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第2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略
的価値の価値ウェイトの計測
前章において構造化された宇宙開発利用の戦略的価値について、本章ではその定量的評価の方
法として、階層分析法(AHP:Analytic Hierarchy Process)を適用し、戦略的価値の価値ウェイ
トについて分析する。
分析には一般的な国民を想定したWebアンケートによる 2000人のモニター回答データを使用
し、宇宙開発利用の価値に対してどのような民意の抽出の仕方が可能であるかについて検討して
いる。
2-1 階層分析法(AHP)を利用した価値ウェイトの算出
2-1-1 AHPの手続き
AHPは、米国ピッツバーグ大学のサーティ教授により提唱された手法であり、問題の分析にお
いて主観的判断とシステムアプローチをうまくミックスした問題解決型(提案型)意思決定手法
の一つである。適用分野は経済問題をはじめ、エネルギー問題、医療と健康、紛争処理、軍縮問
題、国際関係、人事と評価、プロジェクト選定、政策決定、社会学、都市計画などが挙げられる。
特に、フィンランドのハマライネン教授が提唱した原子力発電所建設の可否に対する国会審議
での適用(Hamalainen, 1990)と、サ-ティ教授らが提案したペルー日本大使公邸人質事件での
適用(Saaty and Mu, 1997)は有名な分析事例である。
AHPは、これまでの意思決定手法では対処しきれなかった問題の解決を図って開発されたもの
であり、問題の要素を「総合目的」、「評価項目・評価基準」、「代替案」の関係で捉え、階層構造
を作り上げることから始まる。手順としては、「総合目的」からみて「評価項目・評価基準」の重
要さを求めた後、総合目的からみた代替案の評価に換算する。AHPではこの評価過程で、評価者
の経験や勘を生かしてモデル化や定量化の難しかった事象を扱えるようにしている点が特徴であ
る。AHPの特徴を整理すると下記の4点である。
(1) 人間の持っている主観や勘が反映されるようにモデルが作られている
(2) 多くの評価項目・評価基準を同時に考慮できるようなモデルである
(3) 曖昧な環境を明確に説明できるようなモデルである
21
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
(4) 計算過程が簡便であるため、意思決定者が容易に AHPを使える
AHPは次に示す 3ステップから構成されている。
(1)第 1ステップ
AHPでは評価したい問題を評価基準と代替案のレベルに分け、階層構造として表現する。階層
構造の一番上は、評価のための総合目的であり、評価対象そのものである。つまり¢何を評価した
いのか(What?)£に対する答えが位置づけられる。それより下のレベルでは評価者の判断によ
り,幾つかの要素数(評価項目・評価基準の数)が一つ上のレベルとの関係から決められる。レ
ベル数は評価すべき問題の性質により決められるもので、特に限界はない。最後に階層の一番下
に代替案を置く。階層構造図の一例を図 2-1に示す。
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'()& '()$ '()%
図 2-1: 3つの評価基準,3つの代替案の場合の階層構造
(2)第 2ステップ
各レベルの要素間の重み付を行う。ここでは、あるレベルにおける要素間のペア比較を一つ上
のレベルにある要素関係のもとで行うことになる。nを対象の比較要素の数とすると、意志決定
者は n(n − 1)/2個のペア比較を行うことになる。ペア比較に用いられる値は 1/9,・・・1/7,・・1/3,
1,3,・・7,9のような値が用いられる。個々の数字の意味合いは表 2-1に示すとおりである。
重要性の尺度については、ペア比較の折に「重要でない」を定義する場合、表 2-1の尺度の逆
数を利用すればよい。その場合、「同じ程度重要」をどのような尺度に設定するかに工夫が生じ
る。人間の感覚的判断として、あまりに尺度が細かい場合には、他のペア比較時に整合的な判断
が困難になることが想定されるため、通常は「同じ程度重要」を含む3段階くらいでしか評価さ
れない。
以上のようにして得られた各ベクトルのペア比較マトリックスから各レベルの要素間の重みを
計算する。このペア比較マトリックスは逆数行列であるが、回答者のペア比較において首尾一貫
22 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
表 2-1: 重要性の尺度とその定義の例
重要性の尺度 定義
1 同じくらい重要(equal importance)3 すこし重要(weak importance)5 かなり重要(strong importance)7 非常に重要(very strong importance)9 極めて重要(absolute importance)
性のある答えを期待するのは不可能なため、整合度指数(C.I.:consistency index)を定義する。
これにはペア比較マトリックスの最大固有値を用いる。整合度指数については詳しくは次節で述
べる。
(3)第 3ステップ
各レベル間の重み付けが計算されると、この結果を用いて階層全体の重み付けを行う。これに
より総合目的に対する各代替案の優先順位が決定される。
以上に述べた AHPの各ステップのフローチャートを図 2-2に示す。
START
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*+,-.'(/0123"45*+,-.'(/0123"45
0123)6789)'(:);<=>0123)6789)'(:);<=>
6789)'(:)?@AB)CD6789)'(:)?@AB)CD
EFGHIJC.I.K)CDEFGHIJC.I.K)CD
C.I.< 0.1LMNLO
01PQ)?@AB)CD01PQ)?@AB)CD
RST)UVWX)CDRST)UVWX)CD
END
No
Yes
図 2-2: AHPのフローチャート
本研究のように、戦略的価値評価に AHPを用いる場合には、評価項目・評価基準のウェイト
を計算するだけでよく、最後のステップにある「代替案の優先順位の計算」は不要となる。
23 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
2-1-2 AHPの計算方法
本節ではAHPの計算方法について事例を交えながら解説する。AHPでは評価項目間の一対比
較を繰り返し、相対的な重要度(価値ウェイト)を計算する。
(1)AHPの数学的背景
階層のあるレベルの要素 S1,A2, . . . ,An のすぐ上のレベル要素に対する重み w1,w2, . . . ,wn を求
める時、ai の a j に対する重要度を ai j とすれば、要素 S1,A2, . . . ,An のペア比較マトリックスは
A =[ai j
]となり、w1,w2, . . . ,wn が既知の時、A =
[ai j
]は次のようになる。
A =[ai j
]=
1 w1/w2 . . . w1/wn
w2/w1 1 . . . w2/wn
......
. . ....
wn/w1 w2/wn . . . 1
ただし,
ai j = wi/w j, ai j = 1/ai j, W =
w1
w2
...
wn
ここでペア比較マトリックス Aに重み列ベクトルW を掛けると、ベクトル λ ·W を得る。すなわち、
A ·W = λ ·W ⇒ (A − λ · I) W = 0
ただし、Iは単位行列
W , 0が成り立つためには、λが Aの固有値となるため、Wは Aの固有ベクトルとなる1。現実
には回答者の判断の誤りや誤差などによって、厳密な意味での上式のような関係は得られない。
そのような場合、回答者による一対比較の判断の整合性を評価する指標として整合度指数(C.I.:
consistency index)が提案されている。
C.I. =|λmax − n|
n − 1
一対比較によって得られた行列 Aの全ての固有値を求め、その最大値を λmaxとする。一般に、
一対比較の結果が完全に整合的であれば C.I. = 0となり、整合性がないほど C.I.の値は大きくな
1n × n 行列 A に対して A ·W = λ ·W を満たす n 次元ベクトル W とスカラー λ が存在するとき,W を固有値ベクトル,λ を固有値と呼ぶ.λ と W は n 組存在しうる.
24 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
る。経験的には、C.I.が 0.1より大きくなれば一対比較の結果を見直す必要があると言われてい
る。また、要素の数が大きくなると、回答者の C.I.の値も大きくなりやすいことが知られている。
具体的な計算の手続きを以下の節で解説する。
(2)固有値の計算と整合度指数(C.I.)の計算
評価項目の価値ウェイトを求めるために、ペア比較行列(A)の固有値を計算する。ここでは、
簡便計算法によって固有値を計算する手続きを解説する。まず、表 2-2の列合計を計算する(表
2-3)。次にペア比較行列(A)の各要素を列合計で割った重み行列を作成する(表 2-4)。
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!" #$% &$' ()* +$, -$. !" #$% &$' ()* +$, -$.
!" / 0 / 1 1 / !" 23014 23011 230 23555 235/5 2306
#$% /70 / /75 0 5 / #$% 23/08 23/08 23249 23/55 23/88 2306
&$' / 5 / 5 5 /70 &$' 23014 23585 230 230 23/88 23/0
()* /71 /70 /75 / / /75 ()* 2321/ 23246 23249 23249 23245 2328
+$, /71 /75 /75 / / /75 +$, 2321/ 23265 23249 23249 23245 2328
-$. / / 0 5 5 / -$. 23014 23/08 236 230 23/88 2306
:;< 53=22 93855 13222 /13222 /43222 63/44
"##$
表 2-4の行平均を計算することで、この学生の評価項目に関する重みベクトルW(価値ウェイ
ト)が求められる(表 2-5)。
表 2-5: 重みベクトルの計算 !" #$ %& '() *+ ,- ./0
!" 12345 12344 123 12666 12676 1238 12355
#$ 12739 12739 1215: 12766 12799 1238 1278:
%& 12345 12696 123 123 12799 1273 12334
'() 12147 12158 1215: 1215: 12156 1219 12154
*+ 12147 12186 1215: 1215: 12156 1219 12153
,- 12345 12739 128 123 12799 1238 12364
"##$
したがって、この学生の企業選択に関する評価項目の価値ウェイトは図 2-6のようになる。
次に、この学生の整合度指数(C.I.)を計算する。ペア比較行列の各列に重みベクトルの各要素
を順に掛け、その和を求める。
A ·W = T {1.655, 0.906, 1.431, 0.407, 0.382, 1.479}
※ Tは転置を表わす。このベクトルの各要素を重みベクトルの各要素で割る。
25 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
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()$*+'
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/01$2'
34$&'
56$%.'
図 2-6: 企業選択の際の価値ウェイト
T {1.655/0.266, 0.906/0.147, 1.431/0.225, 0.407/0.065, 0.382/0.062, 1.479/0.235}
= T {6.222, 6.163, 6.630, 6.262, 6.161, 6.294}
上で求めたベクトルの各要素を平均する。この結果がペア比較行列(A)の最大固有値となる。
λmax = (6.222 = 6.163 = 6.630 = 6.262 = 6.161 = 6.294) /6 = 6.244
次に、整合度指数 C.I.を求めると、
C.I. =(λmax − n)
(n − 1)=
(6.244 − 6)(6 − 1)
= 0.049 < 0.1
となり、この学生の評価項目に対する価値ウェイトは整合性があると判断される。
(3)代替案の比較
評価項目の価値ウェイトが整合性を保つことが確認されたら、レベル 3における各代替案(3つ
の企業A,B,C)について、レベル2の価値ウェイトを基準として選好順位を計算する。これ
ら 6つのペア比較行列の重みベクトルと C.I.は表 2-6のように計算されたとする。
表 2-6の各ペア比較行列から固有ベクトルを計算すると、次のようになる。
将来性 w1 =T {0.277, 0.595, 0.128} 勤務地 w4 =
T {0.286, 0.143, 0.571}規 模 w2 =
T {0.231, 0.077, 0.692} 休 暇 w5 =T {0.231, 0.077, 0.692}
給 料 w3 =T {0.122, 0.648, 0.230} 保 険 w6 =
T {0.279, 0.640, 0.081}
これら6つのペア比較行列のそれぞれの最大固有値と整合性の評価 C.I.は各行列の下に示した通
りであり、C.I.の値は全て 0.1以下となり、これらのペア比較行列は全て有効である。
26 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
表 2-6: 6つの評価項目に関する各代替案のペア比較
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+,
-./
01
23
45 65 75
図 2-7: 6つの評価項目からみた企業A,B,Cの比較結果
27 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
この結果、企業A,B,Cの相対比較は図 2-7のようなラジアルチャートのように表わすこと
ができる。
以上の結果を用いて階層全体の重み付けを行う。つまり、総合目的(企業の選定)に対する各代
替案(企業A,B,C)の定量的な選定基準を作成する。代替案の選定基準の重みをXとすると、
X = {w1, w2, . . . , wn} ·W
=
0.277 0.231 0.122 0.286 0.231 0.279
0.595 0.077 0.648 0.143 0.077 0.640
0.128 0.692 0.230 0.571 0.692 0.081
0.266
0.147
0.225
0.065
0.062
0.235
=
0.234
0.480
0.286
となる。この場合、学生の各企業(A,B,C)に対する魅力度(重要度)は、
B > C > A
の選好順序となる結果が得られた。
この解説例から分かるように、評価項目に対する価値ウェイトは代替案の総合比較のために必
要な基準となっている。代替案の個別の比較については、一対比較でなくても構わず、一定の間
隔尺度であれば絶対比較でも構わない。価値ウェイトは代替案の個別スコアに対して加重平均を
求めるための「集約化された価値観」を表わしているものである。
28 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
2-2 アンケートデータによる戦略的価値の価値ウェイト
2-2-1 アンケート調査の概要
(1)アンケート調査について
アンケート調査においては、短期間に十分なサンプル数を確保できる利点を重視し、Webアン
ケートを活用した。
• 実施日:自 2008年 2月 9日 至 2008年 2月 13日
• 調査対象数:2,000人(非確立抽出法:割当サンプリング2)
• 調査方式:Webアンケート
(2)回答者の属性
(1)性別・年齢区分別
本調査のモニターの性別・年齢区分別回答者数および分布状況を表 2-7と図 2-8に示す。
サンプリングの方法として、男女比ならびに年齢区分が日本全国の構成比になるように割り当
てているため、モニターの分布状況は日本の人口分布と相似している。
表 2-7: 性別・年齢区分別回答者数(人) !
"# $%&' $(&) *+
%$# ,( -. %/$
($# %,% %-/ 001
0$# (%$ ($1 /%1
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4
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図 2-8: 性別・年齢区分別回答者の分布
2アンケート調査対象者の分布が日本国の人口分布に従うよう、性別・年代別にボックスを作成。
29 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
(2)職業別・性別回答者数
本調査のモニターの職業別・性別回答者数を表 2-8に示す。
表 2-8: 職業別・性別回答者数(人) !
"# $%&' $(&) *+$%&,-. /0( ($1 203$(&45.678". 9$ :1 %%1
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$9&=WXYZ / /$0&[\ /%2 /%2%$&]" %$/ /: %/3
%%&^_` %: (/ :3*+ %$$% 000 ($$$
(3)地域別・性別回答者数
本調査のモニターの地域別・性別回答者数を表 2-9と図 2-9に示す。
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30 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
(3)宇宙開発利用に関する関心度の把握
本調査のモニターに対して、「宇宙開発利用に関心があるか」について選択肢による質問を行っ
た。回答の集計結果を表 2-10に示し、図 2-10にその構成比を示す。
表 2-10: 関心度別・性別回答者数(人) !" #$%&' #(%)'
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9?
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図 2-10: 関心度の構成比(性別)
男性の方が宇宙開発利用に対して 85%もの回答者が「関心がある」と回答しているのに対し
て、女性は 71%にとどまっている。相対的に、男性の方が関心度は高くなっている。
2-2-2 各設問の価値ウェイトの計算結果
本節では、2000人の回答結果を利用して、第 1章で作成した宇宙開発利用の評価構造(図 1-5
参照)のそれぞれの評価項目の価値ウェイトを計算する。
まずは、全サンプルによる一対比較の単純集計結果とそれらから導出される価値ウェイトの計
算結果を示す。次に、整合度指数(C.I.)によってスクリーニングした結果について示すことと
する。
(1)評価項目(大分類)の比較
表 2-11に評価項目(大分類)の集計結果を示す。また、表 2-12の評定区分に従ったスコアリ
ングの結果から、個別回答者の価値ウェイトを計算した結果を図 2-11に示す。
31 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
表 2-11: 評価項目(大分類)の回答結果(n=2000)
789:;<=>?@A?9:
BCDE;<=>?@A?9:
789:
F?FG/HI/JK LM6 NL$ OP# $$L M!QRST/UV?FGWX/Y/Z[
F?FG/HI/JK LM# MO$ LM! $$6 \L ]/^_`a
F?FG/HI/JK L$P M!\ N!$ #OO LN FbSTc/de
QRST/UV?FGWX/Y/Z[
$NM MOL NLO $ON M\ ]/^_`a
QRST/UV?FGWX/Y/Z[
$ON MO$ MOL #PO L! FbSTc/de
]/^_`a $6L O66 \$M !\P \6 FbSTc/de
表 2-12: ペア比較のための評定区分と評点
2345
67890
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45
<=>?
67890
:;0
45
2345
,@ABC D ! # #E! #ED ,@ABF
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D4EFGH 1I;<J4KL
MNO$ P
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図 2-11: 評価項目(大分類)のウェイトの算定結果(n=2000)
32 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
もっとも価値ウェイトが高いのは「国と国民の安全の確保」(37%)であり、次いで「経済社会
の発展と国民生活の質の向上」(26%)となっている。
(2)「国と国民の安全の確保」に関する評価項目(細分類)の比較
表 2-13に「国と国民の安全の確保」に関する評価項目(細分類)の回答結果を示す。また、こ
の結果から計算される価値ウェイトを図 2-12に示す。
もっとも価値ウェイトが高かったのは「自然災害等に対する安全確保・危機管理」(44%)で
あり、次いで「情報収集、技術保持による総合安全保障」(37%)となっている。「高い国際的地
位の確保」は 18%にとどまっている。
表 2-13: 「国と国民の安全の確保」に関する評価項目(細分類)の回答結果(n=2000)
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図 2-12:「国と国民の安全の確保」に関する評価項目(細分類)のウェイトの算定結果(n=2000)
(3)「経済社会の発展と国民生活の質の向上」に関する評価項目(細分類)の比較
表 2-14に「経済社会の発展と国民生活の質の向上」に関する評価項目(細分類)の回答結果を
示す。また、この結果から計算される価値ウェイトを図 2-13に示す。
33 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
表 2-14:「経済社会の発展と国民生活の質の向上」に関する評価項目(細分類)の回答結果(n=2000)
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図 2-13: 「経済社会の発展と国民生活の質の向上」に関する評価項目(細分類)のウェイトの算
定結果
もっとも価値ウェイトが高かったのは「技術革新の促進」(45%)であり、ほぼ半数を占めて
いる。「宇宙産業の発展」と「宇宙を利用した多様なサービスの拡大」は同程度の大きさとなって
いる。
(4)「知の創造・夢」に関する評価項目(細分類)の比較
表 2-15に「知の創造・夢」に関する評価項目(細分類)の回答結果を示す。また、この結果か
ら計算される価値ウェイトを図 2-14に示す。
もっとも価値ウェイトが高かったのは「宇宙科学の進展」(38%)であり、次いで、「青少年の
夢と教育への効果」(34%)となっている。「フロンティアへの挑戦」(28%)も3割近いウェイ
トを占めており、「知の創造・夢」に関する評価項目(細分類)はそれぞれ同じくらいのウェイト
として評価されている。
34 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
表 2-15: 「知の創造・夢」に関する評価項目(細分類)の回答結果(n=2000)
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図 2-14: 「知の創造・夢」に関する評価項目(細分類)のウェイトの算定結果
(5)「国際社会への貢献」に関する評価項目(細分類)の比較
表 2-16に「国際社会への貢献」に関する評価項目(細分類)の回答結果を示す。また、この結
果から計算される価値ウェイトを図 2-15に示す。
表 2-16: 「国際社会への貢献」に関する評価項目(細分類)の回答結果(n=2000)
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もっとも価値ウェイトが高かったのは「地球規模の問題解決への貢献」(46%)であり、次い
で、「途上国への災害対策等への貢献」(32%)となっている。国際的研究開発への貢献は 22%に
とどまっている。
35 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
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図 2-15: 「国際社会への貢献」に関する評価項目(細分類)のウェイトの算定結果
(6)2000サンプルによる価値ウェイトの全体像
図 2-17に 2000サンプルを対象とした価値ウェイトの集計結果を示す。図の外側の円の値は、内
側の評価項目(大分類)の価値ウェイトに従属するかたちで、それぞれの評価項目(細分類)の
価値ウェイトを再評価した結果である(小数点以下を四捨五入している関係で、合計の値が内側
の項目の値と等しくならない場合がある)。
評価項目(細分類)の中で、もっとも大きなウェイトを占めているのは「自然災害等に対する
安全確保・危機管理」(17%)であり、次いで、「情報収集や技術保持による総合安全保障」(15
%)、「技術革新の促進」(12%)となっている。逆に、小さい価値ウェイトとしては、「国際的研
究開発への貢献」(4%)、「フロンティアへの挑戦」(5%)となっている。他の評価項目は 6~8
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図 2-16: 宇宙開発利用の戦略的価値のウェイトの算出結果(n=2000)
36 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
2-2-3 価値ウェイトの整合性の評価
(1)評価項目(大分類)の整合度指数の算出
2000人のモニターを対象に、それぞれの価値ウェイトを導出する過程で整合度指数(C.I.)を
計算した。図 3-16は評価項目(大分類)の価値ウェイトに関する整合度指数の分布を示したもの
である。
図 2-17から明らかなように、モニター個人の整合度は一様に分布しているわけではない。C.I. =
0.05辺りを中心に大きな山が一つあり、次に C.I. = 0.15辺りを中心に二つ目の山が存在する。ま
た、C.I. = 0.23辺りにも小さな山が確認できる。
このような分布の偏りは、属性別に比較しても同様の傾向が見られた。図 3-18(a)は性別の整合
度指数の分布、図 3-18(b)は年代別の整合度指数の分布、図 3-18(c)は宇宙への関心度別の整合度
指数の分布を示したものである。それぞれの図には整合度指数の出現値における相関係数を示し
ているが、いずれも相関は高く、属性による分布の差は見られなかった。
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図 2-17: 評価項目(大分類)の整合度指数(C.I.)の分布
さまざまな属性でモニターを分類してみても、整合度指数の分布状況に大きな変化は見られな
かった。このことは、本調査における評価項目のツリーが構造的にペア比較を一定程度困難にす
るような問題設定となっていることが原因として考えられる。つまり、評価項目(大分類)のレ
ベルにおいて、回答者の半数近くは独立した評価項目としては認識しておらず、相互に関連性の
ある項目として認識しており、結果、ペア比較時の評価項目間の推移性が担保されず、整合度指
標(C.I.)の値が高くなったと解釈できる。
37 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
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図 2-18: 属性別の整合度指数の分布(C.I.)
38 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
(2)整合度調整済み宇宙開発利用の戦略的価値のウェイトの算出
図 2-19に整合度指数が 0.1未満のモニターによる宇宙開発利用の戦略的価値のウェイトを図示
した。レベル1におけるペア比較時の整合性を担保した上で、戦略的価値を再評価した場合、評
価項目の優先順位に若干の変化が見られた。上位2位は「国と国民の安全の確保」(36%)、「経
済社会の発展と国民生活の質の向上」(25%)で変わらないが、「国際社会への貢献」が 20%と
なり、「知の創造と夢」(19%)と逆転している。
以下の分析では、整合度指数が 0.1未満のモニターを対象に属性別の戦略的価値ウェイトを集
計する。
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図 2-19: 宇宙開発利用の戦略的価値のウェイトの算出結果(整合度調整済み)
2-2-4 属性別価値ウェイト
(1)性別価値ウェイト
図 2-20は整合度指数(C.I.)が 0.1未満のモニターに対して戦略的価値ウェイトを性別に集計
したものである。
39 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
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図 2-20: 宇宙開発利用の戦略的価値の性別ウェイトの算出結果(整合度調整済み)
相対的な差ではあるが、男性よりも女性のほうが「国と国民の安全の確保」に価値の重きを置
いていることが見て取れる(男:33.4%<女:38.5%)。また、男性のほうが女性よりも「経済社
会の発展と国民生活の質の向上」(男:26.5%>女:23.7%)、「知の創造と夢」(男:20.9%>女:
18.1%)に価値を見出している。「国際社会への貢献については、男女間に差は生じていない。
傾向として、女性の方が安心・安全に関わる価値項目を選好し、男性の方が科学の進歩や技術
開発、経済影響等に関する価値項目を選好していることが分かる。
(2)年代別価値ウェイト
図 2-21は整合度指数(C.I.)が 0.1未満のモニターに対して戦略的価値ウェイトを年代別にク
ロス集計したものである。評価項目(再分類)の価値ウェイトの値に関しては、大分類の価値ウェ
イトを乗じた上での評価値となっている。
年代を追って傾向が現れているものとしては、「経済社会の発展と国民の質の向上」における評
価項目(細分類)の「技術革新の促進」が挙げられる。若年層よりも高齢層のほうが「技術革新
の促進」の重要性を認識している傾向が見て取れる。この項目以外に年代と価値ウェイトの関係
を特徴付ける項目は見当たらない。
各評価項目の価値ウェイトについては、「情報収集や技術保持による総合安全保障」は 20代、30
代が高く評価している。「自然災害等に対する安全確保・危機管理」については、40代、50代が
高く評価している。「高い国際的地位の確保」については、10代が高く評価している。また、「技
術革新の促進」については 60代がもっとも高く評価している。
40 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
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図 2-21: 年代別価値ウェイト
41 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
(3)関心度別価値ウェイト
図 2-22は宇宙への関心度別の価値ウェイトをクロス集計したものである。
評価項目(大分類)レベルでの特徴として、「とても関心がある」と回答したモニターが比較的
重視していているのは「知の創造・夢」の評価項目であった。21.5%と、他のモニター属性より
ももっとも高く評価している。
関心度別価値ウェイトの解釈で難しいのは、「ある程度関心がある」と「まったく関心がない」
の評価項目(大分類)の価値ウェイトの構成があまり差異がなく、関心度と価値ウェイトの値に
明確な関係性を見出すことが出来ない点である。今回の調査では、宇宙への興味、関心度に関わ
りなく、モニターが説明文を読んだ時点で価値ウェイトを構築し、表明しているものと考えられ
る3。
3このようなモニターの応答は、一度きりの調査で傾向を分析することに限界がある。宇宙への関心度はモニターの宇宙に関する情報量の代理変数として当初想定していたが、分析結果からは関心度が高ければ(情報量が多ければ)ある評価項目の価値ウェイトが高くなる、といった単純な関係性は見出せなかった。これは情報提供のあり方と併せて今後の検討課題としたい。
42 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
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図 2-22: 関心度別価値ウェイト
43 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
2-3 小括
本章では、階層評価法(AHP)を利用して宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトを計測し
た。結果は図 2-19に示したとおりである。
得られた戦略的価値の価値ウェイトはどのように解釈されるべきであろうか。本研究で採用し
た評価方法は問題設定方アプローチと呼ばれ、一連の手続きに従って数値結果を得ている。本研
究は、予め設定された問題構造をモニターが認識し、価値ウェイトを表明選好した結果とみなす
べきであろう。我々は第 1章で宇宙開発利用の戦略的価値の問題構造を設定する際に、宇宙政策
が実現すべきアウトカムの視点から戦略策定に役立つ宇宙開発利用の意義を体系化するという試
みを行っている。したがって、分析結果である宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトは、宇
宙政策が目指すべきアウトカム領域に対する国民の期待度を数値化したものと解釈することがで
きる。
個々の評価項目(再分類)の価値ウェイトは、上位のアウトカム領域(大分類の評価項目)の
相対的なウェイトの影響を受けてはいるが、その評価項目で語られているところの意義に対する
国民の期待を表している。仮に、宇宙政策の経済的効果を評価したとして、市場における付加価
値創出や雇用創出、経済的波及効果などの試算結果が得られた場合においても、それらは国民の
宇宙開発利用に対する期待の一部でしかないことは、本研究の分析結果からも明らかである。宇
宙開発利用への研究開発投資のリターンは、長期的視野、国家的視野、さらには国際的な視野か
らもさまざまなアウトカムをもたらしており、本分析結果はこれらのアウトカムに対する国民の
期待の構成比率を形式的ではあるが提供している。
一方で、分析的な課題も残されている。本調査では、回答者の価値ウェイトを整合度指数でス
クリーニングした結果(C.I. < 0.01)、2000サンプルのうち、半数近くが正確な一対比較を行うこ
とができなかった。整合度指数は評価項目が独立であることを前提に不整合な回答をスクリーニ
ングするための判別基準であるが、この判別結果は本研究が設定した問題構造における評価項目
に対して、個別独立した価値であると認識していない回答者が多かったことを示唆している。
本来、複合的な意義や効果を評価のために論理的に分類し、戦略的価値として整理したとして
も、価値判断する側の意識としては個別の戦略的価値は互いに従属関係を持って構成されている
可能性がある。
このような問題構造に関わる認識的なギャップは、アンケートの説明文を工夫することである
程度減少することは可能かもしれないが、完全に排除することは不可能である。したがって、戦
略的価値の価値ウェイトの利用に関しては、この手法の限界を理解しつつ、集計化された政策目
的の重みを考察する上での参考情報として活用することが望ましい。
44 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
第 2章 AHPを利用した宇宙開発利用の戦略的価値の価値ウェイトの計測
参考文献Raimo P. Hamalainen, ”A decision aid in the public debate on nuclear power”, European Journal
of Opereation Research, Vol.48(1990) pp.66-76.
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木下栄蔵,「孫子の兵法の数学モデル」,講談社,1998.
木下栄蔵,「孫子の兵法の数学モデル 実践編」,講談社,1998.
45 戦略的価値評価研究 2007年度報告書
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