米国連邦政府における it...

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1 米国連邦政府における IT 調達の仕組みの現状と課題 20103JETRO/IPA NY

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1

米国連邦政府における IT 調達の仕組みの現状と課題

2010年3月

JETRO/IPA NY

2

目 次

1.米国連邦政府の IT調達の概況 .............................. 2

(1)全体金額 ........................................................ 3

(2)調達の効率化に向けての対応(法整備、仕組み変更) ................ 6

(2)—1 Federal Acquisitions Streamlining Act:FASA(1994年) ... 6

(2)—2 Clinger-Cohen Act:CCA(1996年) ........................ 6

(3)GSAの役割 ...................................................... 7

(3)−1 GSAとは ................................................. 7

(3)−2 GSA経由の IT調達の割合 .................................. 8

(3)-3 GSAによる調達の管理 ..................................... 9

2.米国連邦政府での IT調達の体制と仕組み ................... 10

(1)米国の連邦政府調達の仕組み ..................................... 10

(2)GSAによる IT調達にかかわるサービスの概要 ...................... 10

(a)GSAスケジュール(GSA Schedule) .............................. 11

(b)GWAC .......................................................... 13

(c)通信およびネットワーク・サービスの契約 ........................ 18

(d)スマートバイ・プログラム(SmartBUY)Program(ソフトウェア調達)

................................................................... 19

(e)MAC(Multiple-Agency Contract) ............................... 19

(3)GSAのサービスの有用性 ......................................... 20

(3)—1各省庁の調達と GSAの比較 .................................. 20

(3)−2:GSAサービスの評価 ...................................... 22

3. GSAにおける最近の動き(クラウド・コンピューティング) .. 25

(1)クラウド・コンピューティングの定義 ............................. 25

(2)連邦政府のクラウド・コンピューティング導入 ..................... 25

(3)Apps.Gov ....................................................... 28

3

1.米国連邦政府の IT調達の概況

(1)全体金額

2009年度における連邦政府の IT支出額はおよそ 712億ドルとなっている1。政府

が 2008年の段階で発表した予算案では、703億ドルだったが、最終的に増加したこ

とになる2。また、2010 年度の IT 予算は、784 億ドルに、2011 年は前年比 1.2%増

の 794億ドルとなっている。3下記に 2009年度における各連邦政府機関の IT 支出額

を示す。

表1:主な連邦政府機関の IT 支出(2009年度)

政府機関 予算額 前年比 政府機関 予算額 前値比

国防総省 $33,032 3.0% 財務省 $3,061 4.4%

農務省 $2,429 1.4% 退役軍人省 $2,534 17.8%

商務省 $2,295 26.4% 環境保護庁 $455 3.9%

教育省 $593 1.0% 政府調達局 $558 5.3%

エネルギー省 $2,038 0.7% 航空宇宙局 $1,874 -4.8%

保険社会福祉省 $5,681 3.0% 国立公文書館 $136 5.7%

国土安全保障省 $5,317 0.1% 全米科学財団 $83 33.8%

住宅都市開発省 $313 13.9% 核規制委員会 $155 23.4%

内務省 $965 5.1% 行政管理予算局 $5 -19.3%

司法省 $2,750 5.7% 人事局 $89 -14.7%

労働省 $542 5.3% 中小企業局 $85 0.3%

国務省 $1,045 9.0% スミソニアン $66 6.3%

米国国際開発庁 $103 10.8% 社会保障局 $1,139 7.5%

運輸省 $2,981 7.8% (注)数値は申請予算額ベース(単位:100 万ドル)

(出典)Fiscal Year 2009 Information Technology Budget、Executive Office of the President of

the United States4

1http://fcw.com/articles/2010/02/01/use-it-for-efficiency-obama-says-in-budget.aspx?sc_lang=en 2http://georgewbush-whitehouse.archives.gov/omb/egov/documents/FY09_IT_Budget_Rollout_A

prilUpdate.pdf 3http://www.informationweek.com/news/government/policy/showArticle.jhtml?articleID=222600

650 4http://georgewbush-whitehouse.archives.gov/omb/egov/documents/FY09_IT_Budget_Rollout_A

prilUpdate.pdf

4

表 2:連邦政府の IT支出推移(単位:10億ドル)

2009 2010 2011

IT案件数(主要) 807 781 809

全IT案件数 6575 7409 7463

IT支出額(主要案件) $37.25 $40.33 $40.41

全IT支出額 $71.23 $78.44 $79.38 (出典)Analytical Perspectives FY 2011、OMB5 2010,2011 は予算ベース

一方、IT支出の内訳を見てみると(2009年ベース)、最も多いのが Mission Area

Support6(人事管理、経理、組織統制に関わる IT)で、次いで連邦政府のインフラ、

オフィス機能の自動化、通信ネットワーク、国家セキュリティ・システムとなって

いる。

図1:連邦政府の IT支出の内訳

(注) Mission Area Support(人事管理、経理、組織統制に関わる IT)

インフラ/通信系(エンドユーザ・システムのサポート、通信、コンピュータ・インフラ)

EA&P(Enterprise Architecture and Planning:ビジネス・プロセス管理、企業アーキテクチャ

開発、調達システム管理、IT ポリシーの実装)

助成金管理(Grants Management Systems:助成金に関する一連の IT業務)

地方自治体 IT投資(地方自治体が使用する IT資源に対する助成金の管理):国家保システム(主

に国防省が利用)

(出典)E-Gov「Fiscal Year 2009 Information Technology Budget」

5http://fcw.com/articles/2010/02/01/use-it-for-efficiency-obama-says-in-budget.aspx?sc_lang=en 6http://www.google.com/url?sa=t&source=web&ct=res&cd=1&ved=0CAYQFjAA&url=http%3A%

2F%2Fwww.whitehouse.gov%2FOMB%2Fcirculars%2Fa11%2Fcurrent_year%2Fs53.pdf&ei=tX

GMS6j0FNXYlAeetISwDQ&usg=AFQjCNFvpMJGO4nufThp64eopQfcZYj3Ww&sig2=a92LLAf

SWYcxlUahZ4Vd0g

3. EA&P

4. 助成金管理

5. 地方自治体IT投資

6. 国家保安システム

2. インフラ/通信系

1. Mission AreaSupport

5

一方、ITの利用が盛んになるにつれて、サイバー・セキュリティの費用も年々増

加の一途をたどっている。2004 年度に同分野で費やした額は 42 億ドルだったが、

2009年度には 63%増の 68億ドルに達している。

連邦政府関連の仕事に関するコンサルティングおよび市場調査サービスを提供

する INPUTの報告によると、民間へ発注する ITプロジェクトの契約金額が 2010年

に大幅に増加する見通しである。同社は、2010年に契約する 20の大型 ITプロジェ

クトの総額は、2009年の 1200億ドルから 50%増の 1800億ドルに達すると見積もっ

ている。INPUT研究部門のシニア副社長ケビン・プレキシコ(Kevin Plexico)氏に

よると、支出増加は各連邦政府機関が GSA を通さず独自に大手と交わした 1130 億

ドルの契約に起因しているという。7

表3:連邦政府による大型 IT 調達プロジェクト 20件(2010年度)8

Rank Agency Program 名 調達額 Rank Agency Program 名 調達額

1 State CJPS 500 11 DoD DISM GSM 27

2 DHS EAGLE II 450 12 DoD SITEC 24

3 GSA Connections 350 13 Air Force

DESP III 19

4 Army S3 300 14 DOJ ITSS IV 15

5 HHS SIOSP3 200 15 DHS Support Services, USCG

10

6 Air Force

NETCENTS II 136 16 Navy FTSS 9.8

7 DoD ESI/Compass 75 17 Army CSBS 8.5

8 GSA FCSA 50 18 Air Force

GCSS-AF 7.9

9 Army CHS 4 37 19 Navy IA 2.5

10 Army SETAC-09 30 20 DHS OTIS/Omnibus N/A

(注)単位:億ドル。*印は INPUT による推測値

(出典)Deltek Information Solutions, INPUT/Output: Top 20 Federal Opportunities

上記の表からわかる通り、大型 IT 調達のほとんどが米軍および国防に関するも

のであり、独自の調達プログラムを使用している。GSA を利用している案件はわず

か2件にとどまっている。

7http://www.nextgov.com/nextgov/ng_20091006_8476.php?oref=rss?zone=NGpopular 8http://www.nextgov.com/nextgov/ng_20091006_8476.php?oref=rss?zone=NGpopular

6

(2)調達の効率化に向けての対応(法整備、仕組み変更)

連邦政府はこれまで、市場の動向に合わせて IT 調達の効率化を図り、数々の法律

を制定してきた。以下にその主な規制を記す。

(2)—1 Federal Acquisitions Streamlining Act:FASA(1994年)

1994 年にクリントン大統領が署名して成立。年間 2000 億ドルの連邦政府の調達

システムの改良を目的に制定された。それ以前は、調達過程が複雑なため、調達で

きる製品やサービスが限られていたが、同法により、調達過程を簡略化できると同

時に、固定価格による契約を進めることができるようになった。その結果、調達結

果を入札価格(最も安い入札額)で選ばず、商品やサービスの価値に基準をおいて

選択できるようになった。契約企業は、予め設定したパフォーマンス目標の 90%を

達成しないと、契約を打ち切られることになる。9 10

同法の要となるのが、(1)商業製品への依存度を高める(2)付加価値の低い

製品の大量調達の簡略化(3)小規模事業者の契約機会の増加(4)落札への不服

申し立て(Bit Protest Process)の簡略化(連邦政府の入札では、入札に落ちた

企業が不服を申し立てることができる)—などがある。また、FASA は、入札による

連邦政府向けのカスタム製品ではなく、汎用(オフ・ザ・シェルフ)製品の購入を

奨励している。また FASA で定義されている購入対象の“商業製品”には、将来技

術が発達した段階で需要が発生すると思われる製品にも対応するようになってい

る。

連邦政府の調達において、全体の9割が$100,000 以下である。そのため、FASA

は調達過程を簡略化できる上限を従来の$25,000 から$100,000へ引き上げた。11

(2)—2 Clinger-Cohen Act:CCA(1996年)

連邦政府の IT 調達を統括する中心的な存在が CCA である。同法はもともと、制

定された当時は「Information Technology Management Reform Act」と呼ばれてい

たが、その後上記の名称で呼ばれるようになった。CCAは、連邦政府機関の IT資源

の獲得および管理の効率化を目的にしている。同法の下、(1)各政府機関は CIO

を配置し、それにより IT 管理の透明化を図ると同時に IT 調達の効率化を図る。12

(2)ITアーキテクチャを、連邦政府が情報資源を戦略的に管理するために従来の

9http://en.wikipedia.org/wiki/Federal_Acquisitions_Streamlining_Act 10http://www.dol.gov/oasam/regs/statutes/fasa1.htm 11http://www.cohenseglias.com/government-contracts.php?action=view&id=331 12http://en.wikipedia.org/wiki/Clinger%E2%80%93Cohen_Act

7

ITと新たに調達した IT の統合フレームとして定義する。13(3)OMBの局長が、連

邦政府の IT調達の効率改善に対する責任を持つほか、予算の管理にも関与する—と

いったことが定められている。

しかし、導入されて 10 年目を迎えた段階では、その効果があまり出ていないと

いう専門家の意見もある。これは、IT調達の効率化を計測するのがきわめて難しい

というのが理由となっている14。また、最近でも連邦政府のクンドラ CIO が現行の

IT調達システムの効率化が図られていない点を指摘し、改善が必要であることを訴

えている。15

(3)GSA の役割

(3)−1 GSA16とは

米国連邦調達庁(The General Services Administration: GSA)は、連邦政府が

使用する全ての備品を調達する部門。言い換えれば、連邦政府機関およびこれらの

組織に属する 100万人の連邦政府役人が発注する備品の調達を賄っている。設立は

1947 年で、主な業務は、(1)各省庁に対する調達サービスの提供(2)連邦政府

資産の管理となっている。

このうち、(1)の調達関しては、各省庁の IT システム関係に加えて、コンピュ

ータおよびオフィス機器、備品、さらには連邦政府職員の出張・航空費用などの手

続きも行っている17。

一方(2)資産の管理に関しては、8300棟の連邦ビルおよび 21万台におよぶ連

邦政府所属の車両を管理する。その資産総額は 5000 億ドルと言われている18。

流れ的には、各機関が IT調達に関する要請を提出し、GSAが調達する仕組みで

ある。各省庁自体は CIO を含む ITスタッフを抱えており、彼らが基本的な要請事

項、GSAを利用するのか否かを判断している。なお、連邦政府は、今後3年間で1

万人以上の ITスタッフ増員を検討している19。

各連邦政府機関による調達と GSA を通じた調達プロセスの相違を下記に示し

た。

13http://www.intervista-institute.com/resources/clinger-cohen-act.html 14http://www.govexec.com/dailyfed/0706/071806cc.htm 15 http://fcw.com/articles/2009/04/23/web-kundra-procurement.aspx?sc_lang=en 16http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/home.do?tabId=7 17http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_OVERVIEW&contentId=

13339 18http://www.en.wikipedia.org/wiki/General_Services_Administration 19http://www.informationweek.com/news/government/leadership/showArticle.jhtml?articleID=2

19501272

8

図2:連邦政府の IT調達の流れ

(3)−2 GSA経由の IT調達の割合

連邦政府機関は、必要に応じて独自にベンダーと交渉し、IT資材やサービスを導

入している。しかし、その一方で、GSA を通じて、同様に調達を行うことがある。

これは、各機関の注文が重複している場合などに、それをひとつにまとめて、効率

化を図るのが目的である。インフォメーション・ウィークによると現在、連邦政府

機関による GSA 経由の IT 調達額は、年間 220 億ドルなっている20。 しかし、連邦

政府による IT調達のうち GSA使用の割合は 28%に過ぎない21。このことからも、GSA

では契約の効率化が期待されているものの、連邦政府機関の間でそれほど普及して

いないのが現状である。

INPUT のプレキシコ氏によると、連邦政府機関の間では、GSA の設置目的に反し

て、むしろ IT調達に関して GSAへの依存を尐なくすることで、GSAへの支払いを軽

減するとともに、発注機関にとって最適な契約を選択するようになりつつあるとい

う22。

連邦政府の IT調達は実に複雑かつ多岐にわたる、例えば、行政管理予算局(Office

20http://www.informationweek.com/news/government/leadership/showArticle.jhtml?articleID=1

9500814 21http://www.informationweek.com/news/government/leadership/showArticle.jhtml?articleID=2

19500814 22http://www.nextgov.com/nextgov/ng_20091006_8476.php?oref=rss?zone=NGpopular

連邦政府調達に

関する全ての情

報を提供するサ

イト

連邦政府機関 GSA

Acquisition Services Directorate(ASD)

民間受託業者

Acquisition Central

(acquisition.gov)

各省庁独自の MAC、IDIQ な

どの調達手段を利用

GSA スケジュール、GWAC、

MAC、他の IDIQ などの調達手段

OMB が管轄

連邦政府調達に関す

る全面的なサポート

を提供

9

of Management and Budget: OMB)では、200種類以上におよぶ連邦機関による民間

業者との契約を監督している23。

連邦政府機関の IT調達の大まかな流れを上記に示した。通常は、GSA経由あるい

は直接、受託業者と調達の取引を行うが、Acquisition Central

(www.acquisition.gov)を通じて、IT調達に関する様々な情報を得る事ができる。

同サイトには、IT調達方法に関する情報が全て網羅されており、条件にあった調達

方法を検索することができる。さらに、Acquisition Services Directorate(ASD)

が調達に関するサポートを提供する。ただし、連邦政府の IT調達を全般的に監督

しているのは、OMBである。また、CCAにより、連邦政府機関は、個別の IT 投資案

件ごとにビジネスプランを OMBに提出することが義務づけられている2425。なお、MAC、

ID/IQ、GWACの詳細は第2章で説明する。

(3)-3 GSAによる調達の管理

基本的には、各省庁の CIO が調達に関する全てを任されており、GSA は単純にガ

イドラインを提供するに留まっている。現在、GSA が提供するのは、「連邦 ITAM

(Federal IT Asset Management)」26と呼ばれるもので、連邦省庁が ITの調達から

管理までを効果的に行えるように指示を出している27。

また、ソフトウェア資産の管理のみを取り扱った SAM(Software Asset

Management)もある28。いずれのガイドラインも、国際標準化機構(ISO)などの国

際団体が規定する標準規格を基にしている29。

23http://fcw.com/Articles/2008/01/03/2008-Watch-List-OFPP-to-rein-in-interagency-contracts.asp

x?Page=2 24http://www.whitehouse.gov/omb/e-gov/agency_exh300s/ 25http://www.whitehouse.gov/omb/e-gov/ 26http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/programView.do?programPage=%2Fep%2Fprogram%2Fgsa

Overview.jsp&channelId=-25265&ooid=25288&pageTypeId=17113&programId=13368&P=ME 27 http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/programView.do?programId=13368&programPage=%2Fep%

2Fprogram%2FgsaOverview.jsp&P=ME&pageTypeId=17113&ooid=25288&channelId=-25265 28http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?programId=13369&channelId=-25265&ooid

=25288&contentId=25242&pageTypeId=17113&contentType=GSA_BASIC&programPage=%2F

ep%2Fprogram%2FgsaBasic.jsp&P=ME 29http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?programId=13369&channelId=-25265&ooid

=25288&contentId=25243&pageTypeId=17113&contentType=GSA_BASIC&programPage=%2F

ep%2Fprogram%2FgsaBasic.jsp&P=ME

10

2.米国連邦政府での IT 調達の体制と仕組み

(1)米国の連邦政府調達の仕組み

連邦調達規制「Federal Acquisition Regulation (FAR)30」は、全ての連邦政

府機関による調達に伴う規制を網羅したもので、調達を迅速に行えるように各段階

でのガイドラインを提示している。それにより、各連邦政府機関の需要に合う調達

を実現する一方で、公開入札における競争を奨励し、かつ、その中で最大の購買価

値を求めていく。FAR は、調達に関する連邦政府の姿勢を定めた連邦法「the Office

of Federal Procurement Policy Act(1974 年)」に準拠している。政府調達の一般

的なプロセスは以下のようになる。

図3:FARの流れ

1. 調達計画 – 調達チームの召集、要件調査、調達戦略の立案

2. 市場調査 – 予想される調達方法についての情報収集

3. 調達先の選択 – 省庁の需要に合った調達方法の選択

4. 作業指示書(SOW)と提案依頼書(RFP)の草稿 – 調達範囲(必要な製品・

サービスのタイプと納品スケジュール)の定義

5. 概要と提案書の発行(両方あるいは一方) – 受託契約の概要の早期通知と

見込まれる受託業者間の公平で自由な競争の奨励

6. 提案書の評価 – 受託業者の価格設定、責任の度合い、社会経済的な地位を

考慮

7. 諸条件の交渉 – 高評価を得た受託業者の絞込み

8. 受注先決定 – 発注に対して条件が最も合致している受託業者を決定

9. 調達過程の記録 – 調達過程で使用されたすべての文書を契約文書として

保管

FARを発行し、維持していく法的権限を持つのは、国防長官、GSA長官、航空宇

宙局(NASA)長官。ただし、彼らの権限執行は、連邦調達ポリシー長官の承認を得

るのが前提となっている。

(2)GSA による IT調達にかかわるサービスの概要

GSAが提供する IT調達の仕組みは、不特定納期のサービス/不特定量の製品調達

30 https://www.acquisition.gov/far/loadmainre.html

調達計画 市場調査 調達先

の選択

SOW/RFP

草稿作成

諸条件の

交渉

受注者

決定

調達過程

の記録

11

に関する契約(Indefinite/Delivery/Indefinite Quantity: IDIQ)で賄われてい

る。

IDIQは、一定期間に不特定量(予め定めていない量)の製品および不特定納期(納

期を予め決めていない)サービスを調達するための契約方式。FARの定義によると、

連邦政府機関は、IDIQ 契約に基づき特定期間に業者が配送および提供する不特定量

の製品およびサービスを調達することができる。特に契約を締結する前に製品の量

やサービスの納期を特定できない場合などに利用する。

基本的には、数年間の基本契約期間(ベース年)に延長期間(オプション年)を

加えた形式となっている。調達量の下限および上限は基本契約の中に盛り込まれて

いる31。IDIQは通常、1つの連邦政府機関および部署が調達をする際に利用されて

いるが、いくつかの連邦政府機関にまたがる契約もある。これをインターエージェ

ーンシーIDIQと呼んでいる。GSAが管轄するインターエージェーンシーIDIQ には、

(a)GSAスケジュール(b)GWAC(c)特別契約(d)個々の機関内での受注に対応

する MACがある。なお、これらの契約の基本的な違いは、調達する種類や管理に関

する法的権限である。それぞれの契約内容については以下に示す。

表4:GSAの IDIQの分類

GSAスケジュール ITスケジュール70 IT製品・サービス全般

8(a)STARRS IT製品・サービスのほぼ全般*

ALLIANT IT製品・サービス全般

ALLIANT SB IT製品・サービス全般

COMMITS NexGen IT製品・サービス全般

Millenia Lite 一部のIT製品・サービスのほぼ全般*

VETS 退役軍人の会社のみ受注

Networx コールセンター、ネットワーク、セキュリティなど

SATCOM-II 衛星通信サービス全般

通信経費管理システム ワイヤレス・サービス契約管理、バックオフィスなど

CONNECTIONS ネットワーク機器、カスタム・ソリューション

ローカル通信サービス 音声・データ・ビデオ通信機器

SmartBUY ソフトウェア(政府機関向けに作られた特殊分野)

MAC MAC IT製品・サービス全般

IDIQ

GWAC

特別IDIQプログラム

*分野の詳細については、表8の分類を参照

(a)GSAスケジュール(GSA Schedule)

GSA スケジュールは、GSA の設立の際、1949 年に執行された法律「the Federal

Property and Administrative Services ACT」に基づき制定された調達方法。監督

するのは主に GSAで、政府機関が調達する全ての製品およびサービスを調達するた

めの許可を出している32。発注機関が GSA スケジュールを使用する場合、BPA

31 http://en.wikipedia.org/wiki/IDIQ 32http://epw.senate.gov/fpasa49.pdf

12

(Blanket Purchase Agreement)も使用可能である。

BPA は連邦政府機関が使用する簡略発注方法。ひとたび、契約が成立すれば、再

注文なども簡単に行えるのが特徴。主に、繰り返し必要となる商品やサービスの調

達に利用されている33。

GSAスケジュールは、一時借り入れの5年契約がベース。GSAが政府機関への製品

およびサービスの調達をベンダーと交渉し、値段をリストとして掲載する。契約は

3年ごとに更新され、最高 20 年におよぶ。 現在、GSA スケジュールが取り扱う商

品およびサービスの分類項目はおよそ 50 種類あり、ベンダーはそれぞれの項目に

対して申請を行うことができる。これらの項目は、産業製品、車両、オフィス用品

ほか、ほとんどの専門サービスを含んでいる34 35。

GSAスケジュールの中でも、IT機器、ソフトウェア、サービスを提供するベンダ

ーとの契約を目的に設定されたのが「ITスケジュール 70(以下、スケジュール 70)」。

スケジュール 70 を通じて提供される製品やサービスは、「特別製品番号(Special

Item Numbers: SIN)」に基づいた 20種類の項目に分類されている36。

表5:IT スケジュール 70の調達分野

項目 内容

リース製品 IT機器、ソフトウェアのリース

短期レンタル IT機器のレンタル(1日~365日以内)

新規機材購入 通信機器からパソコンまで全てのIT機材が対象

新古機材購入 通信機器からパソコンまで全てのIT機材が対象

保守管理 IT機器のパーツ交換や修理、メンテナンス

ソフトウェア・ライセンス OS、アプリケーション、インターネットまで全て網羅する

ソフトウェア・ライセンス(買い取り)OS、アプリケーション、インターネットまで全て網羅する

ソフトウェア・サービスの保守管理 ソフトウェアの改良、実装、アップデートなどを含む

研修 IT関連の研修

ITサービス 施設管理、データベース、ネットワークなど全サービス

電子商取引 VAN(Value)Added Network、電子メール、インターネット接続

ワイヤレス・サービス 携帯電話サービスおよび再販業者

電子認証(個人認証は無し) 認証システムの管理

電子認証(個人認証は有り) 認証システムの管理

電子証明書 政府のシステムへアクセスするためのデジタル認証局を管理

電子認証(ハードウェア) トークンを利用したハードウェア認証およびプライベートキーの保管

遠隔地操作管理サービス 連邦政府機関の従業員による遠隔地アクセスの円滑なオペレーションを管理

個人認証管理サービス 認証&アクセス管理(Identity and Access Management:IAM) )の実装

セキュリティ(公開キー) 公開キーを使ったサービスを連邦職員に提供するためのもの

国家保安関連システムの実装 HSPD-12*に準拠したセキュリティ製品の実装 *Homeland Security Presidential Directive 12

33http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_OVERVIEW&contentId=

8101 34http://www.gsaelibrary.gsa.gov/ElibMain/scheduleList.do 35http://www.fedmarket.com/articles/define-gsa-schedule.shtml 36http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_OVERVIEW&contentId=

8661

13

スケジュール 70を使う利点としては、以下のものが挙げられる37。

・管理業務の削減

・全ての連邦政府機関で利用可能

・発注量の上限なし

・発注機関と受託業者が直接契約するため、GSA に資金を移動する必要がない

・BPAの発行

・サブコンの使用により、複数のプロジェクトを一括してまとめることができる。

その結果、調達費用コストを削減できる

(b)GWAC

GWACは、連邦政府の IT 資源調達および管理の向上を目的とし、CCA法によって法

的権限を与えられている。CCA 法は、連邦政府機関について、調達に関してより柔

軟かつ効果的で、さらにベンダー同士の競争を促す目的で GWAC を作成するよう定

めている。具体的には、(1)事前通知および条件の通達をできる限り減らす(2)

条件にあった適切なベンダーの事前選別(3)一機関内の経験豊富なスタッフらに

よる IT 調達の一括管理(4)GWAC を受け取った受託業者間での競争を促し、最良

の価格を出す(5)受注に対する反対がでないようにする38。

GWAC はまた、CCA 法に基づき OMB が規制することになっている。このため、OMB

の局長に、IT資源管理を向上させるために多様なプロセスを開発する責任を課して

いる。OMB の主要任務の1つとして、GWACを監督する連邦機関を指定する任務があ

る。39 OMBは現在、4つの省庁を GWACの監督にあてがっている40。

(1)GSA41

(2)環境保護局(Environmental Protection Agency :EPA)42

(3)保健福祉庁(Health and Human Services: HHS)43

(4)航空宇宙局(NASA)44

GSA の IT 調達と競合するプログラムのほとんどは、国防総省(Department of

Defense: DoD)、航空宇宙局(NASA)、内務省(Department of Interior)などの他

の省庁によって処理される GWAC(Government Wide Acquisition Contract)や MAC

37http://www.amyx.com/gsa-it/gsa-advantages 38http://www.sba.gov/advo/research/rs279tot.pdf 39http://www.army.mil/armybtkc/docs/CCA-Book-Final.pdf 40http://www.whitehouse.gov/omb/procurement_multi_agency_contract_opps/ 41http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/home.do?tabId=0 42http://www.epa.gov/oam/read 43http://nitaac.nih.gov/CIOSP2.asp 44http://www.sewp.nasa.gov

14

(Multi-Agency Contract)からなっている。GWAC は、発注者がすでに選別された

ベンダーの中から調達に適した企業を選択し、業務契約を結ぶ形態で、契約条件も

柔軟に設定できるのが特徴。契約自体は、一方の MAC もほぼ同様の条件であるが、

GWACが連邦政府機関にまたがって利用できるのに対して、MACは個々の省庁が、内

部での需要のために行う契約で、発注機関の認証が必要になる45。

GWACに関しては、全契約のうち、GSAが約 52%を賄っている。残りは、NIH(National

Institute of Health)や NASAが占める4647。

MACについては、DoD が処理する契約が全体の 40%を占めて最大となっている。一

方、GSAの割合は全契約の 20%未満となっている。しかし、DoDによる MACの中には

GSA 経由の IT 契約と重複するものがある。このほか、MAC は、内務省、司法省

(Department of Justice)、環境保全庁(Environmental Protection Agency)、退

役軍人省(Department of Veteran’s Affairs)からも提供されている48。

表6:各連邦政府機関が提供する主な GWAC

8(a)STARRS IT製品・サービスのほぼ全般*

ALLIANT IT製品・サービス全般

ALLIANT SB IT製品・サービス全般

COMMITS NexGen IT製品・サービス全般

Millenia Lite 一部のIT製品・サービスのほぼ全般*

VETS 退役軍人の会社のみ受注

NASA SEWP 統合ITソリューションを提供

CIO-SP2i ITインフラおよびオペレーション関連

IW2nd イメージ技術。医学関連技術

ECSIII ソフトウェア/ハードウェア/周辺機器

GWAC

GSA

NIH

*分野の詳細については、表8の分類を参照

ほとんどの GWACでは、GSAが GWAC登録ベンダーの提供するサービス価格(時間

あたりの単価)をまとめたリストを管理する。この価格リストは、発注側の政府機

関が実際に契約条件を交渉する前にコストを見積もる段階で、時間給レートのベン

チマークとして利用されている49。GSAの GWAC(アライアント)の価格表を例とし

て下記に記す。表は主な企業のみを掲載している。

45http://gcn.com/microsites/gwacs-special-report.aspx 46https://acc.dau.mil/CommunityBrowser.aspx?id=110474 47http://www.sba.gov/advo/research/rs279tot.pdf 48http://www.whitehouse.gov/omb/assets/procurement/macs.pdf 49http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentId=28727&programPage=%2Fep%2F

program%2FgsaBasic.jsp&channelId=-24746&ooid=14264&pageTypeId=17112&P=9FG4&prog

ramId=15865&contentType=GSA_BASIC

15

表7-1: GWAC(GSAのアライアント)の主な職種別時間給(ベンダー別)50 職種 ANS AT&T BAE CGI CSC EDS Harris IBM LMIS Perot 平均

IT管理業務(Administration)

エントリー・レベル 44.33$ 36.93$ 39.26$ 54.05$ 35.66$ 27.55$ 41.29$ 37.10$ 36.85$ 45.83$ $33.24

中間レベル 53.64$ 49.05$ 44.70$ 58.95$ 44.09$ 38.91$ 50.50$ 43.57$ 54.41$ 52.45$ $40.86

マネージャ・レベル 66.09$ 64.42$ 48.76$ 63.26$ 51.89$ 46.36$ 61.06$ 49.12$ 77.74$ 59.99$ $49.06

アプリケーション開発

エントリー・レベル 74.99$ 86.64$ 72.13$ 61.81$ 73.80$ 58.74$ 93.71$ 56.64$ 49.12$ 59.99$ $57.30

中間レベル 82.40$ 108.77$ 88.68$ 70.98$ 106.63$ 73.92$ 110.47$ 71.87$ 63.46$ 78.51$ $71.31

上級者レベル 98.22$ 129.48$ 109.57$ 93.06$ 128.72$ 95.79$ 127.31$ 96.79$ 90.69$ 102.88$ $89.38

幹部レベル(Master) 145.70$ 150.11$ 128.60$ 125.31$ 163.57$ 113.42$ 168.19$ 123.34$ 156.79$ 134.66$ $117.47

アプリケーション・システム分析

エントリー・レベル 43.52$ 58.34$ 72.60$ 63.90$ 89.73$ 38.65$ 93.71$ 81.21$ 40.94$ 59.99$ $53.55

中間レベル 62.16$ 77.41$ 89.76$ 70.15$ 98.20$ 61.88$ 110.47$ 93.69$ 60.45$ 78.51$ $66.89

上級者レベル 81.26$ 101.68$ 108.61$ 108.22$ 112.16$ 63.85$ 127.31$ 127.47$ 86.37$ 102.88$ $84.98

幹部レベル(Master) 88.40$ 132.27$ 167.43$ 122.76$ 128.72$ 82.43$ 168.19$ 160.64$ 103.47$ 117.67$ $106.00

ビジネス・プロセス・コンサルタント 156.71$ 90.33$ 111.82$ 119.86$ 163.38$ 62.23$ 144.68$ 176.83$ 139.18$ 154.13$ $109.93

ビジネス・システム・アナリスト 115.42$ 150.45$ 81.79$ 150.21$ 137.61$ 91.33$ 157.77$ 150.08$ 90.69$ 117.67$ $103.59

最高情報セキュリティ責任者(CISO) 169.05$ 163.08$ 148.93$ 165.47$ 163.57$ 96.64$ 212.95$ 215.60$ 103.47$ 154.13$ $132.74

データウェアハウス専門家

エントリー・レベル 67.12$ 68.12$ 62.48$ 76.42$ 65.83$ 62.23$ 79.96$ 56.64$ 49.12$ 59.99$ $53.99

中間レベル 81.26$ 90.48$ 78.56$ 87.40$ 83.22$ 76.85$ 96.13$ 71.87$ 63.46$ 89.87$ $68.26

上級者レベル 94.33$ 119.04$ 91.49$ 110.97$ 99.07$ 84.09$ 116.59$ 96.79$ 90.69$ 102.88$ $83.83

幹部レベル(Master) 107.16$ 154.96$ 113.49$ 128.69$ 106.63$ 98.35$ 144.02$ 123.34$ 108.64$ 117.67$ $100.25 (注)ANS(Accenture National Security Services, LLC):AT&T(AT&T Government Solutions, Inc.):

BAE:(BAE Systems Information Technology Inc.):GGI(CGI Federal, Inc.):CSC(Computer

Sciences Corporation):EDA(Electronics Data Systems, LLC、オラクルが買収):

LMIS(Lockheed Martin Integrated Systems, Inc.):Pero(Perot Systems Government Services, Inc.、

デルが買収)平均値は、全掲載企業の価格に基づき計算

表7-2: GWAC(GSAのアライアント)の主な職種別時間給(ベンダー別)51 職種 ANS AT&T BAE CGI CSC EDS Harris IBM LMIS Perot 平均

データベース・スペシャリスト

エントリー・レベル 66.09$ 68.25$ 61.77$ 72.31$ 65.17$ 48.35$ 79.96$ 56.64$ 46.79$ 59.99$ $52.11

中間レベル 89.23$ 90.72$ 78.56$ 88.73$ 98.20$ 62.23$ 96.13$ 71.87$ 60.45$ 89.87$ $68.83

上級者レベル 84.75$ 119.04$ 91.49$ 120.09$ 123.20$ 76.85$ 116.59$ 96.79$ 86.37$ 102.88$ $84.84

幹部レベル(Master) 129.74$ 154.96$ 113.49$ 138.92$ 134.56$ 104.48$ 144.02$ 123.34$ 103.47$ 134.66$ $106.80

ハードウェア・エンジニア

エントリー・レベル 51.35$ 57.95$ 65.64$ 65.22$ 66.14$ 55.74$ 86.33$ 81.21$ 42.99$ 59.99$ $52.71

中間レベル 62.16$ 76.95$ 82.00$ 77.41$ 76.08$ 61.65$ 107.32$ 103.04$ 63.46$ 78.51$ $65.71

上級者レベル 73.69$ 101.17$ 98.38$ 97.77$ 107.58$ 76.32$ 126.53$ 127.47$ 90.69$ 102.88$ $83.54

幹部レベル(Master) 94.33$ 131.51$ 115.99$ 113.90$ 130.55$ 89.91$ 157.04$ 160.64$ 108.64$ 117.67$ $101.68

ネットワーク管理

エントリー・レベル 58.99$ 68.25$ 62.49$ 61.81$ 51.89$ 47.03$ 116.56$ 56.64$ 46.79$ 68.65$ $53.26

中間レベル 74.99$ 90.72$ 74.21$ 72.00$ 91.29$ 54.82$ 135.27$ 71.87$ 60.45$ 78.51$ $67.01

上級者レベル 82.40$ 119.04$ 89.37$ 82.18$ 111.63$ 68.99$ 168.34$ 96.79$ 86.37$ 102.88$ $84.00

幹部レベル(Master) 98.22$ 154.96$ 108.44$ 108.22$ 136.09$ 87.87$ 226.98$ 123.34$ 103.47$ 134.66$ $106.85

プログラム・マネージャ 380.29$ 183.50$ 148.93$ 200.48$ 167.00$ 117.28$ 169.48$ 207.83$ 156.79$ 176.21$ $158.98

プロジェクト・マネージャ 157.38$ 134.84$ 127.00$ 190.33$ 157.20$ 111.00$ 111.13$ 167.67$ 90.69$ 134.66$ $115.16

音声・データ通信エンジニア

エントリー・レベル 74.99$ 67.64$ 62.49$ 65.97$ 60.18$ 55.74$ 70.86$ 56.64$ 49.12$ 68.65$ $52.69

中間レベル 82.40$ 89.84$ 74.21$ 71.79$ 97.02$ 63.86$ 93.91$ 71.87$ 63.46$ 78.51$ $65.57

上級者レベル 121.95$ 118.01$ 89.37$ 81.75$ 106.81$ 80.92$ 107.69$ 96.79$ 90.69$ 102.88$ $83.07

幹部レベル(Master) 145.70$ 153.41$ 108.44$ 107.13$ 130.17$ 89.91$ 126.77$ 123.34$ 108.64$ 117.67$ $100.93

ウェブコンテンツ・アナリスト 67.12$ 68.98$ 60.12$ 72.51$ 86.47$ 79.74$ 100.23$ 99.92$ 62.17$ 78.51$ $64.65

ウェブ・デザイナー 67.12$ 87.83$ 72.13$ 95.81$ 118.99$ 120.90$ 100.23$ 121.23$ 75.16$ 102.88$ $80.19 (注)ANS(Accenture National Security Services, LLC):AT&T(AT&T Government Solutions, Inc.):

BAE:(BAE Systems Information Technology Inc.):GGI(CGI Federal, Inc.):CSC(Computer

Sciences Corporation):EDA(Electronics Data Systems, LLC オラクルが買収):

LMIS(Lockheed Martin Integrated Systems, Inc.):Pero(Perot Systems Government Services, Inc.

デルが買収)平均値は、全掲載企業の価格に基づき計算

50http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?programId=15865&channelId=-24746&ooid

=14264&contentId=28727&pageTypeId=17112&contentType=GSA_BASIC&programPage=%2F

ep%2Fprogram%2FgsaBasic.jsp&P=9FG4 51http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?programId=15865&channelId=-24746&ooid

=14264&contentId=28727&pageTypeId=17112&contentType=GSA_BASIC&programPage=%2F

ep%2Fprogram%2FgsaBasic.jsp&P=9FG4

16

スケジュール 70がハードウェア、ソフトウェア、サービスの調達に対して幅広

い選択肢を提供するのに対して、GSAの GWACは、統合ソリューションに対する調達

をより簡潔化するのを目的にしている。統合ソリューションには、例えば、コンピ

ュータ・システム設計、ソフトウェア・エンジニアリング管理、データ・ホスティ

ングなどが含まれる。また、GWCAは、政府機関が予算と ITエンタプライズ・アー

キテクチャに合わせて保守管理を行っていく上で発生する単一の受注レベルで調

達を調節できる柔軟性が特徴である。

GSAのエンタプライズ GWACセンターの顧客サポート部門のトップ、メンルー・ブ

ルース(Menlu Bruce)氏によると、連邦政府機関は、GWACを利用して価格や注文

を処理する筆頭業者へ直接発注できる。通常、筆頭受託業者は他の受託業者(サブ

コン)と提携し、各種受注に対応できる体制を整えている。サブコンは、スケジュ

ール 70および GWACの両方で関与するが、違いは、GWACでは、連邦政府とサブコン

の間にはなんら契約は存在しない。

例えば、アライアント(Alliant)GWACに筆頭業者として登録されている AT&T

は、同社のサブコンと協力して、全ての通信エンジニアリング・サービスを提供し

ている。この際、AT&T は、全ての実装計画に対して責任を負い、ビデオ会議エンジ

ニアリング、コールセンター管理、VoIP実装など、個別のシステム実装に対して専

門のサブコンに委託することができる。ただし、すべての作業は1つの契約にまと

められ、発注機関と AT&T との間で契約を締結する仕組みとなっている52。 GWACは

また、政府機関が小規模事業者との契約の割合を増やす役割も担っている。

GSAは現在、一部の GWAC の統合(整理)を開始している。これは、多くの契約が

重複していたり、GWACによって提供されているサービスの中には、すでに役に立た

なくなったものが含まれているためである。GSA がこれまで廃止した GWACの中には、

災害復旧(Disaster Recovery)、NASA向けのデスクトップ・イニシアチブのアウト

ソーシング、リバース・オークション、セーフガード、バーチャル・データー・セ

ンターの案件などが含まれている5354。

GSAのエド・オーハラ(O’Hara)CIOは 2009年、ワシントン・テクノロジー・

トップ 100会議でさらなる GWACの廃止を進めていく方針を打ち出した。オーハラ

氏によると、廃止した GWACの再契約はないという(ただし、アライアントおよび

アライアント・スモール・ビジネスは例外)。そして、複数の重複した契約をなく

し、すべての GWACをアライアント、アライアント SB、スケジュール 70に統一する

計画である。これらの廃止される GWACの契約金額は上限が 500億ドルで、10年間

52http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?P=9FG4&contentId=14264&contentType=G

SA_OVERVIEW 53http://www.gcn.com/Articles/2003/10/10/GSA-will-whack-at-least-six-GWACs.aspx?Page=2 54http://www.gcn.com/Articles/2003/10/10/GSA-will-whack-at-least-six-GWACs.aspx?Page=2

17

の契約期間となっている。このため、これらの契約は 2018年まで有効ということ

になる。GSA は最終的に GWAC を IT スケジュール 70 に統合していく考えである55。

GSAは現在、6種類の GWAC を管轄している56。

表8:GSA管轄の GWAC 一覧

種類 8(a)STARS アライアント アライアントSB COMMITS NexGen ミレニア・ライト VETS

対象事業者 小規模事業者 全事業者 小規模事業者 小規模事業者 全事業者 退役軍人経営者

対象分野への制限 有* 無 無 無 有** 無

予算額 $15,000.0 $50,000.0 $15,000.0 $8,000.0 $20,000.0 $5,000.0

発注額上限 $3.5 なし なし なし なし なし

基本契約年数 3年 5年 5年 1年 3年 5年

最長契約年数 7年 10年 10年 6年 10年 10年 (注)*(1)カスタム・プログラミング・サービス(2)コンピュータ・システム設計・サービス

(3)コンピュータ施設管理・サービス(4)データ処理/ホスティング関連サービス(5)その

他コンピュータ関連サービス(6)インターネット・パブリッシング/ブロードキャスティング(7)

そのほか全ての情報サービス(8)通信サービスのいずれか57

**(1)ITプラニング/アセスメント(2)ハイエンド IT サービス(3)ミッション・サポート・

サービス(4)レガシー・システムからの移行/企業システムの開発のいずれか58

表9:GSA管轄の GWAC の種類と詳細 種類 詳細

8(a)STARS

小規模事業者向けに設けられた契約で、基本的には3年間の契約で、2年、2年の延長を含めて最長7年の契約となっている。サービスは、北米産業分類システム(North American IndustryClassificati on System)が策定する8種類の分野(Functional Area)から成る。契約の規模は、直接の発注額が最高で350万ドル。同プログラム自体の予算額は最高150億ドルとなっている

アライアント

全ての規模の事業者向けに設けられたもので、基本的には5年間の契約に、1回の5年の延長を含めて最長10年の契約となっている。サービスの分野に制限はなく、事業者は様々なサービスを1つの調達としてまとめることができる。直接の発注額に対する上限はないが、同プログラム自体の予算額は最高500億ドルとなっている

アライアントSB

アライアントの小規模事業者向けのプログラム。条件はアライアントと同じで、5年間の契約に、1回の5年の延長を含めて最長10年の契約となっている。サービスの分野に制限はなく、事業者は様々なサービスを1つの調達としてまとめることができる。直接の発注額に対する上限はないが、同プログラム自体の予算額は最高150億ドルとなっている

COMMITS NexGen

小規模事業者向けに設けられたもので、基本的には1年間の契約に、5回の1年延長を含めて最長6年の契約となっている。サービスの分野に制限はないが、発注は3つの規模で分類されている。このため、小規模事業者はそれぞれの規模で入札できる一方、大手が受注を独占するのを防いでいる。直接の発注額に対する上限はないが、同プログラム自体の予算額は最高80億ドルとなっている

ミレニア・ライト全事業者向けに設けられたもので、基本的には3年間の契約に、パフォーマンスベースによって2010年まで7回にわたる契約更新がある。サービスの対象となるのは4分野。直接の発注額に対する上限はないが、同プログラム自体の予算額は最高200億ドルとなっている

VETS退役軍人の経営する企業向けに設けられたもので、基本的には5年間の契約に、1回の5年延長を含めて最長10年の契約となっている。サービスの対象となるのは2分野。直接の発注額に対する上限はないが、同プログラム自体の予算額は最高50億ドルとなっている

55http://www.fcw.com/Articles/2009/06/24/GSA-to-end-GWAC-programs.aspx 56http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_OVERVIEW&contentId=

16146 57http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?programId=15856&channelId=-24743&ooid

=15749&contentId=16466&pageTypeId=17112&contentType=GSA_BASIC&programPage=%2F

ep%2Fprogram%2FgsaBasic.jsp&P=6FG 58http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/channelView.do?pageTypeId=17112&channelId=-24761

18

(注) 8(a)STARS:(Streamlined Technology Acquisition Resources for Services)59、アライアント

(Alliant)60、アライアント SB

61、COMMITS NexGen(Commerce Information Technology

Solutions-NexGen)62、ミレニア・ライト(Millennia Lite)

63、VETS(Veterans Technology Services)

64

(c)通信およびネットワーク・サービスの契約65

GSAはいくつかの特別な IDIQ契約を提供している。これらの契約は通信およびネ

ットワーク・サービスの統合を目的としているが、基本的には GSAによってスケジ

ュールおよび GWACと同様に管理されている。ただし、調達金額の下限および上限、

納入期間、発注プロセスなどは統一されておらず、案件によって異なる。これらの

契約は下記のプログラムに基づいて提供されている。

表 10:GSA のその他の IDIQプログラム

種類 詳細

ネットワークス

コールセンター・エンジニアリング、インターネット接続、セキュリティ管理と幅広いサービスを調達するのを目的としている。 ネットワークス・ユニバーサル(Networks Universal)およびネットワークス・エンタープライズ(NetworksEnterprise)2種類の契約方法がある

SATCOM-II固定価格による契約で、衛星通信サービス(衛星システム・エンジニアリング、衛星アプリケーション・サービス、保守管理など)を対象にしている。

通信経費管理システム政府機関に対して、割引サービスを提供する。対象となるサービスには、ワイヤレス・サービス契約管理、在庫管理、請求書管理、監査、レートの最適化などが含まれる

CONNECTIONSルータやスイッチといったネットワーク機器、サポート(プロジェクト・マネジャー、ウェブ・アーキテクチャ)、カスタム・ソリューション(システム・インテグレーション)が対象となる

ローカル通信サービス 音声、データ、ビデオ通信製品およびサービスに関する契約を対象としたもの 注:ネットワークス(Networx)66 、SATCOM-II67通信経費管理システム(Telecommunications Expense

59http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?programId=15856&channelId=-24743&ooid

=15749&contentId=28539&pageTypeId=17112&contentType=GSA_BASIC&programPage=%2F

ep%2Fprogram%2FgsaBasic.jsp&P=6fg 60http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/channelView.do?pageTypeId=17112&channelId=-24746 61http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?programId=15868&channelId=-24747&ooid

=18724&contentId=25877&pageTypeId=17112&contentType=GSA_BASIC&programPage=%2F

ep%2Fprogram%2FgsaBasic.jsp&P=6FG 62http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?programId=13375&channelId=-25243&ooid

=23518&contentId=28435&pageTypeId=17112&contentType=GSA_BASIC&programPage=%2F

ep%2Fprogram%2FgsaBasic.jsp&P=6FG 63http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/channelView.do?pageTypeId=17112&channelId=-24761 64http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_OVERVIEW&contentId=

19160 65http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/channelView.do?pageTypeId=17112&channelPage=%2Fep%

2Fchannel%2FgsaOverview.jsp&channelId=-25245 66http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_OVERVIEW&contentId=

16100 67http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_OVERVIEW&contentId=

19

Management Systems)27、CONNECTIONS28、ローカル通信サービス(Local Telecommunications Services)29

(d)スマートバイ・プログラム(SmartBUY)Program(ソフトウェア調達)

同プログラムは、27 種類のソフトウェア・ライセンス向け BPAからなる。各 BPA

は、特定のベンダー30と ITスケジュール 70契約に基づいて作成される。スマート

バイによる全てのソフトウェア関連の契約は、基本的にはスケジュール 70 の契約

を基にしているが、GSA の統合技術サービス部署(Office of Integrated Technology

Services)のラリ−・ヘイル最高技術責任者(CTO)によると、スマートバイとスケ

ジュール 70の間には根本的な違いがあるという。

スマートバイでは、ベンダーと BPAの交渉を行う前に、各政府機関をひとつのグ

ループにまとめ、注文条件(ITコンフィギュレーションやセキュリティ要項など)

をまとめて分析する。そして、そのスケジュール 70に登録されているベンダーの

価格リストと競合させる仕組み。スケジュール 70 がソフトウェアに対するベース

ラインの価格を提示するのに対して、スマートバイの BPAは、政府機関の注文をま

とめることによって、購買力を高め、割引額を増やすことになる。言い換えると、

スケジュール 70の価格に競合させることによって、さらに値下げを可能にする。

ヘイル CTOによると、スケジュール 70は商業ソフトウェアおよび IT サービスを

対象にしており、数千種におよぶ商品を 5000社の中から選択できる。これに対し

て、スマートバイは、連邦政府機関の要求する条件にあった特殊分野のソフトウェ

ア・パッケージが対象となる。また、条件は、ホワイトハウスが設定したものも含

まれる。68

(e)MAC(Multiple-Agency Contract)

MACは、1932年に制定され、連邦機関が別の連邦機関から製品やサービスを購入

できるようにした法律「the Economy Act(経済法)」によって法的権限を与えられ

ている。MACは、あらゆる種類の製品およびサービスに対して利用できる。現在、

18882 27http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_OVERVIEW&contentId=

23704

28http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_OVERVIEW&contentId=

9811

29http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/channelView.do?pageTypeId=17112&channelPage=%2Fep%

2Fchannel%2FgsaOverview.jsp&channelId=-24755

30http://74.125.93.132/search?q=cache:1gYAEpmC14cJ:www.cio.gov/Documents/SmartBUY_ITI

LOB_Schobert.ppt+schedule+70+and+smartbuy&cd=1&hl=en&ct=clnk&gl=us

68http://www.federalnewsradio.com/index.php?nid=110&sid=1796019

20

GSA、国防省、商務省が MACを監督している。ただし、連邦政府機関の多くの調達

が経済法の管轄外で行われているため、MAC は GSA スケジュールや GWACほど利用さ

れていないのが現状である69。

(3)GSA のサービスの有用性

(3)—1 各省庁の調達と GSAの比較

省庁が自前で調達する際と GSA の調達プログラムを使用する際の、FAR の過程は

ほぼ同じである。

表 11:連邦政府調達手順(各種連邦政府機関の調達と GSAの比較)

各連邦機関による独自調達 GSAスケジュールによる調達70,71

調達計画 発注機関の調達責任者(プランナー)

が各分野(受託業者、財務責任者、法的

カウンセラー等)に責任を持つ人材を集

めてチームを結成する。72

[各連邦機関による調達と同じ]

市場調査 調達案件に最適な受注先を決定する。

調査内容には以下が含まれる。73

・保証、融資、割引などの条件

・環境保護または省エネの有無

・供給源の規模および在庫状況

[各連邦機関による調達と同じ]

調達先の選択 調達先を決定する。供給源の FAR によ

る優先順位は以下になる。

(a) 省庁の在庫

(b)他の省庁の超過分

(c) Federal Prison Industries, Inc.か

らの調達

(d) 身体障害者からの購入を支える委員

(e) 卸売り販売(GSA、Defense Logistics

Agency、退役軍人省、軍の在庫などの貯

蔵プログラム)

(f) 正規の GSA スケジュール

(g) 選択的な GSAスケジュール

(h) 民間からの直接調達

[各連邦機関による調達と同じ]

*自前調達あるいは GSAスケジュールに

関係なく、発注機関が民間から直接調達

をする場合は、GSA スケジュールを含む

優先順位の高い調達元を選択しない理

由を文書で示す必要がある。74

69http://www.whitehouse.gov/omb/assets/procurement/iac_revised.pdf 70

https://www.acquisition.gov/far/html/Subpart%208_4.html 71http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_BASIC&contentId=8131 72https://www.acquisition.gov/far/html/Subpart%207_1.html#wp1098043 73https://www.acquisition.gov/far/html/Subpart%2010_0.html 74

https://www.acquisition.gov/far/html/Subpart%208_1.html#wp1082288

21

作業指示書と見積

もり依頼書作成

調達案件の内容を記載した作業指示書

(SOW)を作成する記載事項には、発注業

務の作業内容、作業場所、作業期間、納

品スケジュールが含まれる。そして、発

注機関は見積依頼書(RFQ)を準備する。

固定価格によるコンピュータやハード

ウェアの調達では、SOWは不要だが、時間

給に基づくサービスについては、SOWが必

要になる75,76。

[各連邦機関による調達と同じ]

概要と提案書の一

方あるいは両方の

発行

*FedBizOpps:連邦

政府機関が提示す

る$25,000 以上の

発注業務に関する

情報を全て網羅し

たサイト。77

・$10〜$20,000 までの契約ついては、省

庁が新聞やウェブサイトなどの公の場所

に案件の提案情報を通知する。

・$25,000 ドルを超える契約については、

発注機関が概要と提案書を FedBizOppsに

提示しなければならない。これにより、

調達内容が、受託業者に通知されること

になる。ただし、FedBizOpps への提示を

免除される例としては以下がある。

・概要が国家機密情報を含む場合

・公正な入札競争を阻害する緊急案件の

場合

GSA スケジュールの使用時に、概要お

よび提案書を発注側が作成する必要は

ない。ただし、受託業者からの提案書を

受け取る必要がある。

提案書の評価 発注機関は主に下記の条件によって、

受託業者を選別する信頼性を見定める必

要がある78。

・契約遂行のために必要となる資金があ

・要請または提案する最終成果物および

実行スケジュールに準拠できる

・十分な実績がある

また、価格の妥当性を判断する際に

は、現在の商品カタログまたは市場の価

格一覧表、および値引き慣習なども参考

にする79。

調達が最低購入額限度を超える場合、

発注する連邦政府機関は、この段階で価

格が公正かつ妥当であるかを判断する必

要がある。

GSA が、受託業者の提案書を精査し、

スケジュール契約の規定に準拠してい

ることを確認し、GSA が受託業者のプロ

ポーザルを、発注機関に送る。これを受

け取った発注元が受託業者のプロポー

ザルを評価し、妥当かどうかを検討す

る。

その後、最も好条件と判断した受託業

者と価格交渉を行い、契約が成立すれば

発注となる。また、スケジュール最高額

を超える調達については、各発注機関は

発注前に更なる割引を検討する必要が

ある。

諸条件の交渉

* 競争範囲

発注機関は競争範囲*(FAR サブパート

15.3)を設定する必要がある。発注元は

GSA経由での契約では、発注機関が FAR

サブパート 15.3**の規制から免除され

75

http://www.sfwmd.gov/portal/page/portal/pg_grp_sfwmd_watersupply/portlet_fundingassistan

ce/aws%20examples%20of%20statements%20of%20work%20_sows_.pdf 76

http://blink.ucsd.edu/buy-pay/contract-svcs/independent/SOW/examples.html 77https://www.fbo.gov/?&s=main&mode=list&tab=list&tabmode=list 78

https://www.acquisition.gov/far/html/Subpart%209_1.html 79

https://www.acquisition.gov/far/html/Subpart%2015_4.html

22

(Competitive

Ragne):FAR の評

価基準に基づき好

条件の提案(プロ

ポーザル)を提出

した受託業者のリ

スト

**サブパート15.3

では、発注元とな

る連邦政府機関に

対して、競争範囲*

の設定、正式交渉

による調達、受託

業者の実績の公式

評価を要請してい

同リストから外れた業者にその旨を通知

するとともに、対象業者と交渉を開始す

る80。

FAR パート 13 に従い、発注元は BPA を

作成し、製品やサービスの再購入に使用

する。

BPA: 連邦政府機関が使用する簡略発注

方法。ひとたび、契約が成立すれば、再

注文なども簡単に行えるのが特徴81。

る。また、スケジュールの調達額限度を

超える案件では、落札の前にさらなる値

引き交渉をしなければならない。

GSA は、製品やサービスの再購入に対

してスケジュール BPA(Blanket

Purchase Agreement)を採用している。

これは、通常の BPAとは異なり、例え

ば、発注の際には、通常の BPAが準拠す

る簡易調達の上限額($100,000)が不要

となっている。

受託者決定 発注元は、FARに基づき最も好条件(ベ

ストバリュー)の提案を提示した受託業

者を決定する

[各連邦機関による調達と同じ]

調達過程の記録 契約書の草稿を作成する段階で、契約

担当官が契約活動の要点を文書化する。

この際、市場調査、作業指示書、価格分

析、交渉する契約の種類と評価基準など

が契約ファイルとしてまとめられ、発注

元の政府機関が保管する82。

[各連邦機関による調達と同じ]

(3)−2 GSAサービスの評価

政府の IT 調達の効率化を目的として GSA による一括した IT 調達が行われてい

るはずだが、実際にはうまく稼働していない。例えば、GSAでは、スケジュール 70

の売り上げが伸びずに苦戦を強いられている。背景には、承認されにくい GSA契約、

手続きの複雑化、GSA経由の調達にかかる時間、他の契約手段との競合などがある。

また、GSAの契約に不備が多々あることも指摘されている。スケジュール 70の最

大顧客である DoD が 2004 年度の GSA 経由の調達に対する監査を行ったところ、75

件の調達のうち 74 件の計画がずさん、あるいは不適切に資金が供給され、その額

は数百万ドルに上ったと報告している83。同報告書は、DoDに対して、GSAスケジュ

ール使用についての監視を強化するよう促していた84。その中には、スケジュール

80

http://www.niaid.nih.gov/ncn/sop/contracts/competitiverange.htm 81http://www.fedmarket.com/articles/purchase-agreements-blanket.shtml 82

https://www.acquisition.gov/far/html/Subpart%2015_4.html 83http://www.dodig.mil/Audit/reports/FY05/05-096.pdf 84http://integrator.hanscom.af.mil/2005/August/08182005/08182005-11.htm

23

以外の調達手段、例えば、DoD 機関内での調達プログラムの使用を促す内容も盛り

込まれている85。

その結果、GSAが DoD から受注した IT調達の売り上げは、2004年の 82億ドルか

ら、2006年には 39%減の 52億ドルまで落ち込んだという。

図 4:GSAおよび非 GSA経由の調達額推移

INPUT のデータをもとに作成86 単位:10億ドル

GSAは、IT調達に対して様々なプログラムを提供することで、各連邦政府機関の

調達コストを抑制しようとしているが、すでに示した通り、GSA 経由のものは売り

上げベースで 28%程度に留まっており、決して有効活用されているわけではない。

さらに、連邦政府機関では、自社の MAC(Multiple-Award Contract)や非 GSA 経由

の GWACへの依存度を高めている。

その背景には、各省庁が調達にかかる費用や時間を切り詰めるために自らの管轄

内で調達を済ませようという傾向が強くなっていることがある。また、各省庁のプ

ログラムを利用することによって、GSA に支払う費用を省くこともできる。GSA の

調達プログラムと省庁の MACは機能的に重複することがあるので、担当者はどちら

か一方の選択を迫られる。そうなると、やはり自身の省庁のプログラムへの依存が

高くなるのはごく自然の成り行きと言える。

また、受託業者を選定するにも GSAでは時間がかかるという問題がある。例えば、

GSA のアライアントを利用する場合、受託業者を選定するまでに複数の段階を経な

ければならない。その間に、省庁の MACを使って契約を締結することが可能である。

85

http://74.125.93.132/search?q=cache:dURHaWsDqN4J:www.fdbdo.com/links/GSA_schedule_7

0_information.doc+disadvantages+of+using+GSA&cd=23&hl=en&ct=clnk&gl=us 86http://www.input.com/blogs/public/index.cfm/2008/11/3/Civilian-Contract-Vehicles--Agencies-

Moving-to-Multiple-Award-Contracts

3.13.8

2.53.1

9

10

12.8

18.2

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

2004 2005 2006 2007

GSAåoóR îÒGSAåoóR

24

GSA もこうした問題を認識しており、各省庁の MAC が不要になるようワンストッ

プ・システムの開発を進めている。しかし、果たしてどこまで各省庁を引きつけら

れるのか疑問が残るところである。ただ、自分の省庁内で MACを持てない小規模機

関などは、GSA を利用しなければならず、今後もこうした機関がターゲットになっ

ていくと考えられる87。

ただし、すでに存在する契約の更新などの場合は、逆に GSAスケジュールのよう

な IDIQ を利用した方が、手続きが簡単になるという指摘もある。逆に、最初から

調達案件を立案する場合には、MACの方が有効となる88。

一方、ベンダーから見た場合、新たに MACを使って調達案件を見つけるためには、

省庁を絞り込まなければならない。また、入札競争も激しく、新規案件であれば、

発注機関の CIOレベルとの関係構築が必要不可欠になる。また、通常の契約であっ

ても、発注機関先との関係を保ちながら、要求に瞬時に対応できる体制を作らなけ

ればならない。89こうした点では、契約に柔軟性のある GSA 経由の調達案件の方が

ベンダーにとって受注し易いと考えられる。GSA のプログラムには、小規模事業者

や退役軍人に機会を与えるプログラムもあるため、企業のサイズに拘らず、業務を

受注する機会が与えられる。ただし、契約が締結されるまでの時間が GSA経由の方

がかかる。

米国では、IT調達を各省庁が独自に行っている。その結果、重複した発注が発生

するなどの無駄が増え、IT予算の増加をもたらしている。ビベック・クンドラ(Vivek

Kundra)連邦最高情報責任者(CIO)の指摘によると、問題の根源となっているの

は、政府機関が IT 調達の発注をする際に、何が必要であるのか、要求すべき事項

が明確に定まっていない点だという90。このため、実際に調達を開始した段階で、

度重なる注文の変更が起きることがあるという。

こうした中、バラク・オバマ大統領は、2009年3月4日に発行した覚え書き(メ

モランダム)で、今後政府の IT 調達を、コストをベースにした契約方式から固定

価格に基づく契約方式へ移行していく方針を提示した。91これにより、IT調達コス

トをできるだけ抑えようという考えである。しかし、それには、前述した IT 調達

時の明確な要求が必要になる。クンドラ CIOは、固定価格による契約を有効活用す

るためには、各政府機関の調達担当者のさらなる教育が必要だと力説している。

それでも、連邦政府は、2010 年度だけでおよそ 190 億ドルの IT 調達コスト削減

87http://www.input.com/blogs/public/index.cfm/2008/11/3/Civilian-Contract-Vehicles--Agencies-

Moving-to-Multiple-Award-Contracts 88http://www.govexec.com/dailyfed/0308/032808e1.htm 89http://www.input.com/blogs/public/index.cfm/2008/11/3/Civilian-Contract-Vehicles--Agencies-

Moving-to-Multiple-Award-Contracts

90http://fcw.com/microsites/2009-procurement/progressive-contracting-intro.aspx

91http://fcw.com/articles/2009/12/21/agency-contractor-savings-omb-report.aspx?sc_lang=en

25

を実現しており、オバマ政策は今のところある程度の成果を挙げている92。

3. GSA における最近の動き(クラウド・コンピューティング)

(1) クラウド・コンピューティングの定義

NIST(National Institute of Standard and Technology)コンピュータセキュリテ

ィ資源センター(リソース・センター)によると93、クラウド・コンピューティン

グは、共有されたコンピュータ資源(例えば、ネットワーク、サーバ、ストレージ、

アプリケーション、サービス)へ容易かつオンデマンドのアクセスを可能にするア

ーキテクチャを指し、SaaS(Service-as-a-Software)、PaaS(Service-as-a-Platform)、

IaaS(Service-as-a-Infrastrcuture)の 3 種類の形でサービスを提供している。

クラウド・コンピューティングを使う事によって管理者の負担を削減できること

も魅力の1つとなっている。また、最新技術をすぐに利用でき、費用も使用するご

とに支払いできるという利点もある94。形式的には、外部のデータセンターへイン

ターネット経由でアクセスして利用するパブリック・クラウド、企業ネットワーク

内に構築され、外部からのアクセスを制限するプライベート・クラウド、そして、

双方を組み合わせたハイブリッド・クラウドなどがある95。

(2)連邦政府のクラウド・コンピューティング導入

オバマ政権が進めていた IT調達過程の見直しは、以下の内容が含まれている96。

-Web 2.0技術の導入により、透明で国民参加型の政府を実現する

-最新 ITシステムの採用により、政府のサービスを改善する

-災害およびサイバーテロの脅威から政府システムおよび国家情報基盤を保護

-連邦政府機関で広く使用されるものを活用し、重複または十分管理されていな

いプロジェクトを削除し、IT 調達過程を合理化することで、IT 計画過程を改善

し税金を節約する

92http://fcw.com/articles/2009/12/21/agency-contractor-savings-omb-report.aspx?sc_lang=en

93http://csrc.nist.gov/groups/SNS/cloud-computing/index.html

94http://www.scribd.com/doc/18031511/US-Federal-Cloud-Computing-Initiative-Overview-Prese

ntation-GSA 95http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89%E3%82%B

3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3

%E3%82%B0

96http://www.whitehouse.gov/omb/budget/fy2010/assets/crosscutting.pdf

26

図5:連邦政府クラウド・コンピューティング・フレームワークの全体図

さらに、オバマ政権では、民間同様の効率を得るために、連邦政府の技術基盤に

対する投資の抜本的な見直しが必要と考えている97。 こうした中、連邦政府のクラ

ウド・コンピューティングへの取り組みが活発化してきた98。特にクンドラ氏が連

邦政府 CIO に就任してから、GSA との連携を強化し、連邦政府へのクラウド導入が

97http://www.whitehouse.gov/omb/budget/fy2010/assets/crosscutting.pdf

98http://news.cnet.com/8301-13578_3-10172259-38.html

データ・センター

Wikis/ブログ

ソーシャル・ネットワークキング

各省庁のウェブサイト・ホス

ティング

電子メール/IM

仮想デスクトップ

オフィスの自動化

ビジネス・サービス・

アプリケーション

仮想デスクトップ

オフィスの自動化

データベース 検査ツール 開発ツール

DMB

S

ディレクトリー・サービス

ストレージ 検査ツール 仮想マシーン

CDN Web サービス サーバ・ホスティング

サービス計画

(Provision)

パフォーマンス

モニタリング

SLA 管理 災害復旧(DR) オペレーション管理

データ/ネッ

トワーク・セ

キュリティ

許可およびコン

プライアンス

データ・

プライバ

シー

認証・委任 監査・経理

ルータ/ファ

イアー・ウォ

ール

インターネット

接続

LAN/WAN ホスティング・センター

SaaS/アプリケーション

一般市民向けサービス 政府機関の生産性向上 政府用企業アプリケーション

PaaS(Platform-as-a-Service)

セキュリティおよびデータ・プライバシー

コア・クラウド・サービス

IaaS

(Infurastructure-as-a-Service)

サービス管理および供給

クラウド・サービス配信機能

27

本格化している99。 例えば、GSA は、USA.gov のクラウド環境への移行を進めてい

る100。GSAは、2009年 9月 25日、USA.govの中心的なリソースの移行を完了させた。

これにより、これまで以上に膨大なデータ・トラフィックに対応する一方で、サー

バを遊ばせることなく、コストを削減できるようになった101。

各省庁の CIOからなる連邦 CIOカウンシル(Council)が、OMBとクンドラ CIO の指

揮の下に設立した102 Federal Cloud Computing Initiative によると、クラウド・

コンピューティングへの移行は 2009 年 8 月〜10 月、11 月〜2010 年 2 月、3 月〜6

月の 3段階で計画されている103 。

クラウド環境への移行に際しての主な改革としては、以下の内容が計画されてい

る。

1 GSA の CIO オフィス(OCIO:Office of the Chief Information Officer)

傘下にクラウド・コンピューティング・プロジェクトの管理部門(PMO:Project

Management Office)を設立し、それに伴い人材を新たに確保する

2 連邦政府クラウド・コンピューティング・エグゼクティブ・グループ(各省

庁の CIOおよび幹部から構成される)の設立

3 ACT/IAC ( The American Council for Technology - Industry

Advisory Council104)主催の連邦政府クラウド・コンピューティング・サミッ

トへの参加

4 連邦政府クラウド・コンピューティング技術枠組みの確立

6 省庁での現在のクラウド・コンピューティング関連プロジェクトのデータ募

9 ウェブベースの GSA クラウド・コンピューティング・ストアフロント

(Storefront)開発

しかし、クラウド・コンピューティングへの移行は当初、混乱がともなっている。

例えば、GSA は 2009 年 7 月 31 日、IaaS(ストレージサービス、仮想化マシン、ク

ラウドを使用したウェブホスティング)を可能にするクラウド・コンピューティン

99http://www.informationweek.com/news/government/cloud-saas/showArticle.jhtml?articleID=2

17900204&cid=RSSfeed_IWK_News

100http://fcw.com/Articles/2009/02/23/USAgov-moves-to-the-cloud.aspx

101http://www.terremark.com/uploadedFiles/Industry_Solutions/Federal_Government/Case%20

Study-%20USA.gov%20Achieves%20Cloud%20Bursting%20Efficiency%20Using%20Terremark'

s%20Enterprise%20Cloud.pdf

102http://www.cloudbook.net/cio-council-gov

103http://www.scribd.com/doc/18031511/US-Federal-Cloud-Computing-Initiative-Overview-Pres

entation-GSA 104http://www.actgov.org/about/Pages/Overview.aspx

28

グの RFQ(Request for Quotation)を発表した。105 RFQは、業務委託先(候補)

に対して、価格およびその内訳を示す見積もりを作成するように依頼を示した文書

を指す。しかし、2010年 2月 26日にはこの RFQがキャンセルされた。GSAは、IaaS

の定義と市場の変動を理由として挙げている。RFQ は、新規に発行されることにな

る106が、以前の RFQに比べてより高いレベルのセキュリティを受託業者に要求して

いる。

技術専門家の大半は、連邦政府でクラウド・コンピューティングが有効活用され

るには 2年半ほどは必要だとみている107。

GSA とは別に、連邦政府内にはすでに提供されているクラウド・コンピューティ

ング・サービスがある。NASA のネビュラ(Nebula、nebula.nasa.gov)108と、DISA

(Defense Information System Agency)の Forge.mil(www.forge.mil)および RACE

(Rapid Access Computing Environment、www.disa.mil/race/)である109 。ネビ

ュラは NASA Ames Research Center の開発によるもので、現在まだパイロット版と

して提供されている。サービスは、オープンソースをベースに高度な演算処理能力

やストレージ、ネットワーク接続を提供するのが特徴である。現在は教育および組

織外との協業目的で使用されている110。

一方の Forge.milは、2008年 10月に開発が開始された、共同開発のためのプラッ

トフォーム。国防省(Depart of Defense)が迅速に、信頼の置けるソフトウェア、

サービス、システムを提供できるようにする111。 RACE は軍のプライベート・クラ

ウドとして、開発済みのソフトウェアを利用可能にする。ここでは、プラットフォ

ームのカスタマイズ、購入、受取りが 24時間内で完了する112。

(3)Apps.Gov

オバマ政権は 2009 年 9 月 15 日、GSA 管轄のクラウド・コンピューティング・オ

ンラインショップ「Apps.gov」の開始を発表した。Apps.govは、省庁が効率的かつ

効果的な方法でクラウド・コンピューティングのサービスを調達するのを目的とし

ている。また、Apps.gov は調達に限らず、クラウド・コンピューティングに関連す

105http://kevinljackson.blogspot.com/2009/07/gsa-releases-cloud-computing-rfq.html

106http://fcw.com/Articles/2010/02/26/GSA-cancels-cloud-rfq.aspx?p=1

107http://www.informationweek.com/story/showArticle.jhtml?articleID=218900541

108http://www.informationweek.com/news/government/enterprise-architecture/showArticle.jht

ml?articleID=217600714

109http://www.informationweek.com/news/government/enterprise-architecture/showArticle.jht

ml?articleID=217100173

110http://nebula.nasa.gov/about/ 111https://www.forge.mil/faqs.html#faqs1

112http://www.disa.mil/race/

29

るポリシー、セキュリティ、研修、協業(コラボレーション)、アーキテクチャ、

標準化にも関わっている113。

Apps.govでは、サービスを以下のように分類している114 115。

1. ビジネス・アプリケーション:分析、CRM(顧客関係管理)、デザイン、コ

ミュニケーション、ERP(企業資源計画)、セキュリティ、出張、ナレッジ・

マネジメントなど 33種類

2.クラウド IT サービス:ストレージ、仮想化マシン、ウェブホスティングの

3種類

3. 生産性を高めるアップス(プロダクティブ・アプリケーション):協業(コ

ラボレーション)、コンテンツ管理、オフィスツール、プロジェクト管理、テ

キスト編集、ワークフローなど 7種類

4.ソーシャル・メディア・アプリケーション:グーグル・アナリティクス(ウ

ェブサイトアクセス分析)、OpenCalas(メタデータ)、My.ComMetrics(ソシ

ャールメディア評価)、ビング(ブログ)の 4種類

Apps.govに対しては、一部の専門家からデータの保管場所や価格などが明白にな

っていないという指摘がでている。また、salesforce.com やグーグルなど、一部の

民間企業のサービスを積極的に取り入れている事から、これらの企業に肩入れして

いるという意見もある116。さらに、小規模事業者の入札資格といった受託業者に関

する詳細が不明な点も指摘されている117。

113http://www.gsa.gov/Portal/gsa/ep/contentView.do?contentType=GSA_BASIC&contentId=284

77

114https://apps.gov/cloud/advantage/main/start_page.do 115http://vsc.gsa.gov/fss/saasinstructions.pdf 116http://blogs.gartner.com/andrea_dimaio/2009/09/16/us-government-launches-appsgo/

117http://www.input.com/blogs/public/index.cfm/2009/9/17/GSA-Launches-Cloud-Computing-Sto

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