140204 tmh 次世代共創マーケティング出版記念セミナー_池田_ver03

2014年2月4日

Tribal Media House, Inc.

『次世代共創マーケティング』

価値共創の原点を考える Produced by Tribal Media House, Inc.


共創および共創マーケティングの定義

共創とは、企業と顧客が中長期的な関係を築き、深く理解し合う中で、予期せぬ、または期待を超えた新しい価値を生み出すこと

共創マーケティングとは、ブランドへの支持（アドボカシー）を高めたり、支持者との関係の中でしか得ることのできないイノベーションを促進する活動


共創の萌芽


夢のカップめん開発PJ / エースコック

http://www.acecook.co.jp/mixi/index.html

http://www.acecook.co.jp/mixi/index.html


究極のランジェリー開発PJ / トリンプ

http://www.amos-style.com/brands/kyukyoku/

http://www.amos-style.com/brands/kyukyoku/


Vitamin Water / Coca-Cola

Facebookページに用意したアプリでユーザー参加型の商品開発をおこなった。ユーザーは新商品の風味・ビタミン・パッケージを選択できる。

40万人のファンが参加し、もっとも「Like」のついたアイデアが商品化された


NIKE iD

http://www.thefwa.com/site/nike-id


やりましょう / ソフトバンク

http://do.softbank.jp/

http://do.softbank.jp/


みんなで作るおむすび選手権 / FM

http://www.family.co.jp/company/news_releases/2012/121106_01.html


「海むすび」総選挙 / ミニストップ


百人ビール・ラボ / サッポロビール

https://www.facebook.com/100beer


TRIP NATION / H.I.S.

http://www.like-world.com/app/story/top/index/137

http://www.like-world.com/app/story/top/index/137


くらしの良品研究所 / 無印良品

ユーザーの商品に関する意見の投稿や、集計したアンケートの回答を編集して記事として公開。商品の見直し、新製品の開発を行う。

現在3年目を迎え、ユーザーから年間10,000ほどの投稿が集まるようになった。


My Starbucks Idea

http://mystarbucksidea.force.com/ideaHome


顧客参加型商品開発に関する学術的研究

顧客を「イノベーションの源泉となる情報」の保有者と位置づけ、情報源として活用しようとする「イノベーションの源泉」の研究 ※von Hippel (1976), von Hippel (1994) etc

顧客を業務の一部を代行する「部分的な従業員」と位置づけ、サービスの生産において活用しようとする「セルフサービス」の研究 ※Lovelock and Young (1979), Mills et al. (1983), Kelley et al. (1990) etc

顧客を「関係を築き、深める対象」と位置づけ、個別的で継続的な関係を通じて得た学習を活用しようとする「リレーションシップ・マーケティング／CRM」の研究 ※Christopher et al. (1991), Pine et al. (1995) etc

顧客を「価値の交換や共同生産に積極的に参加する自発的な資源（operant resource）」と位置づけ、顧客の参加を活用しようとする「サービス・ドミナント・ロジック」の研究 ※Prahalad and Ramaswamy (2004), Varge and Lusch (2004) etc

顧客自らが商品を設計できるツールを提供し仕様を自在に設定させ、プロトタイプを検証させる「ツールキット」 ※Thomke and von Hippel (2002) etc

顧客との対話に基づいてアイデアの創造や商品化の可否の決定を行う「ユーザー機動法」 ※小川 (2002), Ogawa and Piller (2006) etc

顧客との対話に基づいた商品推奨サービスの利用データにより、顧客にとって無自覚のニーズを発見する「バーチャル・アドバイザー」 ※Urban and Hauser (2004) etc

個々の顧客の求める仕様を把握し、商品を個別に生産する「マス・カスタマイゼーション」 ※Pine et al. (1993), Gilmore & Pine (1997) etc

顧客が「プラットフォーム」を通じて共同創造することにより「その瞬間において個別化された顧客体験」を享受する「共同創造のプラットフォーム」 ※Prahalad and Krishnan (2008) etc

※出典：及川直彦「顧客参加型の商品開発」マーケティングジャーナル Vol.30 No.2 (2010)

［背景となる文脈］［登場した概念］


共創の原点


共創（Co-Creation）、共同（Combination）、協働（Cooperation）、協業（Collaboration）などの概念には「共に」を表す接頭辞「co-」が付く。日本においていち早くこれをマーケティング分野に取り入れ、1970年代に「共生マーケティング」（Com-marketing）を提唱したのは城西大学経営学部教授の清水公一氏である。


未来学者のアルビン・トフラーは、1980年に出版した『第三の波』の中で、生産者（Producer）と消費者（Consumer）を組み合わせた造語として、「プロシューマー」という概念を提唱した。


2010年に出版された『ウィキノミクス』の中では、プロシューマーを商品やサービスの創出に積極的かつ継続的に関与させることの重要性が説かれている。


なぜいま共創なのか


市場の成熟化

※画像出典：Wikipedia


技術発展のS字カーブと顧客ニーズの頭打ち

※出典：河野万邦「脱コモディティ化に向けた意味的価値共創の有用性に関する考察」 2011年

技術競争価格競争

技術発展の S字カーブ

コモディティ化

顧客ニーズ

オーバーシュート機能・価格

時間


家庭用洗剤の技術革新

初代アタック (1987年)


商品のコモディティ化と価格競争（ヒット商品が売れなくなった原因）

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1970年代以前 1980年代 1990年代 2000年代

同種の商品で、より低価格品が現れた

顧客志向の変化、ライフスタイルの変化などにより、ニーズそのものがなくなった

代替品が現れた

同種の商品で、より高品質品が現れた

規制の強化・緩和によりニーズが無くなった

その他

※出典：2005年版『中小企業白書』（社団法人中小企業研究所「製造業販売活動実態調査」2004年11月からの引用）


※出典：河野万邦「脱コモディティ化に向けた意味的価値共創の有用性に関する考察」 2011年

主要デジタル家電機器の価格推移


グローバル競争の激化

http://kadench.jp/tag/TV


商品ライフサイクルの短命化（ヒット商品のPLC）

※出典：2005年版『中小企業白書』（社団法人中小企業研究所「製造業販売活動実態調査」2004年11月からの引用）

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1970年代以前 1980年代 1990年代 2000年代

5年超

3～5年未満

2～3年未満

1～2年未満

1年未満


細分化され尽くされたベネフィット

虫歯予防歯周病予防虫歯・口臭歯肉炎予防

歯周病予防ステイン除去

（ホワイトニング）

お口のネバつき対策

歯肉炎予防エナメル質の修復知覚過敏ケア


空きスペースの無いポジショニングマップ

QQQ

RRR

XXX YYY


STPの限界（Segmentation / Targeting / Positioning）


市場は熾烈なレッドオーシャンに

http://www.wallpaperhere.com/


2010年に日本で出版された『コトラーのマーケティング3.0』は、マーケティング2.0に続く3.0では、「協働」「文化」「精神（スピリチュアル）」という3つのキーワードが注目されると紹介している。


マーケティング1.0 マーケティング2.0 マーケティング3.0

（自社製品を）知らせる



ニーズを聞く

＋

一緒に考える（共感する）

＋

ニーズを聞く

＋

© GLOBIS（『実況マーケティング教室』PHP研究所）

マーケティングX.0とは？


知っている（既知）知らない（未知）

知っている

相手（顧客・消費者側）

知らない

自分（企業側）

企業は売るべきものを知っていて、顧客も買うべきものを知っている

企業は売るべきものを知っていて、顧客は買うべきものを知らない

企業は売るべきものを知らず、顧客は買うべきものを知っている

企業は売るべきものを知らず、顧客も買うべきものを知らない

A B

C D

マーケティング不要マーケティングプロモーション

マーケティングリサーチ新しいマーケティングの必要性

© GLOBIS（『実況マーケティング教室』PHP研究所）

マーコムにおけるABCDマトリクス


P&Gの “Connect + Develop”

http://www.pgconnectdevelop.com/home/pg_open_innovation3.html

http://www.pgconnectdevelop.com/home/pg_open_innovation3.html


STPでは満たせない “主観的な満足感”

観念価値

感覚価値

便宜価値

基本価値製品仕様 Spec

製品便益 Physical Benefits

ストーリー Mental Benefits

自己表現、参加、貢献、承認、帰属 etc

客観価値

主観価値

旧来のブランド戦略これからのブランド戦略主観価値は消費者の中にある


主観価値重視の時代に何をどう売るか


「ブラー化」と製造業のサービス化


いつでもどこでもつながり合い、経済の中で形のないものの占める割合が増大した結果、「生産者と消費者」「製品とサービス」といった、従来あったはずの境界がブラー（blur）つまり「あいまいなもの」になってきていることを説いた書。


GE Healthcare：サポート体制

http://www3.gehealthcare.co.jp/ja-JP/Service/Service#tabs/tab1241ED83EC7F4114A819015FB4B09F3A

http://www3.gehealthcare.co.jp/ja-JP/Service/Service


RICOH：コピー機の従量課金

http://news.fujixerox.co.jp/image_library/detail/_imgid_000129/


小松製作所：KOMTRAX

http://www.houseofjapan.com/auto-moto/komatsu-komtrax-satellite-monitoring-now-free-to-all-komatsu-machine-owners


サービスドミナントロジックと価値共創


モノモノ以外の何か

＝サービス

モノをともなうサービスモノをともなわないサービス

サービス

G-Dロジック

S-Dロジック

G-DロジックとS-Dロジック：サービス観

※出典：一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授藤川佳則「製造業のサービス化：サービス･ドミナント･ロジックによる考察」 Panasonic Technical Journal Vol. 58 No.3 Oct. 2012


G-DロジックとS-Dロジック：顧客像

G-Dロジック企業が創り出す価値を

「消費する者」

S-Dロジック企業と協働して価値を創り出す

「価値共創者」



S-Dロジックにおける2つの価値共創

顧客の受け身的参加

共同生産 co-production

顧客の積極的参加

共同創造 co-creation

※出典：近藤隆雄『サービス・イノベーションの理論と方法』（生産性出版）



企業「価値を生産」 G-Dロジック

S-Dロジック

顧客「価値を消費」

購買前購買時購買後

交換価値

交換価値

文脈価値 (value-in-context)

企業「価値を共創」

顧客「価値を共創」

使用価値 value-in-use

G-DロジックとS-Dロジック：顧客観念


使用価値と文脈価値

http://www.lakerestaurant.co.uk/christmas


オーナーズグループ / ハーレーダビッドソン

http://www.harley-davidson.co.jp/hog/

http://dailynewsagency.com/2014/02/03/ohio-man-buried-riding-his-87y/


Nike+ / Nike

https://secure-nikeplus.nike.com/plus/

https://secure-nikeplus.nike.com/plus/


ヘルシアクラブ / 花王

https://healthya-club.kao.co.jp/

https://healthya-club.kao.co.jp/


LEGO / CUUSOO

http://lego.cuusoo.com/

http://lego.cuusoo.com/


FITS ME / タニタ

http://www.fitsme.jp/about/

http://www.fitsme.jp/about/


iTune / Apple

http://www.apple.com/jp/itunes/

http://www.apple.com/jp/itunes/


商品内包

関連事業

サービサイジング付帯サービス

②付帯サービスとしてのSDL活動

モノのコンセプトを後発的なコト化を通じて具現化・増幅する活動（最も多いSDL活動）

Nike+やヘルシアクラブなど

③SDL活動として提供される関連事業

②の付帯サービスの有料提供化による独立事業化

タニタのFITS ME（有料フィットネスクラブ）など

①商品に内包されるサービス

コト化による価値提供の布石を商品に予め内包

ハーレーダビッドソンのオーナーズクラブなど

④サービサイジング

これまでのモノ販売から転化したコトとして課金ビジネス

音楽配信ビジネスやレンタルビデオなど


ビジネスモデル視点から見たメーカーのSDL活動の種類


おまけ：IKEA効果に見る共創による心理的影響

http://www.ikea.com/us/en/catalog/products/00208646/


企業主導の共創に対する「意図せざる共創」


無印良品のUsage Innovation

http://www.tamago-penguin-koubou.com/tamagopenguin-koubou-handmde-silicon-and-setting.html


http://blog.goo.ne.jp/ba-ai-kuntarou/e/fa86e1cc336d505c35ba68d24f2a1f6d

http://blog.goo.ne.jp/ba-ai-kuntarou/e/477ee1480a9c0eef9b1e4ab64c90fd94

無印良品のUsage Innovation


Amazonレビューに見るUsage Innovation

http://amzn.to/1aOkdz9


ポケベルに見るUsage Innovation

http://www.icit.jp/life-informatics/information/pokebell.html

※参考：高広伯彦「38年目のメディア」ポケベルのメディア・コミュニケーション論的考察


ポケコトバ（ベル語）

0840 3470 14106 3341 1010

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0703/29/news037.html

（オハヨウ）（サヨナラ）（アイシテル）（サミシイ）（イマヒマ？）

※参考：高広伯彦「38年目のメディア」ポケベルのメディア・コミュニケーション論的考察


Usage Innovationによるターゲット変更

http://www.youtube.com/watch?v=rJfzMFEwfJQ

http://www.youtube.com/watch?v=rJfzMFEwfJQ


マーケティングリフレーミングから見た「共創」


キリンフリーのコンセプト開発秘話

http://www.kirin.co.jp/products/nonalcohol/kirinfree/


キリンフリーのコンセプト開発秘話

アルコール0.00％のビールテイスト飲料

ビールの方が美味しい（従来のリサーチ）

ユーザーベネフィット

従来のフレーミング

アルコール0.00％のビールテイスト飲料

「味」×「シーンのありがたさ」（User Innovation）

ユーザーベネフィット

マーケティングリフレーミング


共創マーケティングの概要


共創的販促

近年の共創

本格的共創

企業調査会社新商品発売

投票コピーや店頭POP

企業専用サイトや Facebook

新商品発売

投票やディスカッション

企業

オウンド型共創コミュニティ

MROC

定量アンケート

エバンジェリストの育成

B2C2Cサンプリング

新商品開発

検証/効果測定

評価や推奨

友人経由の体験

共創的取り組みの変遷

コピーや店頭POP


ゆるい参加 (パーティシパント)

ファン (応援者)

ロイヤルカスタマー (支援者)

ブランドエバンジェリスト (伝道師)

共創コミュニティ

企業サイトメルマガ

※電通モダン・コミュニケーション・ラボの図に筆者追記

ソーシャルメディア

SMMと共創マーケティングの関係


キリンビールカンパイ会議 / キリン

https://kanpai.cocosq.jp/top/ https://www.facebook.com/kirinbeer

https://kanpai.cocosq.jp/top/


キリンのビールづくりプロジェクト

https://kanpai.cocosq.jp/contents/Blog/





消費者

企業

リサーチ消費者理解

主体者

ターゲット (標的顧客)

従来のマーケティング(リサーチ) 共創マーケティング

共創相互理解

主役（パートナー）主体者

顧客企業

場（＝共創コミュニティ）

顧客

共創マーケティングの顧客像


Awareness

Interest

Consideration

Purchase

Advocacy

マス広告/ iMedia

ブランドサイト/キャンペーンサイト

検索(SEO/SEM) ソーシャルメディアでのレビュー

PR/戦略PR

ソーシャルメディア公式アカウント

バズキャンペーン

メールマガジンソーシャルメディア公式アカウント

共創コミュニティ

リタゲ

店頭プロモーション

マストバイキャンペーン

サンプリング

マーケティングファネルにおける共創の位置づけ


①トライアル顧客

②日和見顧客

③継続顧客

④ロイヤル顧客

⑤エバンジェリスト（伝道師）

トライアル顧客

リピート顧客

ソーシャルメディアマーケティング

ソーシャルメディアマーケティング

共創マーケティング


5つの顧客


共創マーケティングの目的と効果


共創コミュニティの運営

ロイヤルティ向上による LTVの最大化

アドボカシーの向上によるクチコミ促進

ブランドに参画できる場（コミュニティ）の運営

イノベーションの促進とリサーチコストの削減

リサーチコミュニティの構築と運営

マーケティングリサーチの限界

市場の成熟化による競争の激化

どんな効果があるの？

短期的な広告が効きにくくなってきた

どんな課題があるの？

何をするの？


他者への影響力【大】

他者への影響力【小】

ブランドアドボカシー

【高】

【低】

ブランドアドボカシー

エバンジェリストインフルエンサー

一般消費者ロイヤル

カスタマー

インフルエンサーとエバンジェリストの違い


ブランドの熱心な支持者

一般消費者

定性調査定量調査

MROC アンケート調査（コミュニティパネル）

グループインタビュー

アンケート調査（アクセスパネル）

アドホック／外注

仕組み／内製 (共創コミュニティ)

リサーチから見た共創コミュニティの位置づけ

イノベーションの創出!!


コミュニティパネルによる顧客の声システム

コミュニティパネル（顧客の声）

アクセスパネル（市場の声）

MROC

MROC

アンケートアンケート

評価に進む

仮説評価

仮説探索

仮説評価

仮説探索探索に戻る

再探索に進む再評価に進む

アンケート

仮説検証

検証に進む

再探索に進む

検証に進む


まとめ：共創コミュニティで行うこと

週1回（目安）

ディスカッション

随時（不定期）

参加募集（サンプリングや商品開発PJなど）

エンゲージメントの向上ブランド理解の促進推奨（クチコミ）の促進会員の意識変容・態度変容状況

の把握

月1回マンスリーアンケート

（定量調査）


MROC （定性調査）

予期せぬ、または期待を超えた顧客インサイトの発掘


コミュニティ内ブログ

LTV向上クチコミ促進

イノベーションの促進

［頻度］［施策］［効果］


http://www.sararedman.com/5-ways-grow-innovation-in-your-workplace-culture/

Make Innovation with your Brand Advocates!!


続きはソーシャルメディアで !! ご静聴、ありがとうございました

※ご質問は [email protected] までお気軽に

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Thank You!!

@ikedanoriyuki

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