2016年度 ２学期①号

地理・地図資料カナダ　バンフ国立公園（解説p.２）

教授用資料

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写真はすべて2015年９月撮影／帝国書院

カナダ2015年９月にカナダを訪れた。カナダの雄大な自然と，

自然との共存に対する人々の努力，そして多様性を重視

するカナダの社会についてお伝えしたい。

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カナダの写真は

こちらから！

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表紙写真でめぐる旅 �

英語

英語

英語

40L の樹液

１L のメープルシロップ

フランス語

フランス語

フランス語

　北アメリカで最も人気のある観光地の一つ，それがバンフ国立公園である。カナダ西部を南北に走るカナディアンロッキーは，南北アメリカ大陸の西側に連なるコルディレラ山系の一部である。日本からは，アルバータ州のカルガリーまでエアカナダの直行便が飛んでおり，空港から西に向かって車を走らせると，まもなくロッキー山脈の雄姿をまのあたりにできる。　バンフ国立公園はカナダで最も古い国立公園である。1885年に温泉地区が公園（バンフ・ホットスプリングズ・リザーブ）として指定された。２年後には面積が拡大して，ロッキー山岳公園が誕生した。カナディアン・パシフィック鉄道の開通によって観光開発が始まり，同鉄道会社がホテル建設や観光施設を整備して，観光地の初期の発展に貢献した。今日，バンフ国立公園の北にはジャスパー国立公園，西にはヨーホー国立公園，南にはクートニィ国立公園が接する。これらの国立公園は，1984年にユネスコの世界自然遺産に登録された。カナディアンロッキーの大自然は訪れる人々を魅了する。年間300万人以上の観光客が訪れるという。　バンフ国立公園の観光資源は，3000m級の高山が連なる山岳景観である。マツやトウヒが卓越する針葉樹林，そしてハイイログマ（グリズリー），アメリカアカシカ（エ

ルク），ピューマ（クーガー），ヘラジカ（ムース）をはじめとする多様な野生動物にもめぐまれる。そして，なんといっても観光の目玉は湖と氷河である。　バンフ国立公園には無数の氷河や氷原があるが，なかでもヴィクトリア氷河は人気の観光スポットである。ヴィクトリア山と氷河を背景に，エメラルドグリーンのレイクルイーズが広がる。ここは，バンフの市街地から北西に向かって，ジャスパー方向に行く途中に位置する。レイクルイーズの東側の湖岸には，高級リゾートホテルのザ・フェアモント・シャトー・レイクルイーズがある。ホテルの一室から氷河と湖を眺めれば，時間がたつのを忘れることだろう。一生に一度は泊まってみたいという気持ちになる。　写真は2015年９月に撮影された。観光客でにぎわうようすがわかる。湖ではカヌーで遊ぶことができるし，周辺ではトレッキングを楽しむことができる。冬季は多量の積雪があるが，年間を通して営業している。スキー，スノーボード，スケートなどのウインタースポーツもさかんで多くの人々をひきつける。なお，バンフ国立公園の氷河は後退しており，かなりの氷河が消滅したという。いつかはヴィクトリア氷河が消滅する日が来るかもしれない。だれもそんなことは望まないが―。

カナダ　バンフ国立公園―レイクルイーズとヴィクトリア氷河をのぞむ表紙写真解説

日本大学 教授　矢ケ﨑典隆

迫力ある雄大なバンフの自然　カナダの象徴といえば，ロッキー山脈に代表される雄大な自然であろう。バンフ国立公園内のレイクルイーズには，雪をいただいた山々とエメラルドグリーンの湖水による，美しい絵はがきのような風景が広がっていた

（表紙：写真①）。バンフ国立公園内を通るトランスカナダハイウェイには，動物専用の橋がかかっている（写真②）。この橋は動物と自動車の接触事故を防止しつつ，動物たちの行き来を可能にしている。自然との共存を重視する思いが伝わってくる。自然からの恩恵　～メープルシロップ～　カナダは世界のメープルシロップの約８割を生産している。今回取材班が訪れたオンタリオ州の工場では約15,000本のサトウカエデの林を所有しており，１本ずつ穴があけられ，それらが全長約200㎞にも及ぶチューブでつながれていた（写真③）。１本の樹に穴は一つか二つだけ。それ以上あけると，樹液をすぐに取りつくしてしまうためである。樹液の

採取跡は，切り株にはっきりと見ることができる（写真④）。メープルシロップは，こうして採取した樹液を煮詰めてつくられるが，40Lの樹液からわずか１Lしかつくることができない（写真⑤）。モントリオールの二言語社会　カナダは英語とフランス語の二つを公用語としているが，フランス語を単一の公用語としているのはケベック州だけである。そのため，ケベック州のモントリオール・ピエール・エリオット・トルドー国際空港に降りると，案内表示はすべてフランス語，英語の順で表示されていた（写真⑥⑦）。道路標識も同様であり，運転してみると日本と比べてひじょうに文字情報が多いと感じた

（写真⑧）。また，モントリオール中心部では英語も通じたが，郊外に出るとフランス語しか通じなくなり，取材班はとても苦労した。厳しい冬の寒さとともに生きる　モントリオール中心部には，全長32㎞にも及ぶ巨大な地下街が広がっている。賃貸マンションやショッピ

ングモールなど市内のさまざまな施設や地下鉄とつながっているため，寒さの厳しい冬の間，外気に触れずに日常生活を送ることができる。地上３階から地下２階までが吹き抜けになっていて，ガラス張りの天井から降り注ぐ日光が最下階まで届いているため，地下街に降りてもそこが地下だとはまったく感じられない（写真⑨）。モントリオール市内にはこのほかにも自然採光を重視した建物がひじょうに多く，夏が短いからこそ，その恩恵を最大限享受し，楽しみ，そして太陽の光を大切にしようとする気質がモントリオールの人々に受け継がれているのだと感じられた。

取材レポート帝国書院 取材班

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太平洋

大西洋ロ

ッ

キ

ー

山

脈

カ ナ ダ

アメリカ合衆国

グリーン　ランド

（デンマーク）

オタワ

バンフ

アルバータ

オンタリオケベック

カルガリー

モントリオール

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●③～●⑤ ●⑥～●⑨1000㎞0

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