患者満足の構成要素の究明 - c-faculty -教員用web...

16
中央大学商学部久保知一研究室第 3 期卒業論文 1 患者満足の構成要素の究明 ―表層サービスによる満足形成の是非― 増山絵里 中央大学商学部久保知一研究室第 3 期生 E-mail: [email protected] 要約:医療機関における顧客 (患者) 満足は、営利企業以上に重要な概念であり、 患者満足に関する研究は盛んに行われている。しかし、実態の記述に終わってい る傾向が多く見られ、より一般化可能な研究が求められる。そこで本研究では、 医療サービスを、本質サービスと表層サービスとに分け、SERVQUAL モデルを用い て、患者満足の構造を解明することを目的とする。潜在ユーザーに対して行った 質問票調査のデータをもとに、共分散構造分析を行った。分析の結果、満足に影 響を与えるのは、本質サービスではなく、表層サービスであるということが実証 された。 キーワード:患者満足 本質サービス 表層サービス SERVQUAL モデル 共分散 構造分析 1. イントロダクション 近年、マーケティング概念は非営利組織である医療機関においても注目されてきてお り、実際にマーケティングを実行する医療機関は増えている。 医療経済学者 Donabedian (1966) は、一般産業界における顧客満足という概念は、企 業の収益性を向上させるためのツール、すなわち企業の間接的成果目標であるという。 一方、医療機関における患者満足概念は、それ自体が評価の対象となりうるという、直 接的成果目標であると主張している。つまり医療機関においては、一般の営利企業以上 に、顧客 (患者) 満足は重要な概念なのである。 そのため患者満足に関する研究の蓄積は十分にあるが、経験的な検討に基盤をおいた

Upload: tranduong

Post on 24-Mar-2018

223 views

Category:

Documents


1 download

TRANSCRIPT

Page 1: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

中央大学商学部久保知一研究室第 3 期卒業論文

1

患者満足の構成要素の究明

―表層サービスによる満足形成の是非―

増山絵里

中央大学商学部久保知一研究室第 3 期生

E-mail: [email protected]

要約:医療機関における顧客 (患者) 満足は、営利企業以上に重要な概念であり、

患者満足に関する研究は盛んに行われている。しかし、実態の記述に終わってい

る傾向が多く見られ、より一般化可能な研究が求められる。そこで本研究では、

医療サービスを、本質サービスと表層サービスとに分け、SERVQUAL モデルを用い

て、患者満足の構造を解明することを目的とする。潜在ユーザーに対して行った

質問票調査のデータをもとに、共分散構造分析を行った。分析の結果、満足に影

響を与えるのは、本質サービスではなく、表層サービスであるということが実証

された。

キーワード:患者満足 本質サービス 表層サービス SERVQUAL モデル 共分散

構造分析

1. イントロダクション

近年、マーケティング概念は非営利組織である医療機関においても注目されてきてお

り、実際にマーケティングを実行する医療機関は増えている。

医療経済学者 Donabedian (1966) は、一般産業界における顧客満足という概念は、企

業の収益性を向上させるためのツール、すなわち企業の間接的成果目標であるという。

一方、医療機関における患者満足概念は、それ自体が評価の対象となりうるという、直

接的成果目標であると主張している。つまり医療機関においては、一般の営利企業以上

に、顧客 (患者) 満足は重要な概念なのである。

そのため患者満足に関する研究の蓄積は十分にあるが、経験的な検討に基盤をおいた

Page 2: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

2

ものが多い。またそれらは実態の記述に終わっている傾向が見受けられる。そのため、

仮説の理論的背景が明らかにされていないという課題がある。

また、医療に対する満足を高めるためには、医療サービスの中心である診察・治療だ

けではなく、それを取り巻く周辺環境を含んだ総合的なサービスを提供することが重要

な要素となってくる。これを嶋口 (1994) では本質サービスと表層サービスに分類し、

表層サービスこそが満足要因に関与するとしている。

そこで本研究では、医療サービスの中でも看護師によるサービスに焦点を当て、患者

満足の構造の解明を試みる。

本研究は以下のように構成される。まず第 2 節において、先行研究のレビューを行う。

具体的には、患者満足に関する研究、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図につ

いて検討する。第 3 節においては仮説を提唱し、理論モデルを構築する。そして第 4 節

では調査方法について言及し、第 5 節では構造方程式モデルの分析結果を検討する。最

終節では分析結果の考察を行い、本研究の限界及び今後の研究課題について述べる。

2. 先行研究のレビュー

本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

究のレビューを行う。患者満足に関する研究の問題点を挙げ、医療サービスにおける満

足の構造を考察する。

2-1. 患者満足の先行研究

Donabedian (1966) によると、医療の質は、健康の維持と患者の満足水準によって評

価されるべきである。これは健康の維持はまさに医療機関のもつ本質サービス1であり、

医療の質を測る上で不可欠であるが、同時に患者の満足が直接的成果として評価の対象

となりうるという主張である。一般産業界における顧客満足という概念は、企業の収益

性を向上させるためのツールとして考えられるため、間接的なものとして捉えることが

できる。これに対して Donabedian (1966) は、医療機関では満足水準は直接的成果目標

であると主張している。つまり、医療機関におけるサービスの受け手の満足、つまり患

者満足は重要な概念であるといえる。患者満足の意義は、医療サービスを医療従事者か

らの一方的な評価ではなく、患者の主観的な評価という視点を考慮することによって、

双方向的な評価を行うことにあると考えられる。すなわち患者満足は、患者と医療従事

1 本質サービスとは、顧客が支払う代価に対して当然受けうると期待しているサービス属性をさ

す。そのため、欠如すると不満を高める効果がある。これに対して表層サービスとは、代価に対

して必ずしも当然と思わないが、あればあるにこしたことはない期待サービスをさす。そのため、

顧客の満足を直接向上させるための重要なサービス属性と考えられる (Swan & Combs, 1976; 嶋口, 1994)。

Page 3: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

3

者の相互の関わりを通して、患者の意向が医療の提供に組み込まれていくという使われ

方をすることが望まれる。

続いて、患者満足に関する研究について細かく見ていく。患者満足に関する研究の蓄

積は十分にあり、経験的な検討に基盤を置いた研究が多くなされている。それらの研究

では、満足を構成する次元を特定化し、総合的な満足度との関連付けを行っており、現

場でのサービス・エンカウンターに具体的な示唆を提供している点で大きな貢献が見ら

れる。

入院患者を対象とした研究では、満足を構成する要素として、職員の接し方、技術水

準、物理的環境、治療効果を取り上げ、これらに影響を与える管理姿勢についての類型

化と、患者の満足度の関連を考察している (池上, 河北, 1987)。また、アメニティが満

足度に影響を及ぼすという前提に立って、より包括的な医療評価スケールの開発を試み

た研究もある (大和田, 郡司, 今中, 1995)。堀 (2007) は、コミュニケーションを中心と

した患者満足度と費用負担感の関係に焦点を当てて分析を行っている。

外来患者を対象とした調査では、より包括的に設定された 19 の個別の満足度変数の

因子分析によって、5 つの個別満足度因子を抽出する、大規模な調査が行われた (長谷

川, 杉田, 1993)。彼らはさらに、個別満足度因子を構成する 15 の質問項目と 14 のコン

トロール変数によって総合的満足度との間の回帰分析を行っている。また、前田・徳田

(2003) は、患者満足度を「医師に対する満足度」と「職員や待合室に対する満足度」

に分け、「受付の態度」や「看護師の態度」、「待ち時間」などは後者の満足度向上にお

いて重要な因子であるが、「医師の説明のわかりやすさ」や「医師が訴えを聞いてくれ

た」といったコミュニケーションが全体の満足度を向上させる上で、最も重要な因子で

あると指摘している。今中・荒記・村田・信友 (1993) は、「医療効果の自覚」、「医師

の技能と説明」、「医師の専心と思いやり」、「巷間の評判」、「看護師・一般職員の対応」、

「事務の対応」、「費用」、「建物内の快適性」、「アクセス」の 9 次元を導出し、満足度と

の関係を調査している。藤村 (1995) は、医師に関連する要因として「患者とのコミュ

ニケーション」、「患者に対する態度」、「患者との接触時間」、「医療能力」、「医師内での

能力・患者対応の同質性」をあげ、その他の要因として「病院の管理体制」、「待ち時間

の短さ」、「医療設備・備品の充実度」の 11 次元を導出している。高 (2002) は、後述す

るサービス品質の次元を用いて、医療サービス品質次元と顧客満足との関係について、

病院利用回数を従属変数に設定し研究を行っている。丸橋・横田・高間 (2001) は、性

別、年齢の違いによる満足度の違いを調査している。永井・山本・横山 (2001) は、病

院と診療所で調査を行い、病院では「雰囲気・快適性」、「満足できるサービス」が総合

満足度に強く影響し、診療所では「施設内の清潔さ」、「満足できるサービス」が総合満

足度に強く影響しているとした。

これらの研究によると、医療効果の自覚や医療能力といった本質サービスに関しては、

Page 4: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

4

総合満足度の規定因となりうることが明らかであるが、表層サービスに関しては様々な

結果が存在している。この理由は、患者満足の構造が充分に明らかにされていないため

だと考えられる。

以上のように、患者満足に関する様々な研究が存在するが、その多くが大病院での調

査データ中心であり、そこでの記述に留まっている。また、仮説の理論的背景が明らか

にされていないため、実態の記述の域を出ないという課題が存在する。より一般化の図

れる理論モデルの構築と検証が望まれる。

2-2. SERVQUAL モデル

サービス2は、無形性、生産と消費の同時性、異質性、消滅性などの特徴をもつが、

そのことがサービスを客観的に評価することを難しくしている。モノであれば五感や産

地などの製品情報により評価が可能であるが、サービスにおいては、プロセスを含む体

験や経験なので正確に品質を判断することができない。つまり、サービスは具体的な内

容は消費されるまで明らかでない上に、品質に関する判断は消費者が独自に行うもので

あり、他者の窺い知るところではない。しかし、サービスを顧客に提供する企業にとっ

て、顧客満足を高めるためにはサービス品質の評価は重要な要素である。したがって、

サービスの質をより向上させようという動きがうまれた。

サービスの質に関する問題意識の高まりは、サービスの質を構成する要素の研究や、

サービスの質の測定を主眼においた研究を活発にした。その一つが SERVQUAL モデル

である。SERVQUAL とは、サービス (Service) と品質 (Quality) を組み合わせた造語で、

サービスの品質を測定するための尺度のひとつである。SERVQUAL モデルは、

Parasuraman, Zeithaml, & Berry (1988) によって、顧客がサービスに対する期待と実際に

体験したサービスの差を計る測定方法として開発された。これは有形商品の品質を測定

する尺度とは異なり、サービス品質固有の抽象性が考慮されている。尺度条件として、

サービス品質を①消費者の主観的に知覚した品質で評価する、②消費者が商品の購買前

に抱いた期待 (期待値) と購買前に知覚された経験 (経験値) との相対的な比較により

決定する、という内容があげられる。

Parasuraman et al. (1988) では、サービス品質の決定要因を 10の要因にまとめている。

①信頼性:サービス遂行に関して、信頼できて正確に遂行できる。

②アクセス:接触のしやすさ。

③物的要素:物的施設、設備、接客員の外見。

④反応性:顧客を助けて素早いサービスを提供する意欲。

2 サービスとは、一方が他方に対して与える行為やパフォーマンスで、本質的に無形で、結果と

して何の所有権ももたらさないものをいう (Kotler, 1994)。

Page 5: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

5

⑤能力:サービスを遂行するために必要な技能と知識や資格。

⑥丁寧さ:顧客への丁寧さ、思慮深さ、尊敬、配慮、親近感。

⑦安全性:危険やリスクや懸念から離れているかどうか。

⑧信用性:信頼でき正直で誠実かどうか。

⑨コミュニケーション:顧客の要望を聞き、組織に伝達できるか。

⑩顧客理解:顧客のニーズを知ろうとする力。

これは後に、①物的要素、②信頼性、③反応性、④確実性、⑤共感性の 5 つの次元に

集約された。さらに、期待と実績の認知に関する 22 の質問項目に 7 段階評価を加えた

ものが、SERVQUAL とよばれる消費者知覚を測定する方法である。

SERVQUAL モデルはサービスの差を計る代表的先行事例であるために、多くの研究

者により指摘を受けている。この中で Parasuraman et al. (1988) によるサービス品質の研

究は、概念形成、計測のための基準、手法を生み出したという点で、サービスの知覚品

質研究に貢献している。同時にサービス戦略という観点からも、多くの議論を促し、サ

ービス戦略の形成にも SERVQUAL モデルは貢献していると言える。しかし、

SERVQUAL モデルの期待と知覚を測定する方法、構成要素の妥当性といった問題点が

いまだ存在し、それらの問題を改善し、さらに精度を高めていくことが求められている。

2-3. 顧客満足と再購買意図

顧客満足の概念は、研究者によってそれを規定する評価基準が異なっている。例えば、

Oliver (1981) は、「満足」を「期待が満たされなかったことにまつわる感情が消費者の消費

経験に関する事前の感情と結びついたときに生じる、凝縮された心理状態」と定義し、Tse &

Wilson (1988) は「事前の期待と消費後に知覚された製品成果との間の知覚された不一致に

関する評価に対しての消費者の反応」と定義している。また Oliver (1980) は、「期待不一

致」概念を用いて、モデルの定式化を行っている。このモデルは、購買経験による満足

によって再購買意図が形成されることを示すものである。つまり、満足した消費者は再

購買意図を形成し、満足しなかった消費者は購買を止める。また、再購買意図は顧客満

足と正の相関があり、その度合いによって規定されると主張されている3。このように

満足は、消費者のロイヤリティを形成し、そして保持するための重要な概念であると考

えられる。サービス消費の場合でも、ロイヤリティは重要な役割を果たすと考えられる。

顧客が特定のサービスの利用経験において特に大きな問題に直面しないかぎり、サービ

スの特質 (無形性、生産と消費の同時性) によって、顧客にそのサービスの再利用を促

すような構造が備わっていると考えられている4。

3 詳しくは、Heskett, Jones, Loveman, Sasser, & Schlesinger (1994)を参照のこと。 4 詳しくは、藤村 (2006) を参照のこと。

Page 6: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

6

3. 仮説の提唱

本節では、前節で行ったレビューをもとに、患者満足の形成要因を明らかにするため

にモデルを構築し、仮説を提唱する。

先述したように、嶋口 (1994) では表層サービスが満足の形成要因となると述べられ

ている。本研究で取り扱う医療サービスにおいては、看護師のサービスが表層サービス

に当たると考えられる。提供されるサービスが本質サービスなのか、それとも表層サー

ビスなのかという分類は個人によって異なり、難しい点ではあるが、医療機関を訪れる

本来の目的が治療や診察を受けることだと考えると、看護師のサービスは表層サービス

に当たると考えられる。よって以下の仮説を提唱する。

また、看護師のサービス品質こそが患者満足を形成することを明らかにするために、

看護師のサービス品質の他に、3 つの統制変数を組み込む。まず、医療における本質サ

ービスである医師のサービス品質である。本質サービスは満足形成に影響を及ぼさない

はずではあるが、医療サービスを受ける目的を考慮すると、少なからず影響があると考

えられるためである。そして、今井・揚・小島・櫻井・武藤 (2001) で述べられている、

満足度に影響する要因をもとに、待ち時間の短さ、環境・設備の 2 つを組み込む。よっ

て以下の仮説を提唱する。

再購買意図は、顧客満足と正の相関があり、その度合いによって規定される (Heskett,

Jones, Loveman, Sasser & Schlesinger 1994)。本研究においては、再購買意図は再来院意図

に置き換えることができる。よって以下の仮説を提唱する。

嶋口 (1994) によると、表層サービスは「満足⇔満足していない」という次元に働き、

本質サービスは「不満⇔不満でない」という次元に働く。また、藤村 (1999) によると、

満足の最大化と不満足の最小化は異なる次元であるとしている。つまり、本質サービス

が備わっていることは顧客にとって当たり前であるため、満足を生じさせる要因ではな

仮説 1:看護師のサービス品質は、満足に正の影響を与える。

仮説 5:満足は、再来院意図に正の影響を与える。

仮説 2:医師のサービス品質は、満足に正の影響を与える。

仮説 3:待ち時間の短さは、満足に正の影響を与える。

仮説 4:環境・設備は、満足に正の影響を与える。

Page 7: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

7

く、むしろ欠如した場合に不満を感じる。一方表層サービスは、なくても困らないが、

あれば魅力的で、満足を感じる。よって、以下の仮説を提唱する。

以上の仮説 1~6 をもとに、以下の理論モデルを導出する。本研究では、このモデル

を SPS モデル (Structure of Patient’s Satisfaction model) と呼ぶ。実証分析を行うことで、

仮説の経験的妥当性をテストする。

図 1 SPS モデル

4. 調査方法

本論では、先に導出した因果モデルの経験的妥当性をテストするために、質問票調査

を行う。調査にあたり医療機関へ調査依頼を行ったが、アンケートにおける個人情報の

取り扱いや研究の倫理審査の関係により、残念ながら医療機関での調査は不可能であっ

た。よって今回は、都内私立大学の学生を中心に調査を行った。測定尺度の作成にあた

っては、「看護師のサービス品質」と「医師のサービス品質」については Parasuraman,

Zeithaml, & Berry (1985; 1988)、宮城 (2009) を、「再来院意図」については Baker &

Churchill (1977) を参考にして開発した。「満足」については Oliver (1980) を参考にした。

仮説 6:医師のサービス品質が満足に与える影響よりも、看護師のサービス品質

が満足に与える影響の方が大きい。

(+)

(+)

(+)

(+)

(+)

看護師の サービス品質

医師の サービス品質

待ち時間の 短さ

環境・設備

満足 再来院意図

Page 8: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

8

「待ち時間の短さ」と「環境・設備」については独自で設定した。

今回、潜在ユーザーを対象として調査を行ったため、場面想定法を用いて質問票を作

成した。このような内容で調査を行ったところ、回答数 124、有効回答率 100%を得た。

5. 分析結果

図 1 に示された因果モデルを、統計ソフト SPSS Inc PASW Statistics 18 および Amos 18

を用いて共分散構造分析によって経験的にテストした。まず、潜在変数の信頼性分析を

行ったところ、クロンバックの係数は以下の表 1 のような結果となった。看護師のサ

ービス品質と医師のサービス品質の係数はやや低かったが、その他の潜在変数の係

数は十分に高かった。

表 1 観測変数と信頼性係数(n=124)

潜在変数 観測変数 (質問項目:全て 1-7 の 7 点尺度) クロンバックの係数

看護師の

サービス品質

患者ひとりひとりに対して、正確に対応するべきだ。

いつでも進んで患者を手助けするべきだ。

安心して任せられる対応がされるべきだ。

患者ひとりひとりの要求を理解するべきだ。

.615

医師の

サービス品質

身なり (髪型も含む) はきちんとされているべきだ。

患者ひとりひとりに対して、正確に対応するべきだ。

必要な知識・技能が身に付いているべきだ。

常に患者ひとりひとりに注意を向けるべきだ。

.565

待ち時間の

短さ

受付を済ませてから診察までの時間は、適切だ。

十分に我慢できるものだ。 .849

環境・設備 雰囲気は良いと思う。

清潔だと思う。 .764

満足 このような病院であれば、満足だ。

このような病院であれば、来て良かったと感じると思う。 .843

再来院意図 医者に掛かることがあったら、このような病院を利用したい。

このような病院を掛かりつけにしようと思う。 .902

妥当性のチェックのため、確認的因子分析を行った。2値は 147.873 で、自由度は 89、

有意確率は.000であった。適合度指標GFIおよび自由度調整適合度指標AGFIは各々.875

および.810 で、適合度は既存研究の推奨値をわずかに下回った。ただし、このことはサ

ンプルサイズの小ささに依存しているものと考えられる。おおむね満足できる適合度を

Page 9: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

9

得た。平均二乗誤差平方根 RMSEA は.073 であり、データがこのモデルに適しているこ

とを示している。

続いて、構造方程式を共分散構造分析によって推定した。まず、モデルの全体的評価

を行うと、このモデルに対する2値は 208.331、自由度は 94、有意確率は.000 であった。

適合度指標 GFI および自由度調整適合度指標 AGFI は各々.844 および.774 で、やや低い

適合度となった。これも確認的因子分析と同様に、小さなサンプルサイズに起因してい

ると解釈できる。平均二乗誤差平方根 RMSEA は.099 であり、データがこのモデルに適

合していると解釈できる。

続いてモデルの部分的評価を行う。看護師のサービス品質は満足に対して有意かつ正

の影響を与えており (=.218, t=1.949, p<.10)、仮説 1 は支持された。つぎに、医師のサ

ービス品質は満足に対して有意かつ負の影響を与えており (=-.202, t=-1.780, p<.10)、仮

説 2 とは逆の結果が得られた。つぎに、待ち時間の短さは満足に対して有意かつ正の影

響を与えており (=.414, t=3.466, p<.01)、仮説 3 は支持された。つぎに、環境・設備か

ら満足へのパスは非有意となり (=.144, t=1.203, p>.10)、仮説 4 は棄却された。つぎに、

満足は再来院意図に対して有意かつ正の影響を与えており (=.951, t=12.860, p<.01)、仮

説 5 は支持された。

最後に仮説 6 に関しての評価を行う。医師のサービス品質から満足へのパスと、看護

師のサービス品質から満足へのパスの標準化係数を比較すると、医師のサービス品質よ

りも、看護師のサービス品質の方が満足に強い影響を与えていることがわかる。これは、

仮説 6 を支持する結果である。

表 2 構造方程式モデルの推定結果

H1 看護師のサービス品質 → 満足 (+) .218 (t= 1.949)*

H2 医師のサービス品質 → 満足 (+) -.202 (t= - 1.780)*

H3 待ち時間の短さ → 満足 (+) .414 (t= 3.466)***

H4 環境・設備 → 満足 (+) .144 (t= 1.203)

H5 満足 → 再来院意図 (+) .951 (t= 12.860)***

** : 10%水準で有意、*** : 1%水準で有意

Page 10: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

10

図 2 SPS モデル分析結果

以上の分析結果から、まず有意になった仮説について考える。満足に影響を与える 3

つの潜在変数のうち、待ち時間の短さが最も強い影響を与えていた。また、医師のサー

ビス品質は満足に負の影響を与えており、仮説 2 は支持されなかったが、本質サービス

である医師のサービス品質と、表層サービスである看護師のサービス品質という違いが、

標準化係数に表れたと考えられる。

次に、非有意になった仮説について考える。環境・設備は満足に対して影響を与えて

いなかった。これは、医療サービスを受けるうえで、医師や看護師のサービス品質、待

ち時間の短さといった直接的な要素とは異なり、副次的な要素であるため、満足形成に

影響を与えていないのではないかと考えられる。

6. 本論の知見と今後の課題

先述の通り、患者満足に関する研究の蓄積は多く、様々な結果を提示してきているが、

理論的背景がはっきりとしていない点や現実の記述に留まっている点など、問題点が存

在していた。そこで、より一般化された研究結果を導き出すことを目的に、患者満足の

構造を解明しようと試みてきた。

***:1%水準で有意、*:10%水準で有意。

実線:有意、破線:非有意。

2=208.331 (d.f.=94), p<.001

GFI=.844, AGFI=.774

RMR=.165, RMSEA=.099

.218*

.414***

-.202* .951***

.144

看護師の サービス品質

医師の サービス品質

待ち時間の 短さ

環境・設備

満足 再来院意図

Page 11: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

11

満足に影響を与える要因を順に見ていくと、最も強い影響を与えているのは、待ち時

間の短さである。これについては、「ネコの目システム5」という、混雑状況を携帯電話

やパソコンで知ることができるシステムを導入している医療機関も、すでに存在してい

る。待ち時間の短さの次に、満足に強い影響を与えているのは、看護師のサービス品質

である。医師に診てもらうという医療サービスを受けるために医療機関を訪れるのであ

るが、医師ではなく、看護師のサービス品質が満足形成に影響を及ぼすことが、仮説通

り見いだされた。最も興味深い結果が得られたのが、本質サービスである医師のサービ

ス品質が、表層サービスである看護師のサービス品質よりも、満足に与える影響が小さ

いだけでなく、マイナスの影響を与えていることが実証された点である。この要因につ

いては、2 点考えられる。第 1 に、本質サービスが不満足形成に関わっている可能性が

あるという点である。表層サービスは、顧客に不可欠だと期待されているわけではない

ため、このサービス属性がゼロであっても「不満足」にはならず、単に「満足していな

い」状態になる。一方本質サービスは、そのサービス属性をある最低許容水準以下のレ

ベルにしてしまうと、「不満足」になってしまう。また、最低許容水準以上にサービス

充実度を上げても、満足度はある程度の充実点以上には上昇しない。つまり、本研究に

おいて医師のサービス品質が満足にマイナスの影響を与えていたことは、本質サービス

が不満足形成に関わっているということが示唆されたことになる。第 2 に、質問票でサ

ービス品質について問う際に、「~すべきだ」という理想的水準による表現をした点で

ある。場面想定法での医療機関の細かい描写は限界があり、特定の医療機関の知覚サー

ビス水準ではなく、回答者の理想的なサービス水準を測定することになったため、この

ような結果が得られたと考えられる。

本研究には次のような課題がある。第 1 に、調査にあたり本質サービスと表層サービ

スの分類を研究者自身で行ったが、先述の通り判断する人によって分類が異なるという

点である。分析を行う前に、何が医療サービスにおける本質サービスであり表層サービ

スであるのか、潜在ユーザーにアンケートをとるという方法も考えられる。それにより、

患者満足の構造をより明確に計り知ることができるであろう。第 2 に、本質サービスと

不満足の関係である。本研究において、表層サービスである看護師のサービス品質が、

医師のサービスよりも満足に強い影響を与えていることが分かった。しかし、本質サー

ビスである医師のサービス品質が不満足の形成要因として影響を与えることは、可能性

として示唆されるのみであった。本質サービスが不満足の解消にどのような影響を与え

ているのか、さらなる研究が必要であろう。以上のような課題を残したが、本研究は実

地の記述に留まることなく、提言を導き出せたという点で、意義あるものと主張できる

であろう。

5 詳しくは (http://neco.riprice.co.jp/advertise/advertise.html) を参照のこと。

Page 12: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

12

参考文献

Baker, M. J. & G. A. Churchill, Jr. (1977). The impact of physically attractive models on advertising

evaluations, Journal of Marketing Research, 14, 538-555.

Bitner, M. J. (1990). Evaluating service encounters: The effects of physical surroundings and employee

responses. Journal of Marketing, 54 (2), 69-82.

Bolton, R. N. & J. H. Drew (1991). A multistage model of consumers assessments of service quality and

value. Journal of Consumer Research, 17 (4), 375-384.

Donabedian, A. (1966). Evaluating the quality of medical care. Milbank Memorial Fund Quarterly, 44,

166-206.

藤村和宏 (1992)「顧客満足戦略における消費者満足概念」『広島大学経済論叢』16(3), 141-179.

____ (1995)「医療サービス生産の実態」『サービス企業における生産性・顧客満足・職務満足―

OBMS 概念による実証研究報告』社会生産性本部, 53-85.

____ (1999)「日本人のサービス消費における満足形成の特質」『香川大学経済論叢』72(1), 215-240.

____ (2006)「顧客満足とロイヤルティの関連性についての理論的考察―サービス消費を中心とし

て―」『香川大学経済論叢』79(2), 101-170.

長谷川万希子, 杉田聡 (1993)「患者満足度による医療の評価―大学病院外来における調査から」

『病院管理』30(3), 31-39.

Heskett, J. L., T. O. Jones, G. W. Loveman, W. E. Sasser, Jr., & L. A. Schlesinger (1994). Putting the

service-profit chain to work. Harvard Business Review, 72(2), 164-174.

堀真奈美 (2007)「患者満足度向上に向けたコミュニケーション戦略の在り方について」『病院管

理』44(2), 81-92.

池上直巳, 河北博文 (1987)「患者の満足度と病院の管理姿勢:日病の会員施設における実態調査」

『日本病院会雑誌』34, 13-19.

今井壽正, 揚学坤, 小島茂, 櫻井美鈴, 武藤孝司 (2001)「大学病院の患者満足度調査―外来・入

院患者の満足度に及ぼす要因の解析―」『病院管理』37(3), 63-74.

今中雄一, 荒記俊一, 村田勝敬, 信友浩一 (1993)「医師および病院に対する外来患者の満足度と

継続受診意思におよぼす要因―総合病院における解析」『日本公衆衛生誌』40(3), 624-634.

井上淳子, 冨田健司 (2000)「医療機関における患者との関係性構築:リレーションシップ・マー

ケティング概念を用いて」『医療と社会』10(3), 97-108.

金成洙 (2007)「医療業界におけるサービス・マーケティングの戦略体系:患者満足向上のため

に」『専修総合科学研究』15, 219-250.

近藤隆雄 (2000)「サービス品質の評価について」『経営・情報研究:多摩大学研究紀要』4, 1-16.

____ (2007)『サービス・マネジメント入門 第 3 版―ものづくりから価値づくりの視点へ』社会

経済生産性本部.

高載乾 (2002)「医療サービス品質の決定要因と患者満足に関する研究」『龍谷大学経営学論集』

Page 13: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

13

41(3/4), 29-44.

Kotler, P. (1994). Marketing management analysis, planning, implementation, and control, eighth edition.

New Jersey: Prentice Hall.

前田泉, 徳田茂二 (2003)『患者満足度―コミュニケーションと受療行動のダイナミズム―』日本

評論社.

丸橋美友紀, 横田恵子, 高間静子 (2001)「外来患者の満足度の実態調査」『富山医科薬科大学看

護学会誌』4(1), 85-93.

宮城博文 (2009)「サービス品質の管理・評価の課題」『立命館ビジネスジャーナル』3, 45-67.

永井昌寛, 山本勝, 横山淳一 (2001)「病院および診療所におけるサービスの分析と評価」『病院

管理』38(3), 25-37.

中島明彦 (2007)『ヘルスケア・マネジメント―医療福祉経営の基本的視座』同友館.

中村陽人 (2007)「サービス品質の測定尺度に関する実証研究―SERVQUAL の再検討―」『横浜

国際社会科学研究』11(6), 39-54.

Oliver, R. L. (1980). A cognitive model of the antecedents and consequences of satisfaction decisions.

Journal of Marketing Research, 17(4), 460-469.

____ (1981). Measurement and evaluation of satisfaction processes in retail settings. Journal of Retailing,

57(3), 25-48.

大和田瑞乃, 郡司篤晃, 今中雄一 (1995)「患者による入院医療の質の評価―患者評価の方法論と

評価特性の検討」『病院管理』32(4), 15-24.

Parasuraman, A., V. A. Zeithaml, & L. L. Berry (1985). A conceptual model of service quality and its

implications for future research. Journal of Marketing, 49(4), 41-50.

____ ,____ , & ____ (1988). SERVQUAL: A multiple-item scale for measuring consumer perceptions of

service quality. Journal of Retailing, 64(1), 12-40.

島津望 (2005)『医療の質と患者満足:サービス・マーケティング・アプローチ』千倉書房.

嶋口充輝 (1994)『顧客満足型マーケティングの構図』有斐閣.

Swan, J. E., & L. J. Combs (1976). Product performance and consumer satisfaction: A new concept,

Journal of Marketing, 40(2), 25-33.

竹田明弘 (2009)「医療サービスにおける患者満足とコミュニケーション構造」『経済理論』347,

41-62.

竹内慶司 編著 (2009)『マネジメント基本全集 3 市場創造 (マーケティング):顧客満足とリレ

ーションシップ』(第 2 版) . (根本孝, 茂垣広志 監修). 学文社.

Taylor, Steven A. (1994). Distinguishing service quality from patient satisfaction in developing health

care marketing strategies. Hospital & Health Service Administration, 39(2), 221-236.

冨田健司 (2007)「医療の質を高める組織マネジメント」『慶應経営論集』24(1), 133-145.

Tse, D. K. & P. C. Wilson (1988). Models of consumer satisfaction formation : An extension. Journal of

Page 14: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

14

Marketing Research, 25(2), 204-212.

余田拓郎 (2000)「患者による医療機関の評価メカニズム:事前期待に基づく患者満足の分析と考

察」『オイコノミカ』37(3/4), 41-54.

上原聡 (2009)「顧客満足に対するサービス品質の影響に関する考察」『嘉悦大学研究論集』52(1),

1-15.

Page 15: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

15

○ごあいさつ

現在、病院に対する満足度についての研究を行っております。回答結果はコンピュータで統計的に処

理され、プライバシーは保護されます。また、学術研究以外の目的で使用されることもございません。

大変お手数ではございますが、なにとぞご協力のほど、よろしくお願いいたします。

以下のような病院を訪れたと想定して、質問にお答えください。

あてはまる番号に○印をお付けください。

問 1:看護師について、どう思いますか?

0101:身なり (髪型も含む) は、きちんとされているべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0102:患者ひとりひとりに対して、正確に対応するべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0103:信頼に足るサービスを提供している。 7-6-5-4-3-2-1

病院でのサービスに関するアンケート 中央大学商学部 久保知一研究室第 3 期 増山絵里

【 7 ―― 6 ―― 5 ―― 4 ―― 3 ―― 2 ―― 1 】

そう思う どちらでも そう思わない

ない

風邪をひいてしまったため、近所の病院に行くことにしました。風邪

が流行っている時期ということもあり、待合室の席はすすでにほとん

ど埋まってしまっています。看護師さんもとても忙しそうに働いてい

ます。(しっかり予約をするべきだったかな)と思いつつ、受付を済

ませて空いている椅子に座りました。掃除の行き届いた待合室には、

テレビが 1 台、新聞や雑誌、子供用の絵本が置いてあり、ドリンク

サーバーも設置されているので水やお茶が自由に飲めます。

渡された体温計で熱を測り、紙コップでお茶を飲みながら、テレビを眺めたり雑誌を読んだりし

て待ち時間を過ごしました。

看護師さんに名前を呼ばれ、診察室に通されました。時計を見てみると、受付を済ませてから約

30 分が経っていました。

診察室では、医師に症状を聞かれ丁寧に診察をしてもらい、処方され

る薬の説明を受け、全部で 5 分ほど診てもらいました。看護師さん

からは、しばらく安静にしていてくださいと言われ、診察室を出まし

た。

もう一度待合室で待っていると、3 分ほどで名前を呼ばれ、会計を済

まして処方箋をもらい、病院を出ました。

Page 16: 患者満足の構成要素の究明 - C-faculty -教員用Web …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tomokazu/zemi_materials/3...本節では、患者満足、SERVQUAL モデル、顧客満足と再購買意図について、先行研

患者満足の構造解明

16

0104:忙しいので患者の注文に迅速に応えられなくてもよい。 7-6-5-4-3-2-1

0105:いつでも進んで患者を手助けするべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0106:患者思いであるべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0107:安心して任せられる対応がされるべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0108:必要な知識・技能が身に付いているべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0109:常に患者ひとりひとりに注意を向けるべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0110:患者ひとりひとりの要求を理解するべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

問 2:医師について、どう思いますか?

0201:身なり (髪型も含む) は、きちんとされているべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0202:患者ひとりひとりに対して、正確に対応するべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0203:信頼に足るサービスを提供している。 7-6-5-4-3-2-1

0204:忙しいので患者の注文に迅速に応えられなくてもよい。 7-6-5-4-3-2-1

0205:いつでも進んで患者を手助けするべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0206:患者思いであるべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0207:安心して任せられる対応がされるべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0208:必要な知識・技能が身に付いているべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0209:常に患者ひとりひとりに注意を向けるべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

0210:患者ひとりひとりの要求を理解するべきだ。 7-6-5-4-3-2-1

問 3:待ち時間について、どう思いますか?

0301:受付を済ませてから診察までの時間は、適切だ。 7-6-5-4-3-2-1

0302:十分に我慢できるものだ。 7-6-5-4-3-2-1

問 4:病院内はどうですか?

0401:快適だと思う。 7-6-5-4-3-2-1

0402:雰囲気は良いと思う。 7-6-5-4-3-2-1

0403:清潔だと思う。 7-6-5-4-3-2-1

問 5:以上の事をふまえて、お答えください。

0501:このような病院であれば、満足だ。 7-6-5-4-3-2-1

0502:このような病院であれば、来て良かったと感じると思う。 7-6-5-4-3-2-1

0601:医者に掛かることがあったら、このような病院を利用したい。 7-6-5-4-3-2-1

0602:このような病院を掛かりつけにしようと思う。 7-6-5-4-3-2-1

ご協力ありがとうございました。