jiaパネルデータ 20160306 2 · 2730 2730 2730 2730 2730 2730 2730 2730 2730 2730 3640 10920...
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近年地方都市では、未接道宅地や緊急車両の
進入不可能な狭隘道路の解消を目的とした市
街地整備事業が進められており、あわせて中
心市街地の空洞化に対する居住促進や活性化
に向けた動きがみられる。栃木県宇都宮市中
心市街地の北西に位置する小幡清住地区でも、
土地区画整理事業が進められている。この地
区には旧日光街道が通っており、筆者らの実
地調査から古い町屋や地割が現存することが
わかっているが、事業によって歴史的な特徴
や地域性が失われることが危惧されている。
そこで本計画では、宇都宮市小幡清住地区の
旧日光街道沿線を対象に、歴史的な地域資源
を活かした町並みを形成し、中心市街地居住
に向けて古い町屋の特徴を再解釈した新規町
屋を提案する。
ウツノミヤ・マチヤ・ストリート -地方都市中心市街地居住に向けた旧街道再生と新規町屋の提案-
背景と目的
C
A-3A-2A-1
B-1
B-2
田野邸
ライフサポート・マチヤ
タワー・マチヤ
コレクティブ・マチヤ
泉町通り
県庁前通り
大通り
上野邸
旧日光街道
街区公園
栃木県庁
大通り
県庁前通り
旧日光街道
中心市街地
都心環状線
計画道路
小幡清住地区
宇都宮市役所
宇都宮城址公園
田川
二荒山神社
東武宇都宮駅 JR
宇都宮駅センターコア
JRコア
0 250m
計画対象地
図1 宇都宮市中心市街地
宇都宮市における中心市街地居住
宇都宮市は、JR コアやセンターコアといった
都市の拠点を連携させたネットワーク型コン
パクトシティの形成による中心市街地活性化
事業を進めている(図 1)。小幡清住地区は、
地域資源を活かした都市拠点であると同時に、
中心市街地居住の拠点に位置付けられ、居住
人口確保を担う地区となっている。
年
1603 日光街道開通
主な出来事
1619 本多正純の区画整理
1673 菊水祭の創始
1832 本郷町で大火発生
1868 戊辰戦争により通り沿いの建物が焼失
1875 清住町誕生
1945 宇都宮空襲戦火は免れる
1966 小幡・清住地区の土地区画整理事業が決定
2013 区画整理事業認可 0 50m
計画道路
泉町通り
県庁前通り
計画地宇都宮簡易裁判所
宝勝寺
桂林寺
②
④
③
①
延命院
■明治~戦前に 建てられた町屋 大通り
旧街道
図2 旧日光街道のかつての町並み 図3 小幡清住地区と歴史的町屋の分布
表1 小幡清住地区の略歴
小幡清住地区の歴史と現状
③田野茶舗
④
①上野邸
街道沿いに残る見世蔵
小幡清住地区は宇都宮宿の一部で、奥州街道との追
分でもあり、交通の要衝として日光街道の開通とと
もに発展した(表 1)。戊辰戦争による街道沿線の焼
失後、明治から昭和初期にかけて多くの商家が軒を
連ねた(図 2)。太平洋戦争時の宇都宮空襲を免れた
ことで、明治以降の歴史的な地割や町屋が現存して
いる(図 3)。そのため、市の景観形成重点地区に指
定される予定で、宇都宮市中心市街地の中でも歴史
的に重要な地区に位置付けられている。現在小幡清
住地区は、少子高齢化などによって人口が減少し、
かつての商家は減り商業地域としての街道は衰退し
てしまっている。また、空地が多く町並みは崩れ、
点在する歴史的な地域資源を活かすための整備も不
足している。現状の狭い歩道は土地区画整理事業に
より、都心環状線の整備に伴う歩行者中心の通りと
するための整備計画が進められている。
②たまき
表2 地割の変化
形状変化形状維持
35(33.7%)
間口・奥行
41(39.4%)
間口のみ
13(12.5%)
(66.3%)奥行のみ
15(14.4%)
図4 本郷・清住周辺地籍図 (明治 )
図5 町屋の立面構成(例:上野邸の見世蔵)
図6 町屋の平面構成と配置
(104 宅地)
■■明治期の形状 を維持した地割
日光街道
県庁前通り
延命院
桂林寺
宝勝寺
箱棟桁行 :8,190mm(4.5 間 )
2,300mm
軒蛇腹
下屋庇
鬼瓦
黒漆喰外壁
瓦葺切妻屋根
軒高:4,500mm
屋根 :5 寸勾配
街道 庭
蔵 蔵
町屋
水回り土間
通り土間縁側
板間客間・居間
(畳)廊下
寝室
寝室寝室
寝室
1階
ミセ 母屋
2階
配置
小幡清住地区の町屋の特徴
地割の特徴 立面構成
平面構成
明治頃の地籍図(図 4) から、間口が狭く奥
行きの深い地割が多いことがわかる。旧日光
街道沿いの地割について現在の地図と比較し
たところ、その過半数で間口または奥行きを
維持していることがわかった(表 2)。
町並みを構成する町屋
の立面について、歴史
的特徴を維持する上野
邸の見世蔵をもとに整
理する(図 5)。
町屋の平面構成と住み方を整理する(図 6)。街道に面してパブリックなミセがあり、その次の母屋は1
階が居間・客室となる和室、2階が寝室等のプライベートな空間となっている。奥の庭では採光・通風
が確保され、細長い敷地の環境を調節する。最も奥には、収納としての蔵がある。このように、パブリッ
クからプライベートへとレイヤー状に構成され、街道から続く通り土間がこれらを統合している。
住戸階の通り土間
私
公旧日光街道
1F 店舗
2F 住戸(LDK)店舗階の通り土間
通り土間の継承
通り土間による住戸階の統合
3F 住戸(個室)
勾配屋根住み方の継承
×
計画地A-コレクティブ・マチヤ
容積率 :190%( 法廷 :200%) 近隣商業地域建蔽率 :70%( 法廷 :80%) 容積率 :400%( 法廷 :400%) 近隣商業地域建蔽率 :80%( 法廷 :80%)構造 : 木造地上 3階
計画地B- タワー・マチヤ
用途 :1 階店舗 ,2-3 階メゾネット住戸
旧日光街道
大通り
構造 :S 造地上6階 用途 :1 階店舗 ,2-6 階フラット住戸 + 店舗
下屋の継承
ヴォリュームのコントロール
高 低
旧日光街道
用途 :1 階公共機能 +保育所 ,2 階介護付有料老人ホーム
間口スケールの継承
通り土間と中庭の継承
計画地C-ライフサポート・マチヤ
容積率 :130%( 法廷 :400%)建蔽率 :80%( 法廷 :80%)構造 :1 階 RC,2 階木造
下屋の積層×
屋内化による共有空間
×
近隣商業地域
表3 日光街道宿場町の景観形成ガイドラインの記載事項 (10/23 地区)
街区公園
C
A-3
A-2
A-1
0 50m
泉町通り
県庁前通り宝勝寺
旧日光街道大通り
上野邸
田野邸
B-1 B-2
軒高 屋根 後退屋外広告 建築設備等 緑化用途
電線地中化1 千住宿 東京都足立区 ○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○2 草加宿 埼玉県草加市 ○ ○ ○○ ○3 越ヶ谷宿 埼玉県越谷市 ○ ○ ○○ ○ ○ ○4 粕壁宿 埼玉県春日部市 ○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○○5 中田宿 ○ ○6 古河宿 ○ ○ ○ ○ ○ ○7 小山宿 栃木県小山市 ○ ○ ○
○○○ ○ ○ ○
8 今市宿 ○○ ○ ○ ○9 鉢石宿 ○ ○ ○ ○○ ○ ○○10 日光坊中
宇都宮宿 ○ ○ ○○ ○
○
○○
No. 宿場名 現在地名 建築部位 付属要素 街路要素景観形成要素
茨城県古河市
栃木県日光市
栃木県宇都宮市
外壁
換地設計と計画地
景観形成要素
小幡清住地区の土地区画整理事業について、市で決定された新街区をもとに地割を計画する。地積式換地設計式から換地後の敷地面積を
求めたところ、街道幅員の拡幅分を後退させるのみで、形状と位置をほぼ保存できることがわかった。本計画では、地区内の旧日光街道
沿線のうち歴史的な地割が多く残る、大通りから拡幅される県庁前通りまでを対象とし(図 3)、現存する古い地割を踏襲するA、大通り
と旧街道の結節点に位置するB、複数の敷地を一体化するCを計画地とする(図 7)。
町並みにおいて、無秩序な景観形成を防ぐガイドラインを定めた地区がある。日光街道では、起点・
終点を含めた 23 の宿場町中、10 地区で定められていた。そこで、この 10 地区のガイドラインを
まとめ、本計画の景観形成要素を検討する(表 3)。
建築部位について、軒高・屋根勾配・下屋庇は水平ラインの強調により町並みを連続させる要素
として設定されていた。また付属要素は、景観に配慮して配置するという記述がほとんどであっ
た。街路要素では、壁面の1m程度の後退により歩道を拡張するといった、歩行者空間の充実に
関する記述が多かった。このことから、町並みの連続・景観への配慮・歩行者空間の充実といった、
必要な要素を本計画のガイドラインとして設定する。
新規町屋の歴史的特徴の継承と新規性
新規町屋のシステム
図7 計画地
整理した町屋が持つ歴史的特徴と街道沿線の整備計画に規模・用途・構造を加え、計画地ごとに新規町屋のシステムを整理する。
K
LD
書斎
K
L D
K
LD
K
L D
K
LD
a-1 オーナー住戸66㎡b-1 賃貸32㎡c-1 賃貸32㎡d-1 賃貸32㎡e-1 賃貸32㎡
住戸階通り土間
1820
2730
2730
7280
2730
1820
2730
7280
2730 2730 2730 2730 2730 2730 2730 2730 2730 2730 3640
910010920 3640364010920
970 970
38220
テラステラステラステラステラス
a-2 オーナー住戸40㎡b-2 賃貸40㎡c-2 賃貸40㎡d-2 賃貸40㎡e-2 賃貸40㎡
1820
2730
2730
7280
2730
1820
2730
7280
計画地A
古い短冊状の地割に、容積率を消化した職住近接型の集合住宅町屋(コレクティブ・マチヤ)を提案する。中庭を2ヵ所設けて環
境を調整し、分割された3棟を通り土間を継承して統合した。用途は、1階を店舗、2,3階をメゾネット式住戸とした。住戸階には、
新規に住戸同士を統合する通り土間を設ける。
計画地A連続立面図 S=1/125 長手断面図 S=1/125
店舗通り土間
LD
▼3FL +5,800
▼2FL +3,000
▼1FL ±0▼G.L
住戸通り土間 書斎
室寝室寝室寝室寝室寝
910
1,8200
3,640 7,280mm
旧日光街道
舗店舗店舗店
店舗階通り土間
中庭中庭
2730 910 1820 2730 2730
3640
2730 2730 2730 2730
3640
2730 2730 3640 970
1820
2730
4550
2730
7280
970
10920 10920 9100
38220
1820
910
1820
2730
4550
7280
1階平面図兼配置図 S=1/125
2階平面図 S=1/125
3階平面図 S=1/125
計画地B
大通りとの結節点であることから、容積率を最大限活用した商住複合型の高層町屋(タワー・マチヤ)を、旧日光街道のゲートとなるように街
道を挟んで2棟計画する。大通り側を周辺のビルにあわせた6層とし、北側を階段状に3層まで下げることで、街道沿線の低層の建物へとつな
がるようにする。用途は、1階と大通り側のヴォリュームに商業施設、それ以外をフラット形式の集合住宅とした。商業施設のアプローチを外
部とし、店舗のあふれ出し空間となる下屋を継承し、積層させることで新規性を持たせる。
計画地C
地区の高齢化と、中心市街地の居住エリアとしての位置付けから、生活支援の拠点となる公共福祉機能を持った町屋(ライフサポート・マチヤ)
を計画する。複数の敷地をまとめるが、間口の壁面のスケールを継承して分節する。また、分節された棟の間に木ルーバーのガラス屋根をかけ、
通り土間と中庭を一体化した半屋内空間を新規に設けた。
長手断面図 S=1/300
大通りLDK Shop
LDK Shop
LDK Shop
LDK Shop
LDK Shop
ShopShopShopShopShop
LDK
LDK
LDK
LDK
LDK
LDK
LDK
LDK
LDK
LDK
LDK▼2FL +3,000
▼1FL
▼3FL +6,000
▼4FL +9,000
▼5FL +12,000
▼6FL +15,000
▼RL +18,000
▼G.L ±0
0
1
2.5
5 10
20m
Shop
Shop
Shop
Shop
E.V
E.V
Shop
Shop
Shop
Shop
Shop
Shop
E.V
E.V
1階平面図兼配置図 S=1/300
大通り
旧日光街道
5000
3000
5000
5000
3000
5000
5500
5500
2300
10000
18300
2300 4600 4600 2300
39300
13800
5000
3000
5000
5000
3000
5000
5500
5500
2300
18300
10000
39300
66002300
8900
E.V
Shop
LDK
LDK
LDK
LDK
Shop
E.V
E.V
LDK
LDK
LDK
E.V
LDK
基準階平面図(2階) S=1/300
街区公園
保育室:0歳保育室:1歳保育室:2歳
屋内遊技場 倉庫
保育室:5歳保育室:4歳保育室:3歳
倉庫
1階平面図兼配置図 S=1/300
生涯学習教室
休憩所兼集会所
更衣室
更衣室
乳幼児の庭
読書コーナー
E.V
E.V
旧日光街道
ギャラリー兼食堂
子育て支援センター(一時預かり)
医務室付職員室
沐浴室
事務室
6700
7860
6700
7860
6700
7860
6700
7280 7280 7280 7280
29120
2550
2110
55040
1820 1820
工房
工房
相談室
トイレ
風除室
風除室
レイトレイト
厨房
倉庫
厨房前室
トイレ
2階平面図 S=1/300
2245
7280
7280
7280
7280
7280
7280
7280
1820
55025
1820 7280 1820 5460 2730 2730 2730 2730 2730 2730
218409100
2305
5460
1820
7280
1820
5460
7280
5460
1820
7280
1820
5460
1880
7280
7280
7280
7280
50960
30940
倉庫
洗濯・
汚物
処理室脱衣
脱衣
前室
洗濯・
汚物
処理室脱衣
脱衣
前室
テラス
トイレ
トイレ
トイレ
トイレ
トイレ
トイレ
トイレ
トイレ
介護
個室
介護
個室
介護
個室
介護
個室
木ルーバーの
ガラス屋根
リビング
リビング
食堂兼
機能訓練室
食堂兼
機能訓練室
E.V
E.V
テラス
健康
管理室
室浴
室浴
ラウンジ
ラウンジ
ラウンジ
ラウンジ
職員室
倉庫
倉庫
洗濯・汚物処理室
脱衣脱衣前室
洗濯・汚物処理室
脱衣脱衣前室
テラス
トイレ トイレ
トイレ トイレ
トイレ トイレ
トイレ トイレ
介護個室
介護個室
介護個室
介護個室
木ルーバーのガラス屋根
木ルーバーのガラス屋根
リビング
リビング
食堂兼機能訓練室
食堂兼機能訓練室
E.V
E.V
テラス
健康管理室
浴室
浴室ラウンジ
ラウンジ
ラウンジ
職員室
ラウンジ
木ルーバーのガラス屋根
街道側立面図 S=1/300910
0 1,820
3,640
7,280
14,560mm
街区公園
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