2008 年度 第2回 金沢工業大学 大学知財セミナー
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2008 年度 第2回 金沢工業大学 大学知財セミナー. 2008 年 12 月 19 日 加藤特許事務所 弁理士 加藤 浩一郎. 特許セミナー(権利活用編). 特許セミナー(権利活用編)本日の内容. (前回の復習) Q1 :特許をとれば儲かるでしょうか? Q2 :大学は何のための特許を取得するのでしょうか? Q3 :大学が取得した特許はどうしたらいいのでしょうか? Q4 :企業における知的財産戦略とはどのようなものでしょうか? Q5: 企業において「強い特許」の創出と活用のためにはどうしているのでしょうか? - PowerPoint PPT PresentationTRANSCRIPT
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特許セミナー(権利活用編)
2008年度 第2回 金沢工業大学 大学知財セミナー
2008年 12月 19日加藤特許事務所
弁理士 加藤 浩一郎
2008/12/19 KIT特許セミナー・加藤浩一郎 2
特許セミナー(権利活用編)本日の内容
(前回の復習)
Q1:特許をとれば儲かるでしょうか?
Q2:大学は何のための特許を取得するのでしょうか?
Q3:大学が取得した特許はどうしたらいいのでしょうか?
Q4:企業における知的財産戦略とはどのようなものでしょうか?
Q5:企業において「強い特許」の創出と活用のためにはどうしているのでしょうか?
Q6:大学の研究は企業に役立つのでしょうか?
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(前回の復習)特許の取得手続きについて
方式審査
出願公開
実体審査
特許査定
拒絶理由なし
拒絶理由あり拒絶理由通知
意見書・補正書
拒絶査定
特許料納付
出願
設定登録/特許権発生
YES
NO3年以内
1年6ヶ月後
審査請求?あり
取下擬制
なし 審判・訴訟
拒絶理由解消?
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(前回の復習)特許権とは
・特許権が発生 ↓ 特許を受けた発明を独占排他的に実施できる権利 登録日から、最大出願日から 20年まで権利は存続
・他人が勝手に特許発明を実施していたら?
差止請求損害賠償請求 ⇒ライセンス料の請求の根拠刑事罰
出願日特許
(設定登録)
特許権20年
(出願日から 20年)出願公開
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Q1:特許をとれば儲かるでしょうか?
A:いいえ、ただ単に特許をとっただけでは損するだけです。1件の特許取得・維持にかかる費用(日本における平均的な場合)出願料 \16,000
審査請求料(請求項 10項の場合) \208,600
特許料( 9年分) \186,000
出願手数料 \300,000
登録謝金 \200,000
合計\
910,600
発明の内容を全世界に公開する
+
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はじめに(続き)
つまり、金銭的に見れば特許を 1件とるということは、 90万円の投資特許を 10件とるということは、 900万円の投資特許を 100件とるということは、 9000万円の投資と同じこと。
ただ単に特許を取得しても儲からない戦略的意識を持って出願・権利化とその活用を図るべき
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主な製造業における特許の利用状況
0% 20% 40% 60% 80% 100%
精密機械工業
素材系工業
化学工業
鉄鋼・非鉄金属工業
機械工業
輸送機械工業
電気機械工業
利用件数
防衛目的の権利数
開放可能な権利数
その他
特許庁「平成16年知的財産活動調査結果」(特許庁 HP)のデータを元に作成
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Q2:大学は何のための特許を取得するのでしょうか?
大学は営利企業ではなく、製品を生産・販売も行わないため、特許を取得する目的は企業とは異なる。
大学が特許を取得する目的は、ほぼ以下のものといえる。①ライセンス・・・ライセンスにより収益を上げ、それを大学運営費・研究費等に充てる
②大学発のベンチャー創出・・・新たなベンチャー創出によるわが国の産業の活性化を目指す
③大学の技術力のアピール・宣伝目的・・・大学ランキング等で特許出願件数等のランキング上位になることによりイメージアップ
④大学教員の業績・モチベーション維持・・・最近は特許出願を教員の業績評価に使う大学もあるため
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①ライセンス目的(国内大学の状況)
「知的財産戦略の進捗状況」知的財産推進計画2008 参考資料知的財産戦略本部(2008) p.4より
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①ライセンス目的(日米の大学知財部・ TLO等比較)
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②大学発のベンチャー創出
2001年 5月、大学発ベンチャーを3年間で1 , 000社にすることを目標とした「大学発ベンチャー1000社計画」が掲げられた。その後、大学発ベンチャーの数は 着実に増加しており、2007年3月末時点で1 , 590社に及んでいる。これによる経済効果は、経済産業省の推計によれば雇用者数で直接効果が約1 . 8万人、売上高が約2 , 800億円、間接的な経済波及効果も含めると約3 . 7万人、約5 ,200億円である。
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③大学の技術力のアピール・宣伝目的
朝日新聞大学ランキング 2009より
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Q3:大学が取得した特許はどうしたらいいのでしょうか?
今まで見てきたように、基本的にはライセンスが主となります。ライセンスには以下に述べるような色々な形態の他、資金確保のためには担保・証券化などの手法も取れます。
企業とのライセンス契約の場合、大学は「不実施補償」※といわれる実施料を請求する場合が多く、企業はこれを嫌がることが多いので、この点には大学側も理解が必要※ 文部科学省のひな形をはじめ各大学の標準契約書が採用している,「共同研究の相手企業がそこで生じた特許発明を実施した場合は,実施料を大学に支払う」という旨の規定
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ライセンスについて
わが国の法律上の実施権(ライセンス)は 2 種類・通常実施権=独占性のない債権的権利、ただし契約により独占性を付与することは可能(独占的通常実施権)・専用実施権=独占排他的な物権的権利
ライセンスは、時期を除き特に制限のない場合のほか、・一定の地域や分野等に限定して行う(部分ライセンス)・他社と特許を相互に利用できるようにする(クロスライセンス)といった形式もある。
※ クロスライセンスは原則として実施を前提とするため、不実施機関(大学、研究所など)には不適切
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実施権の種類
* 1:登録により転得者対抗要件* 2:契約により特許権者の実施を認めるか否かを決める。
排他性 登録
専用実施権 有り 必要
通常実施権 無し 不要 *1
独占的通常実施権 有り/無し( *2 )
不要
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専用実施権・譲渡
・専用実施権を設定した場合、その設定範囲内で特許権者は実施できなくなる。・譲渡すれば当然権利者としての地位を失う。
⇒これらの方策を実施する場合は慎重に行う必要がある
※特許証・・・特許庁が特許権者に対して発行する。立派だが、歴史的・名誉的なものであり、特許権者の証明や特許権の譲渡に用いられるものではない。
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TLO(技術移転機関)
大学 企業TLO
発明の開示
ロイヤリティロイヤリティ
マーケッティング
・政策により多くの国公立大学、私立大学に設置されている。
・比較的最近立ち上がったものであり、また契約上の問題等もあり、うまくいっている(稼いでいる) TLOはまだ少ないといわれている
・スキーム詳細は機関により若干異なる
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特許権の証券化
特定目的会社ライセンシー
特許権者出資者 A
出資者 B
出資者 N
特許権譲渡
譲渡対価
実施権
ロイヤリティ
投資
利息・配当
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特許プール(パテントプール)
・数社の企業等が特許を持ち寄り、それを一括管理してライセンスを行うこと。・ライセンスについて排他的な運用がなされると、不当な取引制限として独占禁止法に抵触することがあるので注意が必要となる。・技術標準化戦略をとる場合にこの方式がとられることも多い
著名な例:・MPEG パテントプール・パチンコ業界のパテントプール(独禁法違反とされた例)
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特許プールの仕組み
特許権者 A 特許権者 B 特許権者 N
ライセンス管理会社
管理委託ロイヤリティ
ライセンシー Aライセンシー A ライセンシーM
サブライセンスロイヤリティ
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※大学は特許など出すべきでないという考え
以前は、大学教員の役割は学会等における研究成果の発表(知のパブリックドメイン化)とその公にされた知に基づく学生の教育が本分であり、独占権となる特許は大学教員にそぐわないとする考え方も多かった。
→(私見)全くその通りだと思います。ただ、国立大学法人化等に伴い大学(大学教員)も自分で稼げとする風潮が強くなってきており、また、経済産業省がバイドール法を導入し、さらに文部科学省が米国モデルの大学における知財管理・ライセンスを目指しているため、上記の見解は傾聴に値するものの、わが国では「古臭い」考えとなってしまった。
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Q4:企業における知的財産戦略とはどのようなものでしょうか?
以下、説明する企業における知的財産戦略とは、企業として取得した特許をどのように活用(利用)するかという考え方のこと。代表的なものとして、以下のものがある。①独占戦略自社実施を確保し、さらには他社を市場から排除する目的で特許を用いる戦略②ライセンス戦略他社へのライセンスを目的として特許を取得する戦略(既述)③特許化しない戦略→ノウハウ戦略特許を出願せず、ノウハウとして秘匿する戦略(今回は省略)
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①独占戦略
特許の基本的機能→特許権者は、業として特許発明の実施する権利を占有する(特許法 68 条)。※ 独占禁止法の例外(独 21 条)
・市場の独占、価格の自由決定権 大きな利益が期待できる・一方、市場の監視、他者からの攻撃(特許無効審判等)、他社への交渉・訴訟コスト、特許回避技術の開発などのリスクがある
ライセンス戦略への転換時期の見極めが重要となる
⇒(後述の事例参照)
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企業のポジショニングに応じた戦略立案
自社技術と他社技術の比較
自社技術が完全に先行
自社技術と他社技術が同等レベル
生産・販売能力
自社において十分ある / 準備できる
① ②
自社では不十分 / 準備が困難
③ ④
※以下の検討は、一般的な例であり、発明の内容や業界により戦略の選択は異なることがあるので注意を要する
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ポジショニングに応じた戦略立案①
十分な調査の上で、このようなポジショニングが確認された場合 独占戦略が最適・利潤の最大化が可能・先行者として圧倒的な優位性が確保できる・ただし、新しい市場開拓を目指す場合はライセンス戦略も検討の余地はあるが、ライセンス条件は熟慮する必要がある
留意点・当然ながら特許を取得できていることが大前提。・出願中の場合、早期審査を請求し、出願公開前の権利化を目指す。・既に特許されている場合、無効審判に備えて十分な準備をする。
自社技術と他社技術の比較
自社技術が完全に先行
自社技術と他社技術が同等レベル
生産・販売能力
自社において十分ある / 準備できる
① ②
自社では不十分 / 準備が困難
③ ④
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ポジショニングに応じた戦略立案②
独占戦略も可能だが、リスクは大きい→他社も同レベルの技術を有しており、ブランド力、営業力、広告宣伝力などの技術的要素以外による勝負になる可能性がある
ライセンス戦略も可能だが、カウンター特許によりクロスライセンスに持ち込まれる可能性が大きい。 クロスライセンスを落としどころにして、ライセンス戦略が適切、また十分な実施を行うなうための「安全弁」ともなりうる
なお、大きい市場が期待できる技術であれば、技術標準を目指して、他社に呼びかけて特許プールとすることも考えられないこともない。
自社技術と他社技術の比較
自社技術が完全に先行
自社技術と他社技術が同等レベル
生産・販売能力
自社において十分ある / 準備できる
① ②
自社では不十分 / 準備が困難
③ ④
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ケーススタディ (1):青色発光ダイオード(日亜化学工業) (ポジション①⇒②)
1990/10/25 2628404特許出願1993/12 青色 LEDの製品化発表、自社工場で製造販売*1995/5 高輝度青色 LED等の製品化発表1997/4/18 404特許設定登録 ※他にも関連特許多数あり
http://www.nichia.co.jp/jp/product/led.htmlより抜粋
*この青色LEDの製品化を報じる平成6年2月7日付け日経産業新聞の記事には,「1988年に青色LEDの研究に着手した日亜のN主任研究員は,苦心の末に独自の『ツーフローMOCVD(有機金属化学的気相成長)』装置を開発。結晶と基板をぴったりと合わせることに成功し,ちょうど1年前に発 光を確認した。技術的な完成度が高く,同社は試作品を通り越していきなり本格生産に踏み切った。‥‥‥本社工場に設けた生産ラインの歩留まりは『80%』(D技師長)で,四月から月間百万個単位の出荷を計画している。価格は一個五百円。」と記載されている。(日亜化学事件(平成 13年 (ワ )第 17772号)東京地裁判決文より抜粋)
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ケーススタディ (1):青色発光ダイオード(日亜化学工業)(続き)
主な訴訟と技術開発:1999/12/13 Cree 社製青色 LED の国内代理店である住友商事を提訴2000/8/13 豊田合成に勝訴2000/11/17 豊田合成に対し 105 億円の損害賠償を請求2000/12/15 特許侵害とトレード・シークレット漏洩で米 Cree 社を提訴2001/3/21 東京高裁が豊田合成の特許に有効性を認める判決2001/5/15 青色 LED 訴訟で住友商事に敗訴2001/6/14 豊田合成との訴訟で特許の一部無効判決2001/9/7 豊田合成の上告審棄却、敗訴確定2001/9/21 ロームが青色レーザー実現2001/9/22 松下が青色レーザー素子開発2001/10/2 豊田合成に敗訴、特許無効の判断2002/2/28 豊田合成が損害賠償請求訴訟で勝訴2002/3/13 三洋が青紫レーザを開発2002/3/27 星和電機が青色 LED 開発2002/6/26 GaN 系発光素子の基本特許をライセンス2002/8/10 豊田合成との和解交渉開始2002/9/17 豊田合成と和解2002/10/7 ライセンス戦略へ転換
参考: http://www.patentsalon.com/topics/blueled/infringement.html
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ケーススタディ (1):青色発光ダイオード(日亜化学工業)(続き)
1993/12
2002/8
市場独占
他社が代替技術の開発成功
ライセンス
戦略へ転換
他社へは一切関連する特許をライセンスせず、訴訟による徹底した他社排除を狙う
戦略転換後も、 高いシェアと高利益率を確保
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ポジショニングに応じた戦略立案③
汎用的な技術である場合 部分的なライセンス戦略は適切→ 自社が販売できない市場、参入が難しい (予定していない)分野等
自社の製造・販売力が弱い、投資が難しい場合まずは高い技術力を背景に高付加価値商品として販売し、独占戦略への移行の機会を探り、困難であれば通常実施権のライセンスを検討
自社に製造・販売手段がない場合(研究所、大学、 TLO等)通常実施権のライセンスが適切→ 専用実施権、権利譲渡は最終手段
自社技術と他社技術の比較
自社技術が完全に先行
自社技術と他社技術が同等レベル
生産・販売能力
自社において十分ある / 準備できる
① ②
自社では不十分 / 準備が困難
③ ④
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ケーススタディ (2):光触媒( TOTO)(ポジション③)
TOTOでは、様々な素材の表面に分子レベルでの水分薄膜を形成し、「超親水性(水をまったく弾かない)」を付与できる光触媒超親水性技術の開発に、世界で初めて成功しました。当技術は、当社が東京大学 藤嶋昭教授(現 (財 )神奈川科学技術アカデミー理事長)と共同で開発した、「光触媒薄膜の利用技術」をさらに発展させ、超親水性効果を高めたものです。この光触媒超親水性薄膜を素材表面に固定化すると、表面は水をまったく弾かず、水になじんでしまうため、「水滴ができず曇らない」、「汚れが水で簡単に洗い流せる」などの効果を半永久的に発揮します。
http://www.toto.co.jp/products/hydro/genri.htmより抜粋
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ケーススタディ (2):光触媒( TOTO)
http://www.toto.co.jp/docs/hyd_patent/case.htmより抜粋
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ケーススタディ (2):光触媒( TOTO)
●日本国内では 現在までに800件以上の出願を行い、約80件の特許が成立しています。 そのうち、以下の4件の基本的特許(超親水特許マップ)は、異議を退け最終確定しています。
●米国では 基本的なパテントを含め10件以上成立しています。
●欧州では 基本特許の権利許可がおりました。
●アジアの国々では 中国、韓国、台湾等のアジアでも基本特許が成立しています。
http://www.toto.co.jp/docs/hyd_patent/patent.htmより抜粋
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ケーススタディ (2):光触媒( TOTO)
1995年 超親水性の発見 原理から周辺技術にいたるまでの強力な特許網の構築1997年 技術移転の専門会社設立、特許ライセンスの開始
・技術パートナー(ライセンシー)を「一業種一社」に限定し、特許網運用のハードルを厳しくしたために、市場拡大を阻害・効果の疑わしい光触媒製品や、代替製品の促進
◎一業種一社を廃止し、複数先にライセンス、イニシャルペイメントとライセンス料金の低減◎性能試験方法に関連する特許の無償公開
関心を示す企業の増加、普及へ
* 1
* 2
* 1 平成 17 年度「研究開発と標準化戦略に関する基礎調査」報告書(平成18年3月財団法人 日本システム開発研究所) p.24* 2 第 18回マイクロエレクトロニクス研究会プロシーディング p.13
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ポジショニングに応じた戦略立案④
この場合、申し入れによるライセンスは困難と思われる→他社の技術レベルが同等であれば容易に特許回避技術を開発できる、ライセンスを申し入れてもクロスとされる可能性が大きい
むしろ、他社製品の解析(リバースエンジニアリング)を行い、自社特許が使用されていないかを確認し、使用されている場合に特許訴訟を視野にいれた交渉を行う方策が考えられる。→ただし、カウンター攻撃もありうるので十分な準備が必要
自社技術と他社技術の比較
自社技術が完全に先行
自社技術と他社技術が同等レベル
生産・販売能力
自社において十分ある / 準備できる
① ②
自社では不十分 / 準備が困難
③ ④
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ケーススタディ( 3 ): JAL vs ANA (ポジション② or④ )
JALオンラインホームページ(http://www.jal.co.jp/jalonline/index.html)より抜粋
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ケーススタディ (3) : JAL vs ANA (続き)
(特許第 3179409 号)
右図のようなシステムにおいて、
各ユーザ機関の汎用パソコンは、
搭乗券発行機関に対して各ユーザ機関及び当該ユーザ機関内の利用者個人のID情報を表示して航空券予約申請を行う予約申請機能を有し、
搭乗券発行機関のホストコンピュータは、
汎用パソコンからの航空券予約申請に基づいて航空券予約を成立させる予約受領機能と、
成立した航空券予約情報と、当該航空券予約のために汎用パソコンによって表示された利用者個人のID情報とを空港の搭乗券発券機に送信する待機指令機能と、
搭乗券発券機から送信される搭乗券の発券結果情報を蓄積する情報蓄積機能と、
前記航空券予約のために汎用パソコンによって表示された各ユーザ機関のID情報に基づいて、各ユーザ機関毎に料金請求額を算出することができる一括精算機能と、を有し、
空港の搭乗券発券機は、
ID記録媒体の入力を通じて利用者ID情報を読取るID読取機能と、
読取った利用者ID情報とホストコンピュータから送信された利用者個人のID情報とを照合する照合機能と、
照合した結果に基づいて対応する航空券予約情報に基づく搭乗券を発券する発券機能と、
搭乗券発券の事実をホストコンピュータに送信する発券結果送信機能とを有する、
ことを特徴とするID情報利用の搭乗券発行システム。
JALホストコンピュータ
契約企業(汎用 PC)航空券予約申請機能・契約企業番号・社員番号
メモリー付カード・利用者番号・社員番号
搭乗券発売機
航空券予約のために汎用パソコンによって表示された契約企業番号に基づいて、各企業毎に料金請求額を算出することができる一括精算機能
1 3
2
・ ・ ・
搭乗券の発券
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ケーススタディ (3) : JAL vs ANA (続き)
http://wb.biz.ana.co.jp/より抜粋
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ケーススタディ (3) : JAL vs ANA (続き)
1998/5/28 出願
2000/2/26出願審査請求(早期審査)
2000/4/25 拒絶理由通知 第 29 条第 1項等2000/5/24 面接 2000/6/14 意見書・補正書提出 2001/1/19 拒絶理由通知 第 29 条第 1項等2001/2/16 面接 2001/3/1 意見書・補正書提出 2001/4/13 設定登録
2004/7/23 ANAを特許侵害で提訴 請求額 100億円(印紙代2000万円)
2005/2/25ANAが特許無効審判を請求
特 29 条 2項、特 17 条 2項等、特 36 条 6項 1号~3号
2005/10/5 無効理由通知 2005/11/7 意見書・訂正書提出
2005/12/13JALが特許侵害訴訟の訴え取り下げ
2006/5/10 請求不成立
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発明の内容・性質に応じた戦略立案
大まかな傾向として○電機系、機械系の製品は、1製品に 多数の特許を包含していることから、相対的に特許の価値は低くなる束として特許を管理(ポートフォリオ管理)し、活用を検討する必要がある クロスライセンスも比較的盛んに行われている
○特に薬品系は、原則として1製品1特許であり、特許の価値は高い(ただし、当たる確立は低い)特許で一攫千金という考えも不可能ではない クロスライセンスという考え方はあまりない
○化学系はこれらの中間的な考え方(製品や発明内容による)
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技術的課題解決のプロセス(出願・ライセンスまで)
課題の設定
解決技術の調査・ IPDL・学会誌 /業界誌等・当該技術分野だけでなく、関連する技術分野も調査してみる
解決策あったか?
権利化されているか?
Y
N権利範囲に入るか?
Y
自社で解決できるか?
Y
自社開発
出願
パートナー企業(大学、 TLO等)
を探す
共同研究(開発)契約
共同出願
N
N
その技術の適用
技術的用に際しての課題解決などがあれば出願
回避可能か?
N
Y
※出願中などで権利化される可能性もあるので注意が必要
Y
回避技術の開発
出願
N
ライセンスを受ける
Q5:企業において「強い特許」の創出と活用のためにはどうしているのでしょうか?
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発明をしたらどうしたらよいか?
○弁理士に依頼する
弁理士との打ち合わせ準備のポイント「発明提案書」を作成しておくとよい発明の説明が容易になり、スムーズに打ち合わせ可能
発明提案書の記載内容:①発明のポイント ・あらかじめ発明の核心部分を理解させる ・従来からの改良点、苦労した点、着想のきっかけなどを記載
②発明の技術分野 ・特に最先端の技術分野や日常なじみの薄い分野は必要
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発明をしたらどうしたらよいか?(続き)
発明提案書の記載内容(続き):
③従来の技術 ・従来技術との差異を明確化することにより発明のポイントを 明らかにする ・ IPDL 、 google等の活用 ・一般には開発開始前に従来技術の調査を行っている
④ 発明が解決しようとする課題(問題点) ・従来技術では解決し得なかった問題点を記載
⑤発明の具体的な内容 ・発明の構成と効果を記載 ・用語を統一する ・図面と対応させて説明する
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発明をしたらどうしたらよいか?(続き)
発明提案書の記載内容(続き):
⑥変形例 ・⑤に記載した基本となる発明と同様の効果を奏する発明を 記載 ・変形例を多く記載することにより権利範囲が広がったり、 特許取得後の権利が強化 される
⑦図面 ・多くの発明は図面により効果的に説明が可能 ・発明のポイントがわかるような図面が重要(大雑把過ぎる、 または詳細すぎるものは理解困難)
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発明をしたらどうしたらよいか?(続き)
作成された明細書等のチェックポイント
特許請求の範囲・発明の捉え方は正しいか・必要なスコープについてクレームされているか・必要な要素がきちんと入っているか・余計な要素が入っていないか・用語など不明確な記載はないか・単一性は満たされているか
明細書・特許請求の範囲の内容がサポートされているか・実施例が十分に記載されているか・実施例が限定的な記載となっていないか・権利範囲を縮小させるような余計な記載がなされていないか・効果が適切に記載されているか・用語など不明確な記載はないか
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強い特許を創出するために
多様な実施例による権利強化
基本発明
改良発明
改良発明
改良発明
改良発明
改良発明
改良発明
改良発明
改良発明
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中間処理の重要性
中間処理=審査官からの拒絶理由通知に対して、明細書等の補正をしたり、意見書を提出する行為
中間処理の意義①権利取得の観点から ⇒ 拒絶理由を解消するように手続を行う②防御的な戦略を実現するために ⇒ 自社の製品等における実施形態に合わせるように(特許請求の範囲でカバーできるように)補正を行う③ライセンス・権利行使を行うために ⇒ 他社の製品等における実施形態に合わせるように補正を行う
※ 原則として書面による手続であるが、積極的に審査官と面接して内容説明等を行うこともきわめて効果的
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本件の出願から登録までの経緯
1992/11/9 親出願日1998/6/26 本件分割出願日(出願人:オランダ国レーム社) (代理人足立弁理士)2000/4/6 出願人名義変更( ADC 社へ)(代理人足立弁理士)2000/9/5 拒絶理由通知2000/10/31 意見書提出2000/12/26 拒絶査定2001/2/8 拒絶査定不服審判請求2002/10/1 拒絶理由通知2002/11/29 意見書・補正書提出(※ 2画面携帯電話を含むように補正)2003/2/25 特許審決2003/3/14 特許登録
ケーススタディ (4):2 画面携帯( ADC テクノロジーvs NTT ドコモ他)
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【請求項1】 公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して発信、または受信を行う無線通信手段と、 該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、 該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のデ ィスプレイと、第2のディスプレイと、 オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のデ ィスプレイと、 上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のデ ィスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のデ ィスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、 上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のデ ィスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、 上記コンピュータは、上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、 上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを判断する受信待機中判断手段と、 該受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段とを備えることを特徴とする携帯型コミュニケータ。
ケーススタディ (4):2 画面携帯( ADC テクノロジーvs NTT ドコモ他)(続き)
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ケーススタディ (4):2 画面携帯( ADC テクノロジーvs NTT ドコモ他)(続き)
本件特許公報図面より
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ADC テクノロジー社 HP( http://www.epoint.co.jp/2gamen.html)より
ケーススタディ (4):2 画面携帯( ADC テクノロジーvs NTT ドコモ他)(続き)
NECの HP(http://www.nec.co.jp/press/ja/0301/1702.html)より
NECの N2051
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ケーススタディ (4):2 画面携帯( ADC テクノロジーvs NTT ドコモ他)
事件の主な経緯
2003/3/14 特許登録2003/4/17 NTT ドコモ等へ警告書2003/11/18 特許異議申立2004/4/16 訂正請求2004/7/22 異議決定(取消)2004/8/11 異議決定取消訴訟提起2004/10/1 特許権に基づく損害賠償請求権等不存在確認 請求事件(平成 15(ワ )28575等)判決(原告勝訴)2006/3/15 取消確定 本権利消滅
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Q6:大学の研究は企業に役立つのでしょうか?
はい。「オープンイノベーション」が注目されている現在において、企業は自分でリソースの無い研究には外部機関を積極的に利用しようとする傾向が出てきています(⇔ NIH症候群)そこで、これからは、中小企業はもちろん、大企業も一層大学の研究能力を重視し、活用しようとしてくると考えられます。
⇒大学としても、どこまで研究能力を「売る」のか、どのような知的財産戦略とビジネスモデルをとるのか、教育との関係(利益相反)をどう考えるかなど、検討すべき課題は多い。
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ご清聴ありがとうございました。