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Post on 27-Feb-2020
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SDGsをめぐる国内外最新動向
小野田 真二
公益財団法人 地球環境戦略研究機関
持続可能性ガバナンスセンター 研究員
持続可能な開発目標(SDGs)ステークホルダーズ・ミーティング第4回会合 2017.10.13 (Fri) 15:00 – 18:00
資料4
2 2
本日の報告内容
1. SDGsをめぐる最近の国際動向
• 2030アジェンダ達成に向けたG7協調行動ワークショップ
• G7ボローニャ環境大臣会合
• 2017年ハイレベル政治フォーラム
• 国連グローバル・コンパクト関連イベント
2. SDGsをめぐる最近の国内動向
• 環境基本計画の見直し
• 民間の取組
3. 参考情報
• 国連グローバル・コンパクトによるアンケート
• SDGsの各ターゲットに対応する既存のビジネス指標目録
• 地域でのSDGs取組ガイド
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1.SDGsをめぐる最近の国際動向
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SDGsをめぐる最近の国際動向①
2030アジェンダ達成に向けたG7協調行動ワークショップ
第1回2030アジェンダ達成に向けた持続可能な消費と生産に関する
G7協調行動ワークショップ
日時 :2017年6月20日(水)ベルリン開催
参加 :G7各国政府・有識者・企業・NGO等のステークホルダー テーマ :「消費者情報」、「食品廃棄物」、「持続可能なライフスタイルと教育」
SDGs:ゴール12「持続可能な消費と生産」の達成に向けた効果的なアプローチ、
ステークホルダーの連携や今後の方向性を議論。 アピール:ユニー㈱、㈱日本フードエコロジーセンターが、日本のリサイクルループ構築等
による食品廃棄物削減に関する取組を紹介。(第3回SHMで事例報告)
今後の展開:G7から更に他の国に取組を広げていくべきことを共有
31 ※本スライドは環境省提供資料を一部修正して作成
5 5
SDGsをめぐる最近の国際動向②
G7ボローニャ環境大臣会合
資料1 日 程:2017年6月11日(日)-12日(月) 場 所:イタリア・ボローニャ 参加国:G7各国(日、伊、加、仏、米、英、独)、EU 招聘国:チリ、エチオピア、モルディブ、ルワンダ
• 米国がパリ協定脱退方針を表明する中、成果文書として7ヶ国が合意したコミュニケを採択し、G7の一体感を示すことができた。
• 資源効率性・3Rの分野で、「富山物質循環フレームワーク」等の成果を踏まえた「ボローニャ・5ヶ年ロードマップ」を採択。
• 2030アジェンダでは、持続可能な消費と生産に関するG7ワークショップなど、G7富山環境大臣会合のコミュニケで言及されたG7の協調による継続的な活動を歓迎。
• 山本環境大臣は、米国環境保護庁プルイット長官とバイ会談を実施し、引き続き環境問題に関し政策対話を行っていくことで一致。
【議 題】
○持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)、 ○気候変動 ○持続可能性に資するファイナンス、○資源効率性、3R、循環経済及び持続可能な物質管理
○海洋ごみ、 ○多国間開発銀行(MDBs)と2030アジェンダ及びパリ協定の実施支援
○環境財政改革と持続可能な開発、 ○環境政策と雇用、 ○アフリカ
※本スライドは環境省提供資料を一部修正して作成
6 6
2030アジェンダ及びSDGsのフォローアップとレビューの中心的なプラット
フォーム
国連総会の下で、首脳会合を4年に一度開催(次回は2019年)
経済社会理事会(ECOSOC)の下で、毎年開催(大臣会合を含む) 期間中に、テーマ別会合(テーマに関するレビュー)、分野別会合(ゴール別の
レビュー)、地域レビュー、自発的国家レビュー(VNR)、一般演説などを実施
SDGsの達成に向けた進捗状況と障害を明確化
政治的なリーダーシップと提言の提供や、経験と教訓を共有し、SDGs達成を支援
産業界、市民社会、アカデミア等の多様なステークホルダーが参加し、多くのサ
イドイベントも開催
最終日には閣僚宣言が採択
当面のテーマ 2016年:誰一人取り残さないことを確かにする
2017年:変わり行く世界における貧困の撲滅と繁栄の促進
2018年:持続可能で強靭な社会に向けた変革
2019年:人々の地位向上と、包摂性・衡平性を確かにする
SDGsをめぐる最近の国際動向③
ハイレベル政治フォーラム(HLPF)の概要
7 7
【日 程】2017年7月10~19日(大臣会合は17~19日)
【テーマ】変わり行く世界における貧困の撲滅と繁栄の促進
【ゴール】SDG1 貧困、SDG2 食料、SDG3 健康、SDG5 ジェンダー、
SDG9 インフラとイノベーション、SDG14 海洋 + SDG17 実施手段
【VNR】日本を含む43カ国が実施(昨年は22カ国)
閣僚宣言の概要
世界でSDGsの取組進展が見られるものの、国・地域の差が大きく、また、
多くのターゲットが不十分
現在の成長ペースでは、2030年までに後発発展途上国の35%の人々が極
度の貧困にとどまる
VNRは国の開発と戦略におけるSDGsの地域化(localization)と、地方政府
が参画することの重要性を強調 等
SDGsをめぐる最近の国際動向③
2017年のハイレベル政治フォーラム
8 8
「自発的国家レビュー」での発表
日本政府主催のレセプション(17日夜)
• 岸田外務大臣より、日本が進める官民パートナーシップ等を紹介。
• ジャパンSDGsアワードの創設、SDGsにコ
ミットする団体へのロゴマーク付与の取組も紹介。
• 教育、保健、防災、ジェンダー分野等に、2018年までに10億ドル規模の支援実施を発表。
• 各国政府、国際機関、民間企業、NGO等、
約300名が出席。
• 民間企業や市民団体によるブース出展。
サイドイベント「持続可能な未来に向けたアジア太平洋地域からのイニシアティブ」の開催
SDGsをめぐる最近の国際動向③
2017年のハイレベル政治フォーラム (日本の取組)
【日時】2017年7月17日(月) 13:15~14:45 【主催・共催】環境省、外務省、UNDP、タイ政府、 マレーシア政府
【主な登壇者】岸田文雄外務大臣、高橋康夫環境省地球環境審議官、ドーンタイ王国外務大臣、シュタイナーUNDP総裁、シュウUNDPアジア太平洋局長
【概要】 • SDGs達成に不可欠なパートナーシップを促進するため、アジア各国政府及び民間企業等から、取組事例を発表。
• 岸田外務大臣がSDGsの達成に向けた日本の決意を表明。
• 高橋地球環境審議官から、パートナーシップを強調した日本のSDGsの取組について発表。
• 日本の民間企業2社から取組の発表(いずれも昨年度環境省が開催した「ステークホルダーズ・ミーティング」での事例発表企業)
損害保険ジャパン日本興亜(株)二宮会長から、東南アジア諸国における気候インデックス保険の販売等の紹介
(株)日本フードエコロジーセンター高橋社長から、リサイクルループの構築等による食品廃棄物削減に関する取組の紹介
※本スライドは環境省提供資料を一部修正して作成
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SDGsをめぐる最近の国際動向④
国連グローバル・コンパクト関連イベント
2017年9月19日~25日の国連総会にあわせ、2つの国連グローバル・コンパクト(UNGC)関連イベントが開催され、多くのレポートなどが発表
• United Nations Private Sector Forum 2017 (9月18日開催)
• UN Global Compact Leaders Summit 2017 (9月21日開催)
例えば、
• 2017 SDG Pioneers
• UNGC署名企業の中から、持続可能な開発に貢献する個人を毎年10人選出(昨年より開始)
• “Blueprint for Business Leadership on the SDGs”(2017.9)
• ビジネスによるSDGs実施において、リーダーになろうとする企業のためのツール。正の影響を最大化し、負の影響を最小化するためにどのような行動をとることが可能かについて、SDGsのゴールごとに、リーダーシップの5原則(野心、協力、説明責任、一貫性、意志)、ガイドとなる質問、取組の実践例などを用いて記載。 (https://www.unglobalcompact.org/library/5461)
• “2017 United Nations Global Compact Progress Report: Business Solutions to Sustainable Development ”(2017.9)
• “An Analysis of the Goals and Targets”(2017.9)など (※下二つは、3.参考情報で紹介) ※写真中段は https://www.flickr.com/phot
os/ungc/sets/72157685587133472 より
10 10
• SDG リーダーシップのためのブループリント
<分野横断的> • SDGsレポーティング • SDGsのためのブレークスルーと
イノベーション • SDGsのためのファイナンシャ
ル・イノベーション
<テーマ別> • 低炭素とレジリアントな開発 • 健康 • 包摂性(Inclusion) • 人道的アクションと平和 • グローバルサプライチェーンに
おけるディセント・ワーク
ビジネスの活動加速と、SDGs達成のギャップを埋めるためのプラットフォーム。各20~40の企業が参加。日本からは、損保ジャパンと住友化学などが参加。
SDGsをめぐる最近の国際動向④
国連グローバル・コンパクト:Action Platforms
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2.SDGsをめぐる最近の国内動向
12 12
SDGsをめぐる最近の国内動向①
環境基本計画の見直し
• SDGs採択に先駆け2006年策定の第3次環境基本計画において「環境・経済・社会の統合的向上」を重視し、持続可能な社会の構築に向けた取組を位置付け
• 本年2月より、第5次環境基本計画の策定作業開始
• 第5次環境基本計画(中間取りまとめ、平成29年8月公表)にて、SDGsの考え方の活用に言及
• 環境政策にとどまらず、他の施策に環境の要素を含めるよう働きかけを強化し、それにより、経済・社会のあらゆる面において環境的な配慮がなされる社会を目指すべき
• SDGs のマルチベネフィット、複数の目標に対する統合的な解決、全員参加型、バックキャストという特徴に則した見直し
• SDGs の視点により、経済・社会に関する諸課題を環境面から解決するという新たなアプローチへの挑戦
• SDGs の概念に基づく効果的な施策の推進やステークホルダーとの連携を踏まえ、施策の幅を広げることにより、SDGs をどのように活用するのかを示す計画とすべき
(SDGsの考え方の活用の視点)
※本スライドは環境省提供資料を一部修正して作成
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SDGsをめぐる最近の国内動向②
民間の取組
*RCとは、化学物質を扱う企業が化学製品の開発から製造、使用、廃棄に至る全ての過程において、自主的に環境・安全・健康を確保し、社会からの信頼性向上とコミュニケーションを行う活動のこと
2017年5月 日本化学工業協会が、「持続可能な開発目標に化学産業が貢献するために」を策定 “各企業がイノベーションや事業の海外展開などの成長に向けた事業活動とレスポンスブル・ケア(RC)*や CSR 等の社会的責任を担う基盤活動を経営として統合し、「あらゆる産業の先導役」として、SDGs に貢献するためのビジョン” 今後、SDGsに貢献する活動や技術をまとめた事例集を作成
2017年7月 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG指数の選定 (※次スライド)
2017年7月 経済同友会が、軽井沢アピール2017「持続可能な社会の構築に向けて」にて、SDGsの観点から、「事業を通じてグローバルな社会課題の解決に貢献」と明記
2017年9月 日本証券業協会が「証券業界における SDGsの推進に関する懇談会」を設置、10月10日に第1回会合を開催
2017年11月 (予定)
日本経団連は、SDGsに対応した「企業行動憲章」と「実行の手引き」の改定。 新たな経済成長モデルとして提唱した「Society5.0」を通じてSDGs達成に貢献
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SDGsをめぐる最近の国内動向②
民間の取組:GPIFによるESG指数の選定
“SDGsに賛同する企業が17の項目のうち自社にふさわしいものを事業活動として取り込むことで、企業と社会の「共通価値の創造」(CSV=Creating Shared Value)が生まれます。その取り組みによって企業価値が持続的に向上すれば、GPIFにとっては長期的な投資リターンの拡大につながります。GPIFによるESG投資と、投資先企業のSDGsへの取り組みは、表裏一体の関係にあるといえるでしょう。”
図の出典と引用:年金積立金管理運用独立行政法人HP
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3.参考情報
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国連グローバル・コンパクトによるアンケート
2017 United Nations Global Compact Progress Report: Business Solutions to Sustainable Development(2017.9) (https://www.unglobalcompact.org/library/5431) <アンケートの概要> 対 象: 加盟企業9400社 回 答: 1,945社 回答率: 22% ・2008年より調査開始
17 17
• 約70%の企業のCEOが持続可能性の政策/戦略に関与
→ 持続可能性は、多くの企業で戦略的課題と認識
• 9.5%の企業では、役員報酬に持続可能性のパフォーマンスを結びつけ
• 経営陣・中間管理職の関与が課題
→ 経営への統合を進める鍵?
Q. 企業のどのレベルで持続可能性に関する政策/戦略が立案・評価されているか?
国連グローバル・コンパクトによるアンケート
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国連グローバル・コンパクトによるアンケート
Q. 持続可能性の取組の実施を次のレベルに引上るのに課題となっていることは?
• 中小企業では、資金的・人的資源の欠如、知識の欠如が、大企業と比べ課題
• 大企業では、サプライチェーンへの戦略の展開が主な課題
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国連グローバル・コンパクトによるアンケート
Q. a (250人以上の企業を対象に)サプライヤーに適用する政策・実践は? b また、モニタリング・影響評価の取組は?
• GC10原則の4分野のうち、2008年以降は、特に雇用と腐敗防止の政策・実践が進展
• モニタリングと影響評価を行う企業の割合は、特に社会面で少ない
(a)
(b)
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国連グローバル・コンパクトによるアンケート
Q. どのゴールを対象として取り組んでいるか?
49% ゴール8 働きがいと経済成長
49% ゴール3 健康と福祉
45% ゴール5 ジェンダー平等
42% ゴール4 質の高い教育
40% ゴール12 責任ある消費
39% ゴール9 産業、イノベーション、インフラ
37% ゴール13 気候行動
35% ゴール7 クリーンエネルギー
32% ゴール10 不平等の削減
32% ゴール6 清潔な水と衛生
30% ゴール11 持続可能な都市とコミュニティ
29% ゴール17 パートナーシップ
24% ゴール1 貧困の撲滅
23% ゴール16 平和、司法、制度
19% ゴール2 飢餓の撲滅
18% ゴール15 陸域生態系
12% ゴール14 海域生態系
• ゴール8、3、5の順で取組が多い。
• 「ビジネスはどのゴールに最もインパクトをもたらしうるか?」という質問でも、ゴール8が最も多い。 (その後に、ゴール9、5と続く。ゴール3は5番目)
• ゴール16、2、15、14は、両方の質問で共通して低い。
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国連グローバル・コンパクトによるアンケート
Q. SDGsに取り組む方法は?
• 中核的なビジネス戦略にゴールを調和させる、もしくは、パートナーシップによるプロジェクトを開発・実施するという方法が最も一般的
• 行動の重要性の主張、社会的投資・フィランソロピーと続く
• 41%が、製品、サービス、もしくはビジネスモデルの開発を始めたと回答
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国連グローバル・コンパクトによるアンケート
Q. レポーティングにより得たものは?
• 70%が持続可能性のパフォーマンスに関するレポートを公表
• 企業の責任を事業運営に統合すること、企業の評判向上に役立つとの評価が多い 一方で、投資家への情報提供手段としての評価がもっとも少ない
• 課題は、標準的なパフォーマンス指標と、統一的な報告の基準・枠組みの欠如
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SDGsの各ターゲットに対応する既存のビジネス指標目録
An Analysis of the Goals and Targets (2017.9) (https://www.unglobalcompact.org/library/5361) • SDGsの各ターゲットに対し、ビジネスがとりうる行動の例
• 各ターゲットに関連する、既存のビジネス指標(定量的・定性的な情報(”Disclosure”))の目録
• 要改善、または不足している指標の情報
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(例)
25 25
(例)
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SDGコンパスとの関係
• ビジネス指標の目録(左)は、Step2の「バリューチェーンの
マッピングと影響領域の特定」、および、「指標を選択しデータを収集」を補強
• A Practical Guide to Defining Priorities and Reporting
レポーティングのガイドライン(右)は、1月に発表予定。 上記に加え、Step2の「優先課題の決定」、および、Step5
「報告とコミュニケーション」を補強
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地域でのSDGs取組ガイド
https://unhabitat.org/roadmap-for-localizing-the-sdgs-implementation-and-monitoring-at-subnational-level/
(2016.7)
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地域でのSDGs取組ガイド
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地域でのSDGs取組ガイド
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まとめ
• SDGs策定から2年が経過したが、世界的な勢いは継続・拡大している。
• 国内でも、政府において環境基本計画などで、SDGsの取り込みが進展。今後は自治体レベルでも広くSDGsの制度整備が進むことが期待される。
• 民間レベルでは、個別企業に加え、業界団体でもSDGsへの貢献が目指されるようになってきた。
→ ESG、株主・投資家対策を含め、企業がSDGsに取り組むための環境整備が整いつつある。(SDGsの共通言語としての役割が発揮されつつある。)
• 今後、企業によるSDGsの取組をさらに進展させていくには、コミュニケーションの強化(ターゲットへの貢献の明確化など)や、企業経営との統合の深化(部門レベルでの目標設定と管理体制確立など)も課題となるか。
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ご清聴ありがとうございました。
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