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糖尿病フットケアについて 平成27323外来看護師

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Page 1: 糖尿病フットケアについて...1.患者さんと話す フットケアの意義 糖尿病患者がその病気とともに生き抜くこと手 助けすることである。足という身体の一部を取り上

糖尿病フットケアについて

平成27年3月23日

外来看護師

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はじめに

糖尿病人口の増加、高齢化、合併症の進行、動脈硬化性疾患の併発などを背景に、糖尿病足病変は年々増加傾向にある。

足潰瘍の原因の第一は、無関心と放置であると言われており、糖尿病足病変を予防していくためには、患者さんや医療者が、糖尿病と足の関係を知り、足に関心を持ってフットケアを行うことが大切である。

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糖尿病と足の関係?

*高血糖が続くと...

・神経障害:感覚が鈍くなる

・血流障害:動脈硬化が進み、血の流れが悪くなる

・易感染状態:抵抗力が低下する

*放置しておくと…

・足潰瘍

・細胞・組織が壊死する状態→壊疽

場合によっては切断となる

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糖尿病足病変の病態生理

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具体的にフットケアとは どんなことをするの?

1.患者さんと話す

2.患者さんの足を見る・評価する

3.ケア・指導を行う

4.チーム内でカンファレンスを行う

5.患者さんへの啓発

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1.患者さんと話す

フットケアの意義

糖尿病患者がその病気とともに生き抜くこと手

助けすることである。足という身体の一部を取り上げて処置するわけではない。

①患者がどのような糖尿病の歴史を持っているか

②足と高血糖の関連をどのように捉えているか

③日々のケアはどのようにしてきたのか

④気がかりなことは何か

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2.患者を見る・評価する

1.足を見る

*皮膚のバリア機能:ドライスキン・浸軟・浮腫

*足の変形:外反母趾・槌指・シャルコー関節・

足趾の切断

*爪の変形:爪白癬・陥入爪

*足病変:皮膚損傷・潰瘍・胼胝・鶏眼・白癬

*足の感覚機能障害:自律神経障害

*足の血流障害

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2.全身状態を見る

・皮膚損傷の原因となるもの:

体型・姿勢・歩き方

・身体機能の低下にかかわるもの:

高血糖・低栄養・末梢血流障害をきたす

疾患・免疫機能の 低下・皮膚異常

・運動機能障害・視力障害・認知障害

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3.生活状況を知る *リスクとなる靴を履く仕事や趣味 ・足の蒸れをきたす仕事や趣味 、圧迫、摩擦をきたす仕事や趣味

*足の圧迫やずれを増す生活状況 ・歩く時間が長い ・重い荷物を持つなど足に負荷がかかることが多い ・正座をしたり、健康器具を使用している *足の血流障害を起こしやすい状況 ・長時間立位や座位、気温の変化、職業上理由 *足の清潔状況が保ちづらい状況 ・靴を履いている時間、清潔の習慣、経済的理由 *外傷・熱傷など危険が及びやすい生活状況 ・熱傷の危険、外傷の危険、職業上の理由

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4.セルフケアの状態を見る *患者自身の足の認識 *患者自身の足の観察と手入れ ・足の観察、足の清潔、足の問題に関する経験 キーパーソン ・サポートパーソンはいるか フットケアを行うことへの思い・気持ち 糖尿病や身体への関心

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3.ケア・指導する • 患者と達成可能な目標の設定を行う。

• 計画の立案 ・フットケアの頻度 ・ケア内容 (爪・胼胝・鶏眼・白癬・保湿・足浴・他科受診推奨) ・指導内容 ・足のハイリスク状態・糖尿病と足トラブルの関連 足の観察方法・足の洗い方・爪の手入れ・乾燥予防・軟 膏塗布の方法・外傷と熱傷予防・靴の選択・ 外傷時の対応・禁煙

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4.チーム内でカンファレンスを行う

• 1人の患者さんの血糖コントロール状態、足の感覚や血流の状態、そして足へ影響する生活状況(靴)、運動量、歩行、セルフケア状況、家族のサポート状態などについて話し合う。

・適宜必要な治療が受けられるよう、相談し合える 信頼関係を築く。 • 潰瘍で入院した患者さんが退院する場合は、病棟看護師と、外来看護師が協働することで、継続して支援を行うことができる。

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5.患者さんへの啓発

・糖尿病患者さんに対し、「足へ関心を抱き続け

る」という態度で関わっていく。

・患者さんへ「足を見る・触れる・足の状態を

一緒に理解してケアの方法を伝える。」という

行為を継続し、患者さんへ「足は大切にする

。」、「足はこうやって自分でみていくもの。」ということを伝えていく。

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事例紹介 ・86歳 男性 外来

・現病歴:X年DMにてA病院通院加療されていたが、先生と折り合いがつかず

自己中断にて 2~3か月放置。 口渇、多飲、多尿にて、当院での加療希

望にて受診し、コントロール目的 にて入院。以後当院外来通院中。

現在は、施設へ入所中、認知症もあり。

・糖尿病

・羅間期間:10年

・嗜好品:飲酒以前はあり、喫煙なし。

・体格:身長 156cm、体重 58kg、BMI 23.8

・検査データ:HbA1C 6.8%。

・合併症・併発症: ・腎症(+) ・神経障害(?)・高血圧症(+) ・脂質異常症(ー)

・外来での治療方針

・食事療法:ENC:1400

・運動療法:なし

・薬物療法:内服(アマリール、アクトス、ネシーナ)

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情報の整理

①足の状況:両下肢乾燥(+)足底と足背軽度(+)右下 肢麻(+) 足背動脈・後脛骨動脈触知可。 皮膚の冷感・変色 (+)、両足に浮腫軽度 ②全身状態:HbA1C:6.7%。 ③生活状況:施設に入居中。右下肢麻痺もあり、 移動は車椅子使用 ④セルフケア状況:施設にて入浴3日に1回、 爪切り行っている。フットケアについ ては認知症もあり理解度不明。

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アセスメント

①足の状況:皮膚のバリア機能の障害、足の冷感、

皮膚変色あり、今後足トラブル起こ

る化能性が高い。

②セルフケア状況:認知あり、自分の足がケアできな

い、フットケアについての認識は分

からない。右下肢麻痺あり。

③全身状態:血糖コントロールは落ち着いている。

夜間空腹感が強く眠前の捕食を勧める。低血糖症状は無し。

④生活状況:ADLは移動時は車いす使用。

Page 17: 糖尿病フットケアについて...1.患者さんと話す フットケアの意義 糖尿病患者がその病気とともに生き抜くこと手 助けすることである。足という身体の一部を取り上

目標・計画 目標:・足のトラブルを悪化させない

計画: ・外来受診時に施設の方に同行してもら

いケアをすすめる。

・足浴、保湿、爪白癬のケア

・指導→足の状態を伝える

足の観察方法

履物、靴下の選択

乾燥予防、軟膏塗布の方法

・フットケアの頻度→受診時観察していく

Page 18: 糖尿病フットケアについて...1.患者さんと話す フットケアの意義 糖尿病患者がその病気とともに生き抜くこと手 助けすることである。足という身体の一部を取り上

・現在も施設で足浴しケアを継続している。

フットケア後の足の状態

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ま と め *糖尿病足病変の対象は、病変の有無に関わ らずその足をもつ糖尿病患者である。 *糖尿病足病変は、様々な要因が重なり合って 起こっている。 *患者様を見る時は、全身状態・セルフケア状態・ 生活状況・足の状態の4つの視点からアセスメン トし、計画を立案する。

*今回は施設に入所中であったが、施設の方の 協力もあり、症状の改善が見られた。今後も継続してケアできるように、フットケア外来を続けていきたい。