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低VOC塗料の現状と今後
平成31年1月25日
一般社団法人 日本塗料工業会
鈴木 譲
場所エルおおさか
経産省 近畿経済産業局VOC排出抑制対策セミナー
JAPAN PAINT MANUFACTURERS ASSOCIATION
世界の状況
日本の状況
塗料産業
世界的金融不安国際テロEU離脱
地球温暖化防止温室効果ガス排出規制
日本塗料工業会の事業
調査統計
技術
製品安全
安全環境
国際
色彩
標準化
普及広報
グローバル化 化学物質管理
ホルムアルデヒド
船底防汚剤
GHS
化管法化審法
労安法改正
REACHRoHSELV有害廃棄物処理
バーゼル条約
JISの整理統合
廃棄物処理
労働安全
国際標準JISからISOへ
2020年東京オリンピックパラリンピック
VOC排出規制
新興国へ展開
省エネ(遮熱)
COP212030年26削減 (2013年比)
カラーユニバーサルデザイン
1日本塗料工業会の事業と 業界を取巻く状況
会員企業 99社賛助会員企業 178社
平成30年11月20日現在
2塗料の役割と効用
塗料は塗装されることによって物の
表面に連続した丈夫な皮膜をつくり
周囲の環境から保護し長持ちさせ
ます
塗料は物に色つやなめらかさ
模様立体感などの仕上り効果を
与え物を美しく粧い快適な生活
をデザインします
塗料には保護と美観のほか特別な
働きを持たせることもできます
有機溶剤(VOC)
3塗料を構成する成分と役割
シンナー
塗膜につや硬さ付着性耐久性などの性能を付与する
水や溶剤に溶けない粉末で色を付けたり下地を隠したりする
塗料を塗りやすくするための希釈剤
樹脂を溶かし顔料と樹脂を混ぜやすくする液体(溶媒)
塗料および塗膜の性能向上させる塗料
希釈用
溶 剤25-55
添加剤5程度
顔 料20-40
樹脂硬化剤20-40
樹脂(硬化剤)20-40
着色体質防錆光輝性顔料
<水性塗料> <粉体塗料>
溶媒は水溶剤<5
希釈剤は水
溶媒 0
希釈剤なし
アクリルエポキシシリコンフッ素ウレタン樹脂
消泡タレ止め親水化剤
VOC(Volatile Organic Compounds 揮発性有機溶剤)
4塗料製造工程製造フロー
2F
1F
前練り工程
ワニス シンナー
顔料
高速かくはん
分散工程
サンドミル(分散機)
ろ過缶詰工程
P ろ過器 ドラム
P
予め顔料をワニス(樹脂)と溶剤で充分に混ぜる
前練りペーストをサンドミルなどに通し顔料を細かくほぐす
分散ペーストにワニスシンナーを追加また添加剤を加え最終塗料として仕上げる色物については原色を用いて色合わせをする
最終塗料として仕上がったものの異物をフィルターでろ過し容器に計量充填する
調合調色工程
ワニス シンナー
原色
添加剤 かくはん
分散による均一化
5塗料の形態別分類
溶液型塗料
塗料
溶剤塗料 水性塗料 粉体塗料塗料の状態別
乾燥方法別 常温乾燥 焼付乾燥 常温乾燥 焼付乾燥 焼付乾燥
架橋方法別
<常乾>1架橋なし 溶剤揮発ラッカー2酸化重合3ウレタン架橋4エポキシアミン架橋 等々
<焼付>1メラミン架橋2ウレタン架橋
等々
樹脂の種類組合わせによって架橋方法(乾燥方法)や塗膜性能が決まる
建築塗料重防食塗料は屋外塗装であるため常温乾燥形塗料(常乾塗料)が塗られる工場塗装ラインでは焼付塗料が主であり粉体塗料や電着塗料も塗られるまた常乾塗料も強制乾燥形(60~80)として塗装される
6塗膜塗装系の構成と役割
鋼板
下塗
中塗
上塗
光UV 水酸素塩分
下塗塗料防錆性が良い
鋼材に対する付着性が良い
(ジンクリッチプライマーエポキシプライマー)
上塗塗料耐候性が良い
耐水性が良い
仕上り性が良い
中塗塗料下塗と上塗塗料との付着性が良い
防錆性
耐候性
付着性仕上がり
下塗中塗上塗塗料には役割分担がある トータルで耐久性発揮
7塗料の耐久性比較
建築塗料重防食塗料分野では油性系(フタル酸)からフッ素樹脂系まで幅広く塗装される工業塗装ラインではフッ素シリコン(シリコーン)樹脂塗料は普及していないただし耐熱塗料はシリコーン樹脂系塗料が多い
光熱
酸素
湿度水分(酸性)雨 腐食因子
塩害物土壌成分鳥糞etc
金属素材
塗膜
塗膜は長い年月の間に徐々に劣化する短期間で劣化しないように実際にバクロしたり特殊な促進試験を使って研究者は日々塗料の開発研究を行っている
塗膜の劣化要因
水分吸収膨潤
酸化分解 錆発生化学変化物理変化
太陽光(紫外線)や気象影響で劣化していきます
8 塗膜はどのようにして悪くなるのか
9 屋外暴露試験
気象環境は暴露をする場所によって異なる日本各地世界にあります気温降雨量日射量湿度塩分量など
工業地帯 rarr 工場の生産活動に伴う発生汚染物質の影響有り都市環境 rarr 商業活動に伴う発生汚染物質の影響有り(車の排気ガス鳥糞害等)田園地帯 rarr 大気汚染物質がすくない海岸地帯 rarr 雨風紫外線海塩粒子の影響で錆進行が著しいその他(海外) rarr 熱帯雨林寒冷地砂漠等
10劣化した塗膜はどうなっているのか
(白い色の塗膜)
塗装後初期塗膜
塗膜は暴露される場所で劣化速度や劣化形態が異なる
白い塗膜は表面が劣化して白い顔料(チタン)が露出する(白い粉)
バクロ後
日塗工 耐候性研究会資料
11塗膜の形成とVOCの揮発
塗料の乾燥硬化は先ず溶剤の大気への飛散揮発から始まり樹脂の硬化反応が進行し強靭な塗膜となる
塗料(液体) 塗膜(固体)
樹 脂顔料溶剤
塗装
揮発
VOC
水性塗料の溶媒は水のみ種類は選べない環境に左右される蒸発しにくい
タレ乾燥不良初期サビ発生
VOC(Volatile Organic Compounds)揮発性有機化合物光化学オキシダントPM25を生成
長油 短油
メタノール エタノール
IPA イソブタノール
アセトン MEK
MIBK シクロヘキサノン
酢酸エチル 酢酸ブチル
ブチルセロソルブ
ブチルカルビトール
ミネラルスピリット (ターペン)
工業ガソリン4号
トルエン エチルベンゼン
キシレン
ソルベントナフサ 蒸留範囲による種類がある溶解性や蒸発速
度で選定される主に焼付塗料に使われる
〇
ラッカー系や添加剤などの補助溶剤として使用
される
樹脂を極めてよく溶解させることができる
樹脂をよく溶解できる
水にも溶解するため水性塗料にも使用され
る焼付塗料の仕上り向上にも使われる
古くから使用されているが溶解力は比較的弱
い最近は弱溶剤と言われる
アクリル
ラッカー
〇
〇
〇
〇
フタル酸系
〇
ウレタン
〇
〇
〇
エポキシ
〇
〇
〇
〇
アルキドメラミン
〇
〇
〇
シリコンフッ素
〇
〇
〇
〇
水性樹脂
〇
〇
アクリルメラミン
〇
〇
塗料種類
性質用途有機溶剤系統有機溶剤
種類
〇〇〇各種樹脂に対しての溶解性に優れる
乾燥性とのバランスが良い
脂肪族系
芳香族系
アルコール系
ケトン系
エステル系
エーテル系
炭化水素系
混合系
12有機溶剤の役割と塗料用途例
塗料の内部溶剤と希釈溶剤(シンナー)は塗料樹脂の溶解性と蒸発速度のバランスによる混合系
rarr 塗料の安定性 rarr 塗装作業性 rarr 仕上り性
塗料の種類(樹脂)用途によって様々な溶剤が使い分けられる