第2章食品の変質...1 1 第2章食品の変質 食品微生物学 foodmicrobiology...

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第2章 食品の変質

食品微生物学

Food Microbiology

食品微生物学(岸本)

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微生物、どんなもの?

とても身近なもの、どこにでも数多くいます。

でも見えません。

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5納豆菌 コロニー観察 黄色矢印;芽胞、 緑色矢印;桿菌(栄養細胞)

6納豆菌 コロニー観察

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7唾液を顕微鏡で観察したもの

8粘膜細胞と細菌の大きさを比較しよう。

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9電子顕微鏡で見た桿菌と球菌

10寒天培地に唾液をなすりつけて37℃、24時間培養したもの。

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先ほどの培地のコロニーを顕微鏡で見たもの

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7

13インフルエンザウイルス 太い線は1cmの10万分の1の長さ

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15黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus

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Lactobacillus bulgaricus

ヨーグルトの製造などに用いられる乳酸菌

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17枯草菌 Bacillus subtilis

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Propionibacterium sp.

アクネ桿菌(Propionibacterium acnes)は、人の皮膚に住みついている菌。全ての人の皮膚に存在しています。ニキビ菌。

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19大腸菌 Escherichia coli

20緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)

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21放線菌 Actinomadura sp.

22パン酵母 Saccharomyces cerevisiae

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Penicillium属

ペニシリン生産株

24ベニテングダケ

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2・1 微生物に関する基本的事項

(1) 微生物の種類と大きさ

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微生物の分類 What is a microorganism

細菌・酵母・カビ(糸状菌)

微細藻類・原生動物

微小な生物

目に見えない

真核生物

原核生物

真菌ともいう

リケッチア・クラミジアも含む生物と無生物の境界に位置

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微生物の大きさ 細菌の大きさ約1μm=0.000001m

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真核微生物

原核微生物

核膜がない

酵母・カビなど

細菌

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2・1 微生物に関する基本的事項

(2) 微生物の形態と増殖様式

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教科書p.17 図3-2参照

細菌 bacteria

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細菌の分類のしかた1.形態学的な分類・・・・球菌、桿菌・・・・・

2.酸素要求性・・・・好気性、通性嫌気性、(偏性)嫌気性

3.運動性の有無・・・・・有→べん毛をもつ。べん毛 → 極毛、周毛

4.細胞壁構造の違い(染色性)・・・・・グラム陽性、グラム陰性

5.胞子をつくるかつくらないか・・・・胞子(芽胞)形成、非形成

6.生理学的性質①発酵性テスト

糖を分解(発酵)するか、しないか。②カタラーゼテスト

過酸化水素水を分解をする酵素を持っているかどうか。③オキシダーゼテスト

オキシダーゼという酵素の強弱をみる。

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グラム染色

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P.24 図2-3 参照①細胞壁(cell wall)

グラム陽性(+)菌とグラム陰性(-)菌では異なる構造

②莢膜(capsule)と粘質層(slime layer)細菌の病原性や細菌の食細胞に対する抵抗性を決める因子

③鞭毛(flagella)と線毛(pilus, pili)

④細胞膜(cytoplasmic membrane)

⑤細胞質( cytoplasm)⑥リボソーム(ribosome)

⑦メソソーム(mesosome)

⑧細胞質内顆粒⑨プラスミド(plasmid)

その他

細菌の構造

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原核細胞の構造

(DNA)

(タンパク合成)

グラム陽性菌、陰性菌で異なる

染色体外に存在するDNA

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(a)原形質量の測定①質量、②容積、③窒素量、④混濁度

(b)細胞数の測定①全菌数、②生細胞数 1)平板培養法

(c)増殖曲線(growth curve)

縦軸は細菌の生育数(細胞数)の対数

横軸は時間(培養時間)

①誘導期、②対数増殖期、③定常期、④死滅期

p.28 図2-6

微生物の増殖

細菌の培養 (1)生育量の測定

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微生物の増殖 2分裂を繰り返し、急速に増える

平均世代時間が短い(10~30分)

Growth Curve

腸炎ビブリオは10分以下で2分裂!!

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増殖曲線と時期の名称

2・1 微生物に関する基本的事項

(3) 微生物の増殖に影響を及ぼす要因

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微生物の増殖条件

細菌の増殖 ①栄養要求

世代時間 generation time :G.T.

大腸菌 約20分腸炎ビブリオ 約10分

独立栄養菌 autotrophic bacteria

光合成菌

化学合成菌

従属栄養菌 heterotorophic bacteria

食品に関係するほとんどの微生物

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微生物の増殖条件

細菌の増殖 ②温度

高温菌…

増殖温度が45~75℃の範囲で(55℃以上で)増殖

中温菌…37℃付近では活発に増殖。10℃以下ではほとんど生えない。低温貯蔵時の腐敗に関係しない。

低温菌…冷蔵庫の温度でも増殖可能。低温貯蔵時の食品の腐敗に関係。細胞膜脂質の不飽和脂肪酸の比率が高く,

固化流動性を保持して膜の機能を維持0℃と5℃でも増殖の程度は異なる。

p.25 図2-4

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微生物の増殖条件

細菌の増殖 ③酸素

好気性菌微生物は,酸素があるときのみ増殖

微好気性菌酸素が尐しあるときのみ増殖

通性嫌気性菌酸素があってもなくても増殖

(偏性)嫌気性菌酸素はかえって有害で,酸素の存在しない条件下でのみ増殖 p.25 表2-1

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•酢漬けは優れた貯蔵法。

•腐敗菌が低いpH(酸性)では増殖できない。

•一般の細菌は中性からややアルカリ性でよく生え,

•pHが4~5以下になると生えないものが多い。

•一般に乳酸菌や酵母,カビは比較的酸に強い。

•乳酸菌ではpH3.3~4付近まで。

•酵母やカビではさらに低くpH2~3付近まで生える。

•乳酸菌・酵母やカビは酸性食品の腐敗原因菌。

•酸の種類によって同じpHでも効果が異なる。

微生物の増殖条件

細菌の増殖 ④水素イオン濃度

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微生物の増殖条件

細菌の増殖 ⑤水分活性

食品中の水

結 合 水 … タ ン パ ク 質 や 糖 類 な ど の食品成分に束縛されている水

自由水…微生物が利用できる水

塩蔵品やジャム,羊羹などの糖分の高い製品では食品中の水の大部分が結合水の形で存在しているため,微生物はほとんど増殖できない

p.36 図3-10

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• 水分活性(Aw)

• Water activityの訳

• 砂糖や食塩のような可溶性の物質が水に溶けると,水の一部はその物質に結びついて拘束されるので,何も溶けていないときに比べて水蒸気圧が低下する。

• 水蒸気圧が低い=自由水が尐ない=Aw低い

• Awの最大は1,最小は0

• 乾燥法もAwを低くして食品を長期保存させる。

微生物の増殖条件

細菌の増殖 ⑤水分活性

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•好塩細菌(halophiles)

•非好塩細菌(nonhalophiles)

微生物の増殖条件

細菌の増殖 ⑥浸透圧

細菌の増殖 ⑦光線

•260nm 付近の紫外線

•γ(ガンマ)線

•冷殺菌と呼ばれる(cold sterilization)

細菌の増殖 ⑧化学物質

•抗菌物質、消毒剤、防腐剤

•化学療法剤、抗生物質

2・1 微生物に関する基本的事項

(4) 微生物の殺菌

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滅菌(sterilization)

すべての微生物を物理的、化学的方法で死滅させるか、ろ過により除去、無菌化することをいう。

消毒(disinfecting)

人畜に対して有害な微生物を殺菌または除去すること。必ずしもすべての微生物が殺菌されているとは限らない。

微生物の増殖条件

滅菌と消毒

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(1)加熱殺菌法乾熱殺菌 / 湿熱殺菌(オートクレーブ法)

(2)ろ過法

(3)ガス殺菌法 (エチレンオキシドなど)

(4)消毒剤(disinfectant)

a.フェノール、b.アルコール、c.アルデヒド類d.界面活性剤、e.塩素系、f.ヨウ素系、g.酸化剤

微生物の増殖条件

滅菌と消毒

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D値…菌数を加熱前の10分の1にするのに必要な加熱時間(分)

Decimal Reduction Value

この数字が大きいほど耐熱性が大きい食品の加熱殺菌はこのD値の5倍を目安胞子を持たない細菌は60℃10~30分程度の加熱で死。胞子を殺すには100℃以上の加熱が必要120℃でのD値が5分以上の細菌も(缶詰の変敗菌)

加熱殺菌による微生物制御

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Pasteurization(→p.102)食品になるべく影響を与えないように,比較的緩い加熱によって問題となる病原菌や変敗原因菌のみを殺すための方法

低温殺菌と呼ばれる(60~65℃ 30分)

室町時代から,清酒製造の際に火入れといって60℃程度の低温殺菌が行なわれている。清酒のほか醤油,味噌,牛乳,漬け物,食肉製品,水産練り製品などに広く利用

加熱殺菌による微生物制御

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