20120729 odbl勉強会
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ODbL勉強会
OpenStreetMap Foundation Japan
事務局
2012年7月29日
Agenda
1.はじめに簡単なおさらい
2.逐条解説
3.主要キーワード
4.よくある質問と回答
5.質疑応答
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はじめに
本資料の内容は専門家のレビューを
受けていないので
認識誤り等にお気づきの際は
info(at)osmf.jp
までお知らせ頂ければ幸いです。
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地図(絵柄)とデータ
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<OSM地理データベース> ・道路 ・地形 ・POI(Point Of Interest) ・植生 ・電力線 ・禁煙/喫煙 ・車椅子利用可否 ・…
OSMでは完全に別物
著作権とデータベース権
著作権: ◆著作物に対する権利。創作性の無い事実情報を単純に並べたものなどは対象外。
データベース権: ◆著作権でカバーされない事実情報であっても、相応のコストを掛けて収集したデータの集合に一定の権利を認めるもの。
◆EU発祥で、日本やアメリカではまだ認められていない。
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日本の著作権から見たデータベース
データベースとは
◆「論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索できるように体系的に構成したもの」(2条1項10号の3)
データベースの著作物
◆「情報の選択又は体系的な構成」に創作性があるかどうかで著作物に該当するかどうかを判断(12条の2第1項)
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データベース権とは違う
ライセンスのカバー範囲 ライセンスとは – 法的に保護された権利の利用を他者に許諾するもの
著作権に対するライセンス:
◆著作物全般~CC0、CC BY等
◆オープンソース~GPL、BSD等
◆ドキュメント~GFDL等
データベース権に対するライセンス:
◆データ~ODbL、ODC-by等
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データベースに含まれるもの
・数値(多くは事実情報の単純な並びであり、非著作物のデータ)
・文字(〃) ・文章(多くは著作物) ・画像(〃) ・動画(〃) ・音声(〃) →データベースのライセンスには著作物(コンテンツ)とデータ双方に対するものが必要
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OKFについて
http://okfn.org/ http://opendatacommons.org/
Open Knowledge Foundation
Open Data
Commons
サブプロジェクト
2004年に設立。拠点は英国
あらゆる知識をオープンに
OKF(ODC)、3つのライセンス
・Public Domain Dedication and License (PDDL)
- データ向けのパブリックドメインライセンス
・Attribution License (ODC-By)
- データ向けの表示ライセンス
・Open Database License (ODC-ODbL)
- データ向けの表示・継承ライセンス
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なぜODbLに切り替えるのか
◆データに対するライセンスである
◆OSMFが代表して許諾できる
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登場人物
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投稿者 (マッパー)
OSMF 利用者
投稿規約(CT)に基づ
き管理を委託
ODbL/DbCL
の下に利用許諾
他のライセンスにしなかった理由
◆2番目に有力な案はパブリック・ドメインにする案であったが、かつてライセンス侵害に対する改善の申し入れを完全に無視されたケースがあったことなどから、最終的には自由でオープンであり続けることを強制するライセンスを選択。
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Agenda
1.はじめに簡単なおさらい
2.逐条解説
3.主要キーワード
4.よくある質問と回答
5.質疑応答
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逐条解説
詳細は別紙参照
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15 注)日本語訳は暫定版 http://opendatacommons.org/licenses/odbl/summary/
16 注)日本語訳は暫定版 http://opendatacommons.org/licenses/odbl/summary/
Agenda
1.はじめに簡単なおさらい
2.逐条解説
3.主要キーワード
4.よくある質問と回答
5.質疑応答
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集合データベース
◆改変を受けていない本データベースが、独立したデータベース集合体の一部となった場合において、一体的な統一体として構築されたその集合体を意味する。集合データベースを構成する著作物は、派生データベースとはみなされない。
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集合データベース
◆ ODbLを継承する必要が無いケースを明らかにするための概念のひとつ。何をもって「集合データベース」と判断するかは、まだ合意形成の途上。
◆現在のところ、Leagal FAQ (http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:Legal_FAQ/ODbL) の3c.にあるように「名前」や「位置」のようなシンプルな判断基準だけで他の地理データベースとゆるやかに連携している場合は「集合データベース」と考えられる、とされています。
◆OSMと他の地理データベースを組み合わせたサービス提供等を考える場合には、「集合データベース」とみなされる使い方から外れると、他の地理データベースにもODbLを適用する必要があるため重要なポイントです。
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コンテンツ
◆本データベースの内容物を意味し、情報、独立した著作物、その他の資料であってデータベース内に収集されたものが含まれる。例えば、データベースのコンテンツとしては、事実データ、又は画像、視聴覚資料、テキスト、若しくは音声などのような著作物が挙げられる。
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データベース
◆系統的又は組織的な方法で分類した資料(コンテンツ)の集合体であって、電子的方法あるいはその他本ライセンス条項に基づき提供される方法によって個別にアクセスが可能なものを意味する。
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データベース権
◆データベース指令(その修正、及び加盟国による国内法への置き換えを含む。)の第3章(スイ・ジェネリス特別権)に基づく権利を意味し、コンテンツの全体又は実質的部分の抽出及び再利用、並びに第10.4条に基づいて関連する法域で行使可能な類似の権利を含む。
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データベース権
◆EUの「データベース権」はデータベースコンテンツの獲得、認証、提供に対して、質的または量的な投資が行われている場合に認められます。認められた結果として、コンテンツの全部、あるいは実質的な部分に対して、抽出または再利用することを防止する権利がデータベース作成者に付与されます。
◆日本では(米国も)この「データベース権」が存在しないため、翼システム事件などのデータベースに関わる裁判では著作権法やその他の法令とのあわせ技による判例がいくつかあります。
参考: http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20090827/336140/
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派生データベース
◆本データベースに基づくデータベースを意味し、本データベース、又はコンテンツの実質的な部分についての翻訳、翻案、調整、改変、その他の変更が含まれる。これには、コンテンツの全体又は実質的な部分を新規のデータベースにおいて抽出又は再利用することなどが含まれるが、これに限定されるものではない。
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派生データベース
◆「派生データベース」とは、著作物でいえば二次的著作物に相当し、OSM地理データの利用形態としては「集合データベース」と対をなす概念で、ODbLの継承が必須となります。まるごとコピーして改変した場合だけでなく、実質的な部分であれば一部の利用であっても該当します。
(Legal FAQ の3b.参照: http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:Legal_FAQ/ODbL )
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製作著作物
◆本データベース、派生データベース、又は集合データベースの一部分としての本データベースについて、そのコンテンツの全体又は実質的部分を使用することによって発生した著作物(画像、視聴覚資料、テキスト、又は音声など)を意味する。
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製作著作物
◆Workには「作品」の訳語もありますが、データベースではないことを明確化するために「著作物」の訳を当てています。ODbLの文脈で頭にProducedと付いているのは、データベースを元に製作された著作物の意味合いがあります。この用語もかなり重要で、例えば画像としてのマップ(Mapnikのタイル画像など)を指し、データベースではないのでODbLの継承条項は及びません。製作した人が、自由にライセンスを設定することができます。OSM地理データベースがODbLに移行した後も、OSMのMapnik画像はCC BY-SA 2.0のままです。日本ではヤフーさんがOSM地理データベースを元に独自にレンダリングしたタイルを配信されていますが、このタイルのライセンスは何であっても構いません。
Leagal FAQ (http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:Legal_FAQ/ODbL) の3c.を参照。
参考: http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:Open_Data_License/Produced_Work_-_Guideline
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3.主要キーワード
4.よくある質問と回答
5.質疑応答
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よくある質問と回答
Q1.ライセンス表記は結局どうすれば良い?
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よくある質問と回答
A1.下記は1例です
<現行>
(c)2012 MapQuest - "Map Data (c)OpenStreetMap and contributors, CC-BY-SA".
<切替後>
(c)2012 MapQuest - "Map Data (c)OpenStreetMap and contributors, ODbL".
注:OpenStreetMapからはhttp://osm.org へ、ODbLからはhttp://www.opendatacommons.org/licenses/odbl へリンク
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よくある質問と回答
Q2. OSMをLODとして使いたい
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よくある質問と回答
A2.
◆単に情報をたどれるような連携をさせたいのであればOSMデータベースを元に、例えばRDF化した「派生データベース」を作成し、これを「集合データベース」といわれる、名前や位置などによりゆるやかにリンクする形式で他のデータベースと連携する利用法を推奨します。例えば同じデータベース内で密に統合するような使い方をすると「派生データベース」とみなされ、統合したデータは全てODbLを継承しなければなりません。
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よくある質問と回答
Q3. CC BYライセンスのデータをODbLライセンスのデータベースに投入しても良いのか。
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よくある質問と回答
A3.
◆現在のCC BYやCC BY-SAライセンスはデータには及ばないとする考え方が一般的です。従って、まずその「データ」が著作権を認められる「データベース」に相当するかどうか判断する必要があります。
◆例えばデータ発生日時など、ごくありふれた順序で並んだ事実情報の羅列であるCSVファイルやXMLファイルの場合には、CC BYライセンスと明記されていても著作物のデータベースとは考えにくいので、元〄CC BYのライセンスは及んでいないものと考えられます。従ってODbLのデータベースに投入してもライセンス侵害は無いものと思われます。
◆ただし、そのライセンサーの意図と食い違う可能性もあるので、ライセンサーに確認した方がベターと思われます。
◆その際、ODbLについての説明が必要ですが、理解を得られやすくするためにも、その認知度の向上が望まれます。
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よくある質問と回答
Q4.オープンなデータに付与するライセンスって、結局どれが良いのでしょうか?
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よくある質問と回答
A4.自由なライセンスは無条件、表示、表示・継承の3つに大別されます。
◆無条件に誰にでも自由に使って欲しい場合にはパブリック・ドメイン系の「CC0」が最も汎用的です。このライセンスは著作物とデータの両方に及ぶ、とされています。ODCにも「PDDL」がありますが、こちらはデータのみが対象です。
◆出典(クレジット、帰属)表示を求める場合は著作物系には「CC BY」、データ系には「ODC by」が適当と思われます。データは更新・追加される性質があるので、履歴をたどったり、整合性を確認したい場合には出典表記があった方が分かりやすい場合が多いと思われます。
◆表示に加え、派生物にも同じライセンスを適用したい場合には著作物系では「CC BY-SA」、データ系では「ODbL」となります。強制力の強いライセンスなので、ライセンス間の互換性は上記ライセンスと比べて低くなります。自由な利用を広げることを優先したい場合などに使われます。
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参考(OKF関連)
◆ Open Definition
: (OKFから見た)オープンの定義
http://opendefinition.org/okd/japanese/
◆Guide to Open Data Licensing
:オープンなデータのライセンス適用ガイド
http://opendefinition.org/guide/data/
◆Conformant Licenses
: (OKFから見た) オープンに適合するライセンスの一覧
http://opendefinition.org/licenses/
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ご清聴ありがとうございました。
Agenda
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3.主要キーワード
4.よくある質問と回答
5.質疑応答
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