宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所

永松 弘行

2014年 2月 14日 (金 )

2013年度宇宙科学情報解析シンポジウム

『どこでも運用システム』の開発状況

(第二報 )

○自動運用システム (ASURA)○簡易衛星・地上局シミュレータ (BOSATSU)○遠隔運用システム (GARUDA)

　 1. 運用の負担，コスト削減　 2. 場所を選ばない，メンテナンス性向上　 3. 衛星・地上局開発環境，教育・訓練環境としての機能　 4. 既存システムと容易にインタフェース　 5. 人間は人間にしかできないことに集中できる環境整備

さらに，システムの汎用性向上のための改良を実施

運用システムの課題　 1. 運用者の負担大　 2. 熟練運用者の訓練・確保が困難　 3. 運用コスト，インフラ整備・メンテナンス性確保解決のための基本方針

どこでも運用システム

「どこでも運用システム」を開発・運用中コアとなるサブシステム

インターネット　　　　　　　

CMD TLM

CheckandMerge

自動運用システム(ASURA)

シミュレータ(BOSATSU)

遠隔運用システム(GARUDA)

Web「宿泊予約」なみの手軽さミスリードのない直感的 IF

一般ユーザ =(サブ )運用局

(メイン )運用局

観測リクエスト

メインユーザ(理学ミッションなど )

運用計画衛星

(遠隔 )状態監視緊急対応

どこでも運用システム運用に必要な操作一式 (スケジューリング，テレコマ運用，データ管理，安全管理など )を自動化，携帯端末と組み合わせて「どこからでも運用：監視可能」なシステム

【自動運用システム (ASURA)】

三つのサブシステム

○Adaptable Scheduler for Ubiquitous and Rational Application○目的 : 定常運用時の負担軽減，運用コスト削減○実運用での目処は立つ (INDEX/相模原局による試験運用・改良を継続中 )○検証方法の限界 (試験装置の限界 )

○Basis Of Simulator Architecture for Total Satellite/Spacecraft Utility○自動化システムの洗練・ロバスト化○既存装置併用，実機使用リスク軽減しシステム構築・検証可 (既存プロジェクトへの応用，将来プロジェクトの萌芽 )○衛星と地上局の同時並行的開発 　 (早期のイメージ把握，開発の同時最適化 )

○Generic Attachment for Reviewers' Utility and Data Archives○自動運用における緊急時対策 (人間とのインタフェース )○遠隔地から状態監視・安全管理など○簡易試験装置としても応用可能

【簡易衛星・地上局シミュレータ (BOSATSU)】

【遠隔運用システム (GARUDA)】

時間経過

コマンド送信開始

UPLINK開始

UPLINK終了

入感

消感

天頂通過

テレメトリ受信開始

アンテナ制御 コマンド送信テレメトリ受信 衛星・地上局状態監視

テレメトリ受信終了

コマンド送信終了

必要ならアンテナ反転実施

スケジューラの機能

ロックオフ検知

(問題なし ) (異常検知 )

緊急スケジュール実施

追尾開始

追尾終了

計画コマンド自動送信

ロックオフ自動復旧

ヘルスチェック

緊急レベルに応じて実施

メール通知オペレータに引き継ぎ

自動運用システム (ASURA)のシーケンス

【自動運用システム (ASURA)】

三つのサブシステム

○Adaptable Scheduler for Ubiquitous and Rational Application○目的 : 定常運用時の負担軽減，運用コスト削減○実運用での目処は立つ (INDEX/相模原局による試験運用・改良を継続中 )○検証方法の限界 (試験装置の限界 )

○Basis Of Simulator Architecture for Total Satellite/Spacecraft Utility○自動化システムの洗練・ロバスト化○既存装置併用，実機使用リスク軽減しシステム構築・検証可 (既存プロジェクトへの応用，将来プロジェクトの萌芽 )○衛星と地上局の同時並行的開発 　 (早期のイメージ把握，開発の同時最適化 )

○Generic Attachment for Reviewers' Utility and Data Archives○自動運用における緊急時対策 (人間とのインタフェース )○遠隔地から状態監視・安全管理など○簡易試験装置としても応用可能

【簡易衛星・地上局シミュレータ (BOSATSU)】

【遠隔運用システム (GARUDA)】

コマンド送信

テレメトリ受信

アンテナ制御

地上局シミュレータ(地上局設備の模擬 )

衛星シミュレータ(搭載系の模擬 )

衛星データベースSATbase.xml

衛星ダイナミクス(姿勢系，観測機器など )

模擬

地上局データベースGSEbase.xml

地上局ダイナミクス(アンテナ制御など )

模擬

自動運用システム

書き換えて汎用性向上

コマンド コマンド

テレメトリ テレメトリ

状態監視

地上局設備データ

地上局 衛星

模擬

コマンド

テレメトリ

コマンド

テレメトリ

地上局設備データ

切替スイッチ模擬

地上局設備データ (個々の情報 )衛星テレメトリ (既存の統一的 I/F)

拡張テレメトリ (両者を統一的 I/Fで提供 )

衛星・地上局シミュレータ BOSATSU

【自動運用システム (ASURA)】

三つのサブシステム

○Adaptable Scheduler for Ubiquitous and Rational Application○目的 : 定常運用時の負担軽減，運用コスト削減○実運用での目処は立つ (INDEX/相模原局による試験運用・改良を継続中 )○検証方法の限界 (試験装置の限界 )

○Basis Of Simulator Architecture for Total Satellite/Spacecraft Utility○自動化システムの洗練・ロバスト化○既存装置併用，実機使用リスク軽減しシステム構築・検証可 (既存プロジェクトへの応用，将来プロジェクトの萌芽 )○衛星と地上局の同時並行的開発 　 (早期のイメージ把握，開発の同時最適化 )

○Generic Attachment for Reviewers' Utility and Data Archives○自動運用における緊急時対策 (人間とのインタフェース )○遠隔地から状態監視・安全管理など○簡易試験装置としても応用可能 : 射場対応，早期投入

【簡易衛星・地上局シミュレータ (BOSATSU)】

【遠隔運用システム (GARUDA)】

衛星運用室(管制室)

遠隔地

sshポートフォワーディング

手動/自動コマンド送信準リアルテレメトリ受信・診断

運用サーバ 運用計画システム

計画ファイル運用ログ

計画ファイル運用ログ

データサーバ(クラウド)

クラウド同期

(実施中)

LAN

WAN

衛星運用室(管制室)

遠隔地

sshポートフォワーディング

手動/自動コマンド送信準リアルテレメトリ受信・診断

運用サーバ 運用計画システム

計画ファイル運用ログ

計画ファイル運用ログ

データサーバ(クラウド)

クラウド同期

(実施中)

LAN

WAN

サーバの構成 携帯端末状態監視システム

遠隔運用システム (GARUDA)

○どこにでも持ち込むことができる○原理的にはコマンド運用も十分実現可能

遠隔運用システム GARUDAの改良

- 限定的でも情報端末を持って移動できるメリット大- 運用管制室の動線確保- 特定場所への人間の集中緩和- 空間としての管制室の有効利用- 配線の簡略化，電力削減

衛星状態監視システム (iPad 版 )について

- 開発を Xcode で行っており，汎用性が低い (機種依存性が強い )- 汎用性確保のために XML データベースを採用したにもかかわらず，

その特性を活かし切れていない．

【メリット】

【問題点】

【システムの改良策】- XML データベースから衛星・地上局の状態監視と制御を行うアプ

リケーションを (半 )自動生成するスクリプトを作成- Webベースで動作させることにより，汎用性向上 (機種依存性低下 )

開発方法の比較【従来の開発方法 : Xcode 利

用】1. XML データベース作成2. 表示情報指定3. コーディング (Xcode 利用 )

【提案の開発方法 : コードの (半 )自動生成】1. XMLデータベース作成2. 表示情報指定3. JavaScriptコード自動生成 (スクリプト )

○ ユーザの要求に最初からきめ細かく対応可能○ ソフト開発に ( 比較的 ) 時間がかかる○ 汎用性は低い ( 機種依存してしまう ) : AppStore アプリと同じ

○ XML データベースから直接コードを生成可能○ ごく短時間で必要最低限の機能を持つソフトを得られる○ 汎用性は高い : Web ブラウザが動く端末で動作可能

繰り返し

繰り返し

衛星状態監視システム (改良版 )

- iPad 版の長所はそのまま引き継ぎ汎用性向上データベースの構築・維持管理にリソースを集中できる環境を提供

- Web ブラウザ版として，動作端末を選ばない (機種依存性， OS依存性が低い )

- XML データベースから，アプリケーション (JavaScript/HTML) のコードを (半 )自動生成

- コーディングの負担軽減 (理想的には，ゼロに近づく )

- ただし，ユーザの手を入れる余地は十分に残しておく (テキストデータとして扱う，プラグインを整備するなど )

- QL ，試験治具として開発の早期段階から低コストで導入可能 (データベース，搭載系，地上系のデバッグ )

- 簡易チェッカとしての機能

おわりに[まとめ ]遠隔運用システムの改良版を紹介　 - Web ベースのため， iPad/iPhone以外の端末で動作可能

に - XML データベース導入のメリット享受　 - ( 理想的には )コーディング負担をゼロに近づける　 - QL ，試験治具として早期の現場投入　 - メンテナンス性のさらなる向上　 - しかし，ユーザの要求は取り入れる手段を確保[今後の課題 ]　 - データベースの構築・デバッグ手法検討　　→ 正当性の担保 (誰が，どうやって？ )　 - コマンド運用試験の本格化 (セキュリティ面の検討 )　 - 衛星管制・運用システムの一つのモデルケースを構築　 - 新ハードウェアの制作を進行中 : パッケージング前

提 - ユーザ求む : 一緒に運用しませんか！？

CMD-GEN(変調 )

UPConv

STX(変調 )

HPA

DOWNConv

TLM-DEM(復調 )

SRX(復調 )

LNA

LNA

HPA

HYB

SANT-R1

SANT-R2

HYB

SANT-T1

SANT-T2

CMD-DEC

Randomizer

ICU

ACU

CMD

TLM

GPSタイムコード

API

API

GUI

API

FPGA(実衛星 I/F)

ASURA

運用系 LAN

PLN-PC

WAN

ASURASERVER GARUDASERVER

QL-PC

GARUDA

分配

CMD

TLM

ANT

将来構想 (WebGUI+ 新テレコマ H/W)

擬似衛星 (衛星シミュレータ ) : BOSATSU

衛星 (搭載系 )

運用系 LAN

A-TCG

人間

API 自動運用のための API

GUI JavaScript+HTML の Web I/F

•ASURAは，新テレコマ系 H/Wを新APIを 通じて制御する．•人間向け GUIに代わり， Web I/Fを実装 し，衛星管制，局管制の統合を目指す．•新テレコマ系 H/Wは， PCバス経由では なく， TCP/IPあるいは USB経由でテレ コマデータの授受を行う．

FPGA(実衛星 I/F)

GUI GARUDA

人間

アンテナ予報値は，(もしあれば )搭載 GPSデータより自動生成(BCP対応の一環 )

V4サーバ

tlmserver( 分配・蓄積 )

工学値変換エンジン

自動運用システム(ASURA)

運用システム衛星管制局管制

Webサーバ

クライアント(GARUDA)

LinuxWindowsMacOS XiOSAndroid

シミュレータ(BOSATSU)

衛星シミュレータ局シミュレータ

データベース(XML)

SATbaseGSEbase

SIB / SIB2

QL衛星状態監視コマンド発行局管制設備制御

局

衛星・探査機

既存システム (リアルタイム処理系 )とのインタフェース

切替スイッチ

既存伝送系プロトコル : SDTP

変換ツール DB変換ツール

変換ツール

ご清聴ありがとうございました