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『集合住宅“団地”の再編(再生・更新)手法に関する技術開発研究』

団 地 再 編

VOL.

リ ー フ レ ッ ト-Re-DANCHI leaflet-

関西大学戦 略 的 研 究 基 盤

文部科学省 私立大学 戦略的研究基盤形成支援事業SEPTEMBER     2012074

Keyword : 仙台市 鶴ヶ谷団地 団地再生 再生基本計画

団地再生計画 団地からまちへ - 仙台市鶴ヶ谷の事例より-

鶴ヶ谷団地の再生基本計画の概要 鶴ヶ谷団地は仙台市が住宅市街地総合整備事業として 1966 年に整備した団地である。仙台駅から約5km に位置し、市営住宅、日本住宅公団と戸建て住宅地、公共・商業施設地などからなる。直接の事業エリアである鶴ヶ谷第一市営住宅は、2 階建て 61 棟336 戸、4 ~ 5 階建て 27 棟 700 戸の総戸数 1,036戸で構成され、1968 年から 1971 年にかけて建設された。市内最古かつ最大規模の市営住宅の住棟が老朽化しただけでなく、鶴ヶ谷団地地域が市内で最も高齢化し、コミュニティの衰退が著しいといった社会問題が生まれていた。 そこで、単なる建て替えでは解決できないこれらの課題に対して、仙台市都市整備局は、都市計画、建築計画、ランドスケープをそれぞれ専門とする3大学の研究室と再開発コンサルタントによる計画コンソーシアムを組織し、2003 年度、鶴ヶ谷第一市営

住宅団地再生基本計画を策定した。 再生基本計画では、目標を「鶴ヶ谷団地および周辺地域の自律的な環境・コミュニティ複合体としての再生」として、この市営住宅の建て替えは、鶴ヶ谷団地地域を再生する事業であると位置づけた。そして後述する3つの基本方針を定め、その具体的計画として、「百年のまちづくり」「百年の家づくり」

「百年の杜づくり」という3つ計画と、計画実現手法として PFI 的事業手法の導入や「まちづくり運営会社」の設立といった事業連携プログラムを計画した。この計画・事業手法が目指したのは、住宅行政、公園緑地、都市計画、環境、福祉、市民活動等の様々な行政セクターが組み、さらには民間事業体、NPO、地域住民などの非行政セクターも参画した、総合的な施策・空間形成事業・社会サービス事業を構築することであった。

図 1. 再生基本計画の全体イメージ

2 団地再生計画 団地からまちへ -仙台市鶴ケ谷の事例より-

1. 再生計画のマスタープラン 市営住宅地の事業化対象地区全体を、鶴ヶ谷地域再生の核としてのミクスドユーズによる魅力的な「まち」とするために、事業化地区のマスタープランとしては、本事業に関わる民間事業体が利益を生みやすい土地活用(インセンティブエリアや余剰地活用)ができるように、土地利用・計画の自由度をあげることを意図した。これは従前敷地の一部の売却益で、建て替え費用を生む従来型の建て替え事業と対比的である(図1)。 また、まちの運営や影響を考慮する範囲としての計画対象は、図2のように事業化地区以外に2段階設定し、周辺施設との連携などを考慮した。

2. 再生基本計画の 3 つの基本方針 再生基本計画では再生の目標として、「鶴ヶ谷団地および周辺地域の自律的な環境・コミュニティ複合体としての再生」が掲げ、以下の 3 つの方針を示した。①多様な世代とライフスタイルが交流 する地域社会の再生 社会的な階層の偏在を平準化し、多様な世代とライフスタイルを受け止めるため、都市づくり施策、福祉、健康、環境施策と連動した政策的、戦略的な指導によって地域再生を図る。②「団地づくり」から「まちづくり」  への転換 公営住宅団地の建替えを機にまちを再編し、多様な施設、民間住宅を導入

の住戸供給と各種の施設を導入する街区構成プログラムを設定した(図4)。 多様なタイプの住戸供給のためには、行政や民間事業者によるケア付き住宅、多様な所得者層用の優良賃貸、分譲マンション、コーポラティブ住宅などの施策住宅の導入を計画した。また、施設導入については、福祉、コミュニティビジネス、市民活動の分野別に、

図 1. 再生基本計画のフレーム することで、公共による運営管理の団地から、民による自律的な運営管理のまちへの転換を誘導する。③地域資源 ( 環境、もの、ひと ) の連 携と活用による持続的な地域再生 既存の自然環境資源や良質な住宅・施設ストックの活用と連携を積極的に進め、それらを支える地域運営の仕組みを生み、持続的な地域再生を行う。

3. 再生基本計画の 3 つの百年計画 持続的なまちづくりへの思いを込めた3つの「百年計画」を計画した ( 図3)。3.1 百年のまちづくり計画 「百年のまちづくり計画」では、多様な世帯、多様な住まい方を受け止め、交流するまちづくりを行うために、事業化地区の総体としての住まい方像を掲げニーズを掘り起こし多様なタイプ

図 2. 再生基本計画の範囲

図 3. 3 つの百年計画

3団地再生計画 団地からまちへ -仙台市鶴ケ谷の事例より-

として「協住」を掲げた。「協住」とは、個々人の自由な選択に任されながらも集まって住むことで、日々発生する様々な行為が住環境やコミュニティを豊かにし、住民の生活自身を高めていくような住まい方を支える、空間的ネットワークや個人活動、社会サービスのネットワークである。 そして多様な「協住」を実現する手法・技術(図6)として、例えば、リビングなどを共用空間としたコレクティブ・ハウジングや、住空間が外に開かれて緩や

図 4. 多様な住まい方を受け止める街区構成計画

図 5. 百年の杜づくり計画

住棟付属のスペース(3.3 参照)から大規模施設までを、事業化地区に分散配置した。 その他、地域運営の仕組みづくりや望まれる事業展開として、PFI 事業者が母体となる地域運営法人を形成し、(1) コミュニティビジネスの起業・事業支援や、(2) 多様な住まいを活用

生み出すという付加価値を付けるために、事業化地区に大胆な緑地を創造するのが「百年の杜づくり計画」である( 図 5)。すでに鶴ヶ谷地区周辺にある大規模緑地や水辺を、自然生態系面でも意義のある幅20mの緑地「エココリドー」でつなぎ、鶴ヶ谷地域全体の自然環境を再生すると同時に、散策路などの身近に緑豊かな住環境を生み出す計画である。緑地の管理運営は、前述した地域運営法人を核に、行政や、民間、NPO、地域住民、学校など様々な主体が参加する仕組みを提案した。3.3 百年の家づくり計画 百年の家づくり計画は、これまで述べた多様な住まい方の理念を、実際の生活行為として立ち上げる住空間づくりの計画である。その具体的な空間づくりと使いこなしのキーコンセプト

かにつながるコ・ハウジング(図 7)といった住棟内の構成を導入することや、多様なオープンスペースを生む住棟配置を導入することを提案した。また住棟付属の「協住」スペースとして、共用玄関ロビーを強化した「コミュニティステーション」や、福祉、コミュニティビジネス、市民活動といったソフトウェアを提供する空間(アタッチメント)が付加された「キオスク」(図8)を提案した。 これらは新・市営住宅の建設終了時点で完成するものではないので、設計段階から地域の管理運営検討をはじめる市民参加のプロセスデザインも提案している。

4. 事業連携による実現プロセス 以上のような複雑なスキームを持つ

図 7. コレクティブ・ハウジングとゆるやかなコ・ハウジング

して、戸建て住宅を含む地域内での居住継続や住み替えを支えるリロケーションサービスの形を提案した。これは、PFI 型事業者が、建設だけでなく、その後の運営で利益を得てもらう事業スキームである。3.2 百年の杜づくり計画 仙台市郊外のやや利便性の悪い地域に、豊かな自然の傍らで暮らすライフスタイルを

図 6. 多様な「協住」を実現する手法・技術

4

本リーフレットは、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「集合住宅 “ 団地 ” の再編 ( 再生・更新 ) 手法に関する技術開発研究( 平成 23年度 ~平成 27年度 )」によって作成された。

関西大学先端科学技術推進機構 地域再生センター〒 564-8680 大阪府吹田市山手町 3 丁目 3 番 35 号先端科学技術推進機 4F 団地再編プロジェクト室 Tel : 06-6368-1111(内線 :6720)URL : http://ksdp.jimdo.com

発行:2012 年 9 月『団地再生計画 団地からまちへ -仙台市鶴ケ谷の事例より-』文  責:川原  晋(首都大学東京 准教授)作成協力:保持 尚志(関西大学大学院博士後期課程)

(講演:2012 年 6 月 12 日)

団地再生計画 団地からまちへ -仙台市鶴ケ谷の事例より-

約1/3は民間活用エリアとして売却、1/2の敷地に市営住宅を集約して建設、残り1/6の敷地に市民活動施設と福祉施設を建設するという土地利用計画に変更され、事業化地区全体で住宅と非住宅の複合的な土地利用を目指した基本計画の意図は失われた。様々な要因により、多主体連携の事業や運営段階での役割も含めた PFI 型事業の組み立てに挑戦できなかったことが推察される。 2011 年度末の段階で、4 工区の市営住宅エリアのうち2工区が住棟の建替え事業として竣工した。このうち第一工区の設計内容は、基本計画がめざした多様な住まい方やコミュニティの活性化を支える住空間の工夫が乏しく、行政内外から課題の指摘があったという。これに対して、2009 年、計画コンソーシアムのメンバーであった地元大学の専門家を中心に、地元自治会や地元で福祉や多様な市民活動を実践する人たちをメンバーとする「鶴ヶ谷第一市営住宅団地再整備検討会」が組織され、2010 年 3 月に提言書をまとめられた。論点を「居住空間の改善や新しい住まい方」と「地域コミュニティの活性化」におき、主に市営住宅の外部空間に関して提言している。また、今後の事業体制や地域運営につい

て課題を明らかにしている。その結果、第一工区の植栽計画の一部や、第2工区の集会所の設計に基本計画の内容が活かされた。第3工区事業以降では、並行して地域を運営する組織を作りつつ設計と運営の議論をする方向で進められようとしている。 再生基本計画策定後10年が過ぎた公営住宅団地の現状をみると、今後の団地再生には、少子高齢化によって弱体化したコミュニティを再生する方策がより一層求められるであろう。これには、住戸の建て替えだけで解決することは困難で、地域を支援する様々な施設の導入やソフト事業を重ね合わせ、多様な主体が連携しながら進めていくことが必要である。 今日、大規模団地の更新は、公的セクターが単独で取り組むには財政的に困難であり、民間事業の活用が必要である。しかしそのことで、建設面の事業成立性に気を取られ、世代や住まい方の偏った「団地」から、多様な住まい方を受け止める「まち」に再編・再生していく志を失ってはならない。公営住宅団地は行政が中心的に関与できる貴重な公共空間であり、周辺地域も含めた地域の再編の種地、きっかけとなる事業とすることを目指してほしい。

図 8. ソフトフェア機能が付加された協住   スペース「キオスク」のイメージ

図 9 民間事業体コンソーシアムによる事業イメージ

再生基本計画の実現のために、民間事業体コンソーシアム(公共施設や市営住宅を建設する民活事業、および余剰地活用事業等を実施する民間事業者の共同体)を作り、ここが設計、建設、運営のそれぞれの段階において、事業を連携して進めていく実現プロセスを計画した(図9)。 計画・建設段階では、コンソーシアムが、市営住宅建替えや市民活動センター、民間住宅、インセンティブエリアにおける店舗、エココリドーなどの緑の環境、その他市有地の有効活用等の整備計画と建設を行う。 運営段階では、コンソーシアムを母体に地域運営法人を新たに設立し、上記の市営住宅および周辺緑地等の環境の維持管理事業、インセンティブエリアにおける商業施設運営事業、福祉、介護、育児支援やコミュニティビジネス支援、リロケーションサービス等の事業などを包括的に運営する仕組みをつくることを提案した。

5. 課題と展望 基本計画策定後、仙台市の体制が変わり、計画の整理や PFI 手法等の事業手法を検討する調査が基本計画策定コンソーシアムとは別途で進められた。結果的に、3つのゾーンに区分され、

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