v1-v2

(6.17)

差動利得は2つの入力端子間(①-②)に入力された電圧に対する2つの出力端子間(③-④)の電圧の比である。

次にvo’=v3+v4を求めると、式(6.14)と式(6.15)より

=-βRC

[Rie+(1+β)RE]v1-(1+β)REv2

Rie[Rie+2(1+β)RE]

+[Rie+(1+β)RE]v2-(1+β)REv1

Rie[Rie+2(1+β)RE]

vo’=v3+v4=-βRC(ib1+ib2)

=- (v1+v2)βRC

Rie+2(1+β)RE(6.18)

これより

Ac= =-v3+v4

v1+v2

βRC

Rie+2(1+β)RE(6.19)

が得られる。これを同相利得という。

v1

v2

v3

④v4

vi vo同相利得において、v1=v2とすると式(6.14)と式(6.15)より

v3= v4= Acv1(=Acv2)(6.20)

voはv1=v2とすると零となり、等しいトランジスタのパラメータ変化は、voを出力とすれば、出力に影響を及ぼさない。

差動増幅回路⇒2つの入力端子に加えられた電圧の差を増幅する目的の回路

差動利得は大きい方が良く、同相利得は小さい方が良い

差動増幅回路の入出力

差動増幅回路の同相分vcと差動分vdを次のように定義する。

同相入力電圧: vc= (6.21)v1+v2

2v1-v2

2差動入力電圧: vd= (6.22)

この2式を用いるとv1=vc + vd

v2=vc-vd

(6.23)

式(6.23)を式(6.14), 式(6.15)に代入すると

v3=- vc- vd=Acvc+AdvdβRC

Rie+2(1+β)RE

βRC

Rie

(6.24)

βRC

Riev4=- vc+ vd=Acvc-Advd

βRC

Rie+2(1+β)RE(6.25)

が得られる。vo(=v3-v4)を出力とすれば、同相成分vcは出力に現れず、差動成分vdだけが利得倍されて出力される。

同相成分 差動成分

同相成分 差動成分

[同相除去比CMRR(Common Mode Rejection Ratio)]

差動増幅器では、Acは小さく、Adは大きい方が好ましい。そこでAcとAdの比を差動増幅回路の良さを表わす尺度して用いる。

式(6.17), 式(6.19)を式(6.26)に代入すると

CMRR=Ad

Ac(6.26)

CMRR=1+2(1+β)RE

Rie

式(6.27)より、CMRRを大きくするには、REを大きくすればよい。

(6.27)

6.2.2 高CMRR差動増幅回路

CMRR=1+2(1+β)RE

Rie

高CMRR⇒REを大きくすればよい

RC

RE

VCC

RC

-VEE

v3 v4v1 v2

RE⇒大, VEE⇒大となる

RC

VCC

RCv3 v4v1 v2

VCC

RE2RE1

Q3 Q4

R1Iref

VBEVBE

-VEE

トランジスタによる電流源

(出力インピーダンスZoが大きい)

Q1

Q1

Q2

Q2

6.2.4 単一出力差動増幅回路

v1

v2

v3

④v4

vi vo

差動増幅回路の入出力

v1

v2

vo=v4

vi

単一出力差動増幅回路

2入力 2入力2出力 1出力

VCC

RC

v4v1 v2

Q1 Q2

R1

-VEE

Q3

Q4

トランジスタによる電流源

VCC

v4

v1 v2

Q1 Q2

R1

-VEE

Q3

Q4

トランジスタによる電流源

Q5

-VEE

Q6Q7

カレントミラー回路

ic1 ic2

ic1 ic1-ic2

(6.35)

v4=Acvc-Advd

=-Ad(vd- )vc

CMRR

CMRR=Ad

Ac

Ac=Ad

CMRR

vcが残る

図6.12 単一出力差動増幅回路

vo=v3-v4=-βRC(ib1-ib2)

v4=RL(ic1-ic2)

=RL(βib1-βib2)

RE

v3

RC RC

+

~v1

rb rbre re v4

+

~v2I II

βib1βib2

ib1 ib2(1+β)ib1 (1+β)ib2

ic1 ic2

図6.5 差動増幅回路の等価回路

図6.5の2出力の差動増幅回路では

図6.12の単一出力差動増幅回路の出力に高インピーダンス負荷RLを接続したとすれば

= (v1-v2)βRL

Rie

=- (v1-v2)βRC

Rie

=βRL(ib1-ib2)

v1=vc + vd

v2=vc-vd(6.35)

=Ad’(2vd)

6.4 ダーリングトン接続トランジスタ

Q1

Q2

ic2

ie

icib

ib2

ic1

Q

ib ic

ie

等価

ib ic

re1

rb1 (1-α1)rc1

α1rc1ib

E

C

B

-+

(1-α2)rc2

+

α2rc2ib2

ib2 ie re2

v2v1

rb2

トランジスタを2個使用して, 等価的に

βの大きなトランジスタを実現

図6.15 ダーリングトン回路の交流等価回路(電圧源表示)

Q1

Q2

ib

ic

re1

rb1

β1ib

ib2 ie re2

v2v1

rb2

β2ib2

Q1

Q2

ダーリングトン回路の簡易等価回路

ib2=ib+β1ib= (1+β1)ib

ie=ib2+β2ib2= (1+β2)ib2

ic=β1ib+β2ib2

=β1ib+β2(1+β1)ib

=(β1+β2+β1β2)ib

=β1+β2+β1β2

β=icib

≒β1β2

β=β1+β2+β1β2= + +α1

1-α1 1-α2

α2

(1-α2) (1-α2)α1α2

= ≒β1β2(1-α2) (1-α2)α1(1-α2)+α2(1-α1)+α1α2

[差動利得Adと同相利得Acの導出]

ループIよりv1=[Rie+(1+β)RE]ib1+(1+β)REib2

ループIIよりv2=[Rie+(1+β)RE]ib2+(1+β)REib1

Rie=rb+(1+β)reただし、 , vo=v3-v4 , vo’=v3+v4

v3=-βRCib1

v4=-βRCib2

vo=-βRC(ib1-ib2)

vo’=-βRC(ib1+ib2)

v1-v2=Rieib1-Rieib2=Rie(ib1-ib2)

v1+v2=[Rie+2(1+β)RE](ib1+ib2)

ib1-ib2=v1-v2

Rie

ib1+ib2=v1+v2

Rie+2(1+β)RE

Ac= =-v3+v4

v1+v2

βRC

Rie+2(1+β)RE

Ad= =-βRC

Rie

v3-v4

v1-v2 *テキストP.125図6.7の等価回路を用いても導出できる