意識障害患者の抜管 part. 2本日の内容...

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意識障害患者の抜管Part.2

2017/10/10勉強会

中西智博 /遠藤新大

本日の内容

Ø一般的な人工呼吸器離脱の手順(weaningprotocol)

SAT,SBTとは

Ø一般的な抜管

Ø意識障害患者の抜管 part1(2014年時点)

Ø意識障害患者の抜管 part2(2017年版)

Ø結論

復習

本日の内容

Ø一般的な人工呼吸器離脱の手順(weaningprotocol)

SAT,SBTとは

Ø一般的な抜管

Ø意識障害患者の抜管 part1(2014年時点)

Ø意識障害患者の抜管 part2(2017年版)

Ø結論

復習

人工呼吸器管理が長い

→死亡率が高いWeanig frommechanicalventilation.JTrauuma 1997;43:372-84

→人工呼吸器関連肺炎の罹患率が高いTheprevalenceofnosocomial infectioninintensivecareunitsinEurope.

JAMA1995;274:639-44

→人工呼吸器関連肺傷害の罹患率が高いTheaetiology,consequencesandpreventionofbarotruma:a critical

reviewoftheliterature. Clin intensivecare1995;6:166-73

2011年3月29日 大橋祐子先生勉強会より

人工呼吸器の離脱

Decisiontoextubate

《Weaning》(AssessingtheneedforVentilatorSupport)

《Extubation》(Assessingtheneedforanairway)

・呼吸パターンの評価・肺酸素化能の評価

・排痰ができるか? 有効な咳ができるか?・痰の量,痰の性質・意識レベル

(1)

(2)

(1),(2)が正しく評価されて条件を満たせばめでたく抜管!!

DecisiontoextubateIntensiveCareMed2002;28:535–546

2007.5.22 岩井Dr.ICU勉強会

人工呼吸器の離脱

Decisiontoextubate

《Weaning》(AssessingtheneedforVentilatorSupport)

《Extubation》(Assessingtheneedforanairway)

・呼吸パターンの評価・肺酸素化能の評価

・排痰ができるか? 有効な咳ができるか?・痰の量,痰の性質・意識レベル

(1)

(2)

(1),(2)が正しく評価されて条件を満たせばめでたく抜管!!

DecisiontoextubateIntensiveCareMed2002;28:535–546

2007.5.22 岩井Dr.ICU勉強会

慈恵ICU勉強会2011/3/29大橋 祐子

BMJ2011;342:c7237

Discussion

• Weaning protocolによって、人工呼吸器の装着期間、

Weaning期間、ICU滞在期間は短くなる。

•人工呼吸器の装着期間とWeaning期間が短くなったため、

ICU滞在期間が短くなったと考えられた。

Weaningの方法は重要

じゃあウィーニングプロトコル作ろう!

呼吸不全の原因の改善

体液バランス過剰, 電解質異常, 重度の貧血, 発熱がない

SBT開始基準

SBT実施

SBT成功基準 翌日, 再度SBT実施可能か評価

抜管

30 ~ 120分

痰を出せる, 気道をプロテクトできる, 上気道狭窄の可能性少ない

Jikei weaning protocol

SAT開始基準

PassFail

SAT実施

SAT成功基準

30分 ~ 4時間

毎日SAT可能か評価

Pass

PassFail

人工呼吸継続毎日SBT可能か評価

FailPass

半量の鎮静薬から再開Fail

翌日, 再度SAT実施可能か評価

ICU勉強会 2007.5.22: Dr,岩井「Decision to extubate」を参照

SAT:SpontaneousAwakeningTestとは?

Design; RCTSetting; 4施設Patients; SAT+SBT 168人各施設の通常ケア+SBT 168人

SAT: Spontaneous awakening trial1日1回鎮静の中断(daily sedation interruption)

鎮静の評価にRASSを使用

SAT+SBTにおいて人工呼吸時間, ICU滞在日数, 入院期間が短い。自己抜管は増加したが, 再挿管人数に差がない。

2011年 6月21日勉強会臨床工学部 奥田さん「Jikei weaningprotocol」より

SATの方法• 全ての鎮静薬と鎮痛薬の使用を中断する

• 鎮痛薬が必要な痛みには継続して投与する

• 30分~最大4時間監視し評価する

成功の場合

すぐさまSBTを実施する失敗の場合

SAT実施前の半分の投与量から鎮静薬を再開し, 患者が快適になるまで増やせる

を参考

2011年 6月21日勉強会臨床工学部 奥田さん「Jikei weaningprotocol」より

SATの成功基準1. RASS -1~02. 鎮静薬中断して30分~4時間以上過ぎても以下の基準を含まない・継続した不安状態,興奮状態・鎮痛薬を投与しても痛みをコントロールできない

・呼吸回数≦35/min(5分以上)・ SpO2≦88%(5分以上)・急性の不整脈

・以下の呼吸促拍の徴候がない (2項目以上は呼吸促拍)a)頻脈,除脈b)重度の副呼吸筋の使用c)奇異性腹筋の使用d)冷汗e)重度の呼吸苦

を参考

2011年 6月21日勉強会臨床工学部 奥田さん「Jikei weaningprotocol」より

SBT:Spontaneous BreathingTestとは?

Design; a prospective randomized, multicenter studySetting; 14施設, 外科-内科ICUPatients; 人工呼吸平均7.5±6.1日 546人のうち

SBT (T-piece 120min)後, weaning失敗と判断されA/Cに戻した130人Intervention;

IMV群: 総呼吸回数の半分10±2回から開始し, 2~4回づつ1日2回下げる 29人PSV群: RR≦25回になるようPS18±6cmH2Oで開始し, 2~4cmH2Oづつ1日2回下げる 37人間欠SBT群: 1日2回以上SBT (T-piece or CPAP≦5cmH2O)を行う 33人1日1回SBT群: 1日1回SBTを行う 31人

SBTはIMVやPSVより・ weaningが早い・ weaningの成功率が高い

2011年 6月21日勉強会臨床工学部 奥田さん「Jikei weaningprotocol」より

SBT開始基準1. FiO2≦ 0.4~0.5andPEEP≦ 5~8cmH2O

2.FiO2 andPEEPが前日よりも改善

3.患者の自発呼吸が十分

(自発呼吸の確認のため呼吸回数を5分間で50%まで落としてみてもよい)

4.ノルアドレナリン 0.5γ以下で血行動態が安定している

5.神経筋遮断薬を使用していない

上記の条件がすべて満たされていれば毎日SBTを開始する

NIH NHLBI ARDS Clinical Network を参考

2011年 6月21日勉強会臨床工学部 奥田さん「Jikei weaningprotocol」より

SBTの方法• FiO2≦ 0.5の設定で,

T-pieceorCPAP≦ 5cmH2O(PS≦ 5cmH2O)

• 患者がこの設定に耐えられるか評価

• 30min~最長120minまで評価

• 成功とみなされれば,抜管を考える

• 耐えられなければ,前の条件設定に戻す

NIH NHLBI ARDS Clinical Network を参考

2011年 6月21日勉強会臨床工学部 奥田さん「Jikei weaningprotocol」より

SBTの成功基準

1. SpO2≧ 95%and/orPaO2≧ 80mmHg2. 自発一回換気量≧ 4ml/kgPBW3. 呼吸回数≦ 30/min4. pH≧ 7.35. 以下の呼吸促拍の徴候がない(2項目以上は呼吸促拍)・脈拍がベースラインの120%以上・重度の副呼吸筋の使用

・奇異性腹筋の使用

・冷汗

・重度の呼吸苦 NIH NHLBI ARDS Clinical Networkを参考

2011年 6月21日勉強会臨床工学部 奥田さん「Jikei weaningprotocol」より

本日の内容

Ø一般的な人工呼吸器離脱の手順(weaningprotocol)

SAT,SBTとは

Ø一般的な抜管

Ø意識障害患者の抜管 part1(2014年時点)

Ø意識障害患者の抜管 part2(2017年版)

Ø結論

復習

人工呼吸器の離脱

Decisiontoextubate

《Weaning》(AssessingtheneedforVentilatorSupport)

《Extubation》(Assessingtheneedforanairway)

・呼吸パターンの評価・肺酸素化能の評価

・排痰ができるか? 有効な咳ができるか?・痰の量,痰の性質・意識レベル

(1)

(2)

(1),(2)が正しく評価されて条件を満たせばめでたく抜管!!

DecisiontoextubateIntensiveCareMed2002;28:535–546

2007.5.22 岩井Dr.ICU勉強会

「改めて」考えたWeaning完了後の抜管

①呼吸不全の改善と循環動態安定、意識を再確認

②喉頭浮腫評価 :カフリークテスト

の次に

③咳嗽・喀痰評価

・咳は指示のみで可能?or吸引刺激が必要?・喀痰吸引頻度+咳の強さ(4段階評価)の確認・CPFのチェック(Cut-off:60L/min)④さらに呼吸筋の筋力低下も疑わしい場合 : VIDDを考慮

⇒①~④を評価して抜管の最終判断

2013年4月16日小林Dr.勉強会「抜管について改めて考える」より

一般的にはどれくらい失敗するのか?

意識障害患者の抜管

2014.01.21慈恵ICU勉強会鈴木薫

ここまでは一般論について・・・ここからは

脳損傷患者において、抜管可能と判断した後に抜管を遅らせても

再挿管リスクは下がらずVAPのリスクを上げるだけ。

再挿管(抜管の失敗)は院内肺炎のリスクICU滞在期間

の延長と関連し、死亡率が高い傾向にある

AmJRespir Crit CareMed.1995Jul;152(1):137-141

意識障害患者の抜管は遅れてもいけないし

抜管の失敗も避けるべき

意識障害患者における適切な管理

はあるのか、またなぜ失敗するのか?

Ø 肺保護換気

Ø 栄養を初日から始める

Ø 自発呼吸を促し10cmH2OのPS

またはFiO240%で30分のSBT

Ø 肺炎の際の抗菌薬選択

Ø GCS10以上かつ咳があれば抜管

2つの大学病院ICUにおいて

24時間以上挿管されている脳損傷患者

3年間のcontrol期間

22ヵ月の介入期間 と beforeafterstudy

人工呼吸期間は介入群で短く

28日時点、90日時点で人工呼吸

離脱期間が短い

介入群で院内肺炎の割合が低い

これまでのデータでは意識障害患者に限らない

抜管の失敗率は 6~25%

意識障害患者に限って介入を行っても

抜管の失敗は

介入群の 99人中17人(17.2%)

Control群では 37人中7人(18.9%)

AmJRespir Crit CareMed158:1855-1862

介入しても抜管の失敗率は依然として高い

そもそも意識障害患者の抜管可能性を予測するのは困難

抜管の失敗についての研究は、意識障害患者に特化しておらず、

内科系ICU入室患者についてであったり

術後ICU入室後患者を含むことが多かった。

意識障害患者において抜管に失敗して初めて気道確保能力がない

ことが判明するのも稀ではない。

脳障害患者では十分な脳血流を保つため多量の輸液を必要として

喀痰の量が増えたり、抜管に十分な筋力や意識があるか

不明なことも多い。

じゃあどうすればいいのか?

【概要】脳外術後患者において、weaningと抜管のプロトコルを作成して

介入した場合、ICU医師の判断のみで施行した場合と比較して再挿管率を下げるか

【デザイン】ランダム化比較研究

【セッティング】1200床のイタリア病院のneuro-ICU(closed)

【期間】2002年10月~2004年6月(1年9ヵ月間)

【対象】12時間以上挿管されている脳障害患者956人 (最終的に対象は318人)2014.01.21 鈴木Dr.勉強会「意識障害患者の抜管」より

〈Intervention群〉Dailyscreening

ü ・GCS≧8ü ・吸引時に咳き込むü ・吸引頻度≦2回/hrü ・体温≦38.5度 ・pH≧7.35,PaCO2≦50ü ・PaO2/FiO2比≧200(PEEP≦5) ・FiO2≦0.4ü ・HR≦125,sBP≧90(NA:なし、DOA≦5γ)

→SBtrial(1時間)RR/TV≦105,PaO2/FiO2≧200,pH≧7.35,PaCO2≦50

→ただちに抜管〈Control群〉集中治療医の判断でweaning,抜管

2014.01.21 鈴木Dr.勉強会「意識障害患者の抜管」より

GCS< 8の患者に対して抜管トライをしない研究は多い

両群間の入院時のcharacter

抜管時のGCS:Intervention群 10.6±0.7 vsControl群 10.5±0.9 (p=0.232)

2014.01.21 鈴木Dr.勉強会「意識障害患者の抜管」より

バックグラウンドに大きな違いはなし

【再挿管の内わけ】

【Outcome】

Extubation failure&reintubationのリスクファクター• SAPSⅡscore(オッズ比 1.04,95%CI1.01-1.08,p=0.016)• GCSonstudyentry(オッズ比 0.66,95%CI0.44-0.99,p=0.044)• Control群への割り当て(オッズ比 2.48,95%CI1.05-5.90,

p=0.039)Interventionで行った意識/咳/痰の評価は・GCS≧8・咳き込みができる

・吸引頻度≦2回/hr両群の間で抜管時のGCSに差はなかった(Intervention群 10.6±0.7 vsControl群 10.5±0.9(p=0.232))

医師の主観的判断に任せず、プロトコルにのせることは重要

抜管時のGCSは抜管の成功とはあまり関係がないかもしれない

咳込みや喀痰の量など上気道の問題は抜管の成功と関連がありそう

2014.01.21 鈴木Dr.勉強会「意識障害患者の抜管」より

(V:1としてGCSをカウント)

GCS3でも抜管トライしている!

(V:1としてGCSをカウント)

咽頭反射が無い、または弱い36人中32人が抜管に成功

咳反射が無い、または弱い22人中18人が抜管に成功

自発的な咳がみられる、吸痰の介入回数が少ないことは

抜管の成功と関連があった。

GCS≦8の49人中39人が抜管成功

GCS≦4の11人中10人が抜管成功

【概要】SBTをクリアした患者にプロトコールを設定して抜管

【デザイン】前向き観察研究

【セッティング】325床の単施設のICU

【期間】2002年7月~2003年5月(11ヵ月間)

【対象】挿管/人工呼吸器管理のICU患者88人2014.01.21 鈴木Dr.勉強会「意識障害患者の抜管」より

30~60分間のSBTに成功した患者が抜管トライの対象

1. coughpeakflowを記録。WCT:挿管チューブの先端に

白いカードを置き咳をさせて湿るかどうか確認。

2. 抜管予定時間の3時間前から気管内吸引で引けた分

泌物の量を記録する。

3. ①開眼②追視③把握④挺舌の4つの指示動作が

可能か確認

抜管後72時間以上再挿管がなければ抜管成功

Methods

2014.01.21 鈴木Dr.勉強会「意識障害患者の抜管」より

2014.01.21 鈴木Dr.勉強会「意識障害患者の抜管」より

Cough Peak flow≧ 60L/minの基準の元となっている。

抜管成功群では可能な指示動作の数が失敗群と比べて

有意に多い。

気道分泌物の量は抜管成功群、失敗群とで差はみられず。

2014.01.21 鈴木Dr.勉強会「意識障害患者の抜管」より

抜管失敗のリスク要因の数

失敗する確率も上昇咳の力が弱い

分泌物の量が多い

指示動作数少ない

咳の湿度が低い

早くて浅い呼吸

抜管失敗高リスク群

意識障害患者においては輸液量が増えがち

気道確保能力評価、呼吸筋の筋力低下評価が困難

意識障害患者の抜管可能性を予測するのは困難であるが、

適切なタイミングでの抜管が患者の肺炎発生率、予後に関わる

抜管時のプロトコル介入は意識障害患者においても重要

上気道評価の重要性

抜管時のGCSの値は関連が低い可能性

指示動作を適切に選ぶことで神経についての評価を

GCSよりも正確に評価できるのではないか

ここまでのまとめ

本日の内容

Ø一般的な人工呼吸器離脱の手順(weaningprotocol)

SAT,SBTとは

Ø一般的な抜管

Ø意識障害患者の抜管 part1(2014年時点)

Ø意識障害患者の抜管 part2(2017年版)

Ø結論

復習

フランスの3つの大学病院で 2011年 1月から2014年6月まで

対象:18歳以上の脳損傷患者で GCS≦ 12で下記に該当する

TBI(TraumaticBrainInjury),

SAH(Subarachnoidhemorrhage)

intracerebralhemorrhage,

malignantstroke,

centralnervoussysteminfection,braintumor

48時間以上のMV(MechanicalVentilation)患者

前向きコホート観察研究

Intervention

Design

437人の患者について抜管前の評価を行い

各種項目について記録

抜管成功群と失敗群とでそれらの項目の差異を検討し

抜管成功・失敗と関連する項目を検討する

Exclusioncriteriaü 治療の差し控えü 妊娠ü T4より高位の脊髄損傷

ICUにおける管理方法TraumaticintracranialhypertensionNEngl JMed2014;370:2121-2130Guidelinesforthemanagementof aneurysmalsubarachnoidhemorrhage

Stroke2012;43:1711-1737Guidelinesforthemanagementofseveretraumaticbraininjury

Neurotrauma 2007;24(suppl 1):S1–106

ü 初期の鎮静にはmidazolamを使用し、頭蓋内圧上昇が

続く場合にチオペンタールを使用

ü 日々の鎮静中断は行わず、ICU初期治療が終了し

CT評価後に持続的な鎮静を終了

ü 入室後48時間以内に20~30kcal/kg/dayで経腸栄養を5日

WeaningProtocol

WeaningCriteria

1.無鎮静下での GCS:M≧ 42.最小限のCatecholamineで

90≦ sBP≦ 160mmHg(HR≦ 140回/min)3.FiO2≦ 0.4,PEEP≦ 8cmH2O,RR≦ 35回 /minの条件下でSpO2≧ 90%

4.PaCO2≦ 50mmHg5.深部体温 38.5℃未満6.pH≧ 7.35

30分のT-piecetrialまたは

7~8cmH2OのPressureSupportでの SBT

SBT中に下記の症状が30分以内に出現した場合呼吸数≧35回となり呼吸補助筋を使用しているFiO2 =0.4でSpO2≦ 90%となった場合心拍数≧ 140回/min収縮期血圧≧ 180mmHg または収縮期血圧≦ 90mmHg明らかな呼吸苦や不穏状態の出現

GCS≦ 8

WeaningFailure

Extubationprotocol

抜管の1時間前に専門医が26項目のchecklistを確認

ü 抜管前24時間のうちSBTを施行したのは何時間か

ü 抜管前3時間の間で1時間当たり2回以上の気管内吸引が必要か

ü Leaktest施行の有無とLeakの有無

ü GCSのscore

ü 簡単な指示に従えるか

ü 追視の有無

ü 咳の有無と吸引の時だけ咳が起きるのか、自発的に咳ができるか

ü 飲みこむ動作が喉の動きから判断して客観的に可能かどうか

ü 咽頭に存在する唾液の量、吸引介入が1時間あたり2回以上必要

ü 過去24時間以内に顕性の嘔吐が有ったかどうか

ü 5日以上の便秘の有無

ü 筋力低下の有無(脳障害が無いのに自力で手や足をベッドから

遠ざけることができない)

ü 患者は混迷状態か、不穏状態かどうか

ü 自力で挿管チューブを吐き出そうとしているか

ü 鎮静剤、ベンゾジアゼピン、モルヒネ、ステロイドのいずれかを

使用しているか

Cuffleaktestは抜管する専門医の判断に委ねられた。

抜管は呼吸療法士の存在下に行われた。

酸素マスク使用してSpO294~95%を目標とした。

NIVやHFNCは使用しなかった。再挿管の基準

酸素投与にもかかわらずSpO2≦ 90%または呼吸数≧ 40回/minGCS≦ 8の神経障害

循環不全(心拍数≧ 140回/min かつ収縮期血圧≦ 80mmHg

抜管の失敗

PrimaryOutcome初回の抜管トライ後の抜管成功

失敗について議論はあるものの、今回はNIVを使用しなかったため

抜管後48時間以内の再挿管と定義

抜管の失敗:抜管後48時間以内の再挿管

気管切開はICU入室7日以内は施行せず、鎮静をきって数日しても

意識障害(GCS≦ 8)が遷延する場合に考慮:神経学的要因

失敗は神経学的要因、呼吸要因、上気道狭窄、心血管要因と分類

SecondaryOutcome

VentilationAssociatedPneumonia:VAP

人工呼吸器装着期間,ICU滞在日数,ICU死亡率

抜管失敗の要因,抜管失敗の転帰

以上をICU滞在中観察

Results

ICU入室患者10222人

脳障害患者でMV48時間以上が

このうち797人

抜管トライ施行は437人

うち99人が抜管失敗

40人が気管切開術へ

Results

Results外傷性脳挫傷が42.6%,SAHが28.8%,脳室内出血が12.4%

脳梗塞が 5%

男性が61.1%,年齢は50歳±18歳,40歳未満が29.7%

ICU入室時のGCS中央値は 7

抜管の失敗 人数

喀痰コントロール困難 50人 (50.5%)神経因子 36人 (36.3%)低酸素血症 33人 (33.3%)

抜管後上気道狭窄 19人 (19.2%)呼吸不全 17人 (17.1%)心血管因子 1人 (1%)

神経因子と喀痰過多が14人(14.1%),神経因子と呼吸不全が4人(4.1%)

GCS 抜管成功 抜管失敗

12– 15 51人 (15%) 13人 (13.1%)9– 11 49人 (14.5%) 12人 (12.1%)≦ 8 216人 (63.9%) 68人 (68.7%)

事故抜管は20人 (4.6%)でいずれもSBTに成功していた

このうち15人は再挿管されなかった

抜管成功・失敗患者における抜管当日の臨床項目の比較

単変量解析

抜管成功・失敗患者における抜管当日の臨床項目の比較

単変量解析

カフリークテスト

GCSとそのうちのMが高い

追視、嘔吐あり、抑制を必要とする興奮あり

挿管チューブを吐き出そうとする

麻薬投与、上気道浮腫予防のステロイド

抜管成功と独立して関連のある項目

VISAGEscoreVIsual pursuit:追視があるSwallowing:嚥下がみられるAge:年齢40歳未満Glasgow(atExtubation):> 10

いずれも同じ程度のOddsRatio

各項目+1点

23% 56% 70% 90%

VISAGE Sensitivity Specificity≧ 3 62% 79%

PPV NPV90% 39%

LR+ LR-2.9 0.5

VISAGE score≧ 3であれば抜管の成功は90%以上

ICUにおける経過

人工呼吸期間: 11日 (5- 17)vs.22日 (13- 29)

ICU滞在期間:15日(9- 23)vs.27日(21- 36)

ICU内死亡:4人 (1.2%)vs.11人(11.1%)

Discussion

今回研究により示されたVISAGEscoreにより抜管の遅れを防げる

抜管が成功する要因として、神経学的に完全な回復は必須ではない

GCSのEに関しては単変量解析では抜管成功因子となったが、

多変量解析においては該当しなかった。これはE4では周囲の環境を

認識しているかは問わないため。追視はより皮質機能の統合を

必要とするためより精確な評価と考えられる。

気道反射の欠如は脳障害患者における抜管失敗の重要な原因

嚥下機能障害も脳障害、とくに脳梗塞や外傷性脳挫傷後にみられ

院内肺炎の原因となる。

今回の研究では分泌物の量をNs.の吸引介入の頻度として評価

分泌物の量が抜管の成功と関連しなかったのは、そもそも抜管を

施行したのが分泌物の少ない状況であったことや、

飲み込みができることで抜管成功の患者で分泌物が少なかった

可能性がある

気道評価について

Limitation

VISAGEscoreの外的妥当性が担保されていない

VISAGEscore3点または4点を満たしたわずか194人(57%)しか

抜管できず、VISAGEscore1点または2点の患者では抜管遅延

が生じている可能性がある。

早期VAPについて記録をしていない。

嚥下反射について評価していない。

水分バランスについて評価していない。

長期予後は不明

フランス国内の大学病院にある病床数13の神経ICUと2つのICU

(病床数17と15)において2013年6月~2015年2月にかけて行われた

Design:単施設前向き観察研究

Intervention:GCS≦12の脳障害患者で48時間以上人工呼吸器管理

されている者に対し初回のSBT成功後から対象となった140人

各種項目を記録して検討

InclusionCriteria

ExclusionCriteria

脳挫傷、SAH、テント上・テント下脳室内出血、脳梗塞

心停止後低酸素脳症の患者で抜管基準を満たした者

脊髄損傷、てんかん、アルコールや薬物による意識障害

中枢神経感染症、気切後患者、自己抜管、治療差し控え

WeaningProtocol

WeaningCriteria

ICP≦ 20mmHg,CPP> 60mmHgPS≦ 8cmH2O,PEEP≦ 5cmH2O,FiO2≦ 40%の条件下でSpO2≧ 92%,RR≦ 35回 /min呼気TV≧ 7ml/kgPaCO2≦ 45mmHg深部体温 38.5℃未満Norepinephrin 0.2γ以下で平均血圧≧ 65mmHg

Weaningの方法ICP亢進や鎮静剤減量が落ち着いた後SBTの適応の有無評価

SBTはPEEP0でPS6~8cmH2Oの条件とした

SBTは朝にトライしSBT失敗であれば呼吸器を元の設定に戻して

また日々適応を検討

Weaning成功RR≦ 35回 /min,SpO2≧ 90%,臨床的な呼吸不全の兆候なし

HR< 120回/min,BP変動< 20%90< sBP< 200mmHg意識変容なし、不穏状態なし

PrimaryOutcome

Secondaryoutcome

ICU滞在中の再挿管またはNIV装着

呼吸器再装着の条件

SpO2≧ 90%保つため O2投与≧ 9L/min呼吸数≧ 35回/min,または呼吸補助筋使用呼吸停止や心停止PaCO2≧ 50mmHg,pH< 7.35HR< 120回/min,BP変動< 20%90< sBP< 200mmHg

48時間以内の抜管の失敗、6ヵ月後の神経予後

Results

Results

観察期間のICU入室患者は 2422人

うちGCS≦ 12かつ神経障害のために挿管されたのが 353人

除外基準を使用して 213人を除外し

対象患者は 140人

このうち 97人が抜管成功、43人が抜管失敗

GCS3でも抜管成功した患者もいた

抜管成功群は平均年齢が56歳、性別は男性が64%GCSは8

抜管失敗群では58歳、性別は男性が78%、GCSは6

その他原疾患や併存疾患に2群間で差異みられず

SBTが成功した日における2群の特徴に差はなし

抜管失敗の原因としては気道分泌物

上気道狭窄、無気肺、誤嚥、肺炎、心原性

の順であった。

抜管失敗群の方がICU死亡は多くICU滞在期間

挿管日数も有意に長い

在院日数は2群で有意な差はなし。

ICU退出時点、6ヵ月時点での神経予後は

抜管成功群の方が有意に良好

単変量解析の結果

単変量解析の結果

FOUR,GCS,CRS-Rから推定される脳幹機能、覚醒度は

抜管の失敗と関連がある。

呼吸数やRSBI、体重、心拍数では抜管について識別能は低い模様

咳嗽、咽頭反射、嚥下反射など上気道評価は

抜管の失敗と密接な関連

5.対象を認識4.対象の場所を認識3.追視2.固定1.閉眼反射0.反応なし

多変量解析の結果

多変量解析の結果

CRS-RにおけるVisualの項目

咽頭反射、嚥下反射、咳嗽が

多変量解析の結果関連ありと判明

オッズ比にあわせてscoringを作成

合計14点で、scoreが高い方が機能は良好

抜管成功患者のうち上気道評価

(咳、咽頭反射、嚥下反射)

の各項目数を満たす人数の割合

抜管成功・失敗患者における

上気道評価の各項目のうち

抜管成功した人数の割合

1~9点までは抜管失敗率は60%以上10点以上では10

Cutoff9点とすると

抜管失敗予測する上で

感度84%,特異度 75%

PPV89%,NPV66%

抜管失敗予測scoreのROC曲線

AUROCcurve=0.82

今研究での抜管の失敗率は31%

意識障害患者における失敗率とほぼ同じ

一般的なICUにおける抜管の失敗率は10~20%程度であることを

考えるとこの値は高いが、抜管の失敗の基準の取り方や

対象となる患者群が異なる

気切はSBT継続困難な場合以外は行わなかった。

先に出した研究と同様にGCSが低い患者においても抜管成功者

は存在

FOURscoreはICUで挿管されている患者の脳幹反射、呼吸機能

非言語的な意識の表出を評価するために開発されたが、

今回の研究では抜管の失敗との関連有意ではなかった

CRS-Rは植物状態、MCS、閉じ込め症候群、抑うつ状態など

の鑑別に用いられる。合計点は抜管の失敗と有意な関連は

なかったが、Visualの項目については有意な関連があった。

Motorに関してはいずれのscoringでも抜管の失敗と

有意な関連はみられなかった。

咳嗽や嚥下により上気道の分泌物を除去する能力は

抜管を成功させる上で重要であるが、意識障害の原疾患

である脳障害によって障害される機能である

咳、嚥下反射、咽頭反射のそれぞれについては

大規模な研究はなされていないものの、それぞれについて

研究はされており抜管の失敗を予測する上で重要である

ことを裏付ける結果となった

Limitation

1. 少数施設の観察研究であり外的妥当性について検討する必要

2. 嚥下反射はfiberやビデオ内視鏡などを使って評価しておらず

感度が低い可能性

3. 咳はCPFを測定したわけではなく、自発的に出たり吸引時のもの

をカウント

4.肺炎発生率が70%にも及んだ

5.医師による患者評価のタイミングはそれぞれに任されていた

6.NIVは上気道に問題のある患者においては不適切だった可能性

本日の内容

Ø一般的な人工呼吸器離脱の手順(weaningprotocol)

SAT,SBTとは

Ø一般的な抜管

Ø意識障害患者の抜管 part1(2014年時点)

Ø意識障害患者の抜管 part2(2017年版)

Ø結論

復習

結論

どちらの論文でもGCS:V1としてしまっているため、

チューブがなければ話せそうな人も

GCSを過小評価してしまっている可能性がある

臨床的に抜管するか悩むのはどちらかといえば70歳以上の

高齢者であることが多い。

40歳未満であれば少なくとも1回は抜管トライという話は出るだろう

GCS8を超えていれば抜管トライ自体しないという研究が多いのは

8未満の患者においてガイドライン上では抜管を推奨してないからか

GCS3でも抜管トライしているのは驚きだが、この論文がいくつかの

病院で抜管トライする根拠となっているのかもしれない

意識障害患者の抜管において行うべき評価という点からは、

いわゆる呼吸器のWeaning、SBTを行った上で

1.追視があるかどうか(Visualpursuit)、物体のある位置がわかる

物体を認識できるかどうか(CRS-R)ということは重要と思われる

2.上気道評価も失敗するかどうかを予測する上では極めて重要

具体的には咳嗽、咽頭反射、嚥下反射の有無は重要

3.若い人、意識が良い方が抜管の成功率が上がる

4.GCSについては点数が高い方が成功率は高いが、点数が低いから

必ず失敗するとは言い切れず、たまにGCS3点でも成功する人も

GCSだけを理由に抜管しないという点には議論の余地がありそう

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