20131017 kuroda

地域医療ゼミ2013年 10月 17日 (木 )

黒田　豊熊本大学医学部附属病院地域医療システム学寄附講座

Yutaka Kuroda, MD, PhD, FJSIM. Department of Community Medicine, Kumamoto University Hospital


国民皆保険の特徴• 保険者の多様性

• 現物給付

• 全国一律の診療報酬制度–出来高払い–包括払い


保険者の多様性• 職域保険–被用者保険• 健康保険（組合健保、協会けんぽ）、船員保険、共済保険（国家公務員、地方公務員、私立学校教職員）

• 地域保険–国民健康保険–後期高齢者医療制度

保険者が 3500も存在

所得から徴収される保険料の割合に格差がある


医療保険制度の比較

国民健康保険滞納率　約 20％



• 現物給付


住民

医療機関保険者

国

受診

保険料の支払い自己負担分窓口支払い

医療を提供

診療報酬請求

診療報酬支払い

補助

現物給付


患者税金



• 現物給付



診療報酬（出来高払い）• 25歳男性、風邪症状にて近くの診療所を受診。聴診所見より肺炎を疑い採血検査と胸部レントゲン検査を行い、肺炎は否定され風邪薬を処方。– 初診料　 270点– 採血検査：末梢血　 21点、末梢血液像　 18点– 胸部レントゲン： 85点– 処方せん料： 68点– 合計： 270+21+18+85+68＝ 462点＝ 4,620円– 3割負担にて自己負担は 1,386円

診療報酬（包括支払い）

【包括評価部分】・入院基本料・検査・画像診断・投薬・注射・ 1,000点未満の処置等

【出来高評価部分】・指導管理・手術・麻酔・放射線治療・ 1,000点以上の処置等

＋


国民医療費の推移


年齢階級別国民医療費の推移


年齢階級別一人当たり医療費と負担


年齢階級別国民医療費


日本の医療費将来予想マッキンゼーによる

単位：兆円


日本の財政不安


財政的不安


国民皆保険を脅かすもの• 混合診療？

• 株式会社による病院経営？

• TPP？


混合診療が皆保険を壊す？• 患者の経済力によって受けられる医療に大きな差が生じる

↓• 医療機関側が利益を期待できる保険外治療に力を入れる

↓• 保険財政の立て直しのため、保険の対象になっている医療サービスが除外されてしまう



• 株式会社による病院経営？–株式会社が病院を経営すると営利を追求する？

–医療法人は営利を追求しないのか？

• TPP？



• 株式会社による病院経営？

• TPP？


TPPが皆保険を壊す？• 薬剤費の高騰？

• 民間保険の拡大


国民医療費に占める薬剤費？• 正確な統計が無い• 民間による試算– 2009年の国民医療費ベースで薬剤費が 8.86兆円、国民医療費に占める割合が 24.6％。（長澤優２０１２）

– 2010年の薬剤費 10.27兆円、国民医療費の28.0％（高椋正俊 2010）

• 政府自らによる国民医療費ベースでの薬剤費の統計が必要


TPPが皆保険を壊す？• 薬剤費の高騰？

• 民間保険の拡大–現在は国民皆保険は現物給付、民間保険は現金給付

–もし民間保険が現物給付可能となると国民皆保険は危ない。

住民

医療機関保険者

国

受診

保険料の支払い自己負担分窓口支払い

医療を提供

診療報酬請求

診療報酬支払い

補助

現物給付


患者税金

民間保険

保険料の支払い


国民皆保険を脅かすもの• 混合診療？• 株式会社による病院経営？• TPP？• 医療制度の問題– フリーアクセス

• 医師の問題– 分化型専門医のみによる医療の提供

• 家庭医の不在– 自由標榜制、自由開業制

• 国民の問題– 国民健康保険料を支払わない

これらを一つ一つ解決していくことにより国民皆保険を守る


日本の医療の特徴が医療費を押し上げる一橋大学　国際公共政策大学院　井伊雅子


制度を勇気を持って見直せば一橋大学　国際公共政策大学院　井伊雅子


日本の医療制度改革一橋大学　国際公共政策大学院　井伊雅子


持続可能な医療・介護制度をとのようにつくるのか

一橋大学　国際公共政策大学院　井伊雅子

• 費用対効果の高い医療制度は実現できる

• 解決の鍵はフライマリ・ケア制度の整備一質の高い家庭医の養成一二・三次ケアとの良い連携一地域を基盤とした多職種連携


日本フライマリ・ケア連合学会第 9 回九州支部総会・講習会

• 日程：平成 26年 2月 2日（日）• 場所：くまもと森都心フラザ• 内容– 基調講演

「地域包括ケアと在宅医療ー柏フロジェクトを通して」– 東京大学高齢社会総合研究機構　特任教授　辻　哲夫

– 教育講演「在宅医療における家庭医の役割」

– 福島県立医科大学地域・家庭医療学講座　助手　高柳　宏史– シンポジウム

「地域社会を支えるこれからの在宅医療のあり方」

学生参加費無料昼食付き


次回の地域医療ゼミ• 11月 14日 (木 )　 18 時より– 臨床研修センターセミナー室– 内容：「医師不足　現状・原因・対策」– 発表者： 1年・ 2年

• 12月　地域医療の勉強はお休み

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