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0 ネットワークゲーム時代に求められる、 ゲームプランナーの基礎知識 株式会社DropWave 代表取締役 本城 嘉太郎

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CEDEC2011での講演資料です。

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Page 1: 【Drop wave】cedec2011『ネットワークゲーム時代に求められる、ゲームプランナーの基礎知識』

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ネットワークゲーム時代に求められる、

ゲームプランナーの基礎知識

株式会社DropWave 代表取締役本城 嘉太郎

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■DropWaveについて

■株式会社DropWave会社概要

株式会社DropWave事業内容:オンライン・ソーシャルゲームの企画、開発、運営設立 2005年7月従業員 70名所在地:東京都新宿区(新宿御苑前駅徒歩2分)

■講師経歴

オンラインゲーム制作&運営会社、株式会社DropWave代表取締役。 ゲームプログラマ出身で、自社開発のオンラインゲームエンジンの設計などを担当。 近年はスマートフォンで遊べるオンラインゲーム、ソーシャルゲームの開発、運営に注力。 Cマガジン記事執筆、KGC2010講演、スッキリ!!出演など。

■開発タイトル実績

『脱出ゲームDERO!』会員数100万人以上『リヴリーアイランドCOR』会員数100万人以上『わんこのお部屋forモバゲー』会員数45万人以上

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■過去の作品

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■オンラインゲームエンジンを保有

■リアルタイム通信ができるオンラインゲームサーバエンジンを自社開発しており、本格的なオンラインゲーム開発が可能です。

■ソーシャルゲームを中心に、登録者数のべ300万人を超えるゲームを開発、運営しています。

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■本講演の趣旨

<本公演の趣旨>コンシューマゲーム開発者の視点から、オンラインゲームの開発、運営についてお話しします。

<本講演の対象者>何年も家庭用ゲームソフトを作ってきて、ゲーム作りには自信があるが、会社の命令で無料のオンラインゲーム/ソーシャルゲームを作れと言われ、いやいやながらも作るハメになってしまった方。

そして、作ったオンラインゲームを運営しろと言われて、いったい何をしたらいいのかわからない方

<もくじ>1、基礎知識編  ・オンラインゲームとコンシューマゲームの違い  ・オンラインゲーム用語辞典2、開発編  ・良いオンラインゲームの条件  ・オンラインゲーム設計のポイント3、運営編  ・オンラインゲームの運営の基本  ・コンシューマ経験者が陥りがちな罠4、最後に  ・質疑応答

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■1、基礎知識編

■オンライゲームとコンシューマゲームの違い

まず、コンシューマゲームとオンライン/ソーシャルゲームの違いを明らかにし、そこからコンシューマゲーム開発者が注意すべき点を見ていきます。

【オンゲーとコンシューマゲームの違い】

1,お客様のゲームに対するモチベーションの違い2,ビジネスモデルの違い3,コミュニティ要素の有無

【特にソーシャルゲームとコンシューマゲームの違い】

1,お客様の層の違い2,ゲームの操作性や難易度の違い3,お客様のプレイスタイルの前提の違い

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■1、基礎知識編

■オンライゲームとコンシューマゲームの違い1、お客様のゲームに対するモチベーションの違い

 コンシューマ:高い  5800円を先に払えるほどモチベーションが高い。

 オンライン/ソーシャル:低い  無料だからやってみた、という人が大半。

 ポイント:  最初に5800円払うほどのテンションを持って始めたのか、  たまたま無料だから始めたのか、その差は途方もなく大きい。  後者の一見さんのお客様を想定してゲームを作らなければならない。

  また、物理的なパッケージが手元に残らないため、ゲームの存在を  忘れられてしまったら、二度とゲームを起動してもらえない。

 具体的には?:  最初の5分間でその気にさせ、15分で完全にハマる演出が必要。  ソーシャルゲームやオンラインゲームで、最初やたらにレベルが上がるのはそのため。  また、翌日もゲームの事を思い出して起動してもらえるような仕組みを入れなければならない。

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■1、基礎知識編

■オンライゲームとコンシューマゲームの違い2、ビジネスモデルの違い

 コンシューマゲーム:  開発チームは面白い作るだけ。あとは営業と店舗が頑張って売ってくれる。

 オンライン/ソーシャルゲーム:  ゲーム内でお客様に課金アイテムを自らの手で売らなければならない。

 ポイント:  面白いゲームを作るだけではなく、商品設計、店舗運営のセンスが求められる。

 具体的には?:  お客様が欲しくなるアイテムを考えて、ゲームに組み込まないといけない。

  そして、ゲーム内で販売アイテムの広告バナーを貼ったり、  アイテムが欲しくなるタイミングで購入ページに飛ばしたりしなければならない。

  また、タイムセール、セット販売など、リアル店舗の販売促進手法が  すべて使える世界であり、売り方も自分で研究しなければならない。 

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■1、基礎知識編

■オンライゲームとコンシューマゲームの違い3、コミュニティ要素の有無

 コンシューマゲーム:  モンハンやWiiパーティーなどの例外もあるが、基本は一人用で遊ぶもの。

 オンライン/ソーシャルゲーム:  フレンドやギルドなど、コミュニティ要素が必ず入る。

 ポイント:  オンラインゲームでは、コミュニティ要素は継続率を押し上げる大変重要な要素。  コミュニティを維持するためのコミュニケーション機能も必須となる。

 具体的には?:  仲間と一緒に何かをして連帯感を深めることは非常に重要であり、  その課程でメッセージのやり取りがいかにスムーズに出来るかも超重要。  メッセージ機能、自分専用掲示板機能、グループチャット機能は最低限必須だと認識すること。

  コンシューマでは作らない所なので、その重要性が理解できず、初期仕様から漏れてしまったり、  まっさきに工数削減候補に挙げられてしまったりするので注意が必要。  コミュニティが盛り上がらないゲームは寿命が短く、売上も伸びなくなってしまう。

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■1、基礎知識編

■特にソーシャルゲームとコンシューマゲームの違い1、お客様の層の違い

 コンシューマゲーム:  お客様は高度に鍛えられたコアゲーマー層。  ゲーム機に2万円払えるほどのゲーム好き。

 ソーシャルゲーム:  お客様は現行ゲーム機を1つも持っていないほどの非ゲーマー。  でも、ゲームが嫌いな訳ではない人。

 ポイント  ゲーマーではない層に対してゲームを作っている事を強く意識しないといけない。  もしあなたがゲーム好きならば、自分が一番楽しめるゲームを作ると必ず失敗する。  自分も十分楽しめるけど、自分のオカンでも説明無しで楽しめるゲームを作らなければならない。

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■1、基礎知識編

■特にソーシャルゲームとコンシューマゲームの違い2、ゲームの操作性や難易度の違い

 コンシューマゲーム:  お客様は鍛えられたコアゲーマーなので、  高度な操作技術や、複雑なルールの理解を要求しても大丈夫

 ソーシャル:  お客様は非ゲーマーであり、ちょっと空いた時間に片手で数分間プレイしたいだけなので、  簡単な操作で、ほとんど迷わずにゲーム進行できないといけない

 ポイント  とにかく入力を簡単に、シンプルにすること。  しかしながら、結果の多様性は確保し、ゲームとしての楽しさ、戦略性は維持すること。  具体的には?  例えば、スゴロクのマスごとに、装備がもらえたり、敵を倒したり、ストーリーが  進行するようにすれば、RPGを作ることもできる。  しかし、やっていることはサイコロを振るだけで、誰でも出来る。  もう一度サイコロを振るべきか、今アイテムを使うべきか、などの戦略性の要素も入れられる。

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■1、基礎知識編

■特にソーシャルゲームとコンシューマゲームの違い3、お客様のプレイスタイルの前提の違い

 コンシューマゲーム:  お客様が集中して1,2時間連続して遊んでくれる前提でゲームを作る

 オンライン/ソーシャルゲーム:  細切れに空いた数分間で十分に楽しめて、やることが無くなるように作る。

 ポイント:  自分が作るゲームが、お客様のライフスタイルの中で  どのように遊ばれるのか、綿密なシミュレーションをすること。  しかもそのお客様は、非ゲーマーの忙しい一般人を想定して考えること。

 具体的には  1回のプレイ時間に10分かかると、電車の乗り換えの合間には遊べないし、  10分拘束されると思うとうんざりして起動してもらえなくなる。  また、次のプレイまでの時間が短すぎると、焦らされている感じがするし、  長すぎると遊べなくてイライラする。  非ゲーマーのお客様のライフスタイルにマッチしたプレイ間隔を実現するすること。  1時間後、3時間後、8時間後など、次プレイするタイミングを自分でコントロールできる  農園系のゲームは、この問題に対しての完璧な回答の一つ。

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■1、基礎知識編

■オンラインゲームの基礎用語 

オンラインゲームの話の中で、必ず出てくる基礎用語を解説します。

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■1、基礎知識編

■オンラインゲームの基礎用語 その1

1、日次アクティブユーザー数(DAU:Daily Active User)  その日にゲームにログインしたユニークユーザーの数。  デイリーUU(Unique User)とも言う。

2、月次アクティブユーザー数(MAU:Monthly Active User)  その月にゲームにログインしたユニークユーザーの数。  マンスリーUU(Unique User)とも言う。

3、課金者数(PU:Paying User)  課金したユーザーの数。主にデイリーとマンスリーで集計する。

4、全ユーザー平均課金額(ARPU:Average Revenue Per User)  DAUが1万人で、売上が100万円だった場合、デイリーARPU=100万円/1万人=100円となる。

5、課金ユーザー平均課金額(ARPPU:Average Revenuer Per Paying User)  DAUが1万人で、売上が100万円だった場合、そして課金者が100人いた場合、  デイリーARPPU=100万円/100=1万円となる。

6、課金率  全ユーザーの中で、課金してくれた人の割合。主にデイリーとマンスリーで集計する。

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■1、基礎知識編

■オンラインゲームの基礎用語 その2

7、継続率  ゲームを開始してから、翌日、1週間後、15日後、30日後で、  どれくらいの割合のお客様が継続して遊んでくれているかの指標。

  日本のガラケーソーシャルゲームの場合、翌日継続率は50%を上回れば上出来。  30日後継続率も20%あればスゴイといわれる。PCオンラインゲームではもっと高くなる。

8、KPI:Key Performance Indicator  重要業績評価指標。  主に、上記で説明した各指標(DAU/MAU、PU、ARPU、ARPPU、課金率、継続率)  のことを指す。この指標を確認するための運営ツールを、KPIツールと呼ぶこともある。  KPIレポート、という言い方もする。

9、LTV:Life Time Value  顧客生涯価値。  1人のお客様がゲームを始めてから、辞められるまでに使ってくれるお金の総額。  パッケージは一度購入したら終わりだが、オンラインゲームは毎月お金を払ってもらえるので、  継続率を上げれば、LTVは何倍にもなる。

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■2、開発編

■オンラインゲーム設計のポイント

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■2、開発編

■オンラインゲーム設計のポイント

1,大前提として、面白いゲームを作ること

オンラインやソーシャルだから、多少つまらなくてもいいのでは、ということは全くなく、必ず面白いゲームである必要がある。そうでないと継続率が維持できず、成功が望めない。

2,ビジネスモデルとしてゲームを設計する

ゲームの基本サイクルの中に、課金ポイントを最初から必ず組み込んでおくこと。課金ポイントを意識せずに設計してしまうと、あとから課金ポイントを埋め込みづらくなる。ゲーム設計と課金設計はかならず同時に行うこと。

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■2、開発編

■オンラインゲーム設計のポイント

3,非課金者と課金者で二重にゲームバランスを整える

コンシューマでは、なにも考えずにゲームバランスをとればOKだが、オンラインゲームでは課金、非課金と、2種類のプレイヤーがいる前提でゲームバランスを整えなければならない。

重課金プレイヤーは全体の数%なので、課金プレイヤーが圧倒的に強くなっても大丈夫。(圧倒的に強い人が、全体の数%になるようなバランス、価格設定を行うこと)

全体の9割以上は無課金者同士、および軽課金者同士の戦いになり、それほど理不尽な事にはならない。

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■2、開発編

■オンラインゲーム設計のポイント

4,課金と非課金の差を見えにくいようにする

ゲームにもよるが、課金していることが露骨にわかる圧倒的に強い課金アイテム(課金でしか手に入らない、相手に見える武器など)は、非課金ユーザーが課金ユーザーを非難する口実になるし、無課金ユーザーの心を折ってしまう。

無料でもがんばれば有料ユーザーと同じくらい強くなれるように思わせないといけない。そのためには、利用していることが分かりづらい課金アイテムがオススメ。

超強い課金武器を直接売るのではなく、超強い課金武器を合成成功させるためのアイテムを販売する。無料ユーザーでもこの武器は手に入るが、かなりの努力が必要になる。結果的に課金者の方が強い武器を持っている、という状態がオススメ。

また、時間短縮アイテムも、課金と非課金の境界線を曖昧にできて良い。ヘビーユーザーなのか課金ユーザーなのか見分けがつけられないため。

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■2、開発編

■オンラインゲーム設計のポイント

5,消費アイテムを中心に商品設計する

○時短、体力回復、確率UP →同じアイテムが売れ続けるため運用が楽。コストも抑えられて収益化しやすい。

×アバター、新しい武器 →デザイン素材の制作コストがかかり続ける。運営が大変。

6,アバターゲームを作ってはいけない

アバターゲームの問題点・まったりユーザーが残るので、課金されない。・課金の必然性が演出しづらい。・新規アバターを追加し続けるため運営コストがかかる・ゲーム性が浅くなりがちで、コアゲーマーがよりつかない   →あまり儲からない

どうしてもアバターアイテムを売りたい場合は、せめてゲーム本編に作用するパラメータを持たせれば、アバターに興味はなくてもゲーム本編を有利にすすめたいゲーマーが買ってくれるようになる。

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■2、開発編

■オンラインゲーム設計のポイント

7,どうしても課金したくなる場面を演出する

●滅多に出ないラッキーチャンスを逃したくない演出「はぐれメタルが逃げなくなるアイテムが300円だったら買いますか?」  →買います!

●今だけお得という演出「フィーバータイム発生!いまから5分間経験値3倍!」  →体力回復が売れる

●今課金しないと、また面倒なことになる演出「あと1個でお宝コンプだけど、回復を待っている間に奪われそう...」  →体力回復が売れる

こういった課金演出を、ゲームのメインサイクルの中に組み込むことが重要。

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■2、開発編

■オンラインゲーム設計のポイント

8,コミュニティを活性化させる

・仲間がいると有利になる、助けてくれる、プレゼントが贈られる →「怪盗ロワイヤル」のあいさつ、ボス戦共闘、応援要請

・仲間と協力して目的達成→MMORPGのギルド戦や、パーティープレイ

ゲームの中で知り合った仲間と関係を深めて、関係を切ることに罪悪感を覚えるほどにすれば、そのゲームは長く遊ばれることになる。

結果的に、LTVの最大化に繋がる。

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■3、運営編

■オンラインゲームの運営の基本

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■3、運営編

■オンラインゲームの運営の目的とは?

お客様の顧客生涯価値(LTV)を最大化すること。

お客様が、ゲームを始めて、やめていくまでに、いくらお金を使って頂くかによって、オンラインゲームの売上は決まる。

LTVを上げるためには、まず継続率が最も重要。次に、課金率、課金額の順番に上げていくこと。

継続率を上げるには、お客様にゲームを心から気に入って頂く必要がある。ゲームの成功は、最終的にはお客様の満足度をどこまで上げられるかに集約される。

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■3、運営編

■オンラインゲームの運営の基本

1,ここからが本番!開発完了しても絶対気を抜かない!

コンシューマの会社にありがちなのが、完成して安心するパターン。ここで気を抜くと即座に失速して墜落する。開発と運営は両輪。どちらが欠けても失敗する。

リリースできても、開発で言えば、やっとα版が出来て、これからβ版を作るか、くらいのフェーズであり、まだ全然未完成の状態であることを自覚すること。

2,自分は今日からコンビニの店長だ、と気持ちを切り替える

いままでゲーム制作に集中していた人が、今度はカリスマ販売員にならないといけない。お客様との距離が遠かったゲーム開発者にとっては、かなり新鮮な体験となる。接客業の経験など、顧客とのコミュニケーション経験のある人が向いている。また、売り上げ管理が好きな人ほど向いている。

毎日、来客数や、POSデータを見て、どうやったら売り上げがもっと上がるか、お客さんがもっと楽しんで盛り上がるかを、毎日真剣に考えること。

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■3、運営編

■オンラインゲームの運営の基本

3,まずはチュートリアル通過率をとことん改善する

チュートリアルの全フェーズの脱落率を計測して、離脱が多い箇所をどんどん改善する。ガラケーソーシャルであれば、チュートリアル通過率90%越えを目指すこと。

4,最初は継続率の改善に集中する

課金率や課金額は、後からいかようにも上げられる。継続率が低いアプリは、そもそもゲームがつまらないということなので、課金以前の問題。

まずは継続率UPに集中してチューニングし続けること。主に演出やゲームのテンポ、ゲーム開始30分〜数時間のゲームバランスがチューニング対象となる。

5,毎日ひたすら改善を繰り返す

1年365日継続するビジネスなので、今日改善したことは、1年間で365倍になって返ってくる。小さな改善が予想以上の大きな効果をもたらすので、毎日少しずつでもいいので必ず改善を行う。一部を変更したら、KPIツールで10分~1時間間隔で反応をみて、高速でPDCAサイクルをまわすのが理想。

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■3、運営編

■オンラインゲームの運営の基本

6,ゲームのバランス面から離脱箇所を改善する

3日以上ログインがなかったお客様を離脱したとみなして、離脱したお客様のレベル、ゲーム進行度などを分析し、離脱ポイントを割り出して改善する。

7,アイテムの販売方法を工夫する

リアルな小売店でやっている細かなイベントが結構利く。・毎日違うものが割引(今日は~割引デイ、などを毎日やる)・突発的なタイムセール、などなど

8,ゲーム内の新商品を徹底的に宣伝する

新しいアイテムを販売したり、クエストを追加した場合は、紹介専用ページを必ずつくって、商品の魅力を全力アピールする。

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■3、運営編

■オンラインゲームの運営の基本

9,広告を打つ

コンシューマゲームでは、ゲームの発売日前後に広告を集中させるが、オンラインゲームはリリース後から本格的な広告が始まる。

ただし、継続率が低いうちは広告を打ってはいけない。入ってきたお客様が、ザルのように流れ出ていってしまう。一度出て行ったお客様は、二度と戻ってこず、広告は打てば打つほど獲得単価も上がってしまうため。

リリース後、広告をあまり出さずにチューニングを行い、KPIの指標が十分に改善してから一気に広告をかけること。

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■3、運営編

■コンシューマ経験者が陥りがちな罠

・ゲーマーを想定してゲームを作ってしまう・お客様をタダで満足させてしまう・お客様の声を真剣に聞かない・お客様のライフスタイルに沿ったゲームデザインが出来ない・課金アイテムをちゃんと宣伝しない・コミュニケーション要素を軽視する・課金に罪悪感を持ってしまう・お客様の行動を分析しようとしない・服が売れそうだから、とアバターゲームを作ってしまう

どうぞ気を付けてください!

■あなたがまずやるべきこと

廃人になるまでオンラインゲームをやり込むこと。これが一番の勉強方法。

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■4、最後に

■私の想い

日本のゲーム開発者が作ったオンラインゲームが、ふたたび世界を席巻することを夢見ています。

DropWaveはスマートフォンで日本発のオンラインゲームを世界展開します!

■お知らせ

DropWaveでは、ゲーム制作の全職種、絶賛求人募集中です!とくにコンシューマ開発経験者の方大歓迎。DropWaveのホームページからお気軽にお申し込みください。http://www.dropwave.com/

■質疑応答

twitterでも質問を受け付けます→@yhonjo