ベラルーシ製のホールボディーカウンター AT1316

問題点の発見から解決まで

2012/3/17 東京大学 早野 龍五

‣昨年12月には全員が平均20Bq/kg内部汚染という驚愕の結果を出していた市民放射能測定所 CRMS （福島）設置のWBC

‣私の指摘でベラルーシからファントムが送られてきた‣多くの方々の努力で校正完了‣校正後は，ほぼカタログ性能が出るようになった（嬉しい）

何が問題だったか

10 20 30 40 Cs137!Cs134 !Bq"kg#20

40

60

80Age

AT1316カタログより

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福島市でAT1316で検査したほぼ全員が平均20Bq/kgの内部被ばくという驚愕の結果

「バックグラウンドの体格補正がダメだ」と早野が指摘

50 100 150 200 250

100

1000

104

105 実測したBG

これらの体格に対応した

６種の体格補正バックグラウンド

(本来はファントムで実測すべきだがファントムが無いのでソフトで生成)

ベラルーシの技術者宛に早野が作成したレポート

The AT1316 at Fukushima CRMS

R.S. HayanoChair of the Physics Department, The University of Tokyo

January 10, 2012

Abstract

Some 1300 people have been examined for internal contamination with radioactive cesium at

Fukushima CRMS with the AT1316 whole body counter. The average level of contamination was

found to be about 20 Bq/kg (134Cs+137Cs). However, this is likely to be the artifact caused by the

software-generated “operational background”.

1 The anthropometric characteristics of the subjects

Figs. 1,2,3 show the anthropometric characteristics of the subjects measured at CRMS, and Figs. 4-7

are the corresponding 134Cs and 137Cs concentrations reported by the AT1316. *1

These plots reveal the following:

1. According to Fig. 7, the average contamination appears to be about 20 Bq/kg (134Cs+137Cs),

both for children and adults.

20 40 60 80 100

20

40

60

80Age

Fig. 1 Age distribution of the subjects measured by the AT1316 at Fukushima CRMS.

*1 Of the 1331 subjects measured at CRMS (as of December 23, 2011), 265 cases were excluded from these plots for whichthe AT1316 reported “100% error”.

1

2012年2月にベラルーシからファントムが送られてきた

こんなブロックを組み立てて椅子に座らせて校正→

Ph1 12kg 82.5cm

6種類のファントム 組立図面

遮蔽も（少し）強化した

鉛入合板で囲み椅子の方向を変えた（バックグラウンド約20%減）

汚染しないようにビニールをかぶせ着替えをしてから測定

3/7~8の試験運転協力者のプロファイル

20 40 60 80 Age

1

2

3

4

20 40 60 80 WeightHkgL6080100120140160180

HeightHcmL

年齢分布5歳から71歳まで

体重・身長分布6種類のファントムを赤点で示す（ファントムは「ベラルーシ体格」だと思っていたのだが，結構日本人の体格分布にも合っている）

40Kは測定できているか

0 20 40 60 80age0

50

100

150

200K40HBqêkgL

子供から大人まで安定した結果が得られている

134Csと137Csの比率もほぼ妥当

0 2 4 6 8 10 12 14 Cs134HBqêkgL0

2

4

6

8

10

12

14

Cs137HBqêkgL

0 200 400 600 800 1000Cs134HBqêbodyL0

200

400

600

800

1000Cs137HBqêbodyL

Bq/kg Bq/body

ざっと見たところ，総セシウム/body で400Bq程度は達成できていそうだ

総セシウム/Bodyで400 Bqの線

試運転 39人のスペクトル（年齢順に並べてあります）

‣被験者のスペクトル(5分測定)と「6種類のファントム・データ（各3時間測定）から体重・身長で内挿した体格補正バックグラウンド」の差を表示（チャンネル数を4倍に圧縮）

‣ほとんどの場合，バックグラウンドがうまく引けている‣スペクトルの上に，年齢，体重，身長，134Cs濃度，137Cs濃度，40K濃度の数値を表示（誤差は２σ）

‣ 134Csと137Csのピーク位置を縦線で示す．セシウム濃度が有限値だった場合は赤，NDだった場合は青

‣赤が３本立っていれば，AT1316が「陽性」判断したと考えて良い‣ At1316の判定は妥当か，皆さん判断して下さい